●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-16.II.2:1 ~ T-16.II.3:5

2. There is a tendency to fragment, and then to be concerned about the truth of just a little part of the whole.

  • tendency [téndənsi] : 「傾向、性向、性癖、風潮、体質」
  • fragment [frǽgmənt] : 「ばらばらにする、ばらばらに分ける、ばらばらに壊す」
  • be concerned about : 「〜について心配している、〜に気遣っている、〜に思いやられる」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • part [pɑ́ː(r)t] : 「一部、部分」
  • whole [hóul] : 「全部、全体」
❖ "There is a tendency ~ "「(物事を)ばらばらに分解し、全体に対する極わずかの真実だけに関心を向ける傾向がある」。この分析的理解の仕方が、頭脳による理性的理解である。多くの部分的真実を寄せ集めて、全体の真実を把握しようとするのである。物質的世界においては、この方法しか取り得まい。しかし、実相世界では、こんな不完全な理解の仕方はしない。叡智による全的把握があるからだ。



And this is but a way of avoiding, or looking away from the whole, to what you think you might be better able to understand.
  • avoid [əvɔ́id] : 「避ける、回避する、逃れる、敬遠する」
  • look away from : 「〜から目をそらす」
  • be able to : 「〜することができる、〜し得る、〜が可能である」
  • understand [ʌ̀ndə(r)stǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
❖ "And this is but ~ "「そしてこれは、(物事の)全体から目を背け、全体を見ることを避けて、あなたがより理解出来るであろうと思われることだけに目を向けることでもあるのだ」。つまり、自分の都合のいい所だけに目を向けて理解し、その上で全体も理解したものと思ってしまうのである。自分の理解できない部分は、切り離したまま無視されるわけだ。



For this is but another way in which you would still try to keep understanding to yourself.
  • another [ənʌ́ðə(r)] : 「もう一つの、別の、ほかの」
  • still [stíl] : 「まだ、今もなお、常に、いつでも」
  • to oneself : 「自分だけに、独占して」
❖ "For this is but another ~ "「なぜなら、これは、〜するまた別の方法であるからだ」。"in which you would ~ "「あなたが独占的に理解することを保持しようとする」また別の方法である。難しい言い方をしているが、理解する方法には2つあるが、その一方が、分析的理解の仕方であって、あなたはこれにこだわってきた、ということ。2つ目の方法とは、叡智による全的把握である。残念ながら、今のあなたには、これは出来ない。



A better and far more helpful way to think of miracles is this: You do not understand them, either in part or in whole.
  • better [bétə(r)] : 「より良い、り優れている、優越する」
  • helpful [hélpfl] : 「役立つ、助けになる、有益な」
  • either [íːðə(r)] : 「どちらの〜でも、どちらの〜も」
❖ "A better and far more ~ "「奇跡を考えるときに、より優れた、はるかに役立つ考え方は、こうである」。"You do not understand ~ "「一部であれ全体であれ、あなたは奇跡を理解出来ないのだ」。幻想世界の上で眠っているあなたには、実相世界の現象である奇跡は、部分的であれ全体であれ、理解の及ぶものではない。しかし、なぜ、そんな我々が、奇跡をなすことが出来るのか? 先を読もう。



Yet they have been done through you. Therefore your understanding cannot be necessary.
  • through [θruː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
  • therefore [ðéə(r)fɔ̀ː(r)] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の、欠くことのできない」
❖ "Yet they have ~ "「しかし、奇跡はあなたを通してなされるのだ」。幻想世界の上で眠っているあなたに、実相世界の奇跡が起こせる。"Therefore your understanding ~ "「したがって、あなたの(奇跡に対する)理解は必要でないのだ」。奇跡に対する理解があなたになくても奇跡は起こせる。



Yet it is still impossible to accomplish what you do not understand. And so there must be Something in you that does understand.
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない、無理な」
  • accomplish [əkɑ́mpli∫] : 「成し遂げる、成就する、達成する」
❖ "Yet it is still impossible ~ "ここは"it ~ to ~ "の構文、「しかし、あなたが理解出来ないことを成就することは、なお不可能だ」。奇跡に対するあなたの理解がなくても、奇跡は起こせる。しかし、奇跡に対する理解がなくては、奇跡の成就は不可能だ。矛盾するように見えるこの2つの事実を統合すると、次のようになる。"And so there must be ~ "「そこで、あなたの中には、(奇跡を)を理解している何者かがいるに違いないのだ」。もちろん、お分かりのように、それはホーリー・スピリットであり、キリストである。幻想世界の上に眠っているあなたの心の中に、すべてを理解出来るホーリー・スピリットがちゃんと目を開けて、あなたの理解の力になっているのである。



3. To you the miracle cannot seem natural, because what you have done to hurt your mind has made it so unnatural that it does not remember what is natural to it.
  • natural [nǽt∫(ə)r(ə)l] : 「普通の、ありのままの、自然な」
  • hurt [hə́ː(r)t] : 「〜を傷つける、〜に苦痛を与える」
  • unnatural : 「不自然な、自然に反する、不思議な、異常な」
  • remember [rimémbə(r)] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
❖ "To you the miracle ~ "「あなたにとって、奇跡は自然には見えない」。"because what you have ~ "「なぜなら、あなたの心を傷つけるためにあなたがなしたことが、あなたの心をあまりにも不自然なものにしてしまったので、いったい心にとって何が自然なのか、あなたの心は覚えていないからである」。本来、あなたは実相世界にあって、奇跡も極く自然な事象であった。しかし、神から分離し、罪の意識や罰の恐れによって心を傷つけ、そこから逃れるために自己を乖離し、幻想世界を外部に投射した。心をとことん傷めつけたのである。その結果、あなたは実相世界を忘却し、神を忘却し、奇跡を忘却した。それらすべてが不自然な、眉唾なものと思えるようになってしまったのである。



And when you are told what is natural, you cannot understand it.
  • told [tóuld] : 「tell の過去・過去分詞形」
❖ "And when you are ~ "「そして、あなたが自然なことを言われても、あなたはそれが理解出来ないのである」。実相世界の自然な現象を、あなたは理解不能となってしまった。それほど、あなたの心は傷つき、歪んでしまったのである。



The recognition of the part as whole, and of the whole in every part is perfectly natural, for it is the way God thinks, and what is natural to Him is natural to you.
  • recognition [rèkəgní∫n] : 「認識、認証、正当性の認識」
  • part [pɑ́ː(r)t] : 「一部、部分」
  • whole [hóul] : 「全部、全体」
  • perfectly [pə́ː(r)fik(t)li] : 「完全に、完璧に」
❖ "The recognition of ~ "「(物事の)一部分を全体と認識すること、あるいは、すべての部分の中に全体を認識することは、完全に自然なことである」。"for it is the way ~ "「なぜなら、それが、神の考え方なのだから」。"and what is natural ~ "「そして、神にとって自然なことは、あなたにとっても自然なことなのであるから」。一部が全体を反映するという考え方は、現代科学の分野ではホログラムに利用されている。実はこのACIMという書物も、この考え方に立った構成がなされている。ACIMのTextは、第一章から第三十二章まで、順序正しく読み通さなくては理解できない、というものではない。途中のどの部分から読み始めても、順番を変えても、いっこうに構わない。どの部分にも全体が反映されているからだ。



Wholly natural perception would show you instantly that order of difficulty in miracles is quite impossible, for it involves a contradiction of what miracles mean.
  • wholly [hóu(l)li] : 「完全に、全く、全体として、全体的に」
  • perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
  • show [∫óu] : 「示す、表す、表示する」
  • instantly [ínst(ə)ntli] : 「すぐに、すぐさま、瞬時に、即座に、即時に、直ちに」
  • order [ɔ́ː(r)də(r)] : 「順、順序、順番、順位、序列、系列」
  • difficulty [dífikʌ̀lti] : 「困難、難事、難儀、面倒なこと、問題」
  • quite [kwáit] : 「すっかり、全く、完全に」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない、無理な」
  • involve [invɑ́lv] : 「〜を含む、伴う、必要とする、〜に伴って生じる」
  • contradiction [kὰntrədíkʃən] : 「矛盾、不両立、反対、否定」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
❖ "Wholly natural perception ~ "「完璧に自然な知覚は、即、あなたにthat以下を示すことになろう」。"that order of difficulty ~ "「奇跡における難しさに序列をつけることは、まったく不可能である」ことをあなたに示すことになろう。"for it involves a contradiction of ~ "「なぜなら、難しさに序列をつけることは、奇跡が意味することに対する矛盾を含んでいるからである」。奇跡には、これは難しくあれは簡単だ、という序列はない。奇跡を信じる心があれば山をも動かせるとイエスが言ったのは、このことである。実相世界は完全平等な世界であり、奇跡は実相世界の事象であるから、奇跡も完全な平等性をもっているのである。むしろ、一元論世界を考えたとき、すべての奇跡は単一の奇跡につながると考えた方がいいかもしれない。難しそうに見える奇跡も、簡単そうに見える奇跡も、実相世界ではどちらも単一の奇跡であるのだ。区別がない。差別もない。したがって、序列もないのである。実相世界の完璧に自然な知覚から見れば、それは当たり前のことなのだ。



And if you could understand their meaning, their attributes could hardly cause you perplexity.
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
  • attribute [ətríbjuːt] : 「属性、特質、特性、性格」
  • hardly [hɑ́ː(r)dli] : 「ほとんど〜ない、とても〜ない」
  • cause [kɔ́ːz] : 「: 〜を引き起こす、招く、〜の原因になる、〜を…にもたらす」
  • perplexity [pərpléksəti] : 「当惑、途方に暮れること、混乱、難局、難問」
❖ "And if you could ~ "仮定法過去、「もしあなたが、奇跡には序列がないということが理解出来るなら、」"their attributes could ~ "「奇跡のもつ属性があなたを当惑させることはほとんど不可能だろう」。しかし、現実のあなたは当惑しているのだ。だから、無理をせず、ホーリー・スピリットにすべてを委ねてしまっていい。やがて、あなたが夢から覚めたとき、すべてを一瞬で理解できる叡智が備わっていることだろう。
 
 
 

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