●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-16.I.3:1 ~ T-16.I.4:7

3. Your part is only to remember this; you do not want anything you value to come of a relationship.

  • part [pɑ́ː(r)t] : 「分担、役、役目、役割、一部、部分」
  • remember [rimémbə(r)] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
  • value [vǽljuː] : 「評価する、重視する、大事にする、尊重する、重んじる」
  • come of : 「〜から生じる、〜の結果として生じる」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
❖ "Your part is only ~ "「あなたの役割は、ただ次のことだけである」。"you do not want ~ "「関係性から生じるところの、あなたが価値ありとする何ものも、あなたは欲しがらない」ということ。幻想世界の特別な関係性においては、必ず何かのやりとりがある。これを与えるからあれを受け取る、といった形で、あたかも物々交換するのである。それが壊された時、あなたは裏切られたとか、犠牲になったとか訴えるわけだ。しかし、実相世界の真の関係性では、あなたにとって価値あることを他者に求めることはしない。全くその逆で、あなたがもっているもののすべてを与え尽くすことが基本である。なぜなら、実相世界では与えることと得ることは同義であるからだ。



You choose neither to hurt it nor to heal it in your own way. You do not know what healing is.
  • choose [t∫úːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • neither [níːðə(r)] A nor B : 「AでもなくBでもない、AとBのどちらも〜ない」
  • hurt [hə́ː(r)t] : 「〜を傷つける、〜に苦痛を与える」
  • heal [híːl] : 「治す、治癒する、治療する」
  • in one's own way : 「それなりに、独自の、自分なりに、自分流儀に」
❖ "You choose neither ~ "「あなたは、あなたの流儀で関係性を傷つけることも癒すことも、その選択をすることはない」。"You do not know ~ "「あなたは、ヒーリングの何たるかを知らないのだ」。あなたが何か価値あるものを引き出そうとする関係性は、幻想世界の特別な関係である。それは変化流動する関係であり、あなたは、その関係性が変化流動するに任せたまま、何もすることなくただ流されて行く。確かに関係が悪化すれば、改善しようとするだろうが、それは関係性を真にヒーリングすることではない。あなたはヒーリングの何たるかを知らないからだ。



All you have learned of empathy is from the past.
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
  • empathy [émpəθi] : 「共感、思いやり、感情移入」
  • past [pǽst] : 「過去、昔、過ぎ去ったこと」
❖ "All you have learned ~ "「あなたが共感することから学んだもののすべては、過去からのものである」。さて、非常に難解だ。たとえば、あなたが他者の苦しみに共感して特別な関係性が生まれたとしよう。痛みを舐め合う関係である。これは幻想世界の関係性であって、時間を軸とした変化流動する関係性である。そのある時点で、あなたは共感し合う関係性から、生とは苦である、と学んだとしよう。これは真理か? 真理とは言えない。なぜなら、真理とは変化流動することのない永遠不変のものでなければならないからだ。あなたが学んだことは、過去の一点の、単なるあなたの心象に過ぎない。つまり、あなたがもつ関係性が幻想世界の特別な関係性である以上、それは変化流動という時間性をもち、あなたがそこから学ぶものはすべて、過去からのものとなる。ところが、過去は幻想に過ぎないから、あなたが学んだことも幻想の産物に過ぎず、決して真理になり得ない。時間依存する限り、真理にはなれないのだ。



And there is nothing from the past that you would share, for there is nothing from the past that you would keep.
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
  • keep [kíːp] : 「〜を持ち続ける、保持する」
❖ "And there is nothing ~ "「そして、あなたが分かち合いたいと思う過去からのものは何もない」。"for there is nothing ~ "「なぜなら、あなたが保持したいと思う過去からのものは何もないからだ」。この二つは、まあ、同じことを繰り返し言っているだけだ。あなたが保持し、他者と分かち合いたい過去などない、ということ。時間を軸とした変化流動する事象の、過去の一断面を取り出したところで、それは永遠不変なる真理ではないから、とりたてて保持し分かち合いたいなどとは思うまい。しかし、輝かしい過去の一断面は、過去であるがゆえに不変であって、それゆえ真実ではないか、と言われるかもしれない。ところが、過去の一断面は不変ではあるが、永遠ではない。過去の一断面は、単なる時間の一断面に過ぎず、時間が止まった状態であり、いわば、死んだ永遠なのだ。死んだ永遠が真実であるわけがない。では、それは何か? 幻想である。



Do not use empathy to make the past real, and so perpetuate it. Step gently aside, and let healing be done for you.
  • make [SVOC] : 「〜を〜な状態にする」
  • real [ríː(ə)l] : 「現実の、実際の、本物の」
  • perpetuate [pə(r)pét∫uèit] : 「〜を永続させる、永存させる、永続化する」
  • step aside : 「脇に寄る、脇へ退く、身を引く」
  • gently [dʒéntli] : 「親切に、静かに、優しく、穏やかに」
  • done [dʌ́n] : 「do の過去分詞」
❖ "Do not use empathy ~ "「過去を現実化し、それでもって、過去を永続させるために、共感を利用してはいけない」。共感は、過去の一断面を現実化し、それをいつまでも引きずることになるので、そんなことをしてはいけない。ただし、過去の一断面を現実化すると言っても、実相世界の実在とするわけではない。あたかも、毎晩見る夢のように、過去の一断面を執拗に夢に見続けるのだ。仏教で言うところの、執着(しゅうぢゃく)である。"Step gently aside ~ "「穏やかな気持で一歩退き、あなたのために、ヒーリングがなされるようにしなさい」。ヒーリングをしてくれるのは、もちろん、ホーリー・スピリットである。



Keep but one thought in mind and do not lose sight of it, however tempted you may be to judge any situation, and to determine your response by judging it.
  • keep [kíːp] : 「〜を持ち続ける、保持する」
  • thought [θɔ́ːt] : 「考え、思考、思索、熟考」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • sight [sáit] : 「視界、景色、視覚、視力」
  • lose sight of : 「〜を見失う」
  • however [hauévə(r)] : 「どんなに〜でも、いかに〜であろうとも、どれほど〜でも」
  • tempt [tém(p)t] : 「〜を誘惑する、〜する気にさせる」
  • judge [dʒʌ́dʒ] : 「〜を判断する、〜を裁く、裁判する」
  • situation [sìt∫uéi∫n] : 「状況、場所、状態、立場、事情、情勢、事態」
  • determine [ditə́ː(r)min] : 「決定する、確定する、決心する」
  • response [rispɑ́ns] : 「応答、感応、反応」
❖ "Keep but one thought ~ "「心の中にただ一つの思いを保持し、それを見失わないようにしなさい」。ただ一つの思いとは、次に書かれてある詩句のこと。"however tempted you ~ "「たとえあなたが、状況を判断して、その判断によってあなたの反応を決めたいという誘惑にかられるであろうが」。


Focus your mind only on this:

I am not alone, and I would not intrude the past upon my Guest.
I have invited Him, and He is here.
I need do nothing except not to interfere.
  • focus [fóukəs] : 「〜に焦点を合わせる、〜に集中する」
  • alone [əlóun] : 「独りで、単独で」
  • intrude [intrúːd] : 「〜を無理に押し付ける」
  • invite [inváit] : 「招待する、招く、案内する」
  • except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
  • interfere [ìntə(r)fíə(r)] : 「邪魔をする、妨げる、遅らせる」
❖ "Focus your mind ~ "「あなたの心を、次のことだけに集中させなさい」。"I am not alone ~ "「私は一人っきりではないし、私のゲストに過去を押し付けたりするつもりはない」。"my Guest"「私のゲスト」とは、ホーリー・スピリットのこと。ホーリー・スピリットに、過去の問題を処理してもらおうとは思わない、ということ。"I have invited ~ "「私はホーリー・スピリットを招き入れたのであり、ホーリー・スピリットはここにいる」。"I need do nothing ~ "「ホーリー・スピリットの邪魔にならないようにする以外、私は何もする必要がないのだ」。ヒーリングを、完全にホーリー・スピリットに委ねるのである。ACIMの絶対他力性である。



4. True empathy is of Him Who knows what it is. You will learn His interpretation of it if you let Him use your capacity for strength, and not for weakness.
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
  • empathy [émpəθi] : 「共感、思いやり、感情移入」
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
  • interpretation [intə̀ː(r)prətéi∫n] : 「解釈、説明、解説」
  • capacity [kəpǽsəti] : 「能力、収容可能数、限度容量」
  • strength [stréŋ(k)θ] : 「力、強さ、体力」
  • weakness [wíːknəs] : 「弱さ、弱いこと、虚弱、脆弱性、衰弱」
❖ "True empathy is ~ "「本当の共感は、それが何であるか知っているホーリー・スピリットのものである」。ホーリー・スピリットは真の共感が出来る。どうやら、実相世界に存在する真の共感があるようだ。"You will learn His interpretation ~ "「もし〜ならば、あなたは、共感に対するホーリー・スピリットの解釈を学であろう」。"if you let Him use ~ "「もしあなたが、あなたの弱さではなく、あなたの強さの許容量をホーリー・スピリットに利用してもらうならば」。"capacity for strength"「強さの許容量」という意味が、どうもはっきりしない。文字通りの解釈をすれば、あなたが強さをどれだけ受け入れられるかという量のことだ。そこで、真の強さとは神のパワーのことであるから、真の強さである神のパワーをどれだけあなたが意欲しているか、ということと考えておこう。そうすると全体の意味は、あなたが真の強さである神のパワーを持ちたいと願う、その意欲をホーリー・スピリットに利用してもらうならば、共感ということに対するホーリー・スピリットの解釈をしっかり学ことができるだろう、という意味合いになる。では、"capacity for weakness"は何のことかというと、心の弱さに逃げ込んで、エゴの騙しにまんまと乗ってしまう気弱さ、と言った意味合いになるか。



He will not desert you, but be sure that you desert not Him.
  • desert [dizə́ːrt] : 「〜を見捨てる、〜との縁を絶つ、〜放棄する」
  • sure [∫úə(r)] : 「確信して、確信している、固く信じている、自信がある」
❖ "He will not ~ "「ホーリー・スピリットがあなたを見捨てることは決してない」。"but be sure that you ~ "「しかし、あなたもホーリー・スピリットを見捨てたりしないと確信しなさい」。ホーリー・スピリットを見捨てるとは、エゴに走ってエゴの思考システムを取り入れること。



Humility is strength in this sense only; that to recognize and accept the fact that you do not know is to recognize and accept the fact that He does know.
  • humility [hjuːmíləti] : 「謙虚、謙そん、卑下」
  • strength [stréŋ(k)θ] : 「力、強さ、体力」
  • sense [séns] : 「意味、意義、感覚」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • accept [əksépt] : 「 承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • fact [fǽkt] : 「事実、現実、真実、実際、真相」
❖ "Humility is strength ~ "「謙遜が強さになるのは、次の意味においてだけだ」。"that to recognize and ~ "「あなたが知らないと認識し受け入れることは、ホーリー・スピリットが知っていると認識し受け入れることと同じである」という意味においてだけ、謙遜は強い力となる。つまり、自分は何も知らないのだと謙遜して言っただけでは力にならない。自分は知らないがホーリー・スピリットはちゃんと知っていると認識すること、その謙遜は強い力を発揮する。なぜなら、あなたが知らない分、ホーリー・スピリットが助けてくれるからだ。



You are not sure that He will do His part, because you have never yet done yours completely.
  • sure [∫úə(r)] : 「確信して、確信している、固く信じている」
  • part [pɑ́ː(r)t] : 「分担、役、役目、役割、取り組み」
  • completely [kəmplíːtli] : 「完全に、十分に、全面的に、全く、徹底的に」
❖ "You are not sure that ~ "「あなたは、ホーリー・スピリットが役割を果たすだろうことに確信がない」。ホーリー・スピリットは本当に自分を助けて、罪の意識から救ってくれるのか、確信がない。"because you have never ~ "「なぜなら、あなたはまだ、自分の役割を完全には果たしていないからだ」。自分が罪の意識から救われたいのだ強く意思し、その救いをホーリー・スピリットに全面的に委ねることがあなたのするべきことなのだが、それが中途半端になっている。ホーリー・スピリットにすがるという絶対他力に対する疑いがあるのかもしれない。自分の力で自分を救い出すことは、なるほど理想的に見えるかもしれないが、幻想の世界で眠りについているあなたには、自分で自分を救い出すことは不可能なのだ。それを認めることが、まず第一のあなたの役割である。その上で、ホーリー・スピリット、あるいはキリストに他力するのである。それは決して、あなたの弱さを示すものではない。逆にそれがあなたの強さなのだ。



You cannot know how to respond to what you do not understand.
  • respond [rispɑ́nd] : 「反応する、応答する、答える」
  • respond to : 「〜に応答する、〜に反応する、〜に対処する」
  • understand [ʌ̀ndə(r)stǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
❖ "You cannot know ~ "「あなたは、あなたが理解出来ないものにどう対応していいものか、その対応の仕方を知ることは出来ないのだ」。たとえば、あなたはなぜ自分が罪の意識に苦しんでいるのか理解できない。だから、その対処法もわからないのだ。しかし、ホーリー・スピリットはすべてを知っている。だから、ホーリー・スピリットに全面依存してもいいのである。



Be tempted not in this, and yield not to the ego's triumphant use of empathy for its glory.
  • tempt [tém(p)t] : 「〜を誘惑する、〜する気にさせる、〜を唆す」
  • yield [jíːld] : 「譲る、譲歩する、屈する」
  • triumphant [traiʌ́mf(ə)nt] : 「勝利を収めた、成功した、勝ち誇った、輝かしい、立派な、得意げな」
  • empathy [émpəθi] : 「共感、思いやり、感情移入」
  • glory [glɔ́ːri] : 「栄光、称賛、名誉、誇り、壮観、荘厳」
❖ "Be tempted not ~ "「これに誘惑されてはならない」。自分はすべてを知ることが出来て、すべての問題を自力で解決出来るのだという思い上がりに誘惑されてはいけない。それはエゴの唆(そそのか)しだ。"and yield not to the ego's ~ "「そして、エゴの栄光のために、エゴが共感というものを勝ち誇って利用することに屈してはいけない」。あなたが他者の苦しみに共感して、互いに苦しみや痛みを舐めあう関係になれば、あなたと他者は決して苦しみから救われることはなく、それはエゴの思うつぼである。そのとき、エゴは、自分の計画が成功したことで、勝ち誇るのだ。そんな、エゴの見せかけの栄光に加担するようなことをしてはなない。
 
 
 

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