●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-21.V.4:1 ~ T-21.V.5:1

4. You do not realize the whole extent to which the idea of separation has interfered with reason.

  • realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
  • extent [ikstént] : 「範囲、程度、限界、限度、広さ、物の広がり」
  • idea [aidíːə] : 「考え、着想、アイデア、発想、見解、意見、知識、意図、狙い」
  • separation [sèpəréiʃən] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
  • interfere [ìntərfíər] : 「邪魔をする、妨げる、遅らせる、干渉する」
  • interfere with : 「〜を妨げる、〜を邪魔する、〜に干渉する」
  • reason [ríːzn] : 「理性、理知、分別、正気」
❖ "You do not realize ~ "「あなたは、分離という考えが正気さを妨害する、その広がり全体を知ってはいない」。心が分離していると信じることが、いかに正気を阻害しているか、あなたは、その影響が広範囲に及んでいることを理解していない。"reason"を『理性』と解釈すると、大きな間違いになる。ここでは、肉体的な頭脳による理性的判断を意味しているのではなく、エゴの狂気に対する反対語であり、したがって、『正気さ』と解釈するのが正しい。なんの事はない、真実を率直に見つめる心のことである。



Reason lies in the other self you have cut off from your awareness.
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • other [ʌ́ðər] : 「もう一方の、向こうの、ほかの、そのほかの」
  • cut off : 「切り取る、切除する、切断する、切り離す」
  • awareness [əwέərnis] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
❖ "Reason lies in the other self ~ "「あなたが、あなたの意識から切り取ってしまった、また別の自分の中に、正気さは存在するのだ」。あなたは、あなたの心を占領しているエゴを自分自身と考えてしまい、心の中の最も純粋で神聖な部分(the other self)を切り離して、その存在を忘れてしまった(cut off from your awareness)。しかし、正気さは、その純粋で神聖な心の部分に宿るのである。



And nothing you have allowed to stay in your awareness is capable of reason.
  • allow [əláu] : 「〜を許す、許可する、許容する、可能にする」
  • stay [stéi] : 「とどまる、滞在する、居座る」
  • be capable of : 「〜の能力がある、〜の才能がある、〜ができる」
❖ "And nothing you have ~ "「あなたの意識の中に留まることを許したものは、決して、正気であることは出来ない」。あなたが意識の中に留めたものとは、エゴであり、エゴの思考システムである。エゴは完全な狂気であり、正気の沙汰を為せる道理はない。



How can the segment of the mind devoid of reason understand what reason is, or grasp the information it would give?
  • segment [ségmənt] : 「部分、区分、断片、切片」
  • devoid [divɔ́id] : 「欠いている、欠けている」
  • devoid of : 「〜を持っていない、〜を欠いている」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
  • grasp [grǽsp] : 「〜を握る、つかむ、〜を把握する、理解する」
  • information [ìnfərméiʃən] : 「情報、知識、通知」
❖ "How can the segment ~ "「正気さを欠いた心の断片は、正気とは何であるか、理解することは出来ないし、正気さが与えようとしている情報を掴むことも出来ないのだ」。狂気のエゴは、正気さが伝える真実を理解することも、また、掴むことさえ出来ない。だから、狂気なのだ。



All sorts of questions may arise in it, but if the basic question stems from reason, it will not ask it.
  • sort [sɔ́ːrt] : 「種類、性質、分類、仕分け」
  • question [kwéstʃən] : 「質問、問題、疑問、問い、質疑、疑義」
  • arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる、生まれる、発生する」
  • basic [béisik] : 「基礎の、基本的」
  • stem [stém] : 「始まる、起因する」
  • stem from : 「〜から生じる、〜から起こる、〜が原因である、〜に由来する」
❖ "All sorts of questions ~ "「あらゆる種類の疑問は、正気さを欠いた心の部分から生じるであろうが、」"but if the basic question ~ "「もし、基本的な疑問が正気さから生じるのであれば、正気さを欠いた心の部分は、正気さに訊ねることはないだろう」。真実は実にシンプルなことであって、疑問の生じるような源ではない。疑問を持ち上げるのは、決まって正気さを欠いた心の部分である。しかし、もしも疑問の源が正気さであったとしても、正気を欠いた部分は、正気さに疑問を訊ねたりしないだろう。簡単に言えば、疑問を持ち上げるのは決まってエゴであり、ホーリー・スピリットは疑問を持つようなことはない。もし、エゴがホーリー・スピリットに対して疑問をもったとしても、エゴは素直にホーリー・スピリットに答えを求めて訊ねるようなことはしない。



Like all that stems from reason, the basic question is obvious, simple and remains unasked. But think not reason could not answer it.
  • obvious [ɑ́bviəs] : 「明らかな、明白な、分かりきった、疑う余地のない」
  • simple [símpl] : 「簡単な、簡素な、単純な、容易な」
  • remain [riméin] [SVC] : 「依然として〜のままである」
  • unasked : 尋ねられていない、頼まれていない、要求されていない」
  • answer [ǽnsər] : 「〜に答える、答えて言う」
❖ "Like all that stems ~ "「正気さから生じるあらゆるものと同様に、」"the basic question ~ "「基本的な疑問は、明白であり、単純であり、訊ねられることさえない」。つまり、疑問を持たれるようなことは、何もないのだ。たとえば、真実の愛は喜びである、という正気な事実に対して、誰がどう疑問に思うだろうか? "But think not reason ~ "「ただし、正気さが、疑問に答えられないから、などと思ってはいけない」。質問されないのは、答えられないからではなく、疑問の余地がないからだ。もしあなたが、真摯な気持ちをもってホーリー・スピリットに疑問をぶつけるなら、ホーリー・スピリットは真摯に、それに答えてくれるだろう。そういうものなのだ。



5. God's plan for your salvation could not have been established without your will and your consent.
  • plan [plǽn] : 「計画、企画、予定、設計図、図面、意向、つもり、考え、意図」
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
  • establish [istǽbliʃ] : 「確立する、達成する、樹立する」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • will [wíl] : 「意志、願望、意欲」
  • consent [kənsént] : 「承諾、承認、同意」
❖ "God's plan for your ~ "「あなたの救いのための、神のプランは、あなたの意思と同意なしに、達成されたことはない」。実相世界では、何にもまして、神の子の自由意思が尊重される。無理強いすることは、決してないのだ。したがって、たとえそれが、完璧な神のプランであっても、神はあなたにそれを強要することは出来ない。あなたが、自由意思をもって、それに同意して初めて、プランは実行に移されるのである。ここは、仮定法過去完了の形になっている。したがって、もし過去において、神が救いのプランを持ったとしても、あなたの同意なしには達成されることはなかったであろう、という意味合いである。事実は、あなたの同意があって、救いのプランは達成されたのだ。おやっ?、と思うであろうが、時間の存在しない実相世界では、すべてが一瞬にして起き、その一瞬が永遠に続く。したがって、神による神の子の救済は、達成されて、すでに完了しているのだ。しかし、時間の存在するこの幻想世界にあっては、すでに完了したことを、時間を追って追体験されねばならないのである。



It must have been accepted by the Son of God, for what God wills for him he must receive.
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する、入手する」
❖ "It must have been ~ "「神のプランは、神の子によって受け入れられて来たに違いないのだ」。"for what God wills ~ "「なぜなら、神が神の子のために意図したことを、神の子は受け取るに違いないからだ」。今まで、神の子が神の意図を拒絶したことはない。神の子は自由意思をもって、神のプランを受け入れてきたのだ。なぜなら、神の子は神の意図したことを、受け取るに違いないからだ。ここの意味は深長である。なぜ、確実に、神の子は神の意図を受け入れると断言出来るか? それは、神の意図することと神の子が意図することが調和、共鳴しているからだ。端的に言えば、神の心と神の子の心は分離しておらず、同体であるからなのだ。神が意思したことは、神の子の意思したことでもある。したがって、神が意図したことを、神の子は受け入れるに違いないのである。そう断言出来るのである。もし、そうでなかったなら、神と神の子の間に、何かが干渉して、邪魔をしていることになる。それが、エゴなのだ。しかも、そのエゴは、単なる幻想に過ぎないのである。干渉も邪魔も、元を正せば、幻想なのだ。



For God wills not apart from him, nor does the Will of God wait upon time to be accomplished.
  • apart from : 「〜から離れて、〜は別として、〜はさておき」
  • wait [wéit] : 「じっとしている、待つ」
  • accomplish [əkάmpliʃ] : 「成し遂げる、果たす、成就する、達成する」
❖ "For God wills not ~ "「なぜなら、神の意思は、神の子の意思と切り離されてはいないからだ」。"nor does the Will ~ "「そして、神の意思は、それが達成されるために、時間の中で待つということはないからである」。神と神の子の意思が分離せず、一心同体であることはいいだろう。後半部分は、意味深長である。神の意思が達成されるのに時間はかからないという意味である。実相世界は無時間の世界である。神の意思したことは、瞬間に実現する。もっとも、『瞬間』という言葉も、それ自体時間概念を含んでいるので、正確ではない。むしろ、神の意思それ自体が、時間の制限を受けずに実現している世界が実相世界なのだと考えた方がいいだろう。神の思い、それ自体が世界なのだ。したがって、神が神の子の救いを意思した世界が、実相世界であると言っていい。



Therefore, what joined the Will of God must be in you now, being eternal.
  • therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • join [dʒɔ́in] : 「〜に加入する、〜に参加する、〜と交わる、〜と一緒になる」
  • eternal [itə́ːrnl] : 「永遠の、不変の、永久の、不滅の、無限の」
❖ "Therefore, what joined ~ "「したがって、神の意思と結合したものは、今や、あなたの心の中にあるに違いない」。あなたの心の最も純粋で神聖な部分は、神の意思と結ばれているのだ。その心にある神の祭壇が、天の王国へのチャンネルになっているとは、そういう意味である。"being eternal"「それは永遠なのだから」。時間によって変化するものではないので、神と結ばれた、あなたの心の最も純粋で神聖な部分は、永遠に神と結ばれているのだ。



You must have set aside a place in which the Holy Spirit can abide, and where he is.
  • set aside : 「取りのけておく、取っておく、蓄えておく」
  • place [pléis] : 「場所、個所、住所、席」
  • abide [əbáid] : 「居住する、とどまる」
❖ "You must have set aside ~ "「あなたは、ホーリー・スピリットが住むことの出来る場所を、確保しておいたに違いない」。"and where ~ "「そこに、ホーリー・スピリットは存在している」。エゴに毒された心であるが、一部とはいえ、あなたは正しい心を保ってきた。純粋で神聖な心の部分にホーリー・スピリットは宿っているのである。



He must have been there since the need for him arose, and was fulfilled in the same instant.
  • since [síns] : 「〜してからあとに、〜して以来、〜のときから」
  • arose [əróuz] : 「arise の過去形」
  • arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる、生まれる、発生」
  • fulfill [fulfíl] : 「実行する、遂行する、果たす、全うする」
  • same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
❖ "He must have been ~ "「ホーリー・スピリットは、助けの必要性が生じたときからずっと、そこにいたに違いないのだ」。" and was fulfilled ~ "「そして、同時に、助けは成就したのである」。ここも、無時間の実相世界から見れば、ホーリー・スピリットの救いの使命も、すでに達成されている。あなたはホーリー・スピリットに救いを求め、あなたの心の中のホーリー・スピリットは、あなたを救い出したのだ。今、あなたは、その運命を追体験しているのである。あなたがどんなに時間を引き伸ばそうが、あなたは確実に救われる。なぜなら、救われたのだから。



Such would your reason tell you, if you listened. Yet such is clearly not the ego's reasoning.
  • tell [tél] : 「〜に話す、言う、告げる、教える、伝える」
  • listen [lísn] : 「耳を傾ける、傾聴する、聴く、聞く」
  • clearly [klíərli] : 「はっきりと、疑いもなく、明らかに」
  • reasoning [ríːzəniŋ] : 「論法、推理、推論、論理的思考」
❖ "Such would your ~ "「あなたの正気さは、そう、あなたに告げようとしている」。"if you listened"「もし、あなたが聞く耳を持つならば、の話しだが」。"Yet such is clearly ~ "「しかし、明らかに、エゴの論理は、そうでない」。エゴは、あくまでも、神の子が神を裏切って、神から分離したのだと主張する。神の子の心は罪深く、純粋で神聖な部分など存在しないと主張する。やがて、怒れる神は、神の子を破壊をもって罰するだろうと主張する。云々、云々である。



Your reason's alien nature to the ego is proof you will not find the answer there.
  • alien [éiliən] : 「性質の異なる、異質な、縁もゆかりもない」
  • nature [néitʃər] : 「性質、本性、本質、自然、天然」
  • proof [prúːf] : 「証拠、立証、証明、証し」
  • find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
  • answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答、正解、解答」
❖ "Your reason's alien ~ "「あなたの正気さが、エゴにとっては異質な性質を持っていることは、あなたは、答えをエゴの中に見つけることはないという証拠である」。あなたは実相的な答えを求めているのであって、それは幻想のエゴの中にはない。異質であるというより、レベル、次元が完全に異なるからだ。



Yet if it exists for you, it must exists. And if it exists for you, and has your freedom as the purpose given it, you must be free to find it.
  • exist [igzíst] : 「存在する、生きている、生存する、存続する」
  • freedom [fríːdəm] : 「自由、解放、自主、独立」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
❖ "Yet if it exists ~ "「しかし、あなたのために、答えが存在しているとすれば、それは存在しているに違いない」。"And if it exists for you ~ "「もし答えが存在し、答えに与えられた目的があなたの自由に関することであるなら、あなたは、答えを見つける自由を得るだろう」。あなたが求める答えは、エゴの中にはない。しかし、その答えが、あなたにとって正当なためになり、あなたを自由にするという目的が与えられているなら、エゴの中ではないとしても、どこかにあなたは答えを見いだし、自由になることが出来るのだ。だが、あなたが真実の中だけに生きているなら、そもそも、疑問を持つようなことはないのだが・・・。
 
 
 

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