●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-11.VII.3:1 ~ T-11.VII.4:9

3. The ego may see some good, but never only good. That is why its perceptions are so variable. 
  • good [gúd] : 「ためになること、よいこと」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、知見、感じ方」
  • variable [vέəriəbl] : 「変わりやすい、変えられる」
❖ "The ego may ~ "「エゴとて、いくらかは良いことを見るかもしれないが、」"but never only ~ "「決して、良いことだけを見るというわけではない」。"That is why ~ "「これが、エゴの知覚がころころ変わる理由である」。



It does not reject goodness entirely, for that you could not accept. 
  • reject [ridʒékt] : 「拒絶する、拒否する」
  • goodness [gúdnəs] : 「良いこと、善良」
  • entirely [entáiərli] : 「全く、完全に、全体に」
  • accept [əksépt] : 「承認する、受け入れる」
❖ "It does not ~ "「エゴは良いことを頭ごなしに否定したりはしない」。"for that you ~ "「なぜなら、あなたはそんなことを受け入れることは出来ないだろうからだ」。エゴはあなたの顔色を見ながら、この良きことは肯定し、あの良きことは否定する。エゴは飴とムチの達人だ。



But it always adds something that is not real to the real, thus confusing illusion and reality. 
  • always [ɔ́ːlweiz] : 「いつも、常にいつでも」
  • add [ǽd] : 「加える、合計する、足す」
  • confuse [kənfjúːz] : 「混同する、混乱させる」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • reality [riǽləti] : 「現実、真実、実相」
❖ "But it always ~ "「しかしエゴは、いつも、現実的ではないものを現実的なものに付け加える」。"thus confusing ~ "分詞構文、結果、「このようにして、エゴは幻想と実相を混同してしまうのだ」。たとえば、幻想の世界においても実相的愛は存在する。ところが、エゴはその実相の愛に対して幻想の肉欲や金銭欲や愛憎欲、利己心などを付け加える。その結果、エゴ自身が愛と肉欲や金銭欲が区別できなくなってしまう。



For perceptions cannot be partly true. If you believe in truth and illusion, you cannot tell which is true. 
  • partly [pɑ́ːrtli] : 「一部分は、部分的に」
  • truth [trúːθ] : 「事実、真相、本当のこと」
  • tell [tél] : 「〜を見分ける、分かる」
❖ "For perceptions ~ "「なぜなら、知覚というものは部分的に正しいということはないからだ」。知覚は、100%正しいか、100%正しくないかのどちらかだ。半分だけ正しい、ということはない。"If you believe ~ "「もし、あなたが真実と幻想の両方を信じたなら、」"you cannot tell ~ "「どちらが本当なのか、あなたは区別をつけることが出来なくなってしまう」。たとえば、人を愛する実相的愛と、人から愛を奪い取りたいと欲望する幻想的愛は共存することは出来ない。実相的愛と略奪的愛を同時に信じることは出来ないからだ。



To establish your personal autonomy you tried to create unlike your Father, believing that what you made is capable of being unlike him. 
  • establish [istǽbliʃ] : 「確立する、達成する」
  • personal [pə́ːrsənl] : 「個人の、 個人的な」
  • autonomy [ɔːtɑ́nəmi] : 「自治、自律、自主」
  • try to : 「〜しようと試みる」
  • unlike [ʌnláik] : 「〜とは違って」
  • be capable [kéipəbl] of : 「〜の能力がある、〜ができる」
❖ "To establish your ~ "「あなたの個人的な自律を確立するために、」"you tried to ~ "「あなたは、あなたの父なる神とは違うように創造してきた」。"believing that ~ "分詞構文、付帯状況、「あなたが作ったものが、神とは違う可能性があると信じて」。あなたが神から分離したそもそもの原因は、あなたが神なしで存在できるかもしれないと思ったことにある。神なしで、神のように自律してみようと思ったことが神からの分離につながった。その結果、あなたはこの幻想世界を疑似的に創造したわけだ。エゴは夢の中で神になったつもりでいる。



Yet everything true is like him. Perceiving only the real world will lead you to the real Heaven, because it will make you capable of understanding it.
  • lead [líːd] : 「導く、案内する」
  • make : 「〜を〜の状態にする、〜に〜させる」
❖ "Yet everything ~ "「しかし、すべて本当のものは神に似ている」。実在する真実はすべて、神との関わりをもっていて神に似ている。"Perceiving only ~ "「実相の世界だけを知覚することは、あなたを実相の天に導いてくれるだろう」。"because it will ~ "「なぜなら、その知覚は、あなたが実相を理解することが出来るようにしてくれるだろうからだ」。幻想を排して実相だけを感じ取ろうとすることによって、実相の理解が深まり、あなたは神の王国(the real Heaven 天の王国)に近づいて行ける。



4. The perception of goodness is not knowledge, but the denial of the opposite of goodness enables you to recognize a condition in which opposites do not exist. 
  • knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、認識、知恵」
  • denial [dináiəl] : 「否定、拒否、拒絶、否認」
  • opposite [ɑ́pəzit] : 「反対、逆の物、反対の物」
  • enable [enéibl] : 「〜を可能にする、〜が〜できるようにする」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「認める、受け入れる」
  • condition [kəndíʃən] : 「状態、状況、条件」
❖ "The perception of ~ "「良きものを知覚することは叡智とは言えない」。知覚とは、幻想世界において感覚器官が感じ取ること。対して、叡智は実相の世界において、直覚的に全的に対象を悟り取ること。叡智はこの世の知覚とは無関係だ。"but the denial ~ "「しかし、良きことの反対のものを否定することは、あなたが、反対のものの存在しない条件を認識することを可能にする」。つまり、実相的な認識を可能ならしめる。したがって、悪を見ずに善を見ること、憎しみを知らずに愛を感じること、奪われることを気にせずに与えること、批判をせずにいい評価を与えること、ケチをつけずに美点を見出すこと、そういったことがこの世では大切になる。突き詰めれば、対極を見ることを否定するのだ。対極を見てしまえば、二元論のこの世界を肯定することになる。しかし、実相世界は一元論の世界である。愛はあるが憎悪はない。そういう世界を知るためには、対極を見てしまう従来の見方を変えて、そのもの自体を一元的に見る必要がある。



And this is the condition of knowledge. Without this awareness you have not met its conditions, and until you do you will not know it is yours already. 
  • awareness [əwéərnəs] : 「気付いていること、意識性」
  • met [mét] : 「meet の過去・過去分詞形」
  • meet [míːt] : 「合う、満足させる、満たす」
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
❖ "And this is ~ "「そして、これが叡智の条件である」。"Without this awareness ~ "「この認識なくして、あなたは条件を満たすことは出来ない」。対極を見ることを拒絶するという認識を持たない限り、叡智に出会うための条件は整わない。"and until you ~ "「あなたがそうしないうちは、叡智がすでにあなたのものであることを知ることはないだろう」。叡智は獲得するものではなく、すでにあなたの心にある叡智を思い出すだけでいい。なぜ、あなたの心にすでに叡智はあるのか? あなたは叡智を神から継承したからだ。あなたは神から分離することによって、その叡智を忘れ去ってしまった。それを思い出さなくてはならない。そのためには、良きものを知覚すること、良からぬものは否定すること、対極を見ることを拒絶すること、それが必要になる。



You have made many ideas that you have placed between yourself and your Creator, and these beliefs are the world as you perceive it. 
  • idea [aidíːə] : 「考え、着想、発想」
  • place [pléis] : 「〜を置く、設置する」
  • between A and B : 「AとBの間に」
  • creator [kriéitər] : 「創造者、創作者」
❖ "You have made ~ "「あなたは、あなたがあなたと創造主の間に置いた多くの想念を作った」。"and these beliefs ~ "「そしてその想念が、あなたがそれとして知覚する世界である」。あなたは、あなた自身と神の間に幻想の世界を想念し、それを作った。つまり、あなたの心と神の心の間で、あなたは夢を見ているのだ。その夢を、あなたは現実と呼んでいる。



Truth is not absent here, but it is obscure. You do not know the difference between what you have made and what you have created. 
  • absent [ǽbsənt] : 「いない、不在の、欠けて」
  • obscure [əbskjúər] : 「不明瞭な、あいまいな」
  • difference [dífərəns] : 「違い、差異、相違」
  • between A and B : 「AとBの間に」
❖ "Truth is not ~ "「この世界に真実がないのではない」。"but it is ~ "「しかし、真実は曖昧になっている」。"You do not ~ "「あなたは、あなたが作ったものとあなたが創造したものの間の違いがわからないのだ」。この世界はあなたが疑似創造した幻想世界。真の世界は神が創造した実相世界。その実相世界においてこそ、あなたは真の創造が出来る。



To believe that you can perceive the real world is to believe that you can know yourself. You can know God because it is his will to be known. 
  • believe [bilíːv] : 「信じる、確信する」
❖ "To believe that ~ "「あなたが実相の世界を知覚できると信じることは、あなたがあなた自身を知ることが出来ると信じることである」。本当のあなた自身は実相の世界に住んでいる。それを知るには、実相を知覚できると信じることだ。"You can know ~ "「あなたは神を知ることが出来る」。"because it is ~ "「なぜなら、あなたに知ってもらうことが神の意志だからだ」。あなたが神の存在を認識し、神の下(もと)へ回帰してほしいと神は願っている。



The real world is all that the Holy Spirit has saved for you out of what you have made, and to perceive only this is salvation, because it is the recognition that reality is only what is true.
  • save [séiv] : 「確保しておく、取っておく」
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い」
  • recognition [rèkəɡníʃən] : 「認識、認証」
❖ "The real world ~ "「実相の世界とは、あなたが作り出したものからホーリー・スピリットがあなたのために確保しておいたもののすべてである」。あなたはこの世界でいろいろなものを作り出した。人を愛したこともあり、人を憎んだこともあった。しかし、ホーリー・スピリットはあなたのためになる愛や慈しみ、喜びだけ選び取り、それを実相世界にすべて確保しておいてくれた。"and to perceive ~ "「そして、こうしたものだけを知覚することが救いへとつながる」。実相世界によく似合う対極の一方だけを知覚するのである。善、愛、喜び、等々を知覚することで、他の対極を捨て去ること。それが、幻想世界を消滅させる救いへとつながる。"because it is ~ "「なぜなら、それは、実相とは正しいものだけなのだと認識することだからだ」。実相は、真、善、美の世界である。対極の偽、悪、醜は実相の世界には存在しない。したがって、あなたはこの世界にあって、真、善、美を目撃し、それらを追求することで実相世界への回帰に結びつけ、結果、あなたはあなた自身を幻想から救うことになる。偽、悪、醜という悪夢から目覚めることが出来る。






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