●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-15.X.6:1 ~ T-15.X.7:6

6. As host to the ego, you believe that you can give all your guilt away whenever you want, and thereby purchase peace.

  • host [hóust] : 「主人、案内役、宿主」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • give away : 「ただで与える、安く売る、見捨てる」
  • whenever [(h)wenévə(r)] : 「〜するときはいつでも」
  • thereby [ðὲərbái] : 「それによって、その結果、従って」
  • purchase [pə́ː(r)t∫əs] : 「〜を買う、購入する、仕入れる、獲得する」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
❖ "As host to the ego ~ "「エゴの子分(ホスト役)として、あなたはthat以下を信じている」。"that you can give ~ "「願いさえすればいつでも、あなたの罪の意識のすべてを(誰かに)売り飛ばして、その結果、平和を買える」と信じている。「罪の意識を売り飛ばす」とは、誰かに罪をかぶせてしまうことだ。たとえば、アイツが悪いのだからアイツを攻撃しよう、などと思うこと。他者を非難攻撃して悪者にし、その反作用で自分の心の平和を得ようという魂胆である。誰でも悪いことをしているから、自分だって少しぐらい悪いことをしてもいいだろうと思うことも、残念だが、よくある。



And the payment does not seem to be yours. While it is obvious that the ego does demand payment it never seems to be demanding it of you.
  • payment [péimənt] : 「支払い、納付、支払金、納付金、償い、報い、報酬、報復」
  • while [(h)wáil] : 「〜なのに、〜ではあるものの、〜だが」
  • obvious [ɑ́bviəs] : 「明らかな、明白な、分かりきった」
  • demand [dimǽnd] : 「〜を強く求める、要求する」
❖ "And the payment ~ "「そして、支払い金はあなたが負担しているようには見えないのだ」。罪の意識を売り飛ばして平和を手に入れ、あなたはそれで、収支が合っていると思っている。しかし、代償を支払っているのは実はあなたの方だ。"While it is obvious that ~ "ここには"it ~ that ~ "の構文、「エゴが支払い金を要求していることが明らかであるにもかかわらず、」"it never seems to ~ "「エゴが支払い金をあなたに要求しているようには、決して見えないのだ」。つまり、結局、一番儲けいているのはエゴだけであって、一番損をしているのはあなた自身、ということになる。罪の意識から逃れようとして、他者を非難攻撃することは、その攻撃する者自身が一番損をするのである。まったくエゴの思うつぼである。



You are unwilling to recognize that the ego, which you invited, is treacherous only to those who think they are its host.
  • unwilling [ʌnwíliŋ] : 「気が進まない、不本意の、嫌がる」
  • be unwilling to : 「〜することに気が進まない、〜することを嫌がる」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • invite [inváit] : 「招待する、招く、案内する」
  • treacherous [trét∫(ə)rəs] : 「不誠実な、裏切りをする、当てにならない」
❖ "You are unwilling to ~ "「あなたは、that以下を認めようとしない」。"that the ego, which ~ "「エゴは、もっともあなたがエゴを招き入れたのだが、そのエゴは、エゴの子分であると思っている者に対してだけ不誠実である」ということを、あなたは認めようとしない。エゴが裏切る相手は、エゴを信じているあなたなのだ。罪の意識から救ってやると持ちかけたエゴをあなたは信じてしまい、最後はそのエゴに裏切られるわけである。あなたを子分に仕立てたエゴは、結局、まったくのヤクザなのである。



The ego will never let you perceive this, since this recognition would make it homeless.
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • since [síns] : 「〜なので、〜だから」
  • recognition [rèkəgní∫n] : 「認識、認証、正当性の認識」
  • homeless [hóumlis] : 「家のない、住む家もない」
❖ "The ego will never ~ "「エゴはあなたに、このことを知覚させたりはしないだろう」。このこととは、エゴの子分であると思っている者に対してだけ不誠実であるという事実。気付かれないようにあなたを騙しているのである。"since this recognition ~ "「なぜなら、(あなたが)これを認識すれば、エゴは住む家を失ってしまうからだ」。いわば、エゴはあなたに寄生しているわけで、あなたがそれに気づいてエゴを追い出せば、エゴは寄生先を失ってしまうのだ。ちょうど、ヤクザの親分の元から子分がみんな立ち去ってしまったら、裸同然の親分は行き場を失ってしまうではないか。



For when the recognition dawns clearly, you will not be deceived by any form the ego takes to protect itself from your sight.
  • dawn [dɔ́ːn] : 「明ける、明るくなる、分かり始める、見え出す」
  • clearly [klíə(r)li] : 「はっきりと、疑いもなく、明らかに、明瞭に」
  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます、裏切る」
  • form [fɔ́ː(r)m] : 「形、外形、構造、姿、体つき、外見」
  • protect [prətékt] : 「保護する、守る、防御する」
  • sight [sáit] : 「視界、景色、視覚、視力」
❖ "For when the recognition ~ "「なぜなら、この認識がはっきりと見え始めると、」あなたがはっきりと認識し始めると、ということ。"you will not be deceived ~ "「あなたは、〜によって騙されるようなことはなくなるであろう」。"by any form the ego ~ "「エゴが自らをあなたの視界から隠そうとして取るいかなる形によっても、」騙されることはなくなるであろう。エゴはあなたに気付かれないように、手を変え品を変え、あなたを騙し続けるのであるが、もはやあなたは騙されはしない。



Each form will be recognized as but a cover for the one idea that hides behind them all; that love demands sacrifice, and is therefore inseparable from attack and fear.
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • cover [kʌ́və(r)] : 「覆い、表紙、カバー、ふた、かぶり」
  • hide [háid] : 「隠す、隠蔽する、秘密にする」
  • behind [biháind] : 「〜の後ろに、後方に、〜の裏側に、〜の陰に」
  • demand [dimǽnd] : 「求める、要求する」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、いけにえ、ささげものをすること」
  • therefore [ðéə(r)fɔ̀ː(r)] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • inseparable [insép(ə)rəbl] : 「分けられない、分離できない、切っても切れない、切り離せない」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
  • fear [fíə(r)] : 「恐れ、恐怖」
❖ "Each form will be ~ "「(エゴがとる様々な)外見はすべて、その背後にたった一つの考えを隠そうとしているカバーなのだと認識されるだろう」。エゴはあなたに気付かれまいとして、いろんな外見をとって、あなたの視界から隠れようとする。エゴが隠そうとしているのは一つの考えである。それは、"that love demands ~ "「愛は犠牲を要求し、したがって、攻撃と恐れとは切っても切れないものだ」という考えを、エゴは隠している。



And that guilt is the price of love, which must be paid by fear.
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • price [práis] : 「値段、価格、対価、代価、代償、犠牲」
  • paid [péid] : 「pay の過去・過去分詞形」
  • pay [péi] : 「〜を支払う」
❖ "And that guilt is ~ "「そして、罪は愛の対価であり、恐れによって支払われるべきだ」という考えを、エゴは隠している。あなたがエゴの思考システムを採用している限り、愛は非常に厄介なものとなる。愛するには犠牲が必要で、犠牲になったり犠牲を強いたりすることで罪の意識を感ぜざるを得ず、それが恐ろしく思えてしまう。



7. How fearful, then, has God become to you, and how great a sacrifice do you believe His Love demands! For total love would demand total sacrifice.
  • fearful [fíə(r)fl] : 「恐ろしい、怖い」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • great [gréit] : 「大きい、大きな、巨大な」
  • total [tóutl] : 「完全な、全くの、全部の、すべての、全体の、全面的な」
❖ "How fearful, then, ~ "「そこで、あなたにとって神はいかにも恐ろしものとなり、」"and how great a sacrifice do ~ "「神の愛は、いかにも大きな犠牲を要求するのかと、あなたは信じてしまうのである」。愛に伴なう犠牲をエゴに起因するとする代わりに、あなたは、神がそれを要求しているものだと誤解してしまうのだ。"For total love ~ "「なぜなら、完全な愛は完全な犠牲を要求するものだからである」。神の愛は完全であるから、神はきっと完全な犠牲を求めているに違いないと、あなたは信じ込んでしまうのである。真実は、まったくその逆で、神の愛は、針の先ほどの犠牲も求めてはいない。



And so the ego seems to demand less of you than God, and of the two is judged as the lesser of two evils, one to be feared a little, perhaps, but the other to be destroyed.
  • less [lés] : 「より少なく」
  • judge [dʒʌ́dʒ] : 「判断する、〜を審判する、審査する」
  • lesser [lésə(r)] : 「より小さい」
  • evil [íːvl] : 「害悪、悪、弊害、災害、不運」
  • fear [fíə(r)] : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
  • perhaps [pə(r)hǽps] : 「たぶん、もしかすると、ことによると」
  • destroy [distrɔ́i] : 「破壊する、崩壊させる」
❖ "And so the ego ~ "「そこで、エゴは神に比べて、あなたに、より少ないものを要求しているかのように見えるのだ」。神は、愛の代償として完全な犠牲を求めているが、エゴはそれに比べればまだましだ、とあなたは判断するのである。"and of the two is judged ~ "ここは非常に直訳しにくいので意訳する、「エゴと神の二つのうちでエゴの方が、二つの災難を比較すれば、まだましだろうと判断される」。ここの"two evils"「二つの災難」とは、エゴが要求する恐れと、神が要求する犠牲のこと。"one to be feared ~ "「つまり、一方のエゴを選べば、ほんの少しの恐れを強いられ、そして多分、他方の神を選べば破壊されかねない」と判断するのだ。こんな意味合いになるので、英文を繰り返し読んで、より正確な意味をつかんで欲しい。



For you see love as destructive, and your only question is who is to be destroyed, you or another?
  • destructive [distrʌ́ktiv] : 「破壊的な、破壊主義的な、有害な」
  • question [kwést∫n] : 「質問、問題、疑問、問い、質疑、疑義」
❖ "For you see love ~ "「なぜなら、あなたは、愛は破壊にしか見えず、」"and your only question ~ "「あなたの唯一の問題は、誰が破壊されるか、あなたか他者か、というこになるからだ」。 愛するあなたが愛ゆえに破壊されるのか、あなたが愛した他者が愛ゆえに破壊されるのか、あなたの関心事はどちらが破壊されるかに移ってしまう。もちろん、この逆の場合も考えられる。つまり、愛されたあなたが破壊されるか、あなたを愛した他者が破壊されるか、という問題である。しかし、考えてみると、犠牲を伴うような愛は、愛する方も愛される方も、どちらも破壊されるだ。これが、幻想世界の愛であって、この世の特別な関係性は遅かれ早かれ、この落とし穴に落ちてしまう。



You seek to answer this question in your special relationships, in which you seem to be both destroyer and destroyed in part, but able to be neither completely.
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • answer [ǽnsə(r)] : 「〜に答える」
  • special [spé∫l] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • both [bóuθ] : 「両方の、双方の、二つともの」
  • destroyer [distrɔ́iər] : 「破壊者、破壊するもの」
  • in part : 「一部分において、一つには、ある程度、いくぶん」
  • be able to : 「〜することができる、〜し得る、〜が可能である」
  • neither [níːðə(r)] : 「どちらも〜ない」
  • completely [kəmplíːtli] : 「完全に、十分に、全面的に、全く、徹底的に」
❖ "You seek to answer ~ "「あなたは、特別な関係性の中に、この疑問に対する答えを見出そうとする」。"special relationships"「特別な関係性」とは、この幻想世界における関係性のことで、限定を恐れず言うなら、この世の男女の愛欲関係と見ていいだろう。"in which you ~ "「その特別な関係性の中では、あなたは、ある意味、どちらも破壊者であり、破壊され合うように思えるのだ」。"but able to be ~ "「とは言え、完全に破壊者になることも、完全に破壊された者になることも出来はしないのだが」。



And this you think saves you from God, Whose total Love would completely destroy you.
  • save [séiv] : 「救う、助ける」
❖ "And this you think ~ "「こうすることで、あなたが神(の破壊)から救われると思っている」。特別な関係性の中で互いに破壊し合うことで、神による完全な破壊から逃れられると考えるわけだ。"Whose total Love ~ "「神の完全な愛は、あなたを完璧に破壊してしまうだろうから、」それよりはましだ、と考えるのである。何ともちゃちな関係性ではないか。
 
 
 

Notification

自分の写真


❖ Text精読、完了しました。4年8ヶ月、1256回の投稿でした。長期に渡ってお付き合いいただき、感謝します。
❖ 引き続き、Workbook精読をご覧下さい。場所は「http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp」です。
❖ Text精読の手直しも始めました。月日をかけて見直していきます。
❖ AmazonからKindle版の精読シリーズを出版開始しました。『どこでもAcim』をご希望の方は是非どうぞ。
❖ Google PlayとiBookstoreからepub版の精読シリーズを出版開始しました。Kindle版で窮屈さをお感じでしたら、こちらをどうぞ。
❖ Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。Urtextは非常に面白いです。臨場感は半端でありません。

oohata_mnb@yahoo.co.jp
oohata.m@coda.ocn.ne.jp

アクセスカウンター