●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-15.IX.1:1 ~ T-15.IX.2:6

 
 

IX. The Holy Instant and the Attraction of God
聖なる瞬間と神の求心力
 
 
 
1. As the ego would limit your perception of your brothers to the body, so would the Holy Spirit release your vision and let you see the Great Rays shining from them, so unlimited that they reach to God.
  • limit [límit] : 「限定する、制限する、制限をかける、範囲内に収める」
  • perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
  • release [rilíːs] : 「解放する、自由にする、放つ」
  • vision [víʒ(ə)n] : 「視覚、視力、見ること」
  • ray [réi] : 「放射線、光線、熱線、一筋の光明、輝き、ひらめき」
  • shine [∫áin] : 「輝く、光る」
  • unlimited : 「制限のない、無制限の、自由な、無条件の」
❖ "As the ego would limit ~ "「エゴが、同胞に対するあなたの知覚を肉体に制限しようとするのに対して、」"so would the Holy Spirit ~ "「ホーリー・スピリットは、あなたのヴィジョンを解放し、」"and let you see ~ "「同胞から発せられる偉大な光が輝いているのを見ることが出来るようにしてくれる」。"so unlimited that they ~ "「その光は制限されないので、神の元までも届くのだ」。ここで述べられている"the Great Rays"「偉大な光」を、単に比喩としてとらえるか、あるいは実際に存在する光ととらえるか、意見の分かれるところであろう。ACIMの他の箇所に登場する光の記述を読むと、我々の知覚が物理的、肉体的な感覚器官による制限から解放されたとき、数々の「光のエピソード」に出会うという。つまり、ACIMは、光を比喩として記述しているのではなく、実相世界に実在する光として述べているととらえる方が解釈として正しい気がする。まあ、これだけは体験してみないと何とも言えないところであるから、断定は避けておいた方がいいだろう。



It is this shift to vision that is accomplished in the holy instant.
  • shift [∫íft] : 「交代、変更、変化、転換」
  • accomplish [əkɑ́mpli∫] : 「成し遂げる、成就する、達成する、遂げる、仕上げる、完成させる」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
❖ "It is this shift to vision ~ "「(同胞の体から発せられる偉大な光が見えるようになるというこの知覚の)シフトは、聖なる瞬間に完成されるヴィジョンへのシフトである」。つまり、聖なる瞬間において、あなたの肉体的な知覚は、その制限を解かれて、偉大な光が見える真のヴィジョンへと質転換する、ということ。



Yet it is needful for you to learn just what this shift entails, so you will become willing to make it permanent.
  • needful [níːdfəl] : 「入用な、必要な、不可欠な」
  • learn [lə́ː(r)n] : 「知る、学ぶ」
  • entail [entéil] : 「〜を伴う、必要とする、引き起こす、課す」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • be willing to : 「〜する意思がある、進んで〜する、〜に気乗りする」
  • permanent [pə́ː(r)m(ə)nənt] : 「永続する、永続的な、不変の、永久的な、恒久的な」
❖ "Yet it is needful for you ~ "ここは"it ~ to ~ "の構文、「しかし、あなたにとって、このシフトが何を引き起こすか、知る必要がある」。" so you will become ~ "「そうすれば、このシフトを永続するものにしたいと思うようになるだろう」。どうやら、光が見えただけに収めるのではなく、それに伴なうものを学ぶことが重要であるらしい。シフトを永続化するとは、実相的知覚を永続化するということであろう。実相的知覚は、さらに叡智へと質転換されるはずだ。



Given this willingness it will not leave you, for it is permanent.
  • given [gívn] : 「〜と仮定すると、〜を考えると、〜を前提として」
  • willingness [wíliŋnis] : 「意欲、いとわずにすること、快くすること」
  • leave [líːv] : 「〜を見捨てる、〜を置き去りにする」
❖ "Given this willingness ~ "「この(知覚のシフトを永続させたいと)望む気持ちがあるなら、それはあなたを置き去りにしないであろう」。つまり、あなたの望みは実現するだろう。"for it is ~ "「なぜなら、それは永続するからだ」。幻想世界の知覚から実相世界の知覚へと、知覚がシフトするのだが、それを永続させたいとあなたが意思すれば、それは必ず実現し、実相的知覚は永続性をもってあなたの知覚となる。さらに、この実相的知覚が叡智へと質転換して行くわけである。



Once you have accepted it as the only perception you want, it is translated into knowledge by the part that God Himself plays in the Atonement, for it is the only step in it He understands.
  • once [wʌ́ns] : 「いったん〜すると、ひとたび〜すれば」
  • accept [əksépt] : 承認する、認める、容認する、受け入れる
  • translate [trænsléit] : 「〜を翻訳する、訳す、解釈する」
  • knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵、知見」
  • part [pɑ́ː(r)t] : 「分担、役、役目、役割、取り組み」
  • Atonement [ətóunmənt] : 「贖罪、罪滅ぼし、償い、補償」
  • step [stép] : 「歩み、一歩、階段、段、階、段差」
  • understand [ʌ̀ndə(r)stǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
❖ "Once you have accepted ~ "「あなたがひとたび、実相的知覚だけが望むものだと受け入れてしまえば、」"it is translated into knowledge ~ "「実相的知覚は、〜によって、叡智へと翻訳される」。実相的知覚が叡智へと質転換されるのである。その質転換をもたらしてくれるのは、ホーリー・スピリットではなく、"by the part that God Himself ~ "「贖罪において、神自身が担う役割によって」叡智へと翻訳(質転換)されるのだ。"for it is the only step ~ "「なぜなら、贖罪だけが、神の理解する叡智への一歩だからである」。非常に難解である。まず、肉体的な知覚から実相的知覚への知覚のシフトはいいとして、それを永続的なものにするにはあなたの強い意志が必要とされる。だが、それだけでは十分ではない。あなたは、その新しく獲得した実相的知覚をもって、恐れずに、あなた自身の罪の意識を見つめ直さねばならないのだ。そして、その実相的知覚で罪の意識を見たとき、あなたは、そんなものは存在していないと認識することになるのである。罪は幻想であったことを発見するのだ。こうして、あなたは自分が完全な無辜(むこ)であることを受け入れ、あなたの贖罪が実相レベルで果たされることになる。その時、ホーリー・スピリットの役割は終了し、いよいよ神の出番となる。完全無辜性を受け入れたあなたは、神のパワーを浴びて、その実相的知覚が叡智へと質転換するさまを目撃することになる。こうして、神の助けを得て最後のステップを登り、あなたはめでたく叡智を獲得するのである。この叡智こそ、神の理解するところのものであって、もはや幻想世界のあなたの思いをホーリー・スピリットによって翻訳してもらわなくてもいいことになる。つまり、叡智を仲立ちに、神と神の子の直接コミュニケーションが交わされることになるのである。



Therefore, in this there will be no delay when you are ready for it. God is ready now, but you are not.
  • therefore [ðéə(r)fɔ̀ː(r)] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • delay [diléi] : 「遅延、遅滞、猶予、遅れ、遅延時間」
  • ready [rédi] : 「用意ができている、支度が整った、覚悟ができた」
  • be ready for : 「いつでも〜する状態になって、準備が整って」
❖ "Therefore, in this there ~ "「したがって、叡智への質転換において、あなたが叡智への準備さえ整っていれば、まったく遅れなく、それは実現する」。"God is ready now ~ "「なぜなら、あなたはまだ準備が整っていないが、神は今はもう、その準備は整っているのであるから」。



2. Our task is but to continue, as fast as possible, the necessary process of looking straight at all the interference and seeing it exactly as it is.
  • task [tǽsk] : 「任務、職務、仕事、課題」
  • continue [kəntínjuː] : 「〜を続ける、継続する、持続する」
  • fast [fǽst] : 「速く」
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る」
  • necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の、欠くことのできない」
  • process [prɑ́ːses] : 「一連の行為、過程、進行、経過、推移」
  • look straight [stréit] : 「正視する、直視する」
  • at all : 「とにかく」
  • interference [ìntərfíərəns] : 「干渉、妨害、障害、邪魔、支障」
  • exactly [igzǽk(t)li] : 「正確に、厳密に、ぴったり、きっちり」
  • as it is : 「そのままに、あるがままに」
❖ "Our task is but ~ "「私たちのなすべき仕事は、なくべく早く、〜するという必要なプロセスを継続することである」。"of looking straight ~ "「とにかく、障害となっているものを直視し、それをあるがままに正確に見つめる」という必要なプロセスを継続することである。"the interference"「障害、干渉、妨害」とは、あなたの目の前にある幻想世界の、あまりに圧倒的に見える実在性であり、それを基盤に成り立っているエゴの思考システムである。その虚偽を直視し、あるがままに見つめ直さなくてはならない。



For it is impossible to recognize as wholly without gratification what you think you want.
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない、無理な」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • wholly [hóu(l)li] : 「完全に、全く、全体として、全体的に」
  • gratification [græ̀təfikéi∫n] : 「満足、大喜び、満足を与えるもの」
❖ "For it is impossible to ~ "ここは"it ~ to ~ "の構文、「なぜならば、あなたが欲しいと思っているものを、まったく満足せずに、完全に認識することは不可能であるからだ」。どういう意味だろう? あなたが欲しいと思っているものとは、この幻想世界の、地位であり名声であり権力であり金であり安楽であり快楽である。それを、心の一方で望みながら、他方でそれには満足せず、その欲望を完全に、ありのままに認識するということは至難の業だ。凡人には不可能である。つまり、欲望を、欲望をもったまま、完全に認識することは不可能なのである。したがって、仏教では、欲望(煩悩)を滅することから始めるわけだ。欲望を滅っしきった心で、欲望の全体像を認識するのである。



The body is the symbol of the ego, as the ego is the symbol of the separation.
  • symbol [símbl] : 「象徴、記号、シンボル、表象」
  • separation [sèpəréi∫n] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
❖ "The body is the symbol ~ "「肉体はエゴのシンボルであり、」"as the ego is the symbol ~ "「そして、エゴは分離のシンボルである」。正しい認識の障害となっているものは、この世界に対する欲望であり、つまりは物質に対する欲である。物質の最たるものが肉体であり、欲は肉体と一体になっている。ところが、肉体が幻想である以上、その欲も幻想であるのだ。エゴは、その幻想の欲望と幻想の肉体に取りついて離れない。エゴは肉体を象徴として祭り上げ、肉体こそが存在のすべてであると主張する。では、エゴはどのようにして生まれたか? 神の子が神から分離し、罪の意識を持つこととなったが、その重圧に耐えかね、神の子の心は自己を乖離する。すなわち、自分以外の別人格を空想の中に作り出すのである。こうして神の子の心はエゴを生み出した。つまり、エゴは分離の象徴なのである。



And both are nothing more than attempts to limit communication, and thereby to make it impossible.
  • nothing more than : 「〜にすぎない、〜でしかない」
  • attempt [ətém(p)t] : 「試み、企て」
  • limit [límit] : 「限度、制限、限界」
  • communication [kəmjùːnikéi∫n] : 「伝達、通信、連絡、交信」
  • thereby [ðὲərbái] : 「それによって、その結果、従って」
❖ "And both are nothing ~ "「そして、肉体とは、コミュニケーションを制限する企て以上のものではない」。"and thereby to make ~ "「制限するのであるから、(完全な)コミュニケーションを不可能にするのである」。知覚が肉体に閉じ込められ、コミュニケーションのためには言語が必要となった。それが、コミュニケーションに対する制限である。言葉に依存しない、叡智と叡智による直覚的コミュニケーションが不可能となったのである。



For communication must be unlimited in order to have meaning, and deprived of meaning, it will not satisfy you completely.
  • unlimited : 「制限のない、無制限の、自由な」
  • in order to : 「〜するために」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義」
  • deprive [dipráiv] : 「奪う、取り上げる、剥奪する」
  • satisfy [sǽtisfài] : 「〜を満足させる、納得させる、満たす、充足させる」
  • completely [kəmplíːtli] : 「完全に、十分に、全面的に、全く、徹底的に」
❖ "For communication must be ~ "「なぜなら、コミュニケーションは、意味をもつには制限されてはならないからだ」。"and deprived ~ "分詞構文、先頭にbeingを補うといい、「コミュニケーションは意味を奪われてしまったので、」"it will not satisfy you ~ "「あなたを完全に満足させることはないだろう」。もちろん、お気づきであろうが、ここで語られているコミュニケーションは、この世界のコミュニケーションとはレベルが違うコミュニケーションのことである。実相世界における真のコミュニケーションのことである。そこを誤れば、いわゆるレベル・コンフュージョンを起こしてしまうだろう。



Yet it remains the only means by which you can establish real relationships, which have no limits, having been established by God.
  • remain [riméin] [SVC] : 「依然として〜のままである、残る、残存する」
  • means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
  • establish [istǽbli∫] : 「確立する、設立する、開設する」
  • real [ríː(ə)l] : 「 現実の、実際の、本物の」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
❖ "Yet it remains the only ~ "「しかし、コミュニケーションは、あなたが真の関係性を構築出来る唯一の手段として残るのだ」。"which have no ~ "「その真の関係性は、神によって確立されたものなので、制限をもたないのである」。"real relationships"「真の関係性」は"special relationships"「特別な関係性」と対照をなす言葉。前者が実相的関係で、後者が幻想的関係。その、実相的関係性は神が確立すると言っている。あなたを含め、多くの同胞たちが神の元に回帰し、心は再統一される。そこで成立する関係性であるから、神が仲立ちしている関係性と考えていいわけだ。一言で言えば、真の関係性とは神と神の子の間の関係性、ということになる。
 
 
 

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