●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-12.III.5:1 ~ T-12.III.6:7

5. Salvation is for the mind, and it is attained through peace. This is the only thing that can be saved and the only way to save it.

  • Salvation [sælvéi∫n] : 「救出、救済、救い、救世」
  • attain [ətéin] : 「手に入れる、獲得する」
  • save [séiv] : 「救う、助ける、確保しておく、取っておく」
❖ "Salvation is for ~ "「救いは心のためのものであって、」"and it is attained ~ "「それは(心の)平和を通して得られる」。"This is the only thing ~ "「(心の)平和こそが救われ得るものであって、」"and the only way to ~ "「平和こそが、心を救う唯一の方法である」。ACIMで言われる平和は、当然、実相の世界における平和であって、この幻想の世界の平和ではない。幻想世界の平和は二元論的平和であり、平和の対極である戦争という概念が常につきまとう。しかし、一元論世界の実相の平和は、対極概念をもたない純粋な平和であって、ACIMを読み進む上で、「純粋平和」「一元論的平和」「絶対平和」などという言葉で置き換えてみればいいだろう。



Any response other than love arises from a confusion about the "what" and the "how" of salvation, and this is the only answer.
  • response [rispɑ́ns] : 「応答、感応、反応」
  • other than : 「〜以外の」
  • arise [əráiz] from : 「〜から生じる、〜に原因する、〜に起因する」
  • confusion [kənfjúːʒ(ə)n] : 「混乱、混同、混乱状態、無秩序」
❖ "Any response other than ~ "「愛以外の反応は、救いとは『何か』、救われるには『どうしたらいいか』ということに関する混乱から生じる」。"and this is the only ~ "「そして、これが唯一の答えである」。これとは愛に感応する心の平和。



Never lose sight of this, and never allow yourself to believe, even for an instant, that there is another answer.
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • sight [sáit] : 「視界、見解」
  • allow [əláu] : 「〜を許す、許可する、許容する」
  • for an instant [ínstənt] : 「ちょっとの間、ほんの束の間」
  • another [ənʌ́ðə(r)] : 「別の、ほかの」
  • answer [ǽnsə(r)] : 「答え、回答、返事、応答」
❖ "Never lose sight ~ "「この見解を決して見失わないようにしなさい」。"and never allow ~ "「そして、一時たりとも、that以下を信じることをあなた自身に決して許さないようにしなさい」。"that there is another ~ "「ほかに答えがある」と信じることを自分に許さないように。答えは唯一、愛。もちろん、一元論世界の愛を言っているのであって、憎悪という対極概念をもたない純粋な愛である。



For you will surely place yourself among the poor, who do not understand that they dwell in abundance and that salvation is come.
  • surely [∫úə(r)li] : 「確かに、確実に、必ず、きっと、間違いなく」
  • place [pléis] : 「〜を置く、設置する、〜を認識する、判別する」
  • among [əmʌ́ŋ] : 「〜の間に、〜のうちで、〜に混じって」
  • dwell [dwél] : 「住む、居住する、存在する」
  • abundance [əbʌ́nd(ə)ns] : 「多量、豊富、多数、潤沢、裕福」
❖ "For you will surely ~ "「なぜならば、あなたはあなた自身を貧しい人達の仲間だと確実に思うであろうからだ」。"who do not understand that ~ "「そして、貧しい人達は、彼らが豊潤の中に生き、救いが来たことを理解していないのである」。神の子として、神からすべてを継承している。実相の世界ではすべての神の子は豊潤を謳歌できる。しかし、悲しいことに、神の子は深い眠りの中でそのことを忘れ、心貧しいものとなってしまった。



6. To identify with the ego is to attack yourself and make yourself poor.
  • identify [aidéntəfài] : 「〜を同一に扱う、同一視する」
❖ "To identify with ~ "「エゴと同一視することはあなた自身を攻撃することであり、あなた自身を貧しくすることである」。神から分離し、神の罰を恐れる心は、罪と罰の重みに耐え切れなくなって自己を乖離した。エゴいう別人格を作り出すことで、罪と罰の責任を回避したのである。しかし、同時に、これは一元論実相世界から、分離の象徴である二元論幻想世界への墜落であった。エゴは罪と罰、分離と攻撃を外部へと投射し、幻想のこの世界を偽創造する。そのエゴと自分が同一であると見るあなたは、当然自分を分離した個人ととらえ、他者を攻撃することで自己の独立を保とうとする。しかし、自他一如によって、他者を攻撃することは自分を攻撃することと等しく、それが、あなたをますます孤独で、心貧しいものとするのである。



That is why everyone who identifies with the ego feels deprived.
  • deprive [dipráiv] : 「奪う、取り上げる、剥奪する」
❖ "That is why everyone ~ "「それが、エゴと同一視した誰もが、剥奪されたように感じる理由である」。剥奪され、孤独で、愛に渇き、そして、不安、恐怖、疎外、憎悪、懐疑、嫉妬、等々と連鎖の輪は限りなく続いていく。



What he experiences then is depression or anger, because what he did was to exchange self-love for self-hate, making him afraid of himself. He does not realize this.
  • experience [ikspí(ə)riəns] : 「〜を経験する。〜を体験する」
  • depression [dipré∫n] : 「落ち込み、意気消沈、絶望」
  • anger [ǽŋgə(r)] : 「怒り、憤り」
  • exchange [ikst∫éin(d)ʒ] : 「〜を交換する、〜を両替する、〜をあきらめる、〜を犠牲にする」
  • be afraid of : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
  • realize [ríːəlàiz] : 「: 〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
❖ "What he experiences ~ "「そこで、エゴと同一視した者が経験することは、気分の落ち込みであり怒りである」。"because what he did was ~ "「なぜなら、彼がやったことは、自己愛を自己嫌悪に換えることであったからだ」。" making him afraid of ~ "分詞構文、結果、「その結果、彼は彼自身を恐れるようになった」。しかし、"He does not ~ "「彼はこのことに気がついていない」。自己愛を自己嫌悪に換えることで、自分自身を攻撃するのである。その結果が気分の落ち込みと、自分自身に対する怒りである。自分自身に対する怒りと攻撃は、自他一如によって、当然他者にも向けられる。こうして、あなたは自己からも他者からも疎外され、底なしの孤独に落ち込んでいく。



Even if he is fully aware of anxiety he does not perceive its source as his own ego identification, and he always tries to handle it by making some sort of insane "arrangement" with the world.
  • Even if : 「たとえ〜でも」
  • fully [fúli] : 「十分に、完全に、全く、すっかり」
  • be aware of : 「〜に気付いている、〜を知っている」
  • anxiety [æŋzáiəti] : 「心配、不安、懸念、不安の種、心配事」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • source [sɔ́ː(r)s] : 「もと、源、起点、原因」
  • identification [aidèntəfikéi∫n] : 「同一であることの確認、同一化、同定」
  • handle [hǽndl] : 「〜を操作する、〜を処理する、対処する」
  • some sort of : 「ある種の、何がしかの、何らかの」
  • insane [inséin] : 「正気でない、精神障害の、非常識な」
  • arrangement [əréin(d)ʒmənt] : 「処理、処置、整頓、整理、配置、配列」
❖ "Even if he is fully ~ "「たとえ彼が、十分に不安というものに気がついていたとしても、」"he does not perceive ~ "「その原因が、彼自身のエゴとの同一化であるとは知覚していない」。"and he always tries to ~ "「そして彼は、その不安を〜によっていつも操作しようと試みている」。"by making some sort of ~ "「世界に対してある種の狂った『処理』を施すことによって」不安を操作しようとしている。彼がどのような『処理』を施すのかは、次の文章で。



He always perceives this world as outside himself, for this is crucial to his adjustment.
  • outside [áutsáid] : 「〜の外に、〜の外側に」
  • crucial [krúː∫l] : 「重大な、決定的な、鍵を握る」
  • adjustment [ədʒʌ́stmənt] : 「調節、適応、適合、加減、修正、調整」
❖ "He always perceives ~ "「彼は常に、この世界が彼の外側にあるものと知覚する」。"for this is crucial to ~ "「なぜならば、そう知覚することは、彼が世界を調整するのに重要だからだ」。世界が外部にあるからこそ、心置きなく攻撃でき、すべての責任を外部世界になすりつけることが出来るのである。しかし、外部だと信じていた世界が自分の心の中にあったら、いったいここで何が起きているのか?



He does not realize that he makes this world, for there is no world outside of him.
  • realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する」
❖ "He does not realize ~ "「彼は、彼がこの世界を作っていることを自覚していない」。"for there is no ~ "「なぜなら、彼の外に世界などないからだ」。この世界は幻想の世界である。神から分離した心が、その外部に投射して作り出した錯覚の世界である。したがって世界という夢は彼の心の中にあるのであって、彼の外にあるのではない。心の外に投射しただけなのである。つまり、この世界のソースであるフィルムは彼の心にあり、スクリーンは彼の外部にあって、そこに映像を映し出しているに過ぎないのである。そのスクリーンに映し出された映像を攻撃し、責任を負わせようとしている彼は、悲しいというより滑稽ではないか。
 
 
 

Notification

自分の写真


❖ Text精読、完了しました。4年8ヶ月、1256回の投稿でした。長期に渡ってお付き合いいただき、感謝します。
❖ 引き続き、Workbook精読をご覧下さい。場所は「http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp」です。
❖ Text精読の手直しも始めました。月日をかけて見直していきます。
❖ AmazonからKindle版の精読シリーズを出版開始しました。『どこでもAcim』をご希望の方は是非どうぞ。
❖ Google PlayとiBookstoreからepub版の精読シリーズを出版開始しました。Kindle版で窮屈さをお感じでしたら、こちらをどうぞ。
❖ Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。Urtextは非常に面白いです。臨場感は半端でありません。

oohata_mnb@yahoo.co.jp
oohata.m@coda.ocn.ne.jp

アクセスカウンター