●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-19.III.1:1 ~ T-19.III.2:7

 
 

III. The Unreality of Sin
 罪の非現実性
 
 
 
1. The attraction of guilt is found in sin, not error. Sin will be repeated because of this attraction.
  • attraction [ətrǽk∫n] : 「引き付けるもの、魅力、誘引」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • found [fáund] : 「find の過去・過去分詞形」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • error [érə(r)] : 「誤り、間違い、ミス、誤字、誤用、過失」
  • repeat [ripíːt] : 「〜を繰り返す」
  • because of : 「〜のために、〜のせいで」
❖ "The attraction of ~ "「罪への魅力は、罪の中に見い出されるのであって、過ちの中に見い出されるのではない」。"Sin will be repeated ~ "「この魅力によって、罪は繰り返されるだろう」。過ちを犯すことで人は卑小さを感じるのが、罪を犯すことで人は尊大さを感じる。それが罪の魅力なのだろう。罪を犯すことで、大なる神に反抗しているかのような錯覚を覚え、あたかも神と同等の力が自分に備わっているような気になってしまうのだ。



Fear can become so acute that the sin is denied the acting out.
  • fear [fíə(r)] : 「恐れ、恐怖」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • acute [əkjúːt] : 「強烈な、激しい、深刻な、重大な」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
  • deny A B : 「AにBを与えない」
  • acting out : 「行為化、行為的表出、行動化」
❖ "Fear can become so ~ "ここは"so ~ that ~ "の構文、「恐れが、あまりに先鋭化することがあるので、罪は行動化出来ないでいるだけだ」。神に対抗して罪を犯し、神に匹敵するほどの尊大さを身に付けたいと思うのだが、さて、本当に罪が犯せるかというと、恐怖心が先立って、なかなか罪を現実化出来ないでいるわけだ。



But while the guilt remains attractive the mind will suffer, and not let go of the idea of sin.
  • while [(h)wáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、その間に」
  • remain [riméin] [SVC] : 「依然として〜のままである」
  • attractive [ətrǽktiv] : 「引き付ける、興味をそそる、魅力のある」
  • suffer [sʌ́fə(r)] : 「苦しむ、苦痛を感じる、不快な経験をする」
  • let go of : 「〜から手を放す、〜を解き放つ、〜を取り除く、手放す、あきらめる」
❖ "But while the guilt ~ "「しかし、罪が依然として魅力的であるうちは、心は苦しむのである」。"not let go of ~ "「しかも、罪という考えを放棄しようとはしない」。罪は魅力だが、罪を実際に犯すことは怖くて出来ない。このジレンマに心は苦しむ。苦しむのに、手放そうとはしない。人間心理の鋭い洞察である。



For guilt still calls to it, and the mind hears it and yearns for it, making itself a willing captive to its sick appeal.
  • call to : 「〜に声をかける」
  • hear [híə(r)] : 「〜を聞く、聴く、〜が聞こえる」
  • yearn [jə́ː(r)n] : 「切望する、熱望する、渇望する」
  • yearn for : 「〜を切に願う、〜を切望する、非常に欲しがる、渇望する」
  • willing [wíliŋ] : 「自発的な、意欲的な、自分から進んで」
  • captive [kǽptiv] : 「捕虜、人質、とりこ」
  • sick [sík] : 「病気で、病気の、不健全な、病的な、異常な」
  • appeal [əpíːl] : 「魅力、懇願」
❖ "For guilt still ~ "「なぜなら、なおも、罪は心に声を掛け、」"and the mind ~ "「心はその声を聞いて、罪を切望してしまうからだ」。"making itself a willing ~ "分詞構文、結果、「その結果、心は自ら進んで、罪の病的な魅力のとりこになってしまうのだ」。



Sin is an idea of evil that cannot be corrected, and yet will be forever desirable.
  • evil [íːvl] : 「害悪、悪、弊害、災害、不運」
  • correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す、補正する」
  • yet [jét] : 「さらに、その上」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • desirable [dizái(ə)rəbl] : 「望ましい、好ましい、価値のある、魅力がある」
❖ "Sin is an idea of ~ "「罪とは、修正不能であり、さらに、永遠に人を引きつける悪の考えである」。罪とは、悪を志向する考え方だ。しかも、その悪は、人の心を掴んで放さない。結果、罪も人の心から離れない。



As an essential part of what the ego thinks you are, you will always want it.
  • essential [isén∫l] : 「絶対必要な、必須の、最も重要な、肝心な」
  • part [pɑ́ː(r)t] : 「一部、部分」
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「常に、いつも」
❖ "As an essential part ~ "「エゴがあなたをどう考えているかという、その最も重要な部分は、」"you will always ~ "「あなたは、罪を常に望んでいるということである」。常に悪を望んでいると解釈してもいいだろう。そういうあなたの心理を知っているので、エゴは悪や罪をあおり立てて、あなたを罪の意識に縛りつけ、攻撃に駆り立て、他者との、そして神との分離を促進させるのである。



And only an avenger, with a mind unlike your own, could stamp it out through fear.
  • avenger [əvéndʒər] : 「復讐者、敵を討つ人」
  • unlike [ʌnláik] : 「〜とは違って」
  • stamp [stǽmp] : 「〜を根絶する」
  • stamp out : 「撲滅する」
❖ "And only an avenger ~ "「そして、あなたの心とは似ても似つかぬ心ではあるが、復讐心だけが、恐れを通して、罪や悪を撲滅できるかもしれない」。仮定法であるから、もし可能だとしたら、罪を叩きのめせるのは復讐に燃えた心だけであろう、という意味合い。その復讐心も、正義の復讐心ではなく、恐れから発せられる卑小な復讐心である。だが、そんな復讐心は、誰彼の中にあるものではなく、もちろん、あなたの心と似ても似つかない。何を言いたいのかというと、罪や悪とまともに対抗するには、あなたの心の中に罪や悪に対する恐れがあって、恐れのあまり復讐するといった尋常ではない心理だけであろうが、それは、ほとんど不可能である、ということだ。ならば、罪や悪を永遠に払拭出来ないのかというと、そうではない。戦わずして罪や悪を滅ぼす方法がある。一言で言おう、罪や悪を、単なる幻想に過ぎないと看破して赦してやるのである。もちろん、ここの「赦し」とは、ACIM流の赦しであって、罪や悪を許容するという意味合いではない。罪や悪は存在し得ないと達観して、受け流してしまうということだ。



2. The ego does not think it possible that love, not fear, is really called upon by sin, and always answers.
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る、なし得る」
  • really [ríː(ə)li] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
  • call upon : 「求める、要求する、招く、〜を頼む、〜に頼む」
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「いつも、常に」
  • answer [ǽnsə(r)] : 「答える、返事する」
❖ "The ego does not ~ "「エゴはthat以下が可能だとは思ってもいない」。"that love, not fear, is ~ "「恐れではなく、愛が、罪によって呼び出され、そして、愛は常に、それに答える」ことなど可能だとは、エゴは思ってもいない。罪のあるところ、呼び出されるのは恐れでもないし、復讐心でもない。憎悪でもない。罪があるところ、常に、愛が求められるのだ。もちろん、この愛は実相的愛であって、神の愛と考えていい。ホーリー・スピリットの愛である。その愛が、罪を赦すのである。罪よ、お前は幻想に過ぎないのだ、と言って聞かせるわけだ。夢に過ぎない罪よ、消えてしまいなさい。



For the ego brings sin to fear, demanding punishment.
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って行く、〜を連れて行く」
  • fear [fíə(r)] : 「恐れ、恐怖」
  • demand [dimǽnd] : 「求める、要求する」
  • punishment [pʌ́ni∫mənt] : 「罰すること、罰、刑罰、処罰、懲罰」
❖ "For the ego brings ~ "「なぜなら、エゴは、罪を恐れに持ち込んで、罰を求めるからだ」。エゴは、罪があるから罰せられるべきだと考える。罰をちらつかせて恐怖を煽る。対して、ホーリー・スピリットは、罪は幻想だから、愛をもって赦してやりなさい、と言う。この違いは、あまりにも大きい。



Yet punishment is but another form of guilt's protection, for what is deserving punishment must have been really done.
  • another [ənʌ́ðə(r)] : 「もう一つの、別の、ほかの」
  • form [fɔ́ː(r)m] : 「形、外形、構造、姿、体つき、現れ」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • protection [prəték∫n] : 「保護、防御、防備、防衛」
  • deserving [dizə́ːrviŋ] : 「〜に値する、〜を受けて当然の」
  • really [ríː(ə)li] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
  • done [dʌ́n] : 「do の過去分詞」
❖ "Yet punishment is ~ "「しかし、罰は、罪を守るまた別の形である」。"for what is deserving ~ "「なぜなら、罰に値することは、実際になされたに違いないからだ」。罪を守ると書いたが、罪を現実のものとして固定化する、といった意味合いである。つまり、罰を科すことで、罪が現実になされたものと決定され、罪が歴史上に固定化されてしまうのだ。かくして、罰は罪を現実化し、罪の幻想性を否定することになる。何しろ、歴史に刻まれたのだから。



Punishment is always the great preserver of sin, treating it with respect and honoring its enormity.
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「いつも、常に」
  • great [gréit] : 「大きい、大きな、巨大な」
  • preserver [prizə́ː(r)və(r)] : 「保存するもの、保護するもの」
  • treat [tríːt] : 「扱う、取り扱う、処理する、待遇する」
  • respect [rispékt] : 「尊敬、敬意、尊重、考慮、顧慮」
  • with respect : 「丁寧に」
  • honor [ɑ́nə(r)] : 「〜に敬意を払う、尊敬する、称える、祭る、崇拝する」
  • enormity [inɔ́ː(r)məti] : 「巨大さ、極悪、大罪、重大な誤り」
❖ "Punishment is always ~ "「罰は、つねに、罪を大いに保存するものなのである」。罰は罪を帳消しにするのもではなく、罪を歴史に固定化し保存するものだ。"treating it with ~ "分詞構文、付帯状況、「そして、罰は罪を、その極悪非道さに敬意を表し、丁重に扱うのである」。



For what you think is real you want, and will not let it go.
  • let it go : 「あきらめる、忘れてしまう」
❖ "For what you think ~ "「なぜなら、実在するとあなたが思うものを、あなたは欲するのであり、それを諦めようとはしないからである」。罪は実際に存在するとあなたが思っているから、あなたは罪が罰せられることを求めるのだ。罪を手放そうとしない。したがって、神を裏切った罪によって、あなたは神から罰せられるに違いないと恐れているが、実は、その神の罰を求めているのはあなた自身なのである。あなたが、罪を現実のものと考えているうちは、あなたは無意識のうちに罰を求めるのである。そして、罰が下されるまで、罪を手放そうとしないし、罰が下れば、罪が歴史上に固定化されて、自分は晴れてりっぱな罪人として堂々と生きていける、というわけである。これほど屈折した心理があるだろうか。
 
 
 

T-19.II.7:1 ~ T-19.II.8:5

7. There is no stone in all the ego's embattled citadel that is more heavily defended than the idea that sin is real; the natural expression of what the Son of God has made himself to be, and what he is.

  • stone [stóun] : 「石、石材」
  • embattle [embǽtl] : 「戦闘隊形につかせる、要塞化する」
  • citadel [sítədl] : 「要塞、砦、城、拠り所」
  • heavily [hévili] : 「重く、重そうに、ひどく、激しく、濃密に」
  • defend [difénd] : 「〜を守る、防衛する」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、過失、罪業」
  • real [ríː(ə)l] : 「実在的な、実質的な、現実の、実際の、本物の」
  • natural [nǽt∫(ə)r(ə)l] : 「自然の、普通の、ありのままの」
  • expression [ikspré∫n] : 「表現、表出、表情、顔つき」
❖ "There is no stone ~ "「エゴの要塞化された砦の礎石の中で、罪は実在だという考えより、重く守られている礎石はない」。エゴはエゴの思考システムという要塞化された砦を守っているのだが、その中でも最も守りに力を入れている信条は、罪は幻想ではなく、実際に存在する現実だという信条である。"the natural expression ~ "「罪が実在するという信条は、神の子が、自分には罪があると、それが本当の自分だと、自分を作り変えた、その自然な表現である」。なんともへたな訳で申し訳ない。エゴが神の子には罪があると執拗に洗脳するので、神の子はそれを信じてしまったのである。あたかも自然な事のように、神の子は、生まれながら自分は罪深い存在だと、それが本当の自分なのだと思うようになったのだ。



To the ego, this is no mistake. For this is its reality; this is the "truth" from which escape will always be impossible.
  • mistake [mistéik] : 「誤り、ミス、過ち、手違い、誤解」
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • escape [iskéip] : 「逃亡、脱出、避難、逃げ道」
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「いつも、常に」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
❖ "To the ego ~ "「エゴにとって、罪の実在は誤りではない」。"For this is ~ "「なぜなら、これこそが、エゴの現実であるからだ」。罪が実在するという信条の上に、エゴの現実が成立しているのだ。罪の実在が崩れたら、エゴの現実も同時に崩壊する。"this is the "truth" from ~ "「これは、常に逃れ得ない、(エゴの)『真実』なのだ」。エゴにとって、神の子に罪があるという『真実』は、取り消し不能の事実である。



This is his past, his present and his future. For he has somehow managed to corrupt his Father, and change His Mind completely.
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
  • present [préznt] : 「今、現在」
  • future [fjúːt∫ə(r)] : 「未来、将来」
  • somehow [sʌ́mhàu] : 「どうにかして、何とかして、ともかくも」
  • manage [mǽnidʒ] : 「何とかやり遂げる、やってのける、何とか〜する」
  • corrupt [kərʌ́pt] : 「堕落させる、腐敗させる」
  • change [t∫éin(d)ʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」
  • completely [kəmplíːtli] : 「完全に、十分に、全面的に、全く、徹底的に」
❖ "This is his ~ "「これがエゴの過去であり、今であり、未来である」。エゴの過去、今、未来、と訳したが、神の子の過去、今、未来と考えてもいい。次の文に"his Father"とあるので、この"his"は神の子と捉えた方がいいかもしれない。"For he has somehow ~ "「なぜなら、エゴは、どうにかして、父なる神を堕落させ、神の心を完全に変えようとしてきたのだから」。罪の実在性を主張して、神の意思に反抗し、ホーリー・スピリットの思考システムの堕落と崩壊を狙ってきたのだ。これが、エゴと、そして神の子の過去、今、未来の姿である。だが、その幻想性に気付かねばならない時が、今、来たのではないだろうか。



Mourn, then, the death of God, Whom sin has killed!
  • mourn [mɔ́ː(r)n] : 「嘆く、嘆き悲しむ、悼む、喪に服す、追悼する」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、死者」
  • kill [kíl] : 「殺す、葬る、始末する」
❖ "Mourn, then, ~ "「ならば、罪が殺した神の死を悼(いた)みなさい」。もし、本当に罪が神を殺してしまったと思うなら、神の死を悼めばいい。だが、神が虚偽の幻想によって殺されることは不可能ではないか。



And this would be the ego's wish, which in its madness it believes it has accomplished.
  • wish [wí∫] : 「願い、望みの物、願望、希望」
  • madness [mǽdnəs] : 「狂気、熱狂、熱中」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • accomplish [əkɑ́mpli∫] : 「成し遂げる、果たす、成就する、達成する」
❖ "And this would ~ "「そうすることが、エゴの望みであったろうし、」"which in its madness ~ "「狂気の中で、エゴは、その望みを達成出来たと信じているのだ」。この狂気の世界を見て、神は死んだとエゴは信じているのである。なるほど、今の世界の混乱、堕落、狂気、殺し合いを見ていれば、エゴの自信も、さもありなんと思えてくるではないか。



8. Would you not rather that all this be nothing more than a mistake, entirely correctable, and so easily escaped from that its whole correction is like walking through a mist into the sun?
  • rather [rǽðə(r)] : 「〜を選ぶ、〜を好む」
  • nothing more than : 「〜にすぎない、〜でしかない」
  • mistake [mistéik] : 「誤り、ミス、過ち、手違い、誤解」
  • entirely [entáiə(r)li] : 「全く、完全に、全体に、ひたすら」
  • correctable [kəréktəbl] : 「修正可能な、治療可能な」
  • easily [íːz(ə)li] : 「容易に、たやすく、苦もなく、あっけなく」
  • escape [iskéip] : 「逃げる、脱出する、抜ける、免れる」
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
  • correction [kərék∫n] : 「訂正、矯正、修正、是正、補正」
  • walking [wɔ́ːkiŋ] : 「歩くこと、ウオーキング、歩行、歩き方」
  • through [θruː] : 「〜を通り抜けて、経て、〜の中を通って」
  • mist [míst] : 「霧、かすみ、もや」
❖ しかし、"Would you not rather that ~ "「あなたは、むしろthat以下と考えることを選らばないでおれるだろうか」。"that all this be nothing ~ "「すべて、このことは誤り以上のものではない」と考えることを選らばないであろうか。"entirely correctable ~ "「何から何まで修正可能であり、」"and so easily escaped ~ "ここは"so ~ that ~ "の構文、「容易に脱出出来るものなので、修正作業全体は、霧の中を抜けて太陽のもとへ歩いて出て行くようなものなのだ」と考えることを選らばないであろうか。選ぶべきなのだ。それが真実だから。



For that is all it is. Perhaps you would be tempted to agree with the ego that it is far better to be sinful than mistaken.
  • perhaps [pə(r)hǽps] : 「たぶん、もしかすると、ことによると」
  • tempt [tém(p)t] : 「〜を唆す、〜を誘惑する、〜する気にさせる」
  • agree [əgríː] with : 「〜に同意する、〜と仲良く暮らす、〜と一致する」
  • far better : 「ずっといい」
  • sinful [sínfl] : 「罪深い、邪悪な」
  • mistaken [mistéikən] : 「誤った、間違った、誤解した」
❖ "For that is ~ "「なぜなら、それは、それだけものに過ぎないのだから」。罪が現実に存在しているとか、神の意思を堕落させ殺してしまうとか言ってみても、所詮、幻想に過ぎない。夢の中の戯言(たわごと)だ。ざれ言を本気にすることはない。"Perhaps you would be ~ "「多分、あなたは、罪深いものである方が過ちよりずっとましであるというエゴに同意したい誘惑に駆られるかもしれない」。エゴはエゴで、執拗にあなたを誘惑するわけだ。過ちを認めて卑下するよりは、罪ありと宣言して尊大でいた方がましだ、という論理である。



Yet think you carefully before you allow yourself to make this choice.
  • carefully [kéə(r)f(ə)li] : 「注意深く、丁寧に、慎重に、入念に、じっくりと」
  • before [bifɔ́ː(r)] : 「〜の前に、〜に先立って、〜を前にして」
  • allow [əláu] : 「〜を許す、許可する、許容する、可能にする」
  • choice [t∫ɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
❖ "Yet think you carefully ~ "「しかし、あなたがこの選択を自分に許す前に、注意深く考えなさい」。エゴの仕掛けた落とし穴に十分に気を付けなさい。



Approach it not lightly, for it is the choice of hell or Heaven.
  • approach [əpróut∫] : 「〜に近づく、〜に近寄る」
  • lightly [láitli] : 「軽率に、容易に、安易に、軽く、軽快に」
  • hell [hél] : 「地獄、ひどい体験、修羅場、生き地獄」
  • heaven [hévn] : 「天国、天」
❖ "Approach it not ~ "「そこに、軽々に近づいてはいけない」。"for it is the choice ~ "「なぜなら、それは、地獄を選ぶか、天を選ぶかの選択なのだから」。罪の実在を認めエゴを選択すれば、あなたの命は地獄行き。罪の幻想性を認識しホーリー・スピリットを選べば、あなたの命は天の王国に入れるだろう。地獄(hell)とは書かれているが、実相としての地獄など存在しない。地獄もまた、単なる幻想である。したがって、あなたの命は地獄行き、とは、あなたの命はますます幻想にのめり込んでいく、ということだ。幻想の深みにはまりたいのか、幻想から抜け出して、実在の天の王国へ回帰したいのか、重要な選択が、あなたに任されているのだ。
 
 
 

T-19.II.5:1 ~ T-19.II.6:13

5. Any attempt to reinterpret sin as error is always indefensible to the ego.

  • attempt [ətém(p)t] : 「試み、企て」
  • reinterpret [ri-intə́ː(r)prət] : 「〜を再解釈する」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • error [érə(r)] : 「誤り、間違い、ミス、誤字、誤用、過失」
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「いつも、常に」
  • indefensible [ìndifénsəbl] : 「防御不可能な、弁解の余地のない」
❖ "Any attempt to ~ "「罪を誤りであると再解釈する試みは、常に、エゴにとっては弁明の余地のないことである」。エゴが何と弁明しようが、罪とは誤りであり、幻想であり、神聖な神の子が罪を犯す可能性はないのである。だから、罪の意識をもっていることは大きな誤りであり、罪の意識は神の子が勝手に抱いた幻想であると、はっきりと再解釈すべきなのだ。



The idea of sin is wholly sacrosanct to its thought system, and quite unapproachable except with reverence and awe.
  • wholly [hóu(l)li] : 「完全に、全く、全体として、全体的に」
  • sacrosanct [sǽkrousæ̀ŋ(k)t] : 「極めて神聖な、批判を許さない」
  • quite [kwáit] : 「すっかり、全く、完全に」
  • unapproachable [ʌ̀nəpróutʃəbl] : 「近づきにくい、近寄り難い、接近できない」
  • except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
  • reverence [rév(ə)r(ə)ns] : 「敬意、畏敬の念、尊敬、崇敬、崇拝」
  • awe [ɔ́ː] : 「畏敬の念、畏怖」
❖ "The idea of sin ~ "「罪という考えは、エゴの思考システムにとっては極めて神聖なものであって、」"and quite unapproachable ~ "「崇拝と畏敬を持たずしては、まったく近づき難いものだ」。エゴの思考システムにとって、神の子に罪があるとすることは、金科玉条(きんかぎょくじょう)のごとき絶対条件である。あたかも絶対真理ででもあるかのように、罪の意識に苦しむ神の子を罪の前に跪(ひざまず)かせ、崇拝させ、恐れを抱かせるのである。それは、神の子を神から分離したままにさせておくための最強の武器であるからだ。



It is the most "holy" concept in the ego's system; lovely and powerful, wholly true, and necessarily protected with every defense at its disposal.
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • concept [kɑ́nsept] : 「概念、観念、コンセプト、考え方、構想」
  • lovely [lʌ́vli] : 「愛らしい、美しい、すてきな」
  • powerful [páuə(r)fl] : 「強い、強力な、力強い、迫力のある」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
  • necessarily [nèsəsér(ə)li] : 「必ず、必然的に、どうしても」
  • protect [prətékt] : 「保護する、守る、防御する」
  • defense [diféns] : 「防衛、防御」
  • disposal [dispóuzl] : 「自由に使えること、配置、処分、廃棄」
  • at one's disposal : 「好きなように使える、〜の思うままに」
❖ "It is the most ~ "「神の子に罪ありとする考えは、エゴの思考システムにとっては最も『神聖な』概念となる」。"lovely and powerful, wholly ~ "「それは、愛らしくもあり、力強くもあり、完全に正しく、あらゆる防御を駆使してまでも、絶対に守らねばならない概念なのである」。エゴにとっては、罪は、その生命線である。神の子が、罪の意識が幻想であると知ってしまえば、幻想はたちまち消滅してしまい、幻想に過ぎないエゴも同時に消滅してしまうからだ。



For here lies its "best" defense, which all the others serve.
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • serve [sə́ː(r)v] : 「〜に仕える、〜のために働く、〜に役立つ」
❖ "For here lies its ~ "「なぜなら、この点にエゴの『最高の』防御が存在するからであり、」"which all ~ "「その他のすべての防御は、このために仕えることとなる」。攻撃は最大の防御であると言われるが、エゴは、神の子を罪ありと攻撃することで、エゴ自身を防御しているのだ。その他の防御、たとえば、得るために奪え、攻撃される前に攻撃せよ、犠牲をものともするな、他者を排他せよ、分離し孤立しせよ、等々のエゴの教えは、攻撃性を前面に押し出してはいるもの、一皮剥けば、エゴ自身の防御であり、すべては罪の温存をその最大の目的にしているのである。



Here is its armor, its protection, and the fundamental purpose of the special relationship in its interpretation.
  • armor [ɑ́ː(r)mə(r)] : 「よろい、かぶと、甲冑、装甲、防護具」
  • protection [prəték∫n] : 「保護、保護物、守ること、防御、防備、防衛」
  • fundamental [fʌ̀ndəméntl] : 「基本となる、基本の、基礎の、基本的な」
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • special [spé∫l] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • interpretation [intə̀ː(r)prətéi∫n] : 「解釈、説明、解説」
❖ "Here is its armor ~ "「これこそ、エゴの鎧(よろい)であり、エゴの防御策であり、」"and the fundamental purpose ~ "「エゴの解釈による、特別な関係性の基本的な目的である」。あなたがこの世界で構築する特別な関係性、特別なパートナーと二人だけの愛欲の関係を築く、その目的は、互いの罪の意識を隠し持ちながら、その恐れを麻痺させ、他者を排他して、あるいは攻撃して、支配し支配される構造を作り上げることである。分離分裂を促進し、罪の意識の温存をはかるのである。これが、特別な関係性における、エゴの防御であり、その鎧を成している。



6. It can indeed be said the ego made its world on sin. Only in such a world could everything be upside down.
  • indeed [indíːd] : 「 実に、本当に、確かに、いかにも」
  • said [séd] : 「say の過去・過去分詞形」
  • upside down : 「逆さまに 」
❖ "It can indeed be ~ "ここは"It ~ that ~ "の構文で、"that"が省略されている、「まったく、エゴは罪の上に世界を作ったと言えるのである」。"Only in such a world ~ "「すべてが逆さまになり得るのは、ただ、そんな世界に限られる」。罪を基盤して作り上げられたエゴの世界は、エゴの思考システムがそうであるように、真実とはまったく逆さまな世界である。世界とは言え、もちろんそれは、単なる幻想なのである。



This is the strange illusion that makes the clouds of guilt seem heavy and impenetrable.
  • strange [stréin(d)ʒ] : 「奇妙な、変わった、変な、見知らぬ」
  • illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • cloud [kláud] : 「雲」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • heavy [hévi] : 「重い、激しい、重みのある」
  • impenetrable [impénətrəbl] : 「突き通せない、貫けない、入り込めない、足を踏み込めない」
❖ "This is the strange ~ "「これこそ、罪の黒雲を、いかにも重そうに、そして、踏み込めそうに思えなくしている、奇妙な幻想である」。エゴの世界は実相世界とは逆さまなので、罪の意識は、本当は単なる幻想で、その雲は見掛け倒しの幻に過ぎないのだが、逆さまのエゴの世界から見れば、とてつもなく大きな山のように見え、重たく、何かがぎっしり詰まっているかのように見えるのだ。



The solidness that this world's foundation seems to have is found in this.
  • solidness [sάlidnis] : 「堅さ」
  • foundation [faundéi∫n] : 「土台、礎、基盤、根拠、基礎、根幹」
  • found [fáund] : 「find の過去・過去分詞形」
❖ "The solidness that ~ "「この世界の基盤が持っているように見える堅固さが、こういったものの中に見いだせる」。前文の黒雲に限らず、この世界は、固くて堅固な物質で構成された実在のように見えるが、そして、それが存在の基盤であるかのように見えるが、それは、エゴの逆さまの世界から見ればそう見えるだけの話である。真実は、この堅固に見える世界も、黒雲同様、単なる幻である。張り子のトラである。



For sin has changed creation from an idea of God to an ideal the ego wants; a world it rules, made up of bodies, mindless and capable of complete corruption and decay.
  • change [t∫éin(d)ʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」
  • creation [kriéi∫n] : 「創作物、作品、創造、創作」
  • rule [rúːl] : 「統治する、支配する、牛耳る」
  • mindless [máindlis] : 「愚かな、思慮のない」
  • capable [kéipəbl] of : 「〜の能力がある、〜の才能がある、〜ができる」
  • complete [kəmplíːt] : 「完全な、全くの、全部そろった」
  • corruption [kərʌ́p∫n] : 「堕落、邪悪、腐敗」
  • decay [dikéi] : 「崩壊、腐敗、腐食、衰退、減少、減衰」
❖ "For sin has changed ~ "「なぜなら、罪が、創造されたものを、神のもつ理想からエゴの望む理想へと変えてしまったからである」。神は真実と愛をもって神の子を実相世界に生み出した(創造した)。しかしエゴは、その神の子に罪という衣を着せ、神の理想とは逆さまの、エゴの幻想世界に住まわせたのである。その世界は、"a world it rules ~ "「エゴが支配する世界であり、肉体で構成された世界であり、心はなく、完全な堕落と崩壊が可能な世界である」。



If this is a mistake, it can be undone easily by truth. Any mistake can be corrected, if truth be left to judge it.
  • mistake [mistéik] : 「誤り、ミス、過ち、手違い、誤解」
  • undone [ʌndʌ́n] : 「undo の過去分詞形」
  • undo [ʌndú] : 「〜を元に戻す、元どおりにする、取り消す」
  • easily [íːz(ə)li] : 「容易に、たやすく、苦もなく」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す、補正する」
  • left [léft] : 「leave の過去・過去分詞形
  • leave [líːv] : 「〜を任せる、頼む、委ねる」
  • judge [dʒʌ́dʒ] : 「判断する、裁く」
❖ "If this is a mistake ~ "「もし、この世界が誤りであるなら、それは真実によって容易に取り消し出来るものだ」。"Any mistake can ~ "「もし、その判断を真実に委ねるなら、いかなる過ちも修正出来るのである」。この世界が誤りであるかどうか、真実の世界である実相世界にその判断を委ねるなら、つまり、ホーリー・スピリットの判断に任せるなら、それが、誤りだと判断されても、ちゃんと修正し、過ちは取り消しに出来る。ホーリー・スピリットが導いてくれるのだ。あなたはこの幻想世界で、様々な過ちを犯してしまうだろうが、誤りを自分で判断するのではなく、ホーリー・スピリットにその判断を委ねてしまえば、ホーリー・スピリットはその修正と取り消し方をちゃんとあなたに教えてくれる。過ちを犯したことで、自分をますます罪深い者であると断罪する必要はないのだ。だが、問題になるのは、罪を正しいと自己判断してしまうことである。次を読もう。



But if the mistake is given the status of truth, to what can it be brought?
  • mistake [mistéik] : 「誤り、過ち、手違い、誤解」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • status [stéitəs] : 「地位、身分、状態、状況」
  • brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って行く、〜を連れて行く」
❖ "But if the mistake is ~ "「しかし、もし過ちが、真実の地位を与えられたなら、」"to what can it ~ "「いったい、過ちをどこに持っていったらいいのだろうか」。この罪は正当であり、真実なのだ、と判断してしまったなら、罪の修正や取り消しを求めることはしないだろうから、持って行き場がないのだ。



The "holiness" of sin is kept in place by just this strange device.
  • holiness [hóulinəs] : 「神聖、高潔」
  • kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
  • in place : 「適当な位置に、適所に、所定、配置されて、配備されて」
  • device [diváis] : 「機器、装置、道具、手段、仕掛け」
❖ "The "holiness" of sin ~ "「罪の『神聖さ』は、まさにこの奇妙な仕掛けによって、温存させられるのである」。罪を正しいものとして、神聖なものに祭り上げ、それを崇(あが)め奉(たてまつ)るという奇妙な仕掛けを施して、いつまでも温存するのである。罪を修正し取り消しにすることなど、もっての外と言うわけである。



As truth it is inviolate, and everything is brought to it for judgment.
  • as : 「〜であるとして」
  • inviolate [inváiələt] : 「犯されていない、神聖な、破られていない」
  • brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
  • judgment [dʒʌ́dʒmənt] : 「判断、判断力、意見、分別、判決、審判」
❖ "As truth it is ~ "「罪が神聖であるということが真実であるとしたら、罪は犯すべからざるものだ」。"and everything is ~ "「すべては、判断を求めて神聖なる罪の前に持って来られるのだ」。神聖な罪の前に引きずり出され、罪深いかどうか判断される。罪深ければ神聖だとされ、罪が無ければ罰せられるわけだ。なんとも奇妙な話である。だから"strange"という言葉が使われているのである。



As a mistake, it must be brought to truth. It is impossible to have faith in sin, for sin is faithlessness.
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
  • faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること、信仰、信条、自信、信念、確信」
  • have faith in : 「〜を信用する、〜を信じている」
  • faithlessness [féiθlisnis] : 「不実さ、不誠実さ、信仰心のなさ」
❖ "As a mistake ~ "「罪が神聖であるということが誤りなら、それは真実の前に持って来られなくてはならない」。誤りは正さなくてはならない。それは真実の使命である。"It is impossible ~ "ここは"It ~ to ~ "の構文、「罪を信仰することなど不可能なのだ」。"for sin is ~ "「なぜなら、罪とは、信じないことだからである」。信仰を否定する罪を信仰するとは自己矛盾であり、成立不可能だ。



Yet it is possible to have faith that a mistake can be corrected.
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る」
  • correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す」
❖ "Yet it is possible to ~ "ここも"it ~ to ~ "の構文、「しかし、過ちは正すことが出来ると信じることは、可能なのだ」。過ちは正すことが出来るということは真実であり、真実を信じることは自己矛盾ではない。したがって、成立可能である。あまり理屈っぽく固く考えずに、罪は誤りなのだから、罪を神聖なものとして祭り上げることは止めにして、罪をホーリー・スピリットに預けて取り消しにしなさい、ということである。その方がずっと楽であろう。真実だから楽なのだ。楽とは、楽しいということである。
 
 
 

T-19.II.3:1 ~ T-19.II.4:5

3. The Son of God can be mistaken; he can deceive himself; he can even turn the power of his mind against himself.

  • mistaken [mistéikən] : 「誤った、間違った、誤解した」
  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます、裏切る」
  • deceive oneself : 「誤解する、思い違いする」
  • turn [tə́ː(r)n] : 「〜の方向を変える、〜を変化させる」
❖ "The Son of God ~ "「神の子は過ってしまうこともあれば、自分自身を欺いてしまう可能性もある」。"he can even turn ~ "「神の子は、心のパワーを、自分自身を傷つける方向に振り向けることさえしてしまう可能性があるのだ」。たとえば、心のもつ信じるパワーを、自分には罪があると信じ込むことに向けている事実は、そのいい例である。信じるパワーが、その思いを現実化するのである。



But he cannot sin. There is nothing he can do that would really change his reality in any way, nor make him really guilty.
  • sin [sín] : 「罪を犯す」
  • really [ríː(ə)li] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
  • change [t∫éin(d)ʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • in any way : 「何らか、多少なりとも、決して、形はどうあれ」
  • make [SVOC] : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • guilty [gílti] : 「有罪の、犯罪的な、罪を犯した」
❖ "But he cannot ~ "「しかし、神の子は、罪を犯すことなど不可能なのだ」。"There is nothing ~ "「神の子が、何らかの方法で、彼の実相性を実際に変えてしまうようなことは、神の子には出来ないのだ」。"nor make him ~ "「ましてや、本当に罪深い者になることなど、出来もしない」。神は神の子を、神に似せて創造したのであり、神の属性のすべてを神の子に継承した。それが、神の子の実相である。それは永遠に不変であり、この実相性を変えることなど、神の子には出来ない。したがって、本来、無辜(むこ)であり、純粋であり、神聖である神の子が、罪深い存在になることなど、その生い立ちからして不可能なのである。



That is what sin would do, for such is its purpose. Yet for all the wild insanity inherent in the whole idea of sin, it is impossible.
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • for all : 「〜にもかかわらず」
  • wild [wáild] : 「狂気じみた、荒れ狂った、野蛮な、荒れ果てた」
  • insanity [insǽnəti] : 「狂気、精神病、精神異常」
  • inherent [inhí(ə)r(ə)nt] : 「生まれつきの、生得の、生来の、先天的な」
  • inherent in : 「〜につきものの、〜に固有の、〜に内在の」
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
❖ "That is what sin ~ "「神の子を罪深い存在に変えようとすることは、罪がしようとしていることである」。"for such is ~ "「罪とは、そういう目的であるからだ」。結局、神から継承した神の属性を否定することが、罪の目的だというわけだ。"Yet for all the wild insanity ~ "「しかし、罪という考えのすべてに付きものの、野蛮な狂気をもってしても、それは不可能である」。神の子の属性を変えることなど、罪という名の狂気には不可能だ。そもそも、幻想が実相を変えることは不可能だ。夜見る夢が、あなたの昼の現実を変えることが出来るだろうか? 



For the wages of sin is death, and how can the immortal die?
  • wage [wéidʒ] : 「応報、報い、賃金」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
  • immortal [imɔ́ː(r)tl] : 「死なない、不死身の、不死の、不滅の、永久の」
  • die [dái] : 「死ぬ、死亡する」
❖ "For the wages of sin ~ "「なぜなら、罪の応報は死であるにも関わらず、」"and how can ~ "「いったい、どうして、不死なるものが死ぬことが出来ようか」。神が創造したものにとって、死は存在し得ないのだから、罪の目的である死は、罪がどんなに凶暴であっても不可能なのだ。絵に描いた金槌が如何に大きく重そうに見えても、実際の釘の頭を打つことなど出来ないのである。



4. A major tenet in the ego's insane religion is that sin is not error but truth, and it is innocence that would deceive.
  • major [méidʒə(r)] : 「主要な、重要な、大きい方の、より大きい」
  • tenet [ténət] : 「教義、信条、見解、主義」
  • insane [inséin] : 「正気でない、精神障害の、非常識な」
  • religion [rilídʒ(ə)n] : 「宗教、宗派、信条、宗旨、信仰、儀式」
  • error [érə(r)] : 「過ち、誤り、間違い、ミス」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • innocence [ínəs(ə)ns] : 「無罪、潔白、無垢、純潔」
  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます、裏切る」
❖ "A major tenet ~ " 「エゴの狂気的信仰の主なる信条は、罪とは過ちではなく真実であり、」"and it is innocence ~ "「罪が欺こうとしているのは、潔白性である」。人は生まれながらに罪深いものであって、潔白さからほど遠いというのが、エゴの信条。一言で言えば、性悪説なのであるが、エゴは、それが真実ではないことをちゃんと知っていて、神の子を騙しにかかっている。だから、なおさら厄介なのだ。エゴは非常に頭のいいヤツである。あなた一人の手に負えるものではない。だからこそ、エゴに打ち勝つパワーと叡智を持ったホーリー・スピリットの助けが必要なのだ。



Purity is seen as arrogance, and the acceptance of the self as sinful is perceived as holiness.
  • purity [pjú(ə)rəti] : 「清らかさ、純正、汚れのないこと、清浄、純粋」
  • arrogance [ǽrəg(ə)ns] : 「尊大、横柄、ごう慢」
  • acceptance [əksépt(ə)ns] : 「受け入れること、受け入れ、承認、受諾、容認」
  • sinful [sínfl] : 「罪深い、邪悪な」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • holiness [hóulinəs] : 「神聖、高潔」
❖ "Purity is seen ~ "「純粋さは、尊大であると見なされ、」"and the acceptance of ~ "「自分を罪深いと認めることは、神聖であると思っている」。完全に、価値観が逆転している。神の価値観とは全く逆な方向に進むのが、いわば、エゴの仕事のようなものである。むしろ、神の価値観を無理やり二元論的に左右に分離し、その一方をエゴに担わせたと言っていいだろう。誰が、エゴに担わせたのか? 神の子が、乖離と投射によってエゴを偽創造したのである。分離を望んだのは神の子自身である。しかし、それは夢の中の出来事であって、幻想に過ぎないのだ。そこのカラクリをしっかり押さえないことには、解放と救いはほど遠い。



And it is this doctrine that replaces the reality of the Son of God as his Father created him, and willed that he be forever.
  • doctrine [dɑ́ktrin] : 「教義、信条、教理、主義、原則、原理、学説、理論」
  • replace [ripléis] : 「〜を取り換える、交換する、差し替える、置き換える」
  • create [kriéit] : 「〜を創造する、創り出す」
  • will [wíl] : 「 〜を望む、意図する、命ずる、決意する」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
❖ "And it is this doctrine ~ "「神が創造し、永遠にそうあって欲しいと意思した通りの神の子を(正反対のものに)差し替えてしまうのは、この(エゴの)信条である」。神が創造したままの無辜(むこ)なる神の子を、罪の子に仕立て上げるのは、エゴの信念である。神の子を、神の裏切り者と、エゴは呼ぶのだ。その主張に、神の子は、まんまと騙されているのである。



Is this humility? Or is it, rather, an attempt to wrest creation away from truth, and keep it separate?
  • humility [hjuːmíləti] : 「謙虚、謙そん、卑下」
  • rather [rǽðə(r)] : 「どちらかといえば、むしろ」
  • attempt [ətém(p)t] : 「〜を試してみる、〜を企てる、〜を達成しようとする」
  • wrest [rést] : 「もぎ取る、奪い取る、曲げる、曲げて解釈する」
  • creation [kriéi∫n] : 「創作物、作品、創造、創作」
  • away from : 「〜から離れて」
  • keep [kíːp] [SVOC] : 「〜の状態にしておく、〜にしておく」
  • separate [sép(ə)rət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別の」
❖ "Is this ~ "「これが謙遜か」。私は罪深いものでございますと宣言することは謙遜であると言えるか。"Or is it, rather, an ~ "「あるいは、むしろ、真実から、神の創造した者をもぎ取り、分離させておく試みではないのか」。罪の意識を抱かせることで、真実の王国から神の子を引き離し、神からの分離を維持しようとする試みこそが、エゴの企(たくら)みではないのか。神の子が神との分離を解消し、幻想から目覚めたら、幻想のエゴも消滅してしまうのである。だから、エゴはその存在をかけて、あなたに分離を維持させようと必死になっているのである。
 
 
 

T-19.II.1:1 ~ T-19.II.2:7

 
 

II. Sin versus Error
罪 対 過ち
 
 
 
1. It is essential that error be not confused with sin, and it is this distinction that makes salvation possible.
  • essential [isén∫l] : 「絶対必要な、絶対不可欠な、欠くことのできない、必須の」
  • error [érə(r)] : 「誤り、間違い、ミス、誤字、誤用、過失」
  • confuse [kənfjúːz] : 「混同する、混乱させる、困惑させる」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • distinction [distíŋ(k)∫n] : 「区別、識別、差別、差異、違い」
  • make [SVOC] : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • salvation [sælvéi∫n] : 「救出、救済、救い、救世」
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る」
❖ "It is essential that ~ "ここは"It ~ that ~ "の構文、「過ちを罪と混同してはいけないということは、必須である」。ここの"be"は"should be"のこと。"and it is this distinction ~ "「救いを可能とするのは、この区別なのである」。過ちと罪は似ているが、そこを峻別しないことには、罪の意識からの解放はない。



For error can be corrected, and the wrong made right. But sin, were it possible, would be irreversible.
  • correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す、直す、是正する」
  • wrong [rɔ́(ː)ŋ] : 「間違った、誤っている」
  • right [ráit] : 「正しい、正当な、信用できる、正義の」
  • irreversible [ìrivə́ː(r)səbl] : 「逆にできない、元に戻せない、取り消せない、撤回できない、不可逆の」
❖ "For error can be ~ "「なぜなら、過ちは修正出来るからであり、間違ったことは正しく出来るのである」。"But sin, were ~ "仮定法過去、"were it possible"は"if it were possible"のこと、「しかし、罪は、それが存在し得たとして、取り消せるものではない」。過ちは修正出来るが、罪は取り消せない。ドキッとするが、罪なるものが存在すると仮定すれば、という但し書きが付いている。実は、罪なるものは、実相的な見方をすれば、存在しないのだ。安心していいだろう。



The belief in sin is necessarily based on the firm conviction that minds, not bodies, can attack.
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • necessarily [nèsəsér(ə)li] : 「必ず、必然的に、どうしても」
  • base on : 「〜に基づく、〜に準拠する」
  • firm [fə́ː(r)m] : 「堅い、堅固な、頑丈な、しっかりした、安定した、断固とした、確固たる」
  • conviction [kənvík∫n] : 「信念、確信」
  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
❖ "The belief in ~ "「罪(の存在)を信じることは、必然的に、肉体ではなく心が、攻撃出来ると固く信じていることに基づいている」。攻撃を、能動的ではなく、受動的に考えると理解しやすいだろう。罪の意識を持つことは、自分の心が攻撃され得ると信じているからだ。たとえば、神からの罰という攻撃があり得るから、神への裏切りを罪と考えて、心に罪の意識を持ち込むのである。他者も自分も含めて、心が誰からも攻撃され得ないと知ったなら、何が怖かろう。



And thus the mind is guilty, and will forever so remain unless a mind not part of it can give it absolution.
  • guilty [gílti] : 「有罪の、犯罪的な、罪を犯した」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • remain [riméin] [SVC] : 「依然として〜のままである」
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
  • absolution [æ̀bsəlúː∫n] : 「罪の赦し、免除、赦免」
❖ "And thus the mind ~ "「かくして、心は罪深いものとされる」。罪の意識が、罰という攻撃を受ける価値ありと判断してしまうのだ。"and will forever so remain ~ "「そして、〜しない限り、心は永遠に罪深いもののままになってしまうのだ」。"unless a mind not ~ "「(罪の意識をもった心の)一部分以外の心が、(罪の意識を持った心の一部分に対して)罪の赦しを与え得ない限り、」心は永遠に罪深いもののままになってしまうのだ。つまり、あなたは心の一部分に罪の意識を抱いているが、その部分とは別の、あなたの心の最も純粋で神聖な部分が、あなたに、その罪の意識は幻想なのだと教えて、罪を赦してしまわない限り、あなたの心の罪の意識は消滅しないのだ。



Sin calls for punishment as error for correction, and the belief that punishment is correction is clearly insane.
  • call for : 「〜を要求する、訴える、〜を求めて呼ぶ」
  • punishment [pʌ́ni∫mənt] : 「罰すること、罰、刑罰、処罰、懲罰」
  • correction [kərék∫n] : 「訂正、矯正、修正、是正、補正」
  • clearly [klíə(r)li] : 「疑いもなく、明らかに、明瞭に」
  • insane [inséin] : 「正気でない、精神障害の、非常識な」
❖ "Sin calls for punishment ~ "「過ちは修正を求めるが、罪は罰を求める」。ここが、罪と過ちの決定的な違いである。"and the belief that punishment ~ "「そして、罰こそが(罪を)修正出来るのだと信じ込むことは、明らかに狂っている」。この狂った考えが、実は、今の社会に蔓延していることを、あなたはどう考えるだろうか。



2. Sin is not an error, for sin entails an arrogance which the idea of error lacks.
  • entail [entéil] : 「〜を伴う、必要とする、引き起こす、課す」
  • arrogance [ǽrəg(ə)ns] : 「尊大、横柄、傲慢」
  • lack [lǽk] : 「不足、欠乏、欠如、欠落」
❖ "Sin is not ~ "「罪とは、過ちのことではない」。"for sin entails ~ "「なぜなら、罪は、過ちという思いが持ってはいない尊大さを伴っているからだ」。罪を犯す者は、概(おおむ)ね、自分は罪を犯す力があると信じている。極端な例は、自分は神のごとき支配力があるのだと信じている輩(やから)である。お気付きと思うが、エゴの発想である。エゴが罪の意識をあおり立て、そのエゴが尊大であることを考えれば、罪には尊大さが付きまとうことが理解出来よう。



To sin would be to violate reality, and to succeed. Sin is the proclamation that attack is real and guilt is justified.
  • sin [sín] : 「罪を犯す」
  • violate [váiəlèit] : 「侵犯する、妨害する、侵害する、破る、犯す、邪魔する、乱す」
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • proclamation [prɑ̀kləméi∫n] : 「宣言、声明、布告、公表」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
  • real [ríː(ə)l] : 「実在的な、実質的な、現実の、実際の、本物の」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪 」
  • justify [dʒʌ́stəfài] : 「弁明する、正当化する」
❖ "To sin would be ~ "「罪を犯すことは、実相を犯すことであり、それに成功することである」。ACIMでは、罪は幻想である。罪を犯すことは、罪という幻想にのめり込んでしまうことであって、実相から離反し、実相を攻撃することである。しかも、この幻想世界を見れば分かるように、これが成功し、多くの同胞が幻想の罪の意識を抱きつつ、幻想の生活を送っている。そして、心は頭脳が作り出した幻想に過ぎないと思い込み、神は弱い心が作り出した幻想だと信じて、実相を攻撃するのである。"Sin is the proclamation ~ "「罪は、攻撃は現実であり、罪は正当化されると宣言する」。まさに、エゴの思考システムが宣言していることである。罪が幻想ではく、実在だと信じているから、攻撃も実在、正当化も実在、というわけである。しかし、本当は、罪は幻想なので、それに続くすべては、幻想なのだ。



It assumes the Son of God is guilty, and has thus succeeded in losing his innocence and making himself what God created not.
  • assume [əs(j)úːm] : 「〜と仮定する、思い込む、見なす」
  • guilty [gílti] : 「罪の意識がある、後ろめたい、やましい、有罪の、犯罪的な、罪を犯した」
  • succeed [səksíːd] : 「成功する、後に続く、後を継ぐ、継承する」
  • succeed in : 「〜に成功する」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • innocence [ínəs(ə)ns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔、純真」
  • create [kriéit] : 「〜を創造する、創り出す」
❖ "It assumes the Son of God ~ "「罪の意識は、神の子は罪深く、したがって、潔白さを失うことに成功し、神が創造したものではない神の子に自らを作り変えていると思い込んでいる」。もちろん、これもエゴの発想である。エゴは、神の子を神から分離させておくために、そのような発想を我々に吹き込んで、まんまと我々を洗脳することに成功しているのだ。



Thus is creation seen as not eternal, and the Will of God open to opposition and defeat.
  • creation [kriéi∫n] : 「創作物、作品」
  • eternal [itə́ː(r)nl] : 「永遠の、不変の、永久の、不滅の、無限の」
  • open to : 「〜を受けやすい」
  • opposition [ɑ̀pəzí∫n] : 「反対、敵対」
  • defeat [difíːt] : 「敗北、負け、打倒、打破」
❖ "Thus is creation seen ~ "「このように、創造は永遠なものではないと見なされ、」"and the Will of God ~ "「神の(創造の)意思は、敵対するものに晒(さら)され、打ち砕かれるのだ」。神は神の子を永遠なる存在として創造し、神の属性のすべてを与えた。しかし、神の子は神から分離し、その神の意思を捨てて、単なる幻想世界の生き物(進化したサル)としての自分に作り変えてしまったのである。かくして、神の意思は、その反対者であるエゴに晒らされ、エゴは神の意思を打ち砕く。もちろん、幻想世界から見れば、そのように見えるだけであって、実際は、つまり、実相世界から見れば、神の意思は永遠に破壊されないし、エゴのごとき幻想の存在によって打ち砕かれることなどないのだ。



Sin is the grand illusion underlying all the ego's grandiosity. For by it God himself is changed, and rendered incomplete.
  • grand [grǽnd] : 「重要な、主要な、遠大な、思い上がった」
  • illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • underlie [ʌ̀ndə(r)lái] : 「〜の基礎にある、下に横たわる、根底にある、根拠をなす」
  • grandiosity : 「壮大さ、尊大さ」
  • render [réndə(r)] : 「〜の状態にする」
  • incomplete [ìnkəmplíːt] : 「不完全な、不十分な、未完成の」
❖ "Sin is the grand illusion ~ "「罪とは、エゴの尊大さのすべてを基礎とした、大いなる幻想である」。罪の意識は大幻想であり、その根底にはエゴの尊大さが隠されている。"For by it God himself ~ "「なぜなら、エゴの尊大さによって、神自身が変えられ、完全性の欠いたものに作り変えられたのだから」。エゴの思考システムは、神を神の座から引きずり下ろし、人間の弱い心が幻想した妄想に過ぎないと見ている。しかし、ここも、幻想世界から見れば、そう見えるだけの話であって、実相世界から見れば、神は永遠に変化しない実在である。永遠に存在し、完璧に完全である。
 
 
 

T-19.I.15:1 ~ T-19.I.16:5

15. As faithlessness will keep your little kingdoms barren and separate, so will faith help the Holy Spirit prepare the ground for the most holy garden that he would make of it.

  • faithlessness [féiθlisnis] : 「不実さ、不誠実さ、信仰心のなさ」
  • keep [SVOC] : 「〜の状態にしておく、〜にしておく」
  • kingdom [kíŋdəm] : 「王国、王領」
  • barren [bǽr(ə)n] : 「不毛の、作物ができない、むなしい」
  • separate [sép(ə)rət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別の」
  • faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること、信仰、信条、自信、信念、確信」
  • prepare [pripéə(r)] : 「〜を準備する、用意する、支度する」
  • ground [gráund] : 「土地、用地、敷地、下地、地盤、根拠、原因」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • garden [gɑ́ː(r)dn] : 「庭、庭園、果樹園」
❖ "As faithlessness will ~ "「信じる気持ちの欠如が、あなたの小さな王国を不毛にし、分離したものとするのに対して、」心という実在を信じることが出来ずに、幻想の肉体を分離の象徴として崇め、それによって心が荒廃(不毛化)していくのである。"so will faith help ~ "「信じる気持ちは、ホーリー・スピリットが、不毛の土地から最も神聖な庭園にするための土地の準備をするのを手助けするのである」。荒廃した心ではあるが、信じる気持ちが湧いて来さえすれば、ホーリー・スピリットはその荒廃した心を神聖な庭園に変える準備を始めるのである。歪んだ心の修正であり、心のヒーリングをしてくれるのだ。躊躇する必要はどこにもない。



For faith brings peace, and so it calls on truth to enter and make lovely what has already been prepared for loveliness.
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
  • call on : 「求める、要求する、所望する、頼む」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • enter [éntə(r)] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
  • lovely [lʌ́vli] : 「素晴らしい、すてきな、楽しい、愛らしい、かわいらしい」
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、もう」
  • prepare [pripéə(r)] : 「〜を準備する、用意する、支度する」
  • loveliness [lʌ́vlinis] : 「愛らしさ、素晴らしさ」
❖ "For faith brings ~ "「信じる気持ちが平和をもたらしてくれるので、」"and so it calls on ~ "「信じる気持ちは、真実が心の中に入ってきて、すでに愛らしさの準備が出来ているものを愛らしくしてくれるように求めるのである」。荒廃し、不毛になってしまった心ではあるが、愛らしく豊かな心となりたいという願いは整っている。その準備の整った心の中に真実が忍び込んで、心を愛らしく豊かにしてくれるように、信じる気持ちは求めるのである。手助けをしてくれるのは、もちろん、ホーリー・スピリットである。したがって、本文の"truth"を"the Holy Spirit"に置き換えてもいい。意味は完全に通じる。



Truth follows faith and peace, completing the process of making lovely that they begin.
  • follow [fɑ́lou] : 「〜の後について行く、〜に従う、追う」
  • complete [kəmplíːt] : 「〜を完了する、仕上げる、完成する、達成する」
  • process [prɑ́ːses] : 「過程、経過、推移、プロセス」
  • begin [bigín] : 「〜を始める、着手する」
❖ "Truth follows faith ~ "「真実は、信じる気持ちと平和な気持ちの後に続いて心の中に入ってきて、」"completing the process ~ "「その両者が着手した、愛らしくするためのプロセスを完成させるのである」。荒廃した心を愛らしく豊かにするために、信じる気持ちが心を平和にするのだが、最後の仕上げに、真実(ホーリー・スピリット)がその後を引き継いで、そのプロセスを完成させてくれる。決して、あなた一人の仕事ではないのだ。



For faith is still a learning goal, no longer needed when the lesson has been learned. Yet truth will stay forever.
  • still [stíl] : 「常に、いつでも、今でもまだ、いまだに」
  • learning [lə́ː(r)niŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
  • no longer : 「もはや〜でない」
  • need [níːd] : 「〜する必要がある、〜を必要とする」
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
  • stay [stéi] : 「とどまる、居座る」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
❖ "For faith is still ~ "「なぜなら、信じる気持ちは、あくまでも学びの目的であって、」"no longer needed ~ "「レッスンが学ばれてしまったとき、信じる気持ちはもはや必要ではなくなるのからだ」。"Yet truth will ~ "「しかし、真実は永遠にとどまることになる」。幻想世界から実相世界に目覚めるためには、信じる気持ちは必要なのだが、一旦、目覚めのためのレッスンを学び終え、実相に目覚めたなら、もはや信じる気持ちは必要でなくなる。なぜなら、実相世界は真実のみの世界であるから、信じるという行為は存在しないのだ。叡智によってすべてが明らかにされる世界に、信じることなど不必要ではないか。



16. Let, then, your dedication be to the eternal, and learn how not to interfere with it and make it slave to time.
  • dedication [dèdikéiʃən] : 「献身、専念、熱心さ、専心」
  • eternal[itə́ː(r)nl] : 「永遠の、不変の、永久の、不滅の、無限の」
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
  • interfere [ìntə(r)fíə(r)] : 「邪魔をする、妨げる、遅らせる」
  • interfere with : 「〜を妨げる、〜を邪魔する、〜に干渉する」
  • slave [sléiv] : 「奴隷の」
  • slave to : 「〜の奴隷で」
❖ "Let, then, your ~ "「そこで、永遠なるものに専心しなさい」。永遠である、実相的真実だけに心を向けなさい。"and learn how not ~ "「そして、どうしたら永遠なるものを邪魔せずにすむか、どうしたら永遠なるものを時間の奴隷にしないですむか、学びなさい」。つまり、幻想に逆戻りしないようにするにはどうしたらいいか、しっかり学びなさい、ということ。



For what you think you do to the eternal you do to you. Whom God created as his Son is slave to nothing, being lord of all, along with his Creator.
  • create [kriéit] : 「〜を創造する、創り出す」
  • lord [lɔ́ː(r)d] : 「藩主、領主、主人、支配者」
  • along with : 「〜と一緒に、〜とともに、〜に加えて、〜と同様に」
  • creator [kriéitər] : 「創造者、創作者、創設者」
❖ "For what you think ~ "「なぜなら、あなたが、永遠なるものに対してしたいと思うことを、あなたは自分に対してもするのだから」。"Whom God created ~ "「神が神の子として創造したものは、誰の奴隷でもないのだ」。"being lord of ~ "分詞構文、理由、「神が創造した神の子は、創造主である神がそうであるように、すべての主人であるからだ」。頂点に立つものという意味合いだが、存在に格付けしているわけではない。神の子は神同様に神聖なものだ、という意味合いである。誰の支配も受けないのだ。天の王国の王者なのである。しかし、決して支配者ではない。



You can enslave a body, but an idea is free, incapable of being kept in prison or limited in any way except by the mind that thought it.
  • enslave [ensléiv] : 「〜をとりこにする、奴隷にする」
  • incapable [inkéipəbl] : 「能力がない、できない」
  • incapable of : 「〜ができない、〜をする能力がない」
  • kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
  • prison [prízn] : 「刑務所、拘置所、監獄、監禁、禁固、幽閉」
  • in prison : 「獄中に、刑務所に入って、入所中で、牢に入って」
  • limit [límit] : 「限定する、制限する、制限をかける」
  • in any way : 「何らか、多少なりとも、決して、形はどうあれ」
  • except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に、〜を除いては、〜を別にすれば」
❖ "You can enslave ~ "「あなたは、肉体は奴隷化出来るが、」"but an idea ~ "「しかし、思考は自由であり、どんな方法でも、幽閉したり制限を掛けたり出来ないのだ」。"except by the mind ~ "「ただし、思考を司(つかさど)っている心は、それが出来るのだが」。思考は実相世界の実在だから、本来、何かの中に幽閉することも、何らかの制限を課すことも出来ないのだが、しかし、幻想世界にあっては、思考は制限され狭い常識に幽閉されている。なぜか? あなたの心がそうしているのである。あなたの心が肉体の中に幽閉され、あなたの思考に制限を課しているである。これは、明らかに不自然なことである。心が歪んでいる、心が病んでいるとは、そういうことなのだ。



For it remains joined to its source, which is its jailer or its liberator, according to which it chooses as its purpose for itself.
  • remain [riméin] [SVC] : 「依然として〜のままである」
  • join [dʒɔ́in] : 「結び付ける、結合する、連結する」
  • source [sɔ́ː(r)s] : 「もと、源、起点、原因」
  • jailer [dʒéilə(r)] : 「看守」
  • liberator [líbərèitər] : 「解放者、釈放者」
  • according [əkɔ́ː(r)diŋ] : 「〜によれば、一致した、従った」
  • according to : 「〜によれば、〜の言うところによれば、〜に従って」
  • choose [t∫úːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
❖ "For it remains joined ~ "「なぜなら、思考は、その源に強く結びついたままなのだから」。"which is its jailer ~ "「その源は、監獄の看守でもあり得るし、幽閉から解放してくれる者でもあり得る」。"according to which ~ "「それは、心が、自らのために、その目的としてどちらを選択するかにかかっている」。心が制限と幽閉を目的に看守(エゴ)を選択すれば、あなたの思考は制限され幽閉される。心が自由と解放を目的に、それを実現してくれる者(ホーリー・スピリット)を選べば、思考は解放され自由になる。あなたの選択にかかっているのだ。さて、あなたは、看守(エゴ)を選ぶか、それとも、解放者(ホーリー・スピリット)を選ぶか。
 
 
 

T-19.I.13:1 ~ T-19.I.14:6

13. Grace is not given to a body, but to a mind.

  • grace [gréis] : 「恩恵、恩寵、神の愛、優雅、優美」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
❖ "Grace is not ~ "「神の恩寵は、肉体に与えられているのではなく、心に与えられている」。"grace"「神の恩寵」は、神の愛、神のパワー、神の属性そのもの、と考えていいだろう。それは、幻想の肉体に対して与えられているのではなく、実相の、実在の心に対して与えられている。心が、神によって創造されたことを考えると、当たり前のことだ。神の子に、神はその属性のすべてを継承した。神の恩寵のすべてを神の子に与えたのだ。よって、あなたの心は神の恩寵のすべてを継承しているのである。問題は、それに気付くかどうかである。それに気付いたとき、それが、神の恩寵の与えらる時だと思っていい。もちろん、時間の存在しない実相世界から見れば、それはすでに与えられているのだが。



And the mind that receives it looks instantly beyond the body, and sees the holy place where it was healed.
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する、入手する」
  • instantly [ínst(ə)ntli] : 「すぐに、すぐさま、一瞬にして、即座に」
  • beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「〜を越えて、〜の域を越えて、〜を超越して」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • place [pléis] : 「場所、個所」
  • heal [híːl] : 「治す、治癒する、治療する、癒やす、救う」
❖ "And the mind that ~ "「神の恩寵(神の愛)を受け取った心は、直ちに、肉体を越えてその中を見通し、」 "and sees the holy ~ "「心がヒーリングされた、神聖な箇所を見ることになる」。神の愛を受け取った心は、つまり、神の属性に目覚めた心は、幻想の肉体によって妨害されることなく、実在の心そのものを目撃することになる。それは、神の愛によってヒーリングされた心であり、その心の最も神聖で最も純粋な部分、つまり神の祭壇が存在する箇所を見つけ出すのである。



There is the altar where the grace was given, in which it stands.
  • altar [ɔ́ːltə(r)] : 「祭壇、聖餐台」
❖ "There is the altar ~ "「そこに、神の恩寵が与えられた祭壇があり、」"in which ~ "「神の恩寵はそこに立ち止まっている」。神の恩寵を擬人化して述べられているが、要するに、神の恩寵がその祭壇に祭られている、そこにある、ということ。心の最も純粋で神聖な部分に神の祭壇があり、そこに神の愛が込められている、と考えていいだろう。その祭壇は、この幻想世界が、神の世界である実相世界と接する接点である。神の愛も神の声も、神の意思も神の思いも、この祭壇を通じてあなたに与えられる。あなたにとって、最も重要な、そして唯一の、実相世界とのチャンネルである。



Do you, then, offer grace and blessing to your brother, for you stand at the same altar where grace was laid for both of you.
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • grace [gréis] : 「恩恵、恩寵、神の愛、優雅、優美」
  • blessing [blésiŋ] : 「祝福、恩恵、幸運、祈り」
  • stand at : 「〜に立つ」
  • same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
  • laid [léid] : 「lay の過去・過去分詞形」
  • lay [léi] : 「〜を横たえる、〜を置く」
  • both [bóuθ] : 「両方、双方」
❖ "Do you, then, offer grace ~ "「そこで、神の恩寵と祝福を、あなたの同胞へ差し出しなさい」。あなたが受け取った神の恩寵と祝福を、同胞と分かち合うために、同胞に分け与えなさい。"for you stand at the same ~ "「なぜなら、神の恩寵があなたと同胞の両者のために置かれた同じ祭壇に、あなたは立っているのだから」。あなたは、自分の心の中の聖なる部分に存在する神の祭壇に気付いた。つまり、その祭壇の前に立ったのである。その祭壇には神の恩寵、神の祝福が置かれており(神の愛が存在しており)、それが、自分一人のためのものではなく、神の子全体に差し出されたものであることを(直感で)知るのである。なぜなら、神は完全完璧な平等性を有し、あなた一人だけを祝福するわけがないからだ。あなたを祝福しているなら、それは神の子全体の祝福であるはずだからだ。そもそも、神にとって神の子とは単一の存在、単一の心である。神の子が自分と多数の同胞とに分離して捉えているのは、神の子の勝手な幻想に過ぎない。神のとって神の子は、あなたを含めて、ただ一人なのだ。



And be you healed by grace together, that you may heal through faith.
  • together [təgéðə(r)] : 「一緒に、同時に」
  • through [θruː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
  • faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること、信仰、信条、自信、信念、確信」
❖ "And be you healed ~ "「そして、同胞共々、神の恩寵(祝福、愛)によって、ヒーリングされなさい」。"that you may heal ~ "ここの"that"は"so that"のこと、「その結果、あなたは、信じる気持ちを通して、癒えるだろう」。"heal"を自動詞として「癒える」と訳してはみたが、他動詞として見て、「信じる気持ちを通して、癒すことが出来るだろう」と訳してもいい。そもそも、癒すことも癒えることも実相世界では同じことなのだ。実相世界では、与えることと得ることは等しいからだ。ところで、心が癒される、心が癒えるとは、幻想によって歪み狂っていた心が、正しい心に修正される、ということである。簡単に言えば、心が幻想から目覚めて、実相世界に回帰する、ということである。この目覚めこそ、聖なる瞬間である。



14. In the holy instant, you stand before the altar God has raised unto himself and both of you.
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • raise [réiz] : 「起こす、立てる、もたらす」
❖ "In the holy instant ~ "「聖なる瞬間において、神が、神自身とあなたの両者のために築いた祭壇の前に、あなたは立っているのだ」。実相世界に目覚める聖なる瞬間は、幻想世界と実相世界の接点である神の祭壇の前に、あなたは立っていることになる。蛇足になるが、一言。神の祭壇が心の中にあると言っているのは、比喩としての表現であって、具象的な祭壇がドーンとあるのではない。実相世界は想念、抽象の世界であるから、神の祭壇は、具象的な形、具体的な形象をもってはいない。逆に考えれば、具象世界の我々は、個人個人で、自由に神の祭壇をイメージしていいのだ。だから、キリスト教徒はキリスト教の寺院の祭壇を想像すればいいし、仏教徒は仏教の寺院の祭壇を想像すればいい。どちらが正しいとか、どちらが間違っているとかいうことはないのだ。だから、なんなら、きれいな花園こそが神の祭壇であると思ってもいいのである。光の湧き出す泉を、神の祭壇だと想像してもいい。それは、完全に、あなたの自由である。しかし、自由であるから怖いとも言える。自分の思い込みを他者に押し付けるという性癖を人は有しているからだ。とは言え、このACIMを愛するあたなは、そのような愚を犯すことは、まずありますまい。



Lay faithlessness aside, and come to it together.
  • lay aside : 「やめる、捨てる、放棄する、棚上げにする」
  • faithlessness [féiθlis]nis] : 「不実さ、不誠実さ、信仰心のなさ」
❖ "Lay faithlessness ~ "「さあ、信じる気持ちの欠如など捨て去って、同胞共々、神の祭壇の前に来なさい」。聖なる瞬間に立ち合うのである。



There will you see the miracle of your relationship as it was made again through faith.
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • again [əgén] : 「再び、かさねて」
❖ "There will you see ~ "「神の祭壇の前で、あなたは、あなたと同胞の関係性が、信じる気持ちを通して作り変えられるにしたがい、その関係性(が質転換するという)奇跡を目撃することになろう」。幻想世界で、あなたが同胞のパートナーと築いた特別な関係性は、実相世界の神聖な光に当たって質転換し、神聖な関係性に変身する。真実を信じる気持ちがその奇跡を生み出したのだ。



And there it is that you will realize that there is nothing faith cannot forgive.
  • realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
  • forgive [fə(r)gív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
❖ "And there it is that ~ "強調構文、「そして、その祭壇にあって、あなたは、信じる気持ちが赦すことの出来ないものなど何もないと知ることになるのだ」。幻想と実相の違いを知った今、あなたはすべての幻想を、それは単なる夢に過ぎなかったとして、赦し去ることが出来るのである。これがACIMの赦しであり、贖罪である。



No error interferes with its calm sight, which brings the miracle with equal ease to all of them.
  • error [érə(r)] : 「誤り、間違い、ミス」
  • interfere [ìntə(r)fíə(r] : 「邪魔をする、妨げる、遅らせる、干渉する」
  • interfere with : 「〜を妨げる、〜を邪魔する、〜に干渉する」
  • calm [kɑ́ːm] : 「穏やかな、静かな、無風の、冷静な、穏和な」
  • sight [sáit] : 「視界、景色、光景」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜を連れて来る」
  • equal [íːkw(ə)l] : 「同等の、程度が等しい、均等な、平等な」
  • ease [íːz] : 「容易さ、たやすさ、気楽さ、安心」
❖ "No error interferes ~ "「いかなる誤りも、その穏やかな光景の邪魔をすることはない」。誤りは幻想だから、すべて赦されて、もはや誤りに悩み苦しんで心を騒がしくすることはないのだ。"which brings ~ "「そして、(聖なる瞬間に包まれた神の祭壇の)穏やかな光景は、神の子すべてに対して、同等な容易さをもって、奇跡を運んできてくれる」。へたな訳で申し訳ない。聖なる瞬間は、そこに立ち合ったあなたにも同胞にも、誰彼区別することなく平等に、易々と奇跡を与えてくれる。幻想世界しか見えなかった目が開き、真実の世界が見えてくるという奇跡、そして、幻想世界の騒々しい音しか聞こえなかった耳に実相の風が通って、神の声、ホーリー・スピリットの声が聞こえてくる奇跡。その奇跡は、立ち合ったすべての神の子に平等に起きる。しかも、難なく簡単に奇跡は起きるのだ。奇跡に、難しさの序列のないことを思い出そう。



For what the messengers of love are sent to do they do, returning the glad tidings that it was done to you who stand together before the altar from which they were sent forth.
  • messenger [més(ə)n(d)ʒə(r)] : 「メッセンジャー、使者」
  • sent [sént] : 「send の過去・過去分詞形」
  • send [sénd] : 「〜を使いにやる、送る、派遣する」
  • return [ritə́ː(r)n] : 「〜を返す、戻す、返却する」
  • glad [glǽd] : 「満足して、うれしく思う、喜びの」
  • tiding [táidiŋ] : 「便り」
  • send forth : 「送り出す、発行する、派遣する」
❖ "For what the messengers ~ "「なぜなら、愛のメッセンジャーがそれを成すようにと送り出された、そのことを(使命を)、愛のメッセンジャーは成すからだ」。愛のメッセンジャーとは、ホーリー・スピリットのことと考えていいだろう。真実の愛を、愛をもって、伝えてくれる使者である。神の子が実相世界に目覚めるようにと、ホーリー・スピリットは、神からの使命を受けて神の子の元に遣わされた。その使命が今、聖なる瞬間に実現するのである。"returning the glad tidings ~ "分詞構文、単純接続、「そして、愛のメッセンジャーは、〜という嬉しい便りを(神へ)返信するのである」。"that it was done ~ "「ホーリー・スピリットが送り出されてきた祭壇の前で、同胞と一緒に立ったあなたに対して、その使命は果たされた」という嬉しい便りを、ホーリー・スピリットは神に返信するのである。神の住む実相世界から、我々の住む幻想世界へと、二つの世界が接する神の祭壇をくぐり抜けて、ホーリー・スピリットはこの世界にやって来たわけだ。神の子である我々を幻想から実相へと目を覚めさせ、天の王国へ回帰させるという使命を神から与えられたのだ。その使命が、今、この聖なる瞬間に実現するのである。喜ばしいことではないか。
 
 
 

T-19.I.11:1 ~ T-19.I.12:7

11. Faith is the gift of God, through him Whom God has given you.

  • faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること、信仰、信条、自信、信念、確信」
  • gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント」
  • through [θruː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
❖ "Faith is the gift ~ "「信じる気持ちは神からの贈り物であり、」"through him Whom ~ "「神があなたに遣わせたキリストを通して、信じる気持ちという贈り物は与えられるのだ」。真実や真理を信じて愛する気持ちが存在する場所が、あなたの心の中の最も神聖で純粋な部分である。そこにキリストが住んでいる。神があなたに遣わせたホーリー・スピリットである。また、真実や真理を信じ、愛する気持ちは、神があなたに継承した神の属性である。神からの贈り物とは、そういう意味である。



Faithlessness looks upon the Son of God, and judges him unworthy of forgiveness.
  • faithlessness [féiθlisnis] : 「不実さ、不誠実さ、信仰心のなさ」
  • judge [dʒʌ́dʒ] : 「判断する、裁定する」
  • unworthy [ʌnwə́ː(r)ði] : 「〜に値しない、値打ちのない」
  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
❖ "Faithlessness looks upon ~ "「信じる気持ちの欠如は、神の子を見て、赦しに値しないと判断する」。真実を信じようとしない気持ちは幻想に惑わされているので、神の子が神から分離した過去を赦すことが出来ないのだ。それが単なる神の子の思い込み、錯覚に過ぎないことを信じることが出来ないからだ。罪を赦すことが出来ないから、神の罰を信じてしまう。なんとも皮肉なものだ。神を恐れ、罰を信じるのは、真実を信じる気持ちの欠如である。



But through the eyes of faith, the Son of God is seen already forgiven, free of all the guilt he laid upon himself.
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに」
  • forgiven [fərɡívn] : 「forgive の過去分詞」
  • forgive [fə(r)gív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、」
  • laid [léid] : 「lay の過去・過去分詞形」
  • lay [léi] : 「〜を横たえる、〜を置く」
❖ "But through the eyes ~ "「しかし、信じる気持ちの目を通して見れば、」"the Son of God is ~ "「神の子はすでに赦されていると見える」。"free of all the guilt ~ "「神の子が自らに課した罪のすべてから自由だと見るのである」。真実を見る目をもって見れば、神の子が神から分離したことで自ら抱いた罪の意識は幻想だと分かるのである。幻想であり、存在していなかったのだから、罪は赦されているのだ。ACIMが使用する「赦す(forgive)」という言葉は、「幻想であると見抜いて、受け流してしまう」という意味合いをもつ。存在しなかったのだから、取っ組み合いをする必要がないのだ。それが、赦すということ。



Faith sees him only now because it looks not to the past to judge him, but would see in him only what it would see in you.
  • look to : 「〜に目をやる、〜に目を配る、〜を目指す」
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
❖ "Faith sees him only ~ "「信じる気持ちは、今の神の子だけを見る」。"because it looks not to ~ "「なぜなら、信じる気持ちは、神の子を判断するために過去を見るようなことはしないからだ」。信じる気持ちは、過去が幻想であると知っている。現在だけが存在している。もっと正確に言うなら、実相的には時間は存在していないのだ。"but would see in him ~ "「信じる気持ちは、あなたの心の中に見るものだけを、神の子の中に見ようとするからである」。あなたの信じる気持ちは、自分の中に真実を見ようとする。だから、神の子である同胞の中にも、真実を見ようとするのである。そして、幻想は幻想として、偽りは偽りとして、ただ消えるに任せるのだ。



It sees not through the body's eyes, nor looks to bodies for its justification.
  • justification [dʒʌ̀stəfikéi∫n] : 「正当化、正当とする理由」
❖ "It sees not through ~ "「信じる気持ちは、肉体の目を通してものを見ているのではない」。"nor looks to ~ "「ましてや、肉体を正当化しようとして肉体を見ることもない」。肉体は幻想であると理解しているから、幻想の目を通しては真実が見えて来ないことを知っているのだ。ましてや、肉体は実在なのだと証明しようとすることもない。



It is the messenger of the new perception, sent forth to gather witnesses unto its coming, and to return their messages to you.
  • messenger [més(ə)n(d)ʒə(r)] : 「メッセンジャー、使者」
  • perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
  • sent [sént] : 「send の過去・過去分詞形」
  • send forth [fɔ́ː(r)θ] : 「送り出す、発行する、派遣する」
  • gather[gǽðə(r)] : 「集める、拾い集める、かき集める、寄せ集める」
  • witness [wítnəs] : 「目撃者、証人、参考人、証拠、証言」
  • return [ritə́ː(r)n] : 「〜を返す、戻す、返却する」
  • message [mésidʒ] : 「伝言、メッセージ、通報」
❖ "It is the messenger of ~ "「信じる気持ちは、新しい知覚のメッセンジャーである」。肉体的な知覚に依存しない新しい知覚、いわば心の知覚を、信じる心はあなたに教えてくれる。つまり、信じる気持ちを持ってものをみれば、全く新しい風景が見えてくるのだ。実相的知覚をあなたに伝えてくれる使者が、あなたの信じる気持ちだというわけである。"sent forth to gather ~ "「新しい知覚を伝えてくれるメッセンジャーは、その到来を証言する証人を集めるために送られてきた」。"and to return their ~ "「そして、証言者のメッセージ(証言)をあなたに伝えるために、メッセンジャーは送られて来たのである」。難解な箇所である。あまり細部にこだわらず、大まかに捉えることにしよう。信じる気持ちは新しい知覚、新しいものの見方、新しい風景をあなたにもたらす。実相世界の叡智(knowledge)の到来を予告しているのである。つまり、新しい知覚、新しい風景が、叡智の到来を証言する証人といういうわけである。その証言を集めるために、あなたは信じる気持ちをもってものを見るのである。そして、信じる気持ちをもってものを見れば、確かに、叡智の到来を予告するような風景があなたに返されてくるのだ。



12. Faith is as easily exchanged for knowledge as is the real world.
  • easily [íːz(ə)li] : 「容易に、たやすく、安易に、簡単に」
  • exchange [ikst∫éin(d)ʒ] : 「〜を交換する」
  • knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵、知見」
  • real [ríː(ə)l] : 「実在的な、現実の、実際の、本物の」
❖ "Faith is as easily ~ "「信じる気持ちは、(幻想世界が)容易に実相世界に置き換えることが出来るように、たやすく叡智へと置き換わるのである」。信じる気持ちは新しい知覚をもたらす。信じる気持ちをもってものを見れば、まったく新しい風景が見えてくるのだ。この、知覚の変革が、実相世界の叡智へとつながっていくのである。それは、ちょうど、幻想世界から実相世界への目覚めと歩調を同じくする。どちらも、実は極く自然な移行であって、難しい大逆転劇を演じなくてはならないわけではないのだ。



For faith arises from the Holy Spirit's perception, and is the sign you share it with him.
  • arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる、生まれる、発生する」
  • perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
  • sign [sáin] : 「表れ、兆し、兆候、印、標示、サイン」
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
❖ "For faith arises ~ "「なぜなら、信じる気持ちは、ホーリー・スピリットの知覚から発生するのであり、」"and is the sign ~ "「あなたがその知覚をホーリー・スピリットと分かち合っている印であるからだ」。あなたの心の最も神聖で純粋な部分から、信じる気持ちは生まれる。そこに、ホーリー・スピリットが住んでいて、ホーリー・スピリットの知覚があなたに乗り移ると考えていいだろう。むしろ、本来の知覚に回帰すると言った方がいいか。実相的知覚をホーリー・スピリットと分かち合うのである。



Faith is a gift you offer to the Son of God through him, and wholly acceptable to his Father as to him.
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • wholly [hóu(l)li] : 「完全に、全く、全体として、全体的に」
  • acceptable [əkséptəbl] : 「受け入れることができる、受諾できる、喜ばれる、満足な、期待に沿う」
❖ "Faith is a gift you ~ "「信じる気持ちは、あなたがホーリー・スピリットを通じて神の子に捧げる贈り物である」。ホーリー・スピリットと分かち合う知覚をもって、あなたは神の子である同胞を見るのである。そして、あなたは信じる気持ちを同胞に対して抱く。"and wholly acceptable ~ "「そして、信じる気持ちは、ホーリー・スピリットに快く受け入れられると同時に、父なる神もまた、完全に受け入れるのだ」。信じる気持ちは真実であり、愛であるから、ホーリー・スピリットも神も、喜びをもって、あなたの信じる気持ちを受け入れてくれる。その信じる気持ちを、今度は、あなたの同胞に捧げるのだ。分かち合うとは、こういうことなのである。



And therefore offered you. Your holy relationship, with its new purpose, offers you faith to give unto your brother.
  • therefore [ðéə(r)fɔ̀ː(r)] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
❖ "And therefore ~ "「したがって、信じる気持ちは、あなたにも捧げられるのだ」。実相世界では、与えることと得ることは同じである。あなたが同胞に信じる気持ちを捧げることは、あなたが同胞から信じる気持ちを受け取ることと同等である。もちろん、あなたと同胞は自他一如であるからだ。"Your holy relationship ~ "「新しい目的をもった、あなたの聖なる関係性は、あなたの同胞に与えるために、あなたに信じる気持ちを捧げるのだ」。意味がとりにくい部分である。あなたはホーリー・スピリットや神との間で神聖な関係性を築く。その関係性のもつ、新たな目的とは、心の融合である。その目的を果たすために、神聖な関係性はあなたに信じる気持ちを生み出させる。心を信じる気持ちが生まれるのだ。それは、あなた一人にとどまることはなく、あなたの同胞にも、同様の、心を信じる気持ちを抱かせるのである。いわば、神の子全体に、信じる気持ちを抱かせるために、神聖な関係性はあなたに信じる気持ちを捧げるのだ。こうして、信じる気持ちが分かち合われ、信じられた心は、つまり、愛された心は、ホーリー・スピリットや神を巻き込んで融合していく。三位一体へ向かうのである。



Your faithlessness has driven you apart, and so you do not recognize salvation in each other.
  • driven [drívn] : 「drive の過去分詞」
  • drive [dráiv] [SVOC] : 「〜の状態へ追いやる、〜の状態にする」
  • apart [əpɑ́ː(r)t] : 「離れて、離ればなれで、バラバラに、別々に」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • salvation [sælvéi∫n] : 「救出、救済、救い、救世」
  • each other : 「お互い」
❖ "Your faithlessness has ~ "「あなたの、信じる気持ちの欠如は、あなたを分離の状態へ追いやる」。信じる気持ちの欠如は、ホーリー・スピリットや同胞と結合するのではなく、逆に、分離し孤立化する方向にあなたを追いやる。"and so you do not ~ "「したがって、あなたは、お互いの中に救いを認識することが出来なくなるのだ」。お互いに心を信じ合えるなら、新しい知覚によって真実が見えるようになり、幻想から目覚めて実相に回帰するという救いは実現出来るだろう。しかし、そもそも、心の存在を信じられないなら、その救いも期待出来まい。信じる気持ちがないなら、同胞の姿を見て、同胞共々、幻想世界から救われたい気持ちにはなるまい。



Yet faith unites you in the holiness you see, not through the body's eyes, but in the sight of him Who joined you, and in Whom you are united.
  • unite [junáit] : 「〜を結合させる、一つにする、結び付ける」
  • holiness [hóulinəs] : 「神聖、高潔」
  • sight [sáit] : 「視覚、視力、視界、景色、光景」
❖ "Yet faith unites ~ "「しかし、信じる気持ちは、肉体の目を通すのではなく、あなたが(心の目を通して)見る神聖さの中で、あなたを結びつけるのだ」。あなたの信じる気持ちも神聖なら、あなたの心も神聖である。その心に住むホーリー・スピリットも、もちろん、神聖である。そういう神聖さの中で、つまり、神聖な関係性の中で、あなたはホーリー・スピリットと結びつき、また同胞の神聖な心と結びついていくのである。"but in the sight of him ~ "「(肉体の目を通すのではなく) あなたを結びつけたホーリー・スピリットの視点から見えてくる神聖さの中で、あなたは結合するのである」。"and in Whom you ~ "「そのホーリー・スピリットと、あなたは結合したのである」。真実を信じる気持ちが、あなたとホーリー・スピリットを強く結びつける。結びつくことで、ホーリー・スピリットの知覚があなたの知覚になるのだ。そのホーリー・スピリットの知覚から見えてくる神聖さの中で、あなたは、ホーリー・スピリットのみならず、あなたの同胞達の心とも結合していく。こうして、信じる気持ちは分かち合われ、新しい知覚が分かち合われ、そして、神聖さが分かち合われていくのである。こうしてみると、分かち合うことと結合することは、ほぼ同じことを意味していることが分かってくる。愛が分かち合われることで結合を促し、真実が分かち合われて結合を促進する、その理由がここにある。
 
 
 

T-19.I.9:1 ~ T-19.I.10:6

9. To have faith is to heal. It is the sign that you have accepted the Atonement for yourself, and would therefore share it.

  • faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること、信仰、信条、自信、信念、確信」
  • heal [híːl] : 「癒える、治る、治す、治癒する、治療する」
  • sign [sáin] : 「表れ、兆し、兆候、印、標示、サイン、標識」
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • atonement [ətóunmənt] : 「贖罪、罪滅ぼし、償い、補償」
  • therefore [ðéə(r)fɔ̀ː(r)] : 「それ故に、そのために、従って」
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
❖ "To have faith ~ "「信じる気持ちを持つということは、ヒーリングすることである」。"heal"を自動詞ととらえて、「信じる気持ちを持つということは、癒されるということである」と捉えてもいいだろう。もともと、ヒーリングすることとヒーリングされることは同じことなのである。実相世界では、与えることと得ることは同じであることを思い出そう。"It is the sign that ~ "「それは、あなた自身のために贖罪を受け入れたことの印であり、」"and would therefore ~ "「したがって、あなたが贖罪を分かち合いたいと思っていることの印である」。信じる気持ちを持つということは、幻想を排除し、真実を受け入れる心を持つということである。過去においてあなたが抱(いだ)いてしまった罪の意識は幻想であると認識し、罪の意識から解放されるのである。これが、ACIMの贖罪である。しかも、自分の贖罪は自分だけにとどまることはない。他者の罪をも幻想として受け入れるのだから、他者の贖罪へも関与するのだ。こうして、あなたは同胞と贖罪を分かち合うことになる。



By faith, you offer the gift of freedom from the past, which you received.
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント」
  • freedom [fríːdəm] : 「自由、解放、自主、独立」
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する、入手する」
❖ "By faith, you offer ~ "「信じる気持ちによって、あなたは、過去からの解放という贈り物を差し出すのである」。過去に抱いた罪の意識は幻想であると認識して、過去から解放されるのである。また、他者の過去も幻想と認識して、他者を過去から解放するのだ。"which you ~ "「そして、その贈り物は、あなたが受け取ったものでもあるのだ」。実は、過去からの解放という贈り物は、あなたが単独で作ったものではなく、すでにアセンションした先達の同胞から受け継いだものである。簡単に言えば、贖罪という贈り物は、ホーリー・スピリットを通して、あなたが受け取ったものなのである。だからこそ、今度はあなたが贖罪と解放という贈り物を、他の同胞達へ分け与えなくてはならない。実相世界の基本は、分かち合いである。それを忘れてはいけない。



You do not use anything your brother has done before to condemn him now.
  • done [dʌ́n] : 「do の過去分詞
  • condemn [kəndém] : 「〜を非難する、責める、罵倒する」
❖ "You do not use ~ "「あなたは、あなたの同胞が過去になしたことを、今となって彼を非難するために使うことは出来ない」。あなたの信じる気持ちが、過去は幻想と認め、同胞を過去から解放したのだから、今さら、過去の行いを持ち出して同胞を非難することは出来ないのだ。出来ないというより、非難したいという気持ち自体が自然に消滅してしまうのだろう。実相世界には「非難」という概念はないからだ。



You freely choose to overlook his errors, looking past all barriers between yourself and him, and seeing them as one.
  • freely [fríːli] : 「自由に、のびのびと」
  • choose [t∫úːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • overlook [òuvə(r)lúk] : 「見て見ぬふりをする、見過ごす、大目に見る、許す、目をつぶる」
  • error [érə(r)] : 「誤り、間違い、ミス」
  • past [pǽst] : 「過ぎて、通り越えて、通り越して」
  • barrier [bǽriə(r)] : 「障害物、障壁、バリア」
  • between A and B : 「AとBの間の」
❖ "You freely choose ~ "「あなたは自由な気持ちをもって、同胞の過ちを見過ごすことを選択する」。幻想に過ぎないことを、取り立ててとやかく言うことはない。"looking past all barriers ~ "分詞構文、単純接続、「そして、あなたと同胞の間にあるバリアーをすり抜けて見ることが出来、あなたも彼も、誰もが単一であると見えてくるのである」。見かけ上は肉体というバリアーによって分離はしているが、信じる気持ちがそのバリアーを越えて同胞の心を見るとき、自分の心も他者の心も、神の子の心として単一であると分かってくる。分離という幻想が融けてくるのだ。同時に、心は再統一していく。



And in that one you see your faith is fully justified. There is no justification for faithlessness, but faith is always justified.
  • fully [fúli] : 「十分に、完全に、全く、すっかり、全体に」
  • justify [dʒʌ́stəfài] : 「弁明する、正当化する」
  • justification [dʒʌ̀stəfikéi∫n] : 「正当化、正当とする理由」
  • faithlessness [féiθlisnis] : 「不実さ、不誠実さ、信仰心のなさ」
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「常に、いつも」
❖ "And in that one ~ "「そして、この単一性の中で、あなたは、あなたの信じる気持ちが完全に正しかったのだ分かるのである」。心と心が結合し、単一の心となるとき、あなたが信じていた心の実在性、そして、肉体の幻想性が、正しい認識だったと理解出来るようになる。"There is no justification ~ "「信じる気持ちの欠如には、正当性の証明が訪れることはない」。"but faith is ~ "「しかし、信じる気持ちは、常に、正しいとわかるのである」。真実は、自らその姿を現すものだ。信じる気持ちは真実であるから、それは自ら正当であることを表現するのである。しかし、これを自己正当化と混同してはならない。真実の自己表現自体が、自分が正しいことを語っているのだ。



10. Faith is the opposite of fear, as much a part of love as fear is of attack. Faith is the acknowledgment of union.
  • opposite [ɑ́pəzit] : 「正反対の、逆の、あべこべの、対照的な」
  • fear [fíə(r)] : 「恐れ、恐怖」
  • as much : 「ちょうどそれだけ、等しい、等しく」
  • as much A as B : 「Bと同じくらいに A、Bと同じ量のA、Bするだけの量のA」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
  • acknowledgment [æknάlidʒmənt] : 「認めること、承認、認識、受領確認、認知、自認」
  • union [júːnjən] : 「結合、合併、融合、団結」
❖ "Faith is the opposite ~ "「信じる気持ちは、恐れる気持ちと正反対である」。信じる気持ちに疑いはないから、恐れもない。"as much a part of love ~ "「それは、攻撃にとって恐れがその一部であると同じように、信じる気持ちは愛の気持ちの一部なのだ」。攻撃と恐れは表裏一体である。恐ろしいから攻撃するのだ。同様に、信じる気持ちと愛は表裏一体。愛する気持ちがあればこそ、信じるのである。親が我が子を100%信じることを考えれば、その気持ちの裏側に、確かな愛があることがわかるだろう。そのことである。"Faith is the acknowledgment ~ "「信じる気持ちは、結合の受け入れなのである」。他者の心の実在を信じることは、他者を愛しているがゆえである。あなたと同胞は、信じ合うことで愛し合い、心が結合していくのである。その心の結合を、あなたも同胞も受け入れるのだ。



It is the gracious acknowledgment of everyone as a Son of your most loving Father, loved by him like you, and therefore loved by you as yourself.
  • gracious [gréi∫əs] : 「恵み深い、慈悲深い、優しい、上品な、優雅な」
❖ "It is the gracious acknowledgment ~ "「愛によって信じるとは、あなたの最愛の父なる神の、その神の子として、すべての者達を丁重に受け入れることである」。"loved by him ~ "分詞構文、理由、「なぜなら、彼らはあなたと同様に神に愛されているからであり、」"and therefore loved ~ "「そして、あなた自身を愛するように、あなたによって愛されているからだ」。だんだん、あなたと同胞の区別がつかなくなって来ているのが分かると思う。神にとって、あなたも同胞も、共に同じ神の子として同一なのだ。したがって、神の愛によって愛されるあなたも同胞も、互いに自分たちが同じ存在であることが分かってくるのだ。分離が解消してく過程である。つまり、愛が分離を解消し、同一の単一存在として融合していくのである。



It is his love that joins you, and for his Love you would keep no one separate from yours.
  • join [dʒɔ́in] : 「結び付ける、結合する、連結する、合わせる、つなぐ」
  • separate [sép(ə)rət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別の」
❖ "It is his love that ~ "「あなたと同胞を結びつけるものは、神の愛である」。あなたと同胞を結びつけるとは、絆を結ぶという範疇にとどまることなく、正に単一、単体として融合することを意味する。"and for his Love ~ "「そして、神の愛ゆえに、あなたは、誰一人として、あなたの愛から遠ざけようなどとしないのだ」。神の愛を信じているから、あなたはあなたの愛も神の愛と同じでなければならないと知るのだ。だから、あなたも、神と同じように、すべての同胞に惜しみなく愛を注ぐことになる。それが、一番自然なことだからである。




Each one appears just as he is perceived in the holy instant, united in your purpose to be released from guilt.
  • each one : 「各自」
  • appear [əpíə(r)] : 「〜のように見える、〜と思われる」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • unite [junáit] : 「〜を結合させる、一つにする、結び付ける」
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • release [rilíːs] : 「解放する、自由にする、放つ、離す」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
❖ "Each one appears just ~ "「誰もが一人一人、ちょうど、聖なる瞬間に知覚されたように見えるのだ」。愛を分かち合う姿は、幻想世界から実相世界へと目覚める聖なる瞬間における姿にそっくりだ。真実に触れた者の表情は、誰もが一緒なのだ。純粋で神聖である。"united in your purpose ~ "分詞構文、理由、「罪の意識から解放されるという、あなたの目的において結ばれたのであるから」。罪の意識を幻想として受け入れ、贖罪を果たして、過去から解放されるという、あなたの目的に、みんなが賛同するのである。その目的下に、あなたと同胞達は団結し、そして心を融合させていく。その表情は晴れやかであり、聖なる瞬間の、その表情と同じだ。



You see the Christ in him, and he is healed because you look on what makes faith forever justified in everyone.
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること、信仰、信条、自信、信念」
  • justify [dʒʌ́stəfài] : 「弁明する、正当化する」
❖ "You see the Christ ~ "「あなたは、同胞の中にキリストを見る」。もちろん、それは同胞の姿でもあり、同胞という鏡に映ったあなた自身の姿でもある。"and he is healed ~ "「同胞はヒールされるのである」。"because you look on ~ "「なぜなら、あなたは、信じる気持ちを、誰もの中で、永遠に正当とするものを見ているからである」。さて、何を言おうとしているのだろう? "what makes faith forever ~ "ここは「キリスト」のことである。つまり、あなたはキリストを、誰もの心の中に見えるようになったのである。つまり、正しい姿を見ることが出来るようになったので、あなたが正しい心を受け入れた、その相手の心はヒールされるのだ。では、キリストを説明している"what makes faith forever ~ "はどういう意味だろう。すべての人たちの心の中にあって、信じる気持ちが永遠に正当であると証言してくれる人、といった意味合いであろう。真実の証言者として、キリストは誰もの心の中に住んでいるのだ。あなたの心の中の、最も神聖で最も純粋な部分にホーリー・スピリットは住んでおり、同時にキリストも住んでいる。キリストとホーリー・スピリットを同一と考えても、別個のものと考えてもいい。所詮、実相世界ではすべてが単一存在に収斂するので、ホーリー・スピリットもキリストも、神の子も神も、究極、一なる存在に行き着くのだ。「神あり」、ただそれだけの世界である。一元論世界の必然である。
 
 
 

T-19.I.7:1 ~ T-19.I.8:3

7. Truth and illusion have no connection. This will remain forever true, however much you seek to connect them.

  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • connection [kənék∫n] : 「つながり、連結、結合、関係、関連」
  • have no connection : 「無関係である」
  • remain [riméin] [SVC] : 「依然として〜のままである
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の、実際どおりの」
  • however [hauévə(r)] : 「けれども、しかしながら、また一方」
  • however much : 「〜だけれども」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • seek to : 「〜しようとする」
  • connect [kənékt] : 「〜をつなぐ、接続する、〜を関係させる」
❖ "Truth and illusion ~ "「真実と幻想は、まったく関係を持たない」。"This will remain forever ~ "「これは、永遠に本当である」。"however much you ~ "「たとえ、あなたが真実と幻想を繋(つな)げようとしても」。真実は実相的な実在であり、幻想は非実在である。結合させようにもレベルが全く異なるのだ。



But illusions are always connected, as is truth. Each is united, a complete thought system, but totally disconnected to each other.
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「いつも、常に」
  • unite [junáit] : 「〜を結合させる、一つにする、結び付ける」
  • complete [kəmplíːt] : 「全部そろった、完全な、全部の、完結した」
  • thought system : 「思考システム」
  • totally [tóut(ə)li] : 「全体的に、全体として、すっかり、全く、完全に」
  • disconnect [dìskənékt] : 「〜との接続を切る、〜の電源を切る、連絡を断つ」
  • each other : 「お互いに」
❖ "But illusions are ~ "「しかし、幻想同士は常に結ばれており、真実同士も常に結ばれている」。"Each is united ~ "「(幻想は幻想同士で、真実は真実同士で) 互いに結ばれており、完璧な思考システム形作っている」。エゴの思考システム(幻想)とホーリー・スピリットの思考システム(真実)を思い浮かべればいいだろう。"but totally disconnected ~ "「しかし、(幻想と真実同士は)互いに、完全に関係が絶たれている」。



And to perceive this is to recognize where separation is, and where it must be healed.
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • separation [sèpəréi∫n] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
  • heal [híːl] : 「治す、治癒する、治療する、癒やす、救う」
❖ "And to perceive this ~ "「そして、このことを知覚することは、分離がどこにあるか、そして、どこがヒーリングされねばならないのか、認識することにつながる」。幻想と真実をきちんと峻別して知ることによって、肉体が幻想であり、心が真実であると認識出来るようになる。そして、その肉体が心を分離させていること、そして、分離した心をヒーリングしなければならないことが分かってくるのである。



The result of an idea is never separate from its source.
  • result [rizʌ́lt] : 「結果、結末、成り行き、効果、成果、成績」
  • separate [sépərèit] from : 「〜から離れる、〜から分離する、〜と別れる」
  • source [sɔ́ː(r)s] : 「もと、源、起点、原因、出所、出典」
❖ "The result of an idea ~ "「思考したことによる結果は、その思考の源から切り離せるものではない」。幻想的思考は幻想を生み、真実の思考は真実を生む。エゴの思考システムはエゴ的な幻想を結果として生み、ホーリー・スピリットの思考システムは実相的な真実の結果を生む。



The idea of separation produced the body and remains connected to it, making it sick because of the mind's identification with it.
  • produce [prəd(j)úːs] : 「〜を作り出す、生産する、産生する、引き起こす、〜を出現させる」
  • remain [riméin] [SVC] : 「依然として〜のままである」
  • make [SVOC] : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • sick [sík] : 「病気で、病気の、不健全な、調子が悪い」
  • because of : 「〜のために、〜のせいで」
  • identification [aidèntəfikéi∫n] : 「同一化、同定、同一であることの確認」
❖ "The idea of separation ~ "「分離という思考は肉体を生み出し、」つまり、分離という幻想の思考は肉体という幻想を生んだのだ。"and remains connected ~ "「分離という考えは、肉体に結びついたままなのだ」。つまり、肉体は分離の象徴として幻想的世界に存在している。"making it sick ~ "分詞構文、単純接続、「そして、分離という考えは、心は肉体と同一だと思うことで、肉体を病気にするのである」。心は、本当は分離すべきものではない。心は、本来単一の存在であった。神の子が神から分離した後、心は散り散りに分裂したのである。そして、その分裂した心を個々の肉体の中に閉じこめたのだ。したがって、肉体と同居して、あたかも肉体と同一体と見なされる分離した心は、それだけの理由によっても歪んでいるのである。この心の歪みが病を生み出し、肉体を病ませる。



You think you are protecting the body by hiding this connection, for this concealment seems to keep your identification safe from the "attack" of truth.
  • protect [prətékt] : 「保護する、守る、防御する」
  • hide [háid] : 「隠す、隠蔽する、秘密にする」
  • connection [kənék∫n] : 「関係、関連、交際、つながり、連結」
  • concealment [kənsíːlmənt] : 「隠すこと、隠匿」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "You think you are ~ "「あなたは、この分離と肉体の繋がりを隠すことで、肉体を守っていると思っている」。肉体は決して分離の象徴などではなく、存在の独立性を象徴しているのだと、あなたは考えている。肉体の存在を養護し、守っているのである。しかし、それによって心は極度に歪み、悲痛な叫びとして肉体に病を発症させるのだ。"for this concealment ~ "「なぜならば、この分離と肉体の繋がりは、あなたが自分を肉体だと思っていることを、真実の『攻撃』から安全に守っているのであるから」。真実はあなたに、あなたの実在は肉体ではなくその心だと主張する(攻撃する)。しかし、あなたは頑(かたく)なに、その真実の主張に反論して、独立した存在の肉体こそが自分であると守りに入る。その守りの基盤は、肉体が分離の象徴として、心をも分離させているという事実である。つまり、肉体は分離ではなく独立だといくら主張しても、肉体と分離は一体であり、肉体を真実であると考える以上は分離の存在も事実であると認めたことになるのだ。結局、肉体の幻想性を見抜くことがなければ、肉体や心の分離は解消しないのであって、心のヒーリングは肉体の幻想性の認識にかかっている。しかし、あなたはどうしても肉体を手放そうとはしない。自分は肉体をもった実在であると言う。それは、自分が分離した存在であることを受け入れたことなのだと理解出来ないのだ。



8. If you but understood how much this strange concealment has hurt your mind, and how confused your own identification has become because of it!
  • understood [ʌ̀ndə(r)stúd] : 「understand の過去・過去分詞形」
  • understand [ʌ̀ndə(r)stǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
  • strange [stréin(d)ʒ] : 「奇妙な、変わった、変な」
  • concealment [kənsíːlmənt] : 「隠すこと、隠匿」
  • hurt [hə́ː(r)t] : 「〜を傷つける、〜に苦痛を与える」
  • confuse [kənfjúːz] : 「混同する、混乱させる、困惑させる」
  • confused : 「困惑した、混乱した、頭が混乱した」
  • identification [aidèntəfikéi∫n] : 「同一化、同定、同一であることの確認」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
❖ "If you but understood ~ "仮定法過去、「もし、あなたが、この奇妙な隠蔽がどんなにあなたの心を傷つけているか、理解出来たとしたら、」"and how confused your ~ "「そして、あなた自身の同一化が、そのせいで、どんなに混乱しているか、理解出来たとしたら、」どんなにあなたは楽になることだろう。肉体と分離が関連し合っていることを隠さずに認め、そのために、あなたが肉体と自分を同一化していることで、心に混乱を来していることが理解出来たなら、あなたは肉体の幻想性を見極めて、心の実在性を認識することが出来るのだが・・・。しかし、現実は、あなたは、まだその地平に達していない。



You do not see how great the devastation wrought by your faithlessness, for faithlessness is an attack that seems to be justified by its results.
  • great [gréit] : 「大きい、大きな、巨大な」
  • devastation [dèvəstéiʃən] : 「徹底的な破壊、荒らすこと、荒廃、廃墟」
  • wrought [rɔ́ːt] : 「work の過去・過去分詞形」
  • faithlessness [féiθlisnis] : 「不実さ、不誠実さ、信仰心のなさ」
  • justify [dʒʌ́stəfài] : 「弁明する、正当化する、正当だと証明する」
  • result [rizʌ́lt] : 「結果、結末、成り行き、効果、成果、成績」
❖ "You do not see how ~ "「あなたは、あなたの信じる気持ちの欠如によって引き起こされた(心の)荒廃が、いかに大きいか、分かっていない」。幻想の肉体に目を奪われるあまり、心の実在性を信じきれないことが、あなたの心を荒廃させている。心が病んでいるのだ。"for faithlessness is ~ "「なぜなら、信じる気持ちの欠如は、攻撃の結果によって正当化されたかに見える、その攻撃なのだから」。ここの攻撃は、真実に対する攻撃だと見ていいだろう。肉体が幻想であり、心が実在であると信じられない気持ちは、つまり、真実を信じられない気持ちは、次のように言うだろう。肉体が痛みを感じ、傷つくのは肉体であり、病に侵されるのも肉体である。だから、肉体が実在なのであって、心はその肉体の頭脳が作り出す幻想に過ぎないのだ。肉体が抱え込む結果がすべてを証明しているではないか。信じる気持ちの欠如は、こう言って、真実を攻撃するだろう。この批判(攻撃)は、批判自体を正当化しているだけであって、批判が真実であることを証明しているのではない。たとえば、赤いリンゴを見て、青ではなく赤く見えるからリンゴは赤いのだ、と主張しているようなものなのだ。なぜ赤く見えるのか、赤を認識している知覚は正当なのか、その議論は一切なされていなのである。



For by withholding faith you see what is unworthy of it, and cannot look beyond the barrier to what is joined with you.
  • withhold [wiðhóuld] : 「〜を抑える、差し控える、保留する、引き留める」
  • faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること、信仰、信条」
  • unworthy [ʌnwə́ː(r)ði] : 「〜に値しない、値打ちのない、〜に合わない、〜にふさわしくない」
  • beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて」
  • barrier [bǽriə(r)] : 「障害物、障壁、バリア、柵、垣根、フェンス」
  • join [dʒɔ́in] : 「結合する、連結する、合わせる、つなぐ」
❖ "For by withholding faith ~ "「なぜなら、信じる気持ちを抑え込むことで、あなたは信じるに値しないものを見ているのだから」。心の実在性を信じる気持ちを抑圧することで、心の存在から目をそらし、信じるに値しない幻想の肉体しか目にしないのだ。"and cannot look beyond ~ "「その結果、あなたは、あなたと結合しているものとへのバリアーを越えて、ものを見ることが出来ないのである」。肉体は分離し孤立しているが、実在の心は実相世界につながって、そこに存在する心と強く結びついている。肉体はその世界との境界に築かれた障害物(バリアー)である。あなたは、信じる気持ちの欠如ゆえに、そのバリアーを越えた向こうの、実相世界が見えないのである。天の王国が見えないのだ。次のような議論を、あなたはどう思われるだろう? この宇宙は確かに存在している。その宇宙の果ての向こうは何か? 何かが存在しているなら、それは宇宙の続きだから、この宇宙に含めてしまえばいい。したがって、宇宙の果ての向こうには何も存在していない。よって、この宇宙は唯一の宇宙である。一見、正しそうな議論であるが、真実ではない。この議論は何も証明してはいないのだ。案の定、現代物理学は、こんな議論を一蹴する。平行宇宙論、双子の宇宙、母宇宙、子宇宙、孫宇宙、等々のアイディアが続出してきて、我々の住む宇宙が唯一ではないことが常識になりつつあるのだ。あるいは、真空。真空とは何もない空間である。何もないから真空という。だから、真空は絶対的に静的な世界だ。この議論も誤りだ。不確定性原理によって、非常に短時間であれは、エネルギーは膨大なものとなる。真空は、物質が生まれては消えるという、いわば粒子がふつふつと沸き立っては消える、動的な世界なのである。肉体は実在すると考えるあなたは、もう一度心を静めて、心の声を聞いてみるべきではないだろうか。
 
 
 

T-19.I.5:1 ~ T-19.I.6:7

5. It cannot be difficult to realize that faith must be the opposite of faithlessness.

  • difficult [dífikʌ̀lt] : 「難しい、困難な、難解な、厳しい」
  • realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
  • faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること、自信、信念、確信」
  • opposite [ɑ́pəzit] : 「反対、逆の物、反対の物、正反対の、逆の」
  • faithlessness [féiθlis] : 「不実さ、不誠実さ、信仰心のなさ」
❖ "It cannot be difficult ~ "ここは"It ~ that ~ "の構文、「信じる気持ちとは、信じる気持ちのないことの正反対であるに違いないと、認識するのに困難はない」。まあ、当たり前のことではある。



Yet the difference in how they operate is less apparent, though it follows directly from the fundamental difference in what they are.
  • difference [díf(ə)r(ə)ns] : 「違い、差異、相違」
  • operate [ɑ́p(ə)rèit] : 「動作する、作動する、機能する、作用する」
  • less [lés] : 「より少なく」
  • apparent [əpǽr(ə)nt] : 「明らかな、明白な、はっきり見える」
  • though [ðóu] : 「〜にもかかわらず、たとえ〜でも、〜とはいえ」
  • follow [fɑ́lou] : 「次に起こる、〜に続く」
  • follow from : 「〜に続いて起こる、〜から得られる」
  • directly [dəréktli] : 「直接に、真っすぐに、そのまま」
  • fundamental [fʌ̀ndəméntl] : 「基本となる、基本の、基礎の、基本的な」
❖ "Yet the difference ~ "「しかし、両者の機能に関する違いは、そんなに明白ではない」。"though it follows directly ~ "「両者の機能は、そのもの自体の基本的な違いから直接生まれるのにもかかわらず」。信じる気持ちと信じる気持ちのないことの両者は、正反対のことであり、その出所が基本的な違いのすべてであるにも関わらず、両者がどのように機能しているかという具体的な面での違いは、意外に明白ではない。つまり、信じる気持ちがないことは、巧妙にその姿を隠し、裏に回って、いろいろな悪さを働いているのだ。あなたは、なかなかそれに気付かない。気付かない分だけ、両者の機能面での違いは、あなたには曖昧なものとして映るのである。



Faithlessness would always limit and attack; faith would remove all limitations and make whole.
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「いつも、常に」
  • limit [límit] : 「限定する、制限する、制限をかける」
  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
  • remove [rimúːv] : 「取り除く、取り去る、取り外す、除去する」
  • limitation [lìmitéi∫n] : 「制限、極限、限定」
  • make [SVOC] : 「を〜の状態にする、〜にする」
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
❖ "Faithlessness would ~ "「信じる気持ちの欠如は、常に制限をし、攻撃する」。他者を信じることが出来ないので、他者が肉体を越えた存在であることに制限を掛け、肉体を標的として攻撃をする。一方、"faith would remove ~ "「信じる気持ちは、制限を取り除き、(その存在を)完全なものとする」。人は肉体に制限されるものではないと信じているので、心を肉体から解放し、その心を実相的に完全な状態へ戻してくれる。



Faithlessness would interpose illusions between the Son of God and his Creator; faith would remove all obstacles that seem to rise between them.
  • interpose [ìntə(r)póuz] : 「差し挟む」
  • between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間に」
  • interpose A between B and C : 「BとCとの間にAを置く」
  • creator [kriéitər] : 「創造者、創作者、創設者」
  • obstacle [ɑ́bstəkl] : 「障害物、妨害物、邪魔」
  • rise [ráiz] : 「立ち上がる、出てくる、発生する、生じる」
❖ "Faithlessness would ~ "「信じる気持ちの欠如は、神の子と創造主である神との間に、幻想を差し挟もうとする」。自分自身と実相世界との間に幻想世界を差し挟んで、目をくらますのだ。幻想世界を投射して偽創造し、実相世界に気付かないようにさせるのである。この世界がまさにそうだ。"faith would remove ~ "「信じる気持ちは、神の子と創造主である神との間に生じるように見える障害物のすべてを取り除こうとする」。実相世界の存在を信じる気持ちは、幻想世界によって真実が見えなくなった目を、覚醒させてくれるのだ。



Faithlessness is wholly dedicated to illusions; faith wholly to truth. Partial dedication is impossible.
  • wholly [hóu(l)li] : 「完全に、全く、全体として、全体的に」
  • dedicate [dédikèit] : 「〜をささげる、献身する」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • partial [pɑ́ː(r)∫l] : 「部分的な、一部の、一部分の」
  • dedication [dèdikéiʃən] : 「献身、専念、熱心さ、専心」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない、無理な」
❖ "Faithlessness is wholly ~ "「信じる気持ちの欠如は、100%、幻想に寄与する」。"faith wholly ~ "「信じる気持ちは、100%、真実に寄与する」。100%でなかったら? "Partial dedication ~ "「部分的に寄与することなど、不可能なのだ」。



Truth is the absence of illusion; illusion the absence of truth. Both cannot be together, nor perceived in the same place.
  • absence [ǽbs(ə)ns] : 「不足、欠乏、欠如」
  • together [təgéðə(r)] : 「一緒に、同時に」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • in the same place : 「同じ場所に」
❖ "Truth is the absence ~ "「真実とは、(100%)、幻想の存在しないことだ」。"illusion the absence ~ "「幻想とは、(100%)、真実の存在しないことだ」。"Both cannot ~ "「真実と幻想が一緒に存在することは不可能なのだ」。したがって、"nor perceived ~ "「一つ場所に、真実と幻想が(同時に)知覚されることも不可能だ」。絵に描いた餅をどんなに詳しく調べても、本物の餅が現れることはない。本物の餅をどんなに詳しく調べても、餅の描かれた絵が飛び出して来ることはない。



To dedicate yourself to both is to set up a goal forever impossible to attain, for part of it is sought through the body, thought of as a means for seeking out reality through attack.
  • both [bóuθ] : 「両方、双方」
  • set up : 「築く、設ける、打ち立てる、設ける、設定する」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • attain [ətéin] : 「達成する、実現する、成就する、成し遂げる」
  • part [pɑ́ː(r)t] : 「一部、部分」
  • sought [sɔ́ːt] : 「seek の過去・過去分詞形」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • through [θruː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
  • thought [θɔ́ːt] : 「think の過去・過去分詞形」
  • means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
  • seek out : 「〜を捜し出す、〜を追求する」
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
❖ "To dedicate yourself ~ "「あなた自身を、真実と幻想の両方に捧げようとすることは、永遠に達成不可能な目的を設定するようなものである」。"for part of it ~ "「なぜなら、その一方の目的は、肉体を通して追求されるからだ」。"thought of as a means ~ "分詞構文、先頭に"being"を補う、理由、「それは、攻撃を通して現実を追究する方法だと考えられているからだ」。幻想の自己実現は、他者を肉体ととらえ、その肉体を攻撃することで達成されると思い込んでいる。



The other part would heal, and therefore calls upon the mind and not the body.
  • other [ʌ́ðə(r)] : 「もう一方の、向こうの、ほかの、そのほかの」
  • heal [híːl] : 「治す、治癒する、治療する。癒やす、救う」
  • therefore [ðéə(r)fɔ̀ː(r)] : 「それ故に、そのために、従って」
  • call upon : 「求める、要求する、〜に頼む、訪ねる」
❖ "The other part ~ "「他方の目的は、心をヒーリングする」。真実は、心の歪み、つまり、心の幻想を取り除き、解放するのである。"and therefore calls ~ "「したがって、肉体ではなく、心を求めるのである」。ヒーリングの本当の姿である。



6. The inevitable compromise is the belief that the body must be healed, and not the mind.
  • inevitable [inévətəbl] : 「避けられない、当然の、必然的な、必然の」
  • compromise [kɑ́mprəmàiz] : 「譲歩、妥協、歩み寄り、和解」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条」
❖ 真実と幻想との間で、あなたは妥協せざるを得ないのだが、"The inevitable compromise ~ "「避けられない妥協は、肉体がヒーリングされるのであって、心がヒーリングされるのではないと信じてしまうことである」。この妥協を、ほとんどの一般人は真実と思っている。ヒーリングは肉体の癒しだと思って、疑うことすらしない。しかし、本当はそうではない。



For this divided goal has given both an equal reality, which could be possible only if the mind is limited to the body and divided into little parts of seeming wholeness, but without connection.
  • divide [diváid] : 「〜を分ける、分割する、〜を分裂させる」
  • divided : 「分けられた、分かれた、分割された、分裂した」
  • goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • equal [íːkw(ə)l] : 「同等の、程度が等しい、均等な、平等な」
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る」
  • limit [límit] : 「限定する、制限する、制限をかける、局限する」
  • seeming [síːmiŋ] : 「外観上の、外見だけの、見せかけの、うわべの」
  • wholeness [hóulnis] : 「全体、全体性」
  • connection [kənék∫n] : 「つながり、連結、結合、連絡、接続」
❖ "For this divided goal ~ "「なぜなら、(真実と幻想の間で)分裂した目的は、共に同等の現実味をもって与えられるからである」。あなたにとって、心の痛みも肉体の痛みも、同等に現実的な悩みである。したがって、心を癒したいという目的も、肉体の病を癒したいという目的も、あなたにとっては同等に現実的な重みを持っているのだ。"which could be ~ "「〜という場合だけに限って、このことは可能である」。"only if the mind is ~ "「心が肉体に限定され、見かけ上は完全であるかに見えるが、互いの連結を持たない、小さな部分に分割された場合に限って、」分裂した目的は共に同等の現実味をもって与えられる。本来、単一であった神の子の心は、神からの分離後、散り散りに分裂し、幻想した肉体の中に閉じこめられた。肉体も心も、一見、個人的な、完全な小宇宙を作って完璧には見えるのだが、同胞との間は断絶し、再び統一出来る状態ではない。そのような状態にあっては、肉体も心も、ともに同等な現実味をもって目に映り、ヒーリングは肉体に対して行われるものだと誤解してしまうのだ。



This will not harm the body, but it will keep the delusional thought system in the mind. Here, then, is healing needed.
  • harm [hɑ́ː(r)m] : 「害する、阻害する、〜に危害を加える、悪影響を与える」
  • delusional [dilúːʒənəl] : 「妄想の」
  • thought system : 「思考システム」
❖ もっとも、肉体をヒーリングしたいという思いは、"This will not ~ "「これは、肉体を害することはないであろう」。"but it will keep ~ "「しかし、それは、心の中に、妄想の思考システムを保持することとなろう」。実相の心を差し置いて、幻想の肉体を優先させることになるから、この思考システムは虚偽の思考システムであって、妄想の、つまり、エゴの思考システムである。"Here, then, is ~ "「したがって、この妄想の思考システムにこそ、ヒーリングが必要なのだ」。エゴの思考システムを取り消しにしなくてはならない。それが、ヒーリング。



And it is here that healing is. For God gave healing not apart from sickness, nor established remedy where sickness cannot be.
  • apart from : 「〜から離れて、〜は別として、〜はさておき」
  • sickness [síknəs] : 「病気」
  • establish [istǽbli∫] : 「確立する、達成する、樹立する」
  • remedy [rémədi] : 「治療、療法、医療、救済策、救済手段」
❖ "And it is here ~ "「そして、(実際)ヒーリングされる場所は、(確かに)妄想の思考システムなのである」。妄想の思考システムとは、簡単に言えば、病んだ心、心の歪み、ということになる。"For God gave healing ~ "「なぜなら、神は、病から離れたところにヒーリングを与えるようなことはしない」。病んでいるのは肉体ではなく、心なのだから、ホーリー・スピリット(神)は、心をヒーリングしようとするのである。なお、この文章は過去形になっているが、ACIMでは、あまり時制を気にしないこと。実相世界は無時間なので、神が神の子をヒーリングしたことは既成事実なのだ。だから、過去形で表現されている。もちろん、この世界では、まだそれは実現しておらず、あえて記述するなら未来形を使うことになる。"nor established remedy ~ "「そして、神は、病がありもしないところに、ヒーリングという療法を確立するわけもない」。ということは、実相世界にはヒーリングは不必要なので、存在しないのだ。ヒーリングがあるのは(神がヒーリングを与えたのは)、この病んだ幻想世界だけである。



They are together, and when they are seen together, all attempts to keep both truth and illusion in the mind, where both must be, are recognized as dedication to illusion; and given up when brought to truth, and seen as totally unreconcilable with truth, in any respect or in any way.
  • together [təgéðə(r)] : 「一緒に、同時に」
  • attempt [ətém(p)t] : 「試み、企て」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • dedication [dèdikéiʃən] : 「献身、専念、熱心さ、専心」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • give up : 「あきらめる、断念する、放棄する、中止する」
  • brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜を連れて来る」
  • totally [tóut(ə)li] : 「全体的に、全体として、すっかり、全く、完全に」
  • unreconcilable : 「= irreconcilable」
  • irreconcilable [irék(ə)nsàiləbl] : 「共存できない、一致しない、和解出来ない、相いれない、妥協できない」
  • respect [rispékt] : 「個所、事項、点、観点、視点」
  • in some respects : 「いくつかの点で」
  • in any way : 「何らか、多少なりとも、決して、形はどうあれ」
❖ "They are togetherb ~ "「心の病とヒーリングは、一緒である」。ワンセットで考えていい。"and when they ~ "「そして、心の病とヒーリングを一緒に見たとき、」つまり、心の病があるところにヒーリングがあり、心の病はヒーリングを通して癒されるべきだと信じたとき、"all attempts to keep both ~ "「心の中に真実と幻想の両方を保ち続けようとする試みは、」"where both must ~ "「(確かに今、)両者が心の中に存在しているに違いないのだが、」 "are recognized as dedication ~ "「その試みは、幻想に寄与するものとして認識されるのである」。非常に難しい言い回しをしている。あなたが心の病(実在の病)にこそヒーリングが必要なのだと考えるとき、真実も幻想も共に心の中に実在し、それを保持しようと思うことは、幻想にこそ有利であるが、真実には少しも寄与しない、と認識出来るのだ。"and given up when ~ "「そして、そんな試み(真実と幻想を共に心の中に保持しようという試み)が真実の元に持って来られ、どこから見ても、どんな方法をとろうと、決して真実と和解などさせられないのだとわかるとき、そんな試みは放棄されるのである」。先に、真実と幻想が同じ場所を占有することは出来ないと述べていたように、あなたの心の中に、真実と幻想を同居させることは不可能であり、そう出来ると信じることが心の病なのだ。そして、ヒーリングの必要とされる所以なのである。総括しよう。ヒーリングされるのは肉体ではなく心である。なぜなら、病んでいるのは肉体ではなく心なのだから。なぜ心が病んでいるか? 肉体という幻想を実在だと思っているからだ。つまり、心の中に真実と幻想が同居しているからだ。その誤った知覚を修正し、心を浄化することがヒーリングであって、病んだ心とヒーリングは一体である。決して、病んだ肉体とヒーリングが一体であるのではない。したがって、あなたが病んだ肉体にこだわって、いつまでも心の中に病んだ肉体という幻想を抱え込んでいるうちは、心のヒーリングは果たせない。病んだ肉体を放棄し、心を正しく保つこと、幻想を幻想だと認識する心の健全さを取り戻すこと、それが肝要である。結果、病んだ肉体は癒されことになるが、それは、正しい心がそのように表れただけの話であって、肉体が正しく実在化したわけではない。肉体はあくまでも、あなたが投射によって作り出した幻想である。絵に描いた餅に過ぎないのだ。心を病んだ絵書きが餅を描けば、腐れた餅を描くかも知れない。しかし、心が癒されて正しい心をもって餅を描けば、おいしそうな餅が描けるのだ。しかし、絵に描いた餅は、あくまでも絵に過ぎない。
 
 
 

T-19.I.3:1 ~ T-19.I.4:6

3. The body cannot heal, because it cannot make itself sick. It needs no healing.

  • heal [híːl] : 「治す、治癒する、治療する、癒やす、救う」
  • sick [sík] : 「病気で、病気の、不健全な、調子が悪い」
  • healing [híːliŋ] : 「治療、回復、治癒、癒やし」
❖ "The body ~ "「肉体がヒーリングすることは不可能だ」。"because it cannot ~ "「なぜなら、肉体が自らを病にすることは出来ないからだ」。"It needs ~ "「肉体はヒーリングの必要がないのである」。おや? と思うかも知れない。しかし、病を引き起こすのは心の歪みであり、ヒーリングが必要なのは心である。そして、ヒーリングが出来るのは、まさに心なのだ。肉体は、心の歪みが現象として現れる、いわば「場」のようなものであって、病の直接原因ではない。



Its health or sickness depends entirely on how the mind perceives it, and the purpose that the mind would use it for.
  • health [hélθ] : 「健康、健康状態、調子」
  • sickness [síknəs] : 「病気」
  • depend [dipénd] on : 「〜によって決まる、〜次第である、〜に頼る」
  • entirely [entáiə] : 「全く、完全に、全体に、ひたすら」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜を理解する、〜を把握する」
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
❖ "Its health or sickness ~ "「肉体が健康であるか病気であるかは、もっぱら、心が肉体をどう知覚しているかによって決まり、心が肉体を利用する目的に依存しているのだ」。心が肉体を現実のものと知覚し、その病をも現実のものと考えているうちは、肉体も病もあたかも本物であるかのように現象化してしまうだろう。しかし、肉体も病も幻想に過ぎないのだと見破れば、そして、心の歪みがそれを幻覚化しているのだと認識出来れば、錯覚の肉体からも幻覚の病からも解放されるだろう。



It is obvious that a segment of the mind can see itself as separated from the Universal Purpose.
  • obvious [ɑ́bviəs] : 「明らかな、明白な、分かりきった」
  • segment [ségmənt] : 「部分、区分、断片、切片」
  • separate [sépərèit] : 「分ける、分離する、隔てる、引き離す、切り離す」
  • separated : 「分離した、別々になって、離ればなれの」
  • universal [jùːnəvə́ː(r)sl] : 「普遍的な、全体の、全宇宙の、全世界の」
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
❖ "It is obvious that ~ "ここは"It ~ that ~ "の構文、「心の断片が自らを、普遍的な目的から切り離されたものと見る可能性があることは、明白である」。"Universal Purpose"「普遍的な目的、宇宙的な目的」とは、実相世界の目的、つまり、神の意思、神の法、神の心といった意味合いであろう。実相世界全体が向かう方向性を持った心的ベクトル。心が全体なるものから分離してしまえば(断片化してしまえば)、心は自らをはぐれ鳥のように感じて、世界の向かうベクトルとは異なる方向を目指してしまうだろう。その可能性のあることは、明白である。世界の向かう方向とは、真実であり、実相である。はぐれ鳥の心が向かう方向は、虚偽であり、幻想である。



When this occurs the body becomes its weapon, used against this Purpose, to demonstrate the "fact" that separation has occurred.
  • occur [əkə́ː(r)] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • weapon [wépn] : 「武器、兵器、凶器、対抗手段」
  • against [əgénst] : 「対抗して、〜に逆らって、〜にそむいて、反抗して」
  • demonstrate [démənstrèit] : 「実証する、立証する、実際にやってみせる、実演する」
  • separation [sèpəréi∫n] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
❖ "When this occurs ~ "「このことが起きるとき、肉体は武器となってしまう」。"used against ~ "「(大いなる)目的に対抗して使われるからだ」。"to demonstrate ~ "「それは、分離が起きたという『事実』を実証するために使われるのである」。神の意思である、大いなる目的から逸脱した心は、虚偽と幻想に向かう。そのとき、心は、幻想の肉体を利用して、肉体が分離して独立しているから、心も分離しているに違いないのだと宣言する。肉体は分離の証拠だと言うわけである。



The body thus becomes the instrument of illusion, acting accordingly; seeing what is not there, hearing what truth has never said and behaving insanely, being imprisoned by insanity.
  • instrument [ínstrəmənt] : 「道具、器具、機器、計器」
  • illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • act [ǽkt] : 「行動する、振る舞う」
  • accordingly [əkɔ́ː(r)diŋli] : 「それに応じて、それ相応に、それ故に、従って」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • behave [bihéiv] : 「振る舞う、行動をする」
  • insanely [inséinli] : 「正気とは思えないほど、発狂して、気違いじみて、非常識に」
  • imprison [imprízn] : 「監禁する、拘置する、投獄する」
  • insanity [insǽnəti] : 「狂気、精神病、精神異常」
❖ "The body thus becomes ~ "「このように、肉体は、幻想の道具になってしまう」。肉体が分離の象徴であると言われる所以(ゆえん)である。"acting accordingly ~ "「したがって、肉体は次のように行動するのだ」。 "seeing what is ~ "「ありもしないものを見たり、」"hearing what ~ "「真実が決して語らないことを聞いたり、」"and behaving ~ "「狂気の振る舞いをしたりする」。"being imprisoned by ~ "「つまり、狂気によって投獄されたようなものなのだ」。狂気によって心ががんじがらめになっている、ということ。
幻想を信じているのだから、嘘を本当と思い込んでいるのだ。それを、狂気というのである。



4. Do not overlook our earlier statement that faithlessness leads straight to illusions.
  • overlook [òuvə(r)lúk] : 「見落とす、見過ごす、大目に見る」
  • earlier : 「前の」
  • statement [stéitmənt] : 「陳述、述べたこと、発言、供述、記述」
  • faithlessness [féiθlisnis] : 「不実さ、不誠実さ、信仰心のなさ」
  • lead [li':d] : 「導く、案内する、通じている、ある結果に至る」
  • straight [stréit] : 「一直線に、真っすぐに」
❖ "Do not overlook ~ "「以前、〜と言ったことを見落としてはいけない」。"that faithlessness ~ "「信じる気持ちがないことは、真っすぐに幻想に通じている」と言ったことを見落としてはいけない。



For faithlessness is the perception of a brother as a body, and the body cannot be used for purposes of union.
  • perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
  • union [júːnjən] : 「結合、合併、融合、団結」
❖ "For faithlessness is ~ "「なぜなら、信じる気持ちがないことは、同胞を肉体として知覚することなのだからだ」。"and the body cannot ~ "「そして、肉体は、結合の目的に利用することは不可能であるからだ」。あなたは同胞を見て、肉体があるから存在していると認識している。肉体は幻想に過ぎず、本当に存在しているのは心であると信じられないのだ。心の実在を信じられないから、肉体の存在を受け入れてしまうのである。同時に、心と心の結合は、肉体を通しては達成出来ない。肉体の結合は、心の結合の疑似体験に過ぎず、やはり、幻想に過ぎないのだ。



If, then, you see your brother as a body, you have established a condition in which uniting with him becomes impossible.
  • establish [istǽbli∫] : 「確立する、設立する、達成する」
  • condition [kəndí∫n] : 「事情、条件、状態、状況、様子、様相」
  • unite [junáit] : 「結合する、一体となる、一体化する、合体する」
  • unite with : 「〜と一緒になる、〜と結合する、〜と合体する」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない、無理な」
❖ "If, then, you see ~ "「そこで、もしあなたが、同胞を肉体であると見るならば、」"you have established ~ "「あなたは、同胞との(心の)結合を不可能にしてしまう条件を満たしてしまったことになるのだ」。肉体の結合を通した疑似結合を求める余り、心と心の、真の結合は不可能な状況に陥ってしまう。



Your faithlessness to him has separated you from him, and kept you both apart from being healed.
  • separate [sépərèit] : 「分ける、分離する、隔てる、引き離す」
  • kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
  • keep A from doing : 「Aが〜できないようにする」
  • both [bóuθ] : 「両方、双方」
❖ "Your faithlessness ~ "「あなたが同胞を信じることが出来ない気持ちは、あなたを同胞から切り離してしまった」。"and kept you both ~ "「そして、あなたも同胞もヒーリングされ得ない状態にしてしまったのである」。ヒーリングは、心の歪みの矯正である。正しい心のあり方を回復させることである。正しい心のあり方とは、心が散り散りバラバラに存在するのではなく、結合して一体の心となって存在することである。あなたが同胞の心の存在を信じられないなら、どうして心の結合が達成出来るだろうか? ましてや、そんなことでは、ヒーリングが可能な状態ではない。



Your faithlessness has thus opposed the Holy Spirit's purpose, and brought illusions, centered on the body, to stand between you.
  • oppose [əpóuz] : 「反対する、反抗する、対抗する、敵対する、妨害する」
  • brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜を連れて来る」
  • center [séntə(r)] on : 「〜に集中する、〜に重点を置く、〜を軸とする」
  • between [bitwíːn] : 「〜の間で、〜の合間に」
❖ "Your faithlessness ~ "「このように、あなたに信じる気持ちのないことは、ホーリー・スピリットの目的に反することだ」。ホーリー・スピリットは、神の子がその心を再統一してくれることを目的としている。そのためには、あなたが同胞の心を信じる必要があるのだ。"and brought ~ "「そして、あなたに信じる気持ちのないことは、幻想を持ち込み、肉体に集中し、あなたと同胞の間に立ちはだかってしまったのである」。心を信じることが出来ないということは、実相的実在を信じられずに、幻想を信じてしまうことを意味する。かくして、心を信じず、肉体を信じたのだ。肉体は分離の象徴であり、あなたは分離を信じたことになる。そんな状況下で、心の再統一が実現出来るはずはない。



And the body will seem to be sick, for you have made of it an "enemy" of healing and the opposite of truth.
  • sick [sík] : 「病気で、病気の、不健全な、調子が悪い」
  • enemy [énəmi] : 「敵、敵国」
  • opposite [ɑ́pəzit] : 「反対、正反対のもの、逆の物」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "And the body will ~ "「そして、肉体は病気を患っているように見えてくるのだ」。"for you have made ~ "「なぜなら、あなたは、肉体から、ヒーリングの『敵』と、真実に反対するものを作り出してしまったからだ」。真実ではないもの、幻想であるもの、それは時間と空間に支配された世界のものであるから、必ず変化流動し、崩壊と破壊へ向かう。肉体も例外ではなく、肉体の病と死は必然である。もっとも、幻想世界では必然である、という意味である。肉体が幻想であると見抜くことが出来たら、病も死も幻想であるから、病と死を超越した存在となることが出来よう。
 
 
 

T-19.I.1:1 ~ T-19.I.2:7

 

 
Text - Chapter 19
 
 
 
The Attainment of Peace
平和の実現
 

 
  
I. Healing and Faith
ヒーリングと信じる気持ち
 
 
 
1. We said before that when a situation has been dedicated wholly to truth, peace is inevitable.
  • said [séd] : 「say の過去・過去分詞形」
  • before [bifɔ́ː(r)] : 「以前に、前に、早く、先に」
  • situation [sìt∫uéi∫n] : 「状況、場所、状態、立場、事情、情勢、事態」
  • dedicate [dédikèit] : 「〜をささげる、献身する、専念する、打ち込む」
  • wholly [hóu(l)li] : 「完全に、全く、全体として、全体的に」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
  • inevitable [inévətəbl] : 「避けられない、当然の、必然的な、必然の、必至の、不可避の」
❖ "We said before that ~ "「私たちは以前、that以下について話したことがあった」。"that when a situation ~ "「状況が全面的に真実に対して捧げられたとき、平和は必然的にやってくる」と話したことがあった。つまり、あなたが全身全霊、真実を求めるなら、そして、状況がその方向に向かっているなら、必ず心の平和は訪れる。



Its attainment is the criterion by which the wholeness of the dedication can be safely assumed.
  • attainment [ətéinmənt] : 「獲得、到達、実現」
  • criterion [kraití(ə)riən] : 「基準、標準、尺度、判定基準、判断基準、原則、特徴」
  • wholeness [hóulnis] : 「全体、全体性」
  • dedication [dèdikéiʃən] : 「献身、専念、熱心さ、専心」
  • safely [séifli] : 「安全に、支障なく、無事に」
  • assume [əs(j)úːm] : 「〜と仮定する、思い込む、見なす、当然と思う」
❖ "Its attainment is ~ "「平和の達成は、〜を見るときの基準になる」。"by which the wholeness ~ "直訳すると、「完全に専心していることが支障なく宣言され得るかどうかの」基準になる。つまり、あなたの心が平和なら、あなたは確かに真実を求め、あなたの生活が真実を求める状況を満たしていると正々堂々宣言出来る、ということ。心の平和の度合いが、あなたの真実への専心のバロメーターになっているということ。



Yet we also said that peace without faith will never be attained, for what is dedicated to truth as its only goal is brought to truth by faith.
  • also [ɔ́ːlsou] : 「〜もまた、同様に、また」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること、自信、信念、確信」
  • attain [ətéin] : 「達成する、実現する、成就する、成し遂げる」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
  • brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜を連れて来る」
❖ "Yet we also said that ~ "「しかし、私たちはthat以下についても語った」。"that peace without faith ~ "「信じる気持ちを欠いた平和は、決して達成出来ない」と語ったことがあった。心の平和には信じる気持ちが不可欠なのだ。"for what is dedicated to truth ~ "「なぜなら、唯一の目的として、真実に寄与するものは、信じる気持ちによって、真実にもたらされるからだ」。つまり、これは真実のためになるとあなたが心から信じることが出来れば、それは必ず真実に寄与することになるのである。たとえば、同胞を愛することが、真実に寄与することだと信じるなら、それを唯一の目的として同胞を愛せば、あなたは必ず真実に寄与したこととなり、心に平和が訪れるだろう。



This faith encompasses everyone involved, for only thus the situation is perceived as meaningful and as a whole.
  • encompass [enkʌ́mpəs] : 「〜を包み込む、包囲する、含む、包含する」
  • involve [invɑ́lv] : 「〜を含む、伴う、〜を巻き込む、関与させる」
  • thus [ðʌ́s] : 「このようにして、こんなふうに」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • meaningful [míːniŋfəl] : 「意味のある、意味深長な、重要な」
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
❖ "This faith encompasses ~ "「この信じる気持ちは、関係する人々全体を包み込むのである」。"for only thus ~ "「なぜなら、こうすることによってのみ、状況は、意味があり完全であると知覚されるからである」。あなたの信じる気持ちが、あなたの周りの人々を悉(ことごと)く包み込む。つまり、あなたの信じる気持ちが周りの者に伝播して、あなたの関わる状況が、互いに信じ合うという雰囲気に質転換するのである。そういう雰囲気になってこそ、あなたの周りの状況は無意味なのではなく、ちゃんとした存在意義があり、不足のない完全な状況だと言えるのである。



And everyone must be involved in it, or else your faith is limited and your dedication incomplete.
  • or else : 「あるいは、さもないと」
  • limit [límit] : 「限定する、制限する、制限をかける」
  • incomplete [ìnkəmplíːt] : 「不完全な、不十分な、未完成の」
❖ "And everyone must ~ "「そして、すべての人たちがそれに関わるに違いない」。あなたが真実を求め信じれば、その信じる気持ちは周りの者達に伝播し、すべての人たちは信じる気持ちに感化されるのだ。結局、自他一如なのであって、あなたが信じれば他者も信じ、みんなの中で信じる気持ちが分かち合われるのである。もちろん、信じる気持ちが分かち合われるので真実も分かち合われ、心の平和も分かち合われる。"or else your faith ~ "「それ以外であるなら、あなたの信じる気持ちは制限され、あなたの真実への寄与は完璧ではないのだ」。信じる気持ちが周りの者と分かち合われないなら、それは、きっとあなたの独りよがりの信心に過ぎず、拡張増大することなく、それゆえ制限されて、真実への貢献も中途半端なものになってしまうだろう。



2. Every situation, properly perceived, becomes an opportunity to heal the Son of God.
  • situation [sìt∫uéi∫n] : 「状況、場所、状態、立場、事情、情勢、事態」
  • properly [prɑ́pə(r)li] : 「適切に、適当に、程よく、相応に」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • become : 「〜になる」
  • opportunity [ɑ̀pə(r)t(j)úːnəti] : 「機会、適時、チャンス、好機」
  • heal [híːl] : 「癒やす、救う、治す、治癒する、治療する」
❖ "Every situation, properly ~ "「あらゆる状況は、的確に知覚されるなら、神の子をヒーリングするための好機となり得る」。どんな状況にあっても、それを正確に認識して的確な方法をとれば、心をヒーリングする絶好のチャンスとなる。



And he is healed because you offered faith to him, giving him to the Holy Spirit and releasing him from every demand your ego would make of him.
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • release [rilíːs] : 「解放する、自由にする、放つ、離す」
  • demand [dimǽnd] : 「要求、必要、要望、ねだり」
❖ "And he is healed ~ "「その神の子は、〜であるから、ヒーリングされるのだ」。"because you offered ~ "「あなたが彼に、彼を信じている気持ちを捧げるから、」彼はヒーリングされるのである。信じられている、つまり、愛されていると知ることが、心のヒーリングにつながる。"giving him to ~ "分詞構文、理由、「彼をホーリー・スピリットに預け、あなたのエゴが彼に課した要求から彼を解放するのだから」。難解な部分である。まず、あなたは他者を客観的に判断して、彼をありのままに見ていると思い込んでいるだろうが、それは間違っている。あなたは自分自身を他者に投射しているだけだ。彼が、あなたの目の前でそのように見えるのは、あなたの心が彼に映されているからだ。つまり、あなたのエゴが、あなたの姿を映すようにと彼に要求した、その姿なのである。しかし、あなたがそのカラクリに気付けば、あなたはあなたの心による(つまり、エゴによる)投射を止めて、彼を投射から解放するだろう。そして、客観的判断そのものを放棄して、それをホーリー・スピリットに委ねてしまうだろう。なぜなら、あなたは彼を信じたのであり、それはあなた自身を信じたことに繋がり、あなたの心の中のホーリー・スピリットを信じたことと同等であるからだ。信じる気持ちが伝播するとは、そういうことなのだ。つまり、彼の心の中でも同様のことが起きるのである。彼はあなたを信じ、彼自身を信じ、彼の心のホーリー・スピリットを信じるのである。ここに、ヒーリングの秘密が隠されているわけである。彼がヒールされ、あなたも同時にヒールされるというメカニズムである。



Thus do you see him free, and in this vision does the Holy Spirit share.
  • vision [víʒ(ə)n] : 「視覚、視力、見ること、見通し、展望、構想」
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
  • share in : 「〜を分かち合う、〜を共有する」
❖ "Thus do you see ~ "「このようにして、あなたは彼を自由と見なすことになる」。あなたの心の(エゴの)投射から、彼は解き放されたのから、彼は自由であると見えてくるのだ。"and in this vision ~ "「そして、こういうヴィジョンを、ホーリー・スピリットも分かち合うのだ」。あなたと同胞が互いに投射を放棄し、信じ合うことで判断を中断し、ホーリー・スピリットにすべてを委ねてしまえば、ホーリー・スピリットはその状況を分かち合って、信じ合う気持ちをますます拡張増大させてくれるだろう。ここの"this vision"「このヴィジョン」とは、「こういう状況」と考えていいだろう。ものの見方なのだが、投射を止めて率直に相手を見る、真の姿を見る、そして、見えてくるものがヴィジョンである。



And since he shares it he has given it, and so he heals through you.
  • since [síns] : 「〜なので、〜だから」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
❖ "And since he shares ~ "「そして、ホーリー・スピリットはヴィジョンを分かち合ったから、それを与えたのである」。投射を放棄して真の姿を見るという状況、そこで見えるヴィジョンをホーリー・スピリットはあなたや同胞と分かち合い、分かち合うことでしっかりとそのヴィジョンをあなたと同胞に与えたのだ。つまり、そのヴィジョンは正しいのだと教えてくれたのだ。"and so he heals ~ "「そこで、ホーリー・スピリットはあなたを通してヒーリングしたのである」。ホーリー・スピリットが正しいと教えたのだから、それは確かに真実であり、真実であることを受け入れることがヒーリングである。同胞の目から見れば、あなたを通じてホーリー・スピリットが彼をヒーリングしたように見えるだろうし、あなたはあなたで、同胞をヒーリングするつもりで、自分もヒーリングされたように見えるだろう。確かに、ホーリー・スピリットは、あなたを通して、あるいは同胞を通して、互いの真の姿を認め合うというヒーリングを行ったのだ。



It is this joining him in a united purpose that makes this purpose real, because you make it whole.
  • join [dʒɔ́in] : 「結び付ける、結合する、連結する、合わせる」
  • united [junáitid] : 「結ばれた、協力した、結合した」
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • real [ríː(ə)l] : 「実在的な、実質的な、現実の、実際の」
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
❖ "It is this joining him ~ "ここは"It ~ that ~ "の強調構文、「この目的を現実とさせるものは、統一した目的の中でホーリー・スピリットとこのように結合したことなのだ」。ヒーリングされたい、ヒーリングしたい、という目的を実現させるには、あなたと同胞の共通の目的にホーリー・スピリットも参加してもらい、互いに結合し、一体化することが必要なのだ。ホーリー・スピリット抜きに真実の目的は達成不可能だ。ホーリー・スピリットが、あなたの心の最も純粋で神聖な部分に住んでいることを考えると、結局、ヒーリングし、ヒーリングされるには、あなたの純粋で神聖な心のパワーが必要だと言えよう。あなたが、その純粋で神聖な心を信じきれ、また同胞の純粋で神聖な心を信じきれたとき、そのときにヒーリングという奇跡は起きる、ということである。



And this is healing. The body is healed because you came without it, and joined the Mind in which all healing rests.
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • rest [rést] : 「ある、置かれている、休む、休息する」
❖ "And this ~ "「これこそが、ヒーリングである」。"The body is ~ "「肉体はヒールされるのである」。"because you came ~ "「なぜなら、あなたは肉体をもたずにやって来たからであり、」"and joined the Mind ~ "「ヒーリングのすべてが宿る心と結合したからである」。「肉体をもたずにやって来た」とは、ヒールングと言えば、もっぱら病んだ肉体を癒すことを意味しているが、本当のヒーリングは肉体を癒すことではない、という意味合いである。肉体は幻想であり、その病も幻想である。それを前提として、心の歪みを矯正することがヒーリングであって、それは、純粋で神聖な心と一体化して(結合して)、まさに芯(心)から浄化することを意味するのだ。結果として、清浄な心に正常な肉体が宿り、表面的には病んだ肉体が癒されることとなる。だが、あくまでも、ヒーリングは、正しい心の回復、それに尽きる。そして、偉大なヒーラー達が共通して言うことは、彼らがヒールしているのではない、ということだ。彼らは単なる媒介者であって、彼らを通じて、神が、あるいはホーリー・スピリットが病んだ者を癒すと言う。突き詰めれば、病んだ者の心を、神やホーリー・スピリットの心と仲直りさせることがヒーリングだと言えないだろうか? 
 
 
 

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