●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-21.V.8:1 ~ T-21.V.9:5

8. Faith and perception and belief can be misplaced, and serve the great deceiver's needs as well as truth.

  • faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること、信仰、信条、確信」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • misplace : 「置き違える、置き間違える、置き場所を誤る」
  • serve [sə́ːrv] : 「〜に仕える、〜のために働く、〜に役立つ」
  • great [gréit] : 「大きい、大きな、巨大な、偉大な、卓越した」
  • deceiver [disíːvər] : 「欺く人、詐欺師」
  • need [níːd] : 「必要性、必要なもの、必要物」
  • A as well as B : 「Bと同様にAも、BのみならずAもまた」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "Faith and perception ~ "「信じる気持ち、知覚、そして信じる心は、その置き場所を誤る可能性がある」。誤って信じたり、誤って知覚したりすることがある、ということ。"and serve the great ~ "「また、真実に仕えるのと同様に、大ペテン師の要求に仕える可能性もある」。信じることや知覚することは、真実のために役立つと同時に、エゴの役に立ってしまう可能性もあるのだ。



But reason has no place at all in madness, nor can it be adjusted to fit its end.
  • reason [ríːzn] : 「理性、理知、良識、分別、正気」
  • place [pléis] : 「場所、個所、住所、席」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
  • madness [mǽdnəs] : 「狂気、熱狂、熱中」
  • adjust [ədʒʌ́st] : 「順応させる、適応させる、慣れさせる」
  • fit [fít] : 「〜に適合する、適応させる」
  • end [énd] : 「目的、目標、目当て、目途」
❖ "But reason has ~ "「しかし、正気さは、狂気の中にはまったく、その居場所を持たない」。"nor can it be ~ "「また、狂気の目的に合わせて、正気が順応させられることもない」。狂気のエゴは、信じる気持ちや知覚を都合よく利用出来るが、正気を保持することだけは出来ないし、正気をねじ曲げて狂気に順応させることも出来ない。ちょうど、光を欠いた影が、光を保持出来ないことと同様である。



Faith and belief are strong in madness, guiding perception toward what the mind has valued. But reason enters not at all in this.
  • strong in : 「〜に強い」
  • guide [gáid] : 「〜を導く、案内する、〜を指導する」
  • toward [təwɔ́ːd] : 「〜の方へ、〜に向かって、〜に向いて」
  • value [vǽljuː] : 「〜を高く評価する、重視する、大事にする」
  • enter [énter] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
❖ "Faith and belief are ~ "「信じる気持ち、信じる心は、狂気の中にあっては、強化さえされる」。"guiding perception ~ "「そして、信じる気持ちや信じる心は、その心が価値ありと評価したものの方向に、知覚を誘導するのである」。知覚を、心が信じる対象に順応させるわけだ。"But reason enters ~ "「しかし、正気さは、こういったことにまったく介入しない」。信じる気持ちや知覚が、誤った方向に向かってしまう事態に、正気さが、何らかの関わり合いをもつことはない。



For the perception would fall away at once, if reason were applied.
  • fall away : 「離れる、落ちる、はがれ落ちる、剥離する」
  • at once : 「すぐに、瞬時に、早急に、即刻、即座に」
  • apply [əplái] : 「適用する、応用する、利用する」
❖ "For the perception would ~ "仮定法過去、「もし、正気さが適用されるようなことがあれば、知覚はすぐにはがれ落ちてしまうだろうからだ」。 信じる気持ちが、知覚を誤った方向に誘導しようとしているときに、もし、正気さがそこに作用したなら、誤りに向かった知覚は、即座に機能を停止してしまうだろう。正気さが、知覚にブレーキをかけるのだ。



There is no reason in insanity, for it depends entirely on reason's absence.
  • insanity [insǽnəti] : 「狂気、精神病、精神異常」
  • depend [dipénd] : 「〜次第である、〜による、〜に左右される」
  • depend on : 「〜によって決まる、〜次第である」
  • entirely [intáiərli] : 「全く、完全に、全体に、ひたすら」
  • absence [ǽbsəns] : 「欠席、不在、留守、不足、欠乏、欠如」
❖ "There is no ~ "「狂気の中に、正気は決して存在しない」。"for it depends entirely ~ "「なぜなら、狂気とは、正気の不在に完全に依存しているからだ」。影が、光の不在に完全に依存していることと同じである。正気の欠落を、狂気と呼ぶのだ。



The ego never uses it, because it does not realize that it exists.
  • realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
  • exist [igzíst] : 「存在する、生きている、生存する、存続する」
❖ "The ego never ~ "「エゴが、正気さを利用すること決してない」。"because it does not ~ "「なぜなら、エゴは、正気さが存在することすら知らないのだから」。エゴは、自分の狂気が正気だと信じているのだ。まさに、この世のテロリストの発想である。



The partially insane have access to it, and only they have need of it.
  • partially [pάːrʃəli] : 「部分的に、一部分は、不十分に」
  • access [ǽkses] : 「アクセス、近づき、接近、近づく方法、接近手段」
  • have access to : 「〜に自由に出入りできる、〜を入手できる」
❖ "The partially insane ~ "「部分的に狂気であるなら、正気に近づくことは出来る」。"and only they ~ "「そして、そうすることだけが、必要なのだ」。心の一部が狂気的であるなら、正気に立ち戻ることは可能だし、そうする必要があるだけだ。あなたの心の大半はエゴに支配されているが、心の一部に最も純粋で神聖な部分を残しているので、あなたは狂気に埋没することなく、正気に立ち返ることが出来るのである。



Knowledge does not depend on it, and madness keeps it out.
  • knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵、知見」
  • keep out : 「〜を外に出したままにする、締め出す」
❖ "Knowledge does ~ "「叡智は、正気さに依存することはないが、」"and madness ~ "「狂気は、正気を締め出そうとする」。「叡智は、正気さに依存することはない」という記述は、意味深長である。正気と狂気は、いわば白と黒の関係のようなものであって、二元論のこの幻想世界での現象なのだ。一元論の実相世界には、正気も狂気もない。叡智(Knowledge)は、実相世界の存在であって、したがって、幻想世界の正気と狂気とは無縁である。無縁だから、叡智が正気に依存することはない。叡智とは、したがって、正気と狂気、善と悪、正しいことと誤ったこと、理性と非理性、等々の二元論的価値基準の範疇を遥かに超越した、絶対的な存在なのだ。仏教的に言えば、まさに、彼岸の般若、彼岸の悟りなのである。



9. The part of mind where reason lies was dedicated, by your will in union with your Father's, to the undoing of insanity.
  • part [pάːrt] : 「一部、部分」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • dedicate [dédikèit] : 「〜をささげる、献身する、専念する、打ち込む」
  • will [wíl] : 「意志、意欲、願望」
  • union [júːnjən] : 「結合、合併、融合、団結」
  • undo [ʌndú] : 「〜を元に戻す、元どおりにする、取り消す」
  • undoing : 「解くこと、取り消し」
  • insanity [insǽnəti] : 「狂気、精神病、精神異常」
❖ "The part of mind ~ "「正気さが宿る心の部分は、」"by your will in union ~ "「あなたの父なる神と結合したいと望む、あなたの意思によって、」"to the undoing ~ "「狂気の取り消しに貢献するのである」。あなたの心の中の最も純粋で神聖な部分に正気さは宿っている。そこには、同時にホーリー・スピリットやキリストが住んでいて、神の子であるあなたを、神の世界に回帰させようという神聖な目的をもっている。神との和解、神との再結合を願っているのだ。そのホーリー・スピリットの目的を、あなたが受け入れたなら、つまり、神との再結合を意思したなら、あなたは正気を取り戻したのだと言えるし、したがって、狂気を駆逐し取り消すことが出来るのである。



Here was the Holy Spirit's purpose accepted and accomplished, both at once.
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • accomplish [əkάmpliʃ] : 「成し遂げる、成就する、達成する」
  • both [bóuθ] : 「両方ともに、双方ともに」
  • at once : 「すぐに、瞬時に、早急に、即刻、即座に」
❖ "Here was the Holy Spirit's ~ "「ここにおいて、ホーリー・スピリットの目的は受け入れられ、達成されるのだ」。過去形で書かれているは、無時間の実相世界にあっては、すでに完了していることだからだ。あなたは、すでに完了した事実を、時間の枠組みの中で追体験している。



Reason is alien to insanity, and those who use it have gained a means which cannot be applied to sin.
  • alien [éiliən] : 「性質の異なる、異質な、縁もゆかりもない」
  • be alien to : 「〜に無縁の、〜に適合しない」
  • gain [géin] : 「得る、獲得する」
  • means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
  • apply [əplái] : 「適用する、応用する、利用する」
  • apply to : 「〜に適用する、〜に問い合わせる」
❖ "Reason is alien ~ "「正気さは、狂気にとっては異質である」。"and those who use ~ "「正気さを利用する者達は、罪には適用させられない手段を得たことになるのだ」。罪とは狂気である。狂気は罪に適用出来ようが、正気さは罪の役に立つことなどまったくない。事実、正気さは、狂気が幻覚している罪を、取り消して消滅させるのである。



Knowledge is far beyond attainment of any kind. But reason can serve to open doors you closed against it.
  • far beyond : 「〜をはるかに超えて」
  • attainment [ətéinmənt] : 「獲得、到達、実現、学識、技能、才芸、偉業、功績」
  • of any kind : 「いかなる種類の」
  • close [klóuz] : 「〜を閉じる、〜を閉める、〜を閉鎖する」
  • against [əgénst] : 「〜に逆らって、〜にそむいて、反抗して」
❖ "Knowledge is far ~ "「叡智は、いかなる種類の学問をも遥かに超越している」。学問は、善と悪、理性と非理性、正しいことと誤ったこと、等々の、対立概念の比較、判断で成り立っている。したがって、学問は二元論世界のものなのだ。しかし、叡智は一元論世界の存在であり、対立概念を一切持たない。したがって、学問を遥かに超越している。むしろ、存在のレベルが完全に違うのだと考えた方がいいだろう。"But reason can ~ "「しかし、正気さは、あなたが叡智に対して閉ざしてしまった扉を開ける役には立つのである」。正気さが、叡智への道への第一歩となる。簡単に言えば、叡智、智慧、悟り、解脱、般若、等々を得るには、正気を保って、正しい心であることが、まずもって第一歩なのだ、ということ、それに尽きる。
 
 
 

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