●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-27.VI.3:1 ~ T-27.VI.4:9

3. This body, purposeless within itself, holds all your memories and all your hopes.
  • purposeless [pə́ːrpəslis] : 「目的のない、無益な」
  • hold [hóuld] : 「維持する、保持する、持続する」
  • memory [méməri] : 「思い出、出来事、記憶、記憶力」
  • hope [hóup] : 「希望、望み、願い」
❖ "This body, purposeless ~ "「それ自体の中に、目的性をもたないこの肉体は、あらゆるあなたの思い出、あらゆるあなたの望みを保持しいている」。肉体は器であり道具であって、それ自体が目的をもっているわけではない。器であるので、あなたの思い出や数々の記憶を肉体の頭脳に蓄えておくことが出来、また将来的な希望の数々も記憶に留めておくことが出来る。ただし、記憶したものを現実化し実現するのは肉体ではない。あくまでも、肉体は器であって、それ自体として、目的性をもっているわけではない。



You use its eyes to see, its ears to hear, and let it tell you what it is it feels. It does not know.
  • hear [híər] : 「〜を聞く、聴く、〜が聞こえる」
  • tell [tél] : 「〜に話す、言う、告げる、教える、伝える」
  • feel [fíːl] : 「〜を感じる、感知する」
❖ "You use its eyes ~ "「あなたは、見るために肉体の目を使い、聞くために肉体の耳を使い、」"and let it tell you ~ "「肉体が何を感じるか、あなたは肉体に語らせている」。いわゆる、肉体は感覚器官として働いている。しかし、"It does not ~ "「肉体は何も知らない」。見たこと、聞いたこと、感じたことを、肉体はあなたに伝えるのだが、それが何であるか、それを判断するのは肉体ではない。肉体は感知した情報を伝えるが、その情報の処理を行うわけではないのだ。



It tells you but the names you gave to it to use, when you call forth the witnesses to its reality.
  • gave [géiv] : 「give の過去形」
  • call forth : 「〜を生じさせる、〜を引き出す、呼び起こす」
  • witness [wítnəs] : 「目撃者、証人、証拠、証言」
  • reality [riǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
❖ "It tells you but ~ "「あなたが〜するとき、肉体は、あなたが利用するためにそれに与えた名前を告げるだけである」。"when you call ~ "「あなたが、肉体の実在性を示す証言を呼び起こそうとするとき、」肉体は、あなたが利用するためにそれに与えた名前を告げるだけである。ここは、逆に考えた方がいいだろう。あなたは肉体が感じたことに一つ一つ名前を付けている。目が見たものを『赤い夕焼け』とか『青い空』と名付け、耳が聞いたものを『川の音』とか『風の音』と名付け、肌が感じた感覚を『痛み』とか『かゆみ』と名付けるのだ。そこで、肉体が感知した生のままの情報をあなたが受けとると、あなたはその情報を判断して名前に置き換えるのである。『今感じたこの感覚は背中の痛みである』という具合だ。するとそこに、あたかも痛みが存在して、痛みを感じる肉体も同時に存在するかのように思い込んでしまうのである。つまり、痛みの実在性と肉体の実在性を確信してしまうのだ。したがって、肉体はあなたに、感知したものの名前、あなたが名付けた名前を伝えているだけであり(It tells you but the names you gave to it to use)、名前を受け取ったあなたは、その名前が実在性を呼び出してくれる証言者だと思い込むのだ(you call forth the witnesses to its reality)。



You cannot choose among them which are real, for any one you choose is like the rest.
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • among [əmʌ́ŋ] : 「〜の間に、〜のうちで」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物」
  • like [láik] : 「似ている、類似の、類似した、同様の」
  • rest [rést] : 「残り、残っているもの、残りの部分、残余」
❖ "You cannot choose ~ "「あなたは、名前のうちのどれが実在なのか、選択することは出来ない」。"for any one you ~ "「なぜなら、あなたがどれを選んでも、残りのものと似たり寄ったりだからだ」。あなたは、名前を付けたものをすべて実在だと思い込んでいる。だから、どれが本当に実在し、どれが実在ではないか、選択のしようがないのだ。どれもこれも、実在すると思い込んでいる点で、似たり寄ったりなのである。したがって、あなたが見た『青』を、あなたが『赤』だと名付ければ、つまり、そう思い込めば、あなたにとって青は赤になるのだ。『苦痛』と名付けたものを、あなたが『快楽』という名前に置き換えれば、あなたにとって苦痛は快楽になる。だから、はたして目にしている青が実在なのか赤が実在なのか、感じている苦痛が実在なのか快楽が実在なのか、あなたは選択できないのだ。どちらも、あなたにとっては似たり寄ったりなのである。だから、肉体が名前を付けてあなたに提示するものは、結局、幻想に過ぎないのである。実在しないものに名前を付けて、あたかも実在しているかのように思っているだけであって、だから、名前の付け方次第で、どうにでも変化するものなのだ。



This name or that, but nothing more, you choose. You do not make a witness true because you called him by truth's name.
  • make [SVOC] : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
❖ "This name or ~ "「この名前もあの名前も、あなたが選択したもの、それ以上ではない」。あなたが名前を選択しただけであって、それが実在だという証拠ではない。"You do not make ~ "「あなたが本当の名前を呼んだのだという理由で、その証言を真実にすることは出来ないのだ」。たとえば、あなたが痛みを感じ、その痛みに対して本当の名前の『痛み』と呼んだとしても、その痛みが真実かどうか、実在かどうか決定出来ないのだ。卑近な例になるが、催眠術を思い出そう。催眠者は、腕に犬を抱いているのだと暗示を掛けられれば、現実に犬を抱いている自分と、その犬を、まざまざと見るのである。また、ヒステリー患者は、器質的な欠陥がないにもかかわらず、全身に強烈な痛みを走らせることがある。痛みに耐えかねて失神することもあるくらいだ。あるいは、催眠者に、氷を炎だと暗示すれば、氷を腕に当てれば、その瞬間、催眠者は強烈な熱さを感じ、その腕が火傷を起こすことがある。ならば、火傷を起こした炎はどこに実在するのか? 幻想が実在性を作り出しているのだ。あると思えばあり、ないと思えばない。実在があって、我々が実在を観察しているのではない。観察している我々が、実在を作り出しているのだ。ならば、その実在とは何か? 幻想である。



The truth is found in him if it is truth he represents. And otherwise he lies, if you should call him by the holy Name of God Himself.
  • found [fáund] : 「find の過去・過去分詞形」
  • find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
  • represent [rèprizént] : 「〜を表す、描く、描写する、意味する」
  • otherwise [ʌ́ðərwàiz] : 「さもなければ、そうでなければ」
  • lie [lái] : 「うそをつく、ごまかす」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
❖ "The truth is found ~ "「もし、表そうとしているものが真実なら、真実は彼の中に見い出せる」。真実は、したがって、肉体による客観的な観察で知ることは出来ないのだ。主体であるその人が、主観的に真実を信じているなら、その人の心の中にこそ、真実は見い出せるのである。あなたが、心から、真実を知りたいと願うとき、あなたの心が真実になるのだ。それ以外の場所に、真実は存在し得ない。"And otherwise ~ "「そうでなかったら、たとえあなたが彼を、神自身の神聖な名前で彼を呼ぼうが、彼は嘘をついているのである」。心に真実を求めることのない者に対して、どんなに神聖な名前で呼ぼうが、たとえ神だと呼んだとしても、そんな者に真実を見い出すことは出来ない。真実がない場所に、真実を見い出すことは原理的に不可能だからだ。そんな彼が、自分こそ真実だと主張するなら、彼は嘘つきである。



4. God's Witness sees no witnesses against the body. Neither does He harken to the witnesses by other names that speak in other ways for its reality.
  • witness against : 「〜に不利な証言」
  • neither [níːðər] : 「〜もまた…ない」
  • harken [hɑ́ːrkn] = hearken [hɑ́ːrkn] : 「耳を傾ける、よく聞く、傾聴する」
  • other [ʌ́ðər] : 「ほかの、そのほかの、残りの、もう一方の」
  • speak [spíːk] : 「話す、口を開く」
  • way [wéi] : 「方法、やり方、手段、方途、様式」
  • reality [riǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
❖ "God's Witness sees ~ "「神の証人は、肉体に不利な証言をする証人が見えない」。解釈が難しい。"God's Witness"「神の証人」とは、ホーリー・スピリットのこと、と考えていいだろう。"witnesses against the body"「肉体に不利な証言をする証人」とは、肉体の実在性を否定する証言者という意味ではなく、肉体は罪深いものであって、攻撃して余りあると証言するエゴのこと、あるいはエゴに支配された者のこと。したがって、本文は、「神の証人であるホーリー・スピリットは、肉体は罪深く攻撃して余りあると証言するエゴやエゴの信奉者の存在に目を向けることはない」といった意味合いである。"Neither does He harken ~ "「またホーリー・スピリットは、肉体の実在性について違った見方で話す、違った名前の証人による証言に耳を傾けることはない」。これも前文同様、エゴについて語っている。肉体は実在であり、罪があり攻撃対象であるとする、あなたの見方とは異なる見方で肉体の実在性を主張する、あなたと異なった名前のエゴの発言に、ホーリー・スピリットは耳を貸さない、という意味合い。



He knows it is not real. For nothing could contain what you believe it holds within.
  • contain [kəntéin] : 「〜を含む、包含する、収容できる」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • hold [hóuld] : 「維持する、保持する、持続する」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」
❖ "He knows it ~ "「ホーリー・スピリットは、肉体は実在しないと知っている」。"For nothing could ~ "「なぜなら、何ものも、肉体がその中に保持しているとあなたが信じているものを包含することは出来ないからだ」。エゴやあなたは、肉体は、痛みや快楽を持ち、罪さえも内部に抱え込んでいると信じているが、痛みや快楽や罪をその内部に持ち得るものなど、実相的に存在し得ない。つまり、痛みや快楽や罪といった幻想を、あたかも実在のようにその中に含むようなものは、単なる幻想だけであって、したがって、肉体は幻想なのだ、ということ。



Nor could it tell a part of God Himself what it should feel and what its function is.
  • tell [tél] : 「〜に話す、言う、告げる、教える、伝え」
  • part [pάːrt] : 「一部、部分」
  • feel [fíːl] : 「〜を感じる、感知する」
  • function [fʌ́ŋkʃən] : 「職務、役割、機能、作用、働き」
❖ "Nor could it tell a part of ~ "「また、肉体は、神自身の一部である者に対して、肉体は何を感じるべきかとか、肉体の役割は何なのか、などと語ることは出来ない」。ここは主語が"it"「肉体」となっているが、肉体の実在性を信奉するエゴ、と考えれば、解釈しやすいだろう。つまり、「罪ある肉体の実在性を信じるエゴは、神の一部である神の子に対して、肉体は罪や痛みを感じるべきだとか、肉体の役割は攻撃することだなどと、命令することは出来ない」という意味合い。命令することは出来ないにもかかわらず、エゴはそう命令している。しかも、そんな不当な命令に、あなたは従っているである。だから、あなたはエゴに支配されているのだ。エゴの思考システムに毒されているのだ。



Yet must He love whatever you hold dear. And for each witness to the body's death He sends a witness to your life in Him Who knows no death.
  • whatever [hwʌtévər] : 「〜するのは何でも」
  • dear [díər] : 「親愛な、いとしい、かわいい、敬愛する、大切な」
  • hold dear : 「大切にする」
  • send [sénd] : 「送る、発送する、届ける」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
❖ "Yet must He love ~ "「しかし、神は、あなたが大切にするものを愛さずにはいられないのである」。神は、神の子であるあなたの自由意思を第一に重んじている。あなたが幻想の肉体を大切に思っている限りは、神もまた、それを重んずる。だから、"And for each witness ~ "「肉体の死を証言する者たち一人一人に、神は、死は存在しないと知っている神の中にあなたの命が存在することを証言する証言者(であるホーリー・スピリット)を送り込んでいるのだ」。エゴの思考システムを信じて、罪ある肉体は死をもって終焉するとする神の子に対して、神はホーリー・スピリットを遣わして、神の子の永遠の命は神と共にある、あるいは、神の心の中に神の子の命はあるというメッセージを伝えるのだ。だから、幻想である肉体が死を迎えても、神の中に共にいる神の子の真実の命は永遠に不滅なのだ。だからこそ、神の子は神と共にいなければならないのである。神と分離して存在していては、理にかなわないのだ。



Each miracle He brings is witness that the body is not real. Its pains and pleasures does He heal alike, for all sin's witnesses do His replace.
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛、苦痛、骨折り、苦労」
  • pleasure [pléʒər] : 「喜び、楽しみ、快楽、楽しいこと、好み」
  • heal [híːl] : 「治す、治癒する、治療する、癒やす、救う」
  • alike [əláik] : 「同様に、一様に」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • replace [ripléis] : 「〜を取り換える、交換する、差し替える」
❖ "Each miracle He brings ~ "「神のもたらす奇跡の一つ一つは、肉体が実在するものではないという証言である」。たとえば、イエスは磔刑から復活するという奇跡を起こした。あるいは、復活という奇跡を神から与えられた。それは、あくまでも肉体は実在しないという証拠であり、キリスト教徒が信じているような、肉体の復活ではない。肉体は幻想として消滅し、イエスは命として復活したのだ。それを凡夫の我々に理解出来るように、わざわざ、生前の肉体という幻想をまとって復活しただけの話である。肉体という着ぐるみを着て現れたのだ。着ぐるみに意味がないように、イエスの肉体に意味あるわけではない。あくまでも、命の復活に意味があるのだ。"Its pains and pleasures ~ "「神は、肉体の苦痛も快楽も共に癒してくれる」。"for all sin's witnesses ~ "意訳する、「なぜなら、肉体に罪があるという証言のすべては、肉体は幻想であるとする神の証言に置き換わったからだ」。神は、肉体の苦痛や快楽、病や傷を、それを癒す目的でヒーリングの奇跡を起こしているのではない。肉体は幻想に過ぎないという真実を肉体に証言して見せることが奇跡なのだ。幻想に過ぎないと知った肉体は、同時に、幻想に過ぎない苦痛や快楽や、病や傷を消滅させるだけなのだ。幻想の肉体が、苦痛や快楽や、病や傷を放棄しただけなのだ。だが、同時に、心は命を得て、命が復活するのである。それが、真実の奇跡であり、真実の復活である。
 
 
 


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