●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-16.I.5:1 ~ T-16.I.6:8

5. The triumph of weakness is not what you would offer to a brother. And yet you recognize no triumph but this.

  • triumph [tráiəmf] : 「勝利、大成功、大業績、勝利の喜び、功績」
  • weakness [wíːknəs] : 「弱さ、弱いこと、虚弱、脆弱性、衰弱」
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
❖ "The triumph of ~ "直訳すると、「弱さの勝利は、あなたが同胞に差出したいと思うものではない」。"And yet you recognize ~ "「それにもかかわらず、あなたはこの勝利しか念頭にない」。どういう意味か? ここを解釈するには、前の段落をしっかり押さえておかなくてはならない。まず、"The triumph of weakness"「弱さの勝利」とは、エゴの勝利のことで、苦しんでいる者同士が共感しあって互いに傷を舐め合い、決してその苦しみから解放されようと意思しないことを意味する。さらに、自分はすべてを知っている気になって、ホーリー・スピリットの助けを拒否する態度も、弱さの勝利ということになる。これはすべてエゴの策略であって、あなたが勝利するのではなく、エゴが勝利するのである。本文に戻ると、それは「あなたが同胞に差出したいと思うものではない」と言っている。むしろ、意訳して、「あなたが同胞に差出したいと思ってはいけないものだ」と解釈するべきだろう。つまり、エゴの策略にのって、同胞を巻き込んではいけないのだ、ということになる。しかし、実際は、「あなたはこの勝利しか念頭にない」となり、あなたはエゴの策略にのって、同胞と苦しみを共感し合い、傷を舐め合って、苦しみから解放されようと意思せず、自分は何でもわかっている気になってホーリー・スピリットの助けを拒絶している、ということになる。何とも耳の痛いことか・・・。



This is not knowledge, and the form of empathy which would bring this about is so distorted that it would imprison what it would release.
  • knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵、知見」
  • form [fɔ́ː(r)m] : 「形、外形、構造、姿、体つき、外見、現れ」
  • empathy [émpəθi] : 「共感、思いやり、感情移入」
  • bring [bríŋ] about : 「〜をもたらす、〜を引き起こす」
  • distort [distɔ́ː(r)t] : 「〜をゆがめる、誤り伝える、歪曲する」
  • imprison [imprízn] : 「監禁する、拘置する、投獄する、牢屋へたたき込む」
  • release [rilíːs] : 「解放する、自由にする、放つ」
❖ "This is not ~ "「弱さの勝利は叡智ではない」。弱さの勝利、すなわちエゴの勝利は、決して叡智の勝利ではない。叡智は実相世界の存在であり、幻想世界のエゴが持ち得るものではないからだ。叡智はホーリー・スピリットのもっているものであり、したがって、ここの意味は、「弱さの勝利は、叡智のあるホーリー・スピリットの勝利ではない」ということになる。同胞と苦しみを共感し合い、傷を舐め合って、苦しみから解放されようと意思せず、自分は何でもわかっている気になっているのは、ホーリー・スピリットの叡智があなたに勧めることではないのだ。"and the form of empathy ~ "ここは"~so ~ that ~ "の構文、「弱さの勝利をもたらす共感の表れはあまりにも歪ませられているので、解放されるべきものを(逆に)投獄してしまうしまうのだ」。同胞と苦しみを共感し合うという行為は、一見正当な行為に見えるかもしれないが、互いの傷を舐め合うという共感の仕方、つまり、共感の表れは、マゾヒスティックな歪んだものであり、その結果、苦しみから解放されることはなく、逆に苦しみの中に投獄され続けるのだ。



The unredeemed cannot redeem, yet they have a Redeemer. Attempt to teach Him not.
  • unredeemed [ʌ̀nridíːmd] : 「贖われていない、埋め合わせされていない」
  • redeem [ridíːm] : 「〜を罪から救う、〜の罪を贖う、〜を救い出す」
  • redeemer [ridíːmər] : 「救い主、贖い主、質請け人、身請け人」
  • attempt [ətém(p)t] : 「〜しようと努力する、〜するよう努める」
❖ "The unredeemed ~ "「救われていない者が救うことは出来ない。」"The unredeemed"は"the + 形容詞"の形で、「〜な者」という意味になる。"yet they have ~ "「しかし、救われていない者には、救ってくれる者がいる」。"Redeemer"「救い主」は、もちろん、ホーリー・スピリットのこと。キリストと考えてもいい。"Attempt to teach ~ "「ホーリー・スピリットに教えようとしてはいけない」。少々唐突な発言に思えるのだが、あなたは何でも知っていると思い上がって、ホーリー・スピリットに指示がましいことをしてはいけない、という意味合いであろう。ホーリー・スピリットに対しては、謙虚さ(humility)が必要なのだ。ホーリー・スピリットに、救いのすべてを委ねよ、という意味が込められている。



You are the learner; He the Teacher. Do not confuse your role with His, for this will never bring peace to anyone.
  • learner [lə́ːrnər] : 「学習者、初学者」
  • confuse [kənfjúːz] : 「混同する、混乱させる、困惑させる」
  • confuse A with B : 「AをBと混同する」
  • role [róul] : 「役、役目、役割、任務、職務」
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を連れて来る、〜を持って来る」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
❖ "You are the learner ~ "「あなたは学び手であり、ホーリー・スピリットが教え手である」。"Do not confuse ~ "「あなたの役割をホーリー・スピリットの役割と混同してはいけない」。"for this will never ~ "「なぜなら、そんな混同は、誰にも決して平和をもたらさないからだ」。あくまでも、あなたは学び手として謙虚であらねばならない。あなたが尊大であれば、あなたも含め誰も平和にはなれないのだ。



Offer your empathy to Him for it is His perception and His strength that you would share. And let Him offer you His strength and His perception, to be shared through you.
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • empathy [émpəθi] : 「共感、思いやり、感情移入」
  • perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
  • strength [stréŋ(k)θ] : 「力、強さ、体力」
❖ "Offer your empathy ~ "「ホーリー・スピリットに、あなたの共感を差出しなさい」。つまり、ホーリー・スピリットと共感しなさい、ということ。"for it is His perception ~ "「なぜなら、それが、あなたが分かち合うべきホーリー・スピリットの知覚であり強さなのだから」。ホーリー・スピリットの知覚は正しく、強力なパワーをもっている。ホーリー・スピリットの知覚は叡智であり、ホーリー・スピリットのパワーは神のパワーだからだ。その、ホーリー・スピリットの知覚とパワーを、あなたは分かち合う形で共感すべきなのだ。これが、正しい共感の仕方であって、今まであなたが考えていた共感の仕方は誤りである。なぜなら、それはエゴとの共感だからだ。"And let Him ~ "「そして、ホーリー・スピリットの強さと知覚を、あなたに差し出してもらいなさい」。"to be shared ~ "「あなたを通して分かち合うために」。つまり、ホーリー・スピリットの強さの源である神のパワーをもらい、ホーリー・スピリットの知覚である叡智を分けてもらいなさい、それをホーリー・スピリットから学びなさい、ということ。そうすれば、叡智として知覚も神のパワーも、ホーリー・スピリットと分かち合うことが出来、さらに、あなたを通して、同胞全体で分かち合うことが出来るのである。



6. The meaning of love is lost in any relationship that looks to weakness, and hopes to find love there.
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
  • lost [lɔ́(ː)st] : 「lose の過去・過去分詞形」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • look to : 「〜を目指す、〜に面する、〜に頼る、〜に目をやる」
  • weakness [wíːknəs] : 「弱さ、弱いこと、虚弱、脆弱性、衰弱」
  • hope [hóup] : 「願う、希望する、期待する、望む」
❖ "The meaning of love ~ "「愛の意味は、〜であるような関係性の中で失われてしまう」。"that looks to ~ "「弱さに目をやり、そこに愛を見出そうと希望するような」関係性の中では、愛の意味は失われる。つまり、エゴが策略するような特別な関係性の中では、本当の愛は決して生まれない。もし愛だと感じるなら、それは傷を舐め合う共感に過ぎない。



The power of love, which is its meaning, lies in the strength of God that hovers over it and blesses it silently by enveloping it in healing wings.
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • strength [stréŋ(k)θ] : 「力、強さ、体力」
  • hover [hʌ́və(r)] : 「空中に舞う、空中静止する、浮かぶ」
  • hover over : 「覆いかぶさる、抱きつく」
  • bless [blés] : 「祝福する、〜を神聖にする、〜を賛美する」
  • silently [sáiləntli] : 「静かに、黙って、無言で」
  • envelop [envéləp] : 「〜を包む、くるむ、覆い隠す」
  • wing [wíŋ] : 「翼、羽根」
❖ "The power of ~ "「愛のパワーは、それが愛の意味なのだが、愛のパワーは、〜であるような神の力の中にある」。"that hovers over ~ "「愛をすっぽり包み込み、愛を静かに祝福している」神の力の中に、愛のパワーは存在する。"by enveloping it ~ "「ヒーリングの翼の中に愛を包み込むことで、」愛を静かに祝福している神の力の 〜 。本当の愛には神のパワーが宿っていなくてはならない。同様に、本当の共感にも神のパワーがなくてはならない。したがって、共感と言っても、エゴが所有する幻想的共感とホーリー・スピリットの所有する実相的共感の二つがあるわけだ。



Let this be, and do not try to substitute your "miracle" for this. I have said that if a brother asks a foolish thing of you to do it.
  • try [trái] : 「試す、やってみる、試みる、企てる」
  • substitute [sʌ́bstət(j)ùːt] : 「〜を代わりにする、代用する、置き換える」
  • miracle [mírəkl] : 「奇跡、驚くべきこと、奇跡的な出来事、不思議なこと」
  • foolish [fúːli∫] : 「ばかばかしい、思慮のない、愚かな、ばかげた」
❖ "Let this be ~ "「これをあらしめよ」。つまり、神がヒーリングの翼であなたの愛を包み込んでくれて、神があなたにパワーを与えるままにしておきなさい、ということ。いらざることをせずに、神やホーリー・スピリットに委ねたままにしておけばいい。"and do not try to ~ "「そして、これをあなたの『奇跡』で代用しようなどと試みないことだ」。神がせっかくその翼であなたを包み込み、あなたをヒーリングしてくれ、あなたの愛にパワーを与えてくれようとしているのだから、それを押しのけて、わざわざ自分の奇跡でパワーを得ようとすることはなかろう。"I have said that ~ "「私は、もし同胞があなたに愚かなことを頼んだなら、それをやってあげなさいと言ったことがある」。"a foolish thing"「愚かなこと」とは、幻想世界レベルのたわいもないこと、と考えていいだろう。たわいもないことなら、いくら愚かだとは言え、いちいち愚かさを諭して、その頼みを拒否するまでではないだろう。同胞が、自分の愚かさに気づけば、要求も自ずと消えるだろうから。たとえば、誰かがあなたに、とても寂しいから甘えたいと要求したら、愚かな要求と感じても、黙ってその同胞に甘えさせたらいいではないか。



But be certain that this does not mean to do a foolish thing that would hurt either him or you, for what would hurt one will hurt the other.
  • certain [sə́ː(r)tn] : 「確信している、確実な、確かな、確信して」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
  • hurt [hə́ː(r)t] : 「〜を傷つける、〜の感情を損なう、〜に苦痛を与える」
  • either [íːðə(r)] A or B : 「AかそれともB」
  • other [ʌ́ðə(r)] : 「もう一方の人、相手側」
❖ "But be certain that ~ "「しかし、that以下を確かなものにしなさい」。"that this does not mean ~ "「このこと(同胞の愚かな要求に応えてあげること)は、その同胞かあなたを傷つけてしまいかねないような愚かなことでも応えてやれ、という意味ではない」。"for what would hurt ~ "「なぜなら、一方を傷つけかねないことは、他方をも傷つけるだろうからだ」。愚かなことと言っても、その愚かなことが互いを傷つけるようであれば、その要求に応えるべきではない。たわいもない、あるいは、ささやかな、傷つけあうようなものでない愚かなことなら応えていい、というわけだ。たとえば、単なる甘えならいいとしても、愛情に金銭がからんできたり、支配されたり支配したりする感情がからんでくると、それはもはや、たわいもない愚かなこととして処理できなくなるであろう。



Foolish requests are foolish merely because they conflict, since they always contain some element of specialness.
  • request [rikwést] : 「頼むこと、依頼、要求」
  • merely [míə(r)li] : 「ただ単に、単に」
  • conflict [kənflíkt] : 「摩擦、葛藤、軋轢、争い、紛争」
  • since [síns] : 「〜なので、〜だから」
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「いつも、常に」
  • contain [kəntéin] : 「 〜を含む、包含する」
  • element [éləmənt] : 「成分、要素」
  • specialness [spé∫lnis] : 「特別なこと、特別性、特殊性」
❖ "Foolish requests are ~ "「愚かな要求は、単にそれがコンフリクトを起こしているだけだから愚かなのである」。"since they always ~ "「なぜなら、愚かな要求は常に、何らかの特殊な要素を含んでいるからだ」。さて、どういう意味であろうか? ここは例を出して考えてみよう。たとえば、あなたはたわいなく誰かに甘えたいと思ったとしよう。甘えをその根本から追求するなら、それは孤独の問題に突き当たり、原因を神からの分離に求めることになる。しかし、あなたが単に誰かに甘えたいと思うことは、そこまで深刻なことではなく、ちょっと寂しくて、ちょっと誰かに優しくしてほしいだけだ。あなたの心の中で、寂しさや冷たさや、優しさや暖かさやが、自分では処理出来ないほどにぶつかり合っているのだ(コンフリクトを起こしている)。つまり、寂しさをどうにも出来ない自分、優しさが欲しいが自分ではどうしようもない自分、そういった歯がゆい自分がいる。しかも、あなたの甘えの要求は、あくまでもあなたの個人的な要求であり、つまりあなたに特有な寂しさや優しさの求めてであって、一般的な孤独や神からの分離と言った普遍性のある問題ではない。その意味では、あなたの甘えはあなたに特有の特殊性を有しているわけである。つまり、あなたにとって特殊な事情により、あなたは心にコンフリクトを起こし、誰かに甘えて一時を過ごしたいだけなのだ。それが、たわいもない愚かな要求、というわけである。・・・少々苦しい解釈なのだが、ここは、あなたもよく考えて、あなた自身の解釈をして欲しい部分である。つまり、何らかの特殊な要素を含んだ、あなたらしい解釈を期待する。



Only the Holy Spirit recognizes foolish needs as well as real ones.
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • as well as : 「〜と同様に、〜と同時に、〜の上に、さらに」
❖ "Only the Holy Spirit ~ "「ホーリー・スピリットだけが、愚かな要求も、本物の要求も、ともに認識しているのだ」。あなたの甘えというたわいない要求も、その影に隠れている神を求める気持ちも、すべてのレベルにわたって、ホーリー・スピリットはあなたを理解し、正しく認識している。だから、ホーリー・スピリットに委ねてしまえばいいのだ。



And He will teach you how to meet both without losing either.
  • meet [míːt] : 「満足させる、かなえる、満たす」
  • both [bóuθ] : 「両方、双方」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • either [íːðə(r)] : 「どちらの〜でも、どちらの〜も」
❖ "And He will teach ~ "「したがって、ホーリー・スピリットは、そのどちらも失うことなく、両方叶える方法を、あなたに教えてくれるであろう」。どうやら、ホーリー・スピリットに委ねれば、すべてを丸く収める方法を教えくれるようである。では、なぜホーリー・スピリットなのか? ホーリー・スピリットは実相世界の叡智なるものをもっているからだ。結局、ホーリー・スピリットに委ねるとは、神の叡智に委ねることと等しいのである。神の叡智とは何か? 事象全体を一瞬にしてとらえる直覚である。と言っても、我々には理解不能である。むしろ、神の叡智は神の愛である、と言っておいた方がいいかもしれない。
 
 
 

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