●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-9.III.1:1 ~ T-9.III.2:10

III. The Correction of Error
誤りを正すこと



1. The alertness of the ego to the errors of other egos is not the kind of vigilance the Holy Spirit would have you maintain. 
  • alertness [ələ́ːrtnəs] : 「油断のないこと」
  • kind [káind] : 「種類、 質、性質、本質」
  • vigilance [vídʒələns] : 「警戒、用心」
  • have : 「〜に〜させる、してもらう」
  • maintain [meintéin] : 「〜を維持する、保つ」
❖ "The alertness of ~ "直訳すると、「他者のエゴの誤りに(あなたの)エゴが目を光らせていることは、ホーリー・スピリットがあなたに維持してほしい警戒心とは種類が違う」。あなたのエゴは他者の揚げ足を取るために、他者の誤りに目を光らせている。つまり、他者の誤りを攻撃の口実に使いたいわけだ。しかし、ホーリー・スピリットが求める警戒はそうではない。ホーリー・スピリットは、あなたがエゴに唆(そそのか)されないようにエゴを警戒することをあなたに求めている。



Egos are critical in terms of the kind of "sense" they stand for. 
  • critical [krítikl] : 「批判的な、非難の」
  • in terms of : 「〜に関して、〜の点から見て」
  • sense [séns] : 「感覚、感触、知覚」
  • stand for : 「〜を支持する、〜に味方する」
❖ "Egos are critical ~ "「エゴは、エゴがもっている『センス』の種類に関して言えば、批判的、ということになる」。エゴは本当は他者のあら探しをしているのだが、エゴに言わせれば、それはエゴが批判的な立場をとっている、ということになる。もう少し英文に即して解釈してみると、エゴが支持している(they stand for)いろいろな種類の感覚(the kind of "sense")があるのだが、そのエゴの感覚から見れば(in terms of the kind of "sense")、エゴは批判的だ(Egos are critical)ということになる。つまり、攻撃的だと言う代わりに批判的だと称しているわけだ。エゴは、批判的に正しい判断を下していると言いたいのだ。



They understand this kind of sense, because it is sensible to them. To the Holy Spirit it makes no sense at all.
  • sensible [sénsəbl] : 「分別のある、理にかなっている」
  • make no sense : 「意味をなさない、理にかなわない」
❖ "They understand ~ "「エゴは、この種のセンスを理解している(と主張する)」。"because it is ~ "「なぜなら、そのセンスはエゴにとって目的にかなっているのだから」。"To the Holy Spirit ~ "「ホーリー・スピリットにとっては、そんなセンスは全く意味をもたない」。"understand"「理解している」は、ここでは「価値を認めている」というニュアンス。この種のセンス(this kind of sense)、つまり、批判的であるというセンスの価値をエゴは認めている。なぜなら、批判的であることは攻撃的であることにつながり、エゴの目的にかなっているからだ(it is sensible to them)。もちろん、批判的であるセンスも攻撃的であるセンスも、ホーリー・スピリットにとってはまったく意味がない。



2. To the ego it is kind and right and good to point out errors and "correct" them. 
  • kind [káind] : 「優しい、親切な」
  • right [ráit] : 「正しい、正当な」
  • point out : 「〜を指摘する」
  • correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する」
❖ "To the ego it ~ "ここは"it ~ to do ~ "も構文、「エゴにとっては、(他者の)誤りを指摘しそれを『正す』ことは、親切であり、正しく、そして良いことになる」。もちろん、エゴの欺瞞である。エゴの本当の目的は、批判という隠れ蓑(みの)をまとって他者を攻撃することだ。



This makes perfect sense to the ego, which is unaware of what errors are and what correction is. 
  • perfect [pə́ːrfikt] : 「完全な、完璧な」
  • sense [séns] : 「感覚、感触、良識、分別」
  • unaware [ənəwέər] : 「無意識の、気付かない」
  • be unaware of : 「〜に気付いていない」
  • correction [kərékʃən] : 「訂正、矯正、修正」
❖ "This makes perfect ~ "「こう考えることで、エゴにとっては完璧なセンスができ上がる」。ここの"perfect sense (完璧なセンス)"は、一貫性のある道理という意味合いだろう。エゴは、自分の論理を完璧に正しいと信じている。しかし、"which is unaware ~ "「そのエゴは、誤りの何たるかを知らないし、修正の何たるかを知らない」。幻想が誤りを生み出していることも、贖罪を通して幻想を消滅させる方法も、エゴは知らない。そもそも、エゴは幻想なのだから、エゴの存在自体が誤りなのだ。



Errors are of the ego, and correction of errors lies in the relinquishment of the ego. When you correct a brother, you are telling him that he is wrong.
  • lie in : 「〜にある」
  • relinquishment [rilíŋkwiʃmənt] : 「放棄、断念」
  • wrong [rɔ́ːŋ] : 「間違った、誤っている」
❖ "Errors are of ~ "「誤りこそエゴのものであり、」"and correction of ~ "「誤りの訂正は、エゴを放棄するところにある」。"When you correct ~ "「あなたが同胞を正すとき、あなたは彼が悪いと言っていることになる」。あなたが同胞の誤りを正そうとするとき、あなたはエゴの言いなりになって他者の誤りを現実化し、他者を攻撃しようとしている。他者が生み出した誤りの幻想性に目を向けようとしない。



He may be making no sense at the time, and it is certain that, if he is speaking from the ego, he will not be making sense. 
  • make no sense : 「意味をなさない、理にかなわない」
  • at the time : 「当時は、当時の」
  • make sense : 「意味をなす、道理にかなう」
❖ "He may be ~ "「彼は、その時は、(自分が何を言われているのか)意味がわからないかもしれない」。"and it is certain ~ "「そして、もし、彼がエゴの立場からものを言っているのなら、彼に意味がわからないのは確かなことである」。簡単な文章なのだが、意味がとりづらい。具体的に見てみよう。Aは、Bの誤りを指摘し、それを正すつもりで「おまえは間違っている、おまえが悪い」に言ったとしよう。ところが、言われたBは、なぜ自分が間違っていてAに正されなけばならないか、その時点では分からないのだ。なぜなら、AもBも共にエゴに支配されており、AはBを正すためと称しながらBを攻撃しようとしているし、BはBでエゴに支配されているから、正されたことを率直にとらえることが出来ず、Aからの攻撃を攻撃で応えようとする。AもBも共に、まったく意味がわからないままに攻撃し合うことになる。AかBの少なくともどちらかがホーリー・スピリットの思考システムで物事を見ているなら、こんな事態は起きないだろう。日常に起きるほとんどの諍(いさか)いは、エゴ同士のぶつかり合いだと言っていい。




But your task is still to tell him he is right. You do not tell him this verbally, if he is speaking foolishly. 
  • task [tǽsk] : 「仕事、任務、職務」
  • verbally [və́ːrbəli] : 「言語で、言葉の上で」
  • foolishly [fúːliʃli] : 「愚かにも、ばかみたいに」
❖ "But your task ~ "「しかし、あなたの仕事は、それでもなお、彼は正しいと彼に言ってやることである」。誤りを犯しているのは彼の中のエゴなのだから、本当の彼は誤ってはいないと指摘してやるのだ。"You do not ~ "「もし、彼が愚かな話しぶりであったら、あなたは言葉でこれを彼に言わなくてもいい」。つまり、彼がエゴに支配されて愚かな言い訳をするようであったら、言葉で諭すより、態度で示した方がいい。



He needs correction at another level, because his error is at another level. 
  • need [níːd] : 「〜する必要がある」
  • correction [kərékʃən] : 「訂正、矯正、修正」
  • another [ənʌ́ðər] : 「別の、もう一つの」
  • level [lévl] : 「水準、レベル、段階」
❖ "He needs correction ~ "「彼には、また別のレベルでの矯正が必要である」。"because his error ~ "「なぜなら、彼の誤りは別のレベルでのことだからだ」。誤りの表れや誤りの現象面を矯正するのではなく、誤りを引き起こした根本を矯正する必要がある。したがって、彼の誤りの根本は心の問題である。彼がエゴの思考システムを採用している限り、誤りの根本は消えない。そのレベルにまでさかのぼって矯正する必要がある。



He is still right, because he is a Son of God. His ego is always wrong, no matter what it says or does.
  • wrong [rɔ́ːŋ] : 「間違った、誤っている」
  • no matter what : 「たとえ何が〜であろうとも」
❖ "He is still ~ "「彼は、なおも正しい」。"because he is ~ "「なぜなら、彼は神の子であるからだ」。"His ego is ~ "「エゴが何を言おうが何をしようが、彼のエゴが常に間違っているのだ」。彼が神の子である以上、神の属性を継承しているのだから、誤ったことは出来ない。不可能なのだ。しかし、誤ったことをしているのは、それは現象の世界においてであって、要は幻想である。その現象や幻想を司っているのがエゴであり、彼の誤りの原因はエゴにある。神の子でありながらエゴに支配されていることは、したがって、矛盾を孕(はら)んでいることであって、神の法に調和しない。そこを正すのが本当の矯正、修正であって、ホーリー・スピリットの思考システムに回帰する必要がある。






T-9.II.11:1 ~ T-9.II.12:6

11. Never forget, then, that you set the value on what you receive, and price it by what you give. 
  • forget [fərgét] : 「〜を忘れる、見落とす」
  • value [vǽljuː] : 「価値、値打ち、真価」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る」
  • price [práis] : 「〜に値段をつける」
❖ "Never forget, then ~ "「そこで、あなたが受けとるものにあなたが価値を設定し、あなたが与えるものによってその値段を決めていることを決して忘れないようにしなさい」。簡単に言えば、あなたは真実だけを価値があると判断して受け取ることが出来、真実だけを価値があるとして与えることが出来る、ということ。価値判断も値段付けもあなたが主体となって行うのだから、エゴの誘惑に負けてしまえば、あなたはいつでも偽物を掴む恐れがある。



To believe that it is possible to get much for little is to believe that you can bargain with God. 
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、あり得る」
  • bargain [bɑ́ːrgin] : 「交渉で決める、取引する」
  • bargain with : 「〜と取引する、〜と駆け引きする」
❖ "To believe that ~ "「少しでもって多くを得るのは可能だと信じることは、あなたが神と駆け引き出来ると信じているのと同じである」。与えることと得ることは実相的に同一なので、与えることなく得ようという魂胆は神を騙そうとするようなものだ。



God's laws are always fair and perfectly consistent. By giving you receive. But to receive is to accept, not to get. 
  • law [lɔ́ː] : 「法、法律、法令」
  • always [ɔ́ːlweiz] : 「いつも、常にいつでも」
  • fair [féər] : 「公平な、公正な」
  • perfectly [pə́ːrfiktli] : 「完全に、完璧に」
  • consistent [kənsístənt] : 「一貫性のある、一貫した」
  • accept [əksépt] : 「認める、受け入れる」
❖ "God's laws are ~ "「神の法はいつも公正であり、完全に一貫している」。その法とは、"By giving you ~ "「与えることで、あなたは受け取る」。"But to receive ~ "「しかし、受け取るとは受け入れるということであって、何かを得るということではない」。ここでやっと、受け取る(receive)という意味が、受け入れる(accept)ことだと明かされた。受け取るとは、真実を受け入れる、あるいは神の意志を受け入れることだ。



It is impossible not to have, but it is possible not to know you have. 
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、あり得ない」
❖ "It is impossible ~ "「何も持たないことは不可能であるが、」"but it is possible ~ "「持っていることを知らないでいることは可能だ」。あなたは神の子であるので、神から継承したものをすべて持っている。したがって、あなたが神の子である以上、持っていないという状態は不可能だ。しかし、自分が神から継承したものを持っていることを知らないでいる状態は十分に可能である。知らない振りをすることも、もちろん可能。だが、神からの贈り物を捨てることは不可能だ。



The recognition of having is the willingness for giving, and only by this willingness can you recognize what you have. 
  • recognition [rèkəɡníʃən] : 「認識、認証」
  • willingness [wíliŋnis] : 「意欲、いとわずにすること」
❖ "The recognition of ~ "「持っているという認識は、与えようとする意欲につながる」。"and only by ~ " 「そして、与えようとする意欲によって、あなたは自分が何を持っているか認識できる」。たとえば、あなたが愛をもっていると認識することは、愛を与えたいと意欲することにつながる。そして、愛を与えたいと思うことは、あなたに愛があることを示している。



What you give is therefore the value you put on what you have, being the exact measure of the value you put upon it. 
  • put on : 「〜を…の上に置く」
  • exact [igzǽkt] : 「正確な、的確な」
  • measure [méʒər] : 「程度を示すもの、尺度」
❖ "What you give ~ " 「したがって、あなたが与えるものこそ、あなたが持っているものの上においた価値となる」。"being the exact ~ "分詞構文、単純接続、「そして、あなたが与えるものこそ、あなたがそれに置いた価値を正確に表す尺度となる」。たとえば、ケチなものを与えれば、あなたがケチなものしか持っていないことを示す。そして、ケチなものを与えれば、その与えたものをあなたがケチだと評価していることがあらわになる。



And this, in turn, is the measure of how much you want it.
  • in turn : 「入れ替わりに、立ち代わって、交代で」
❖ "And this, in ~ "「そして、翻ってみれば、これはあなたがどれほどそれを欲しているかの尺度となる」。言い換えれば、あなたがやり取りするものを見れば、あなたがどんなレベルで生きているかがわかる。



12. You can ask of the Holy Spirit, then, only by giving to him, and you can give to him only where you recognize him. 
  • ask of : 「〜に要求する」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、受け入れる」
❖ "You can ask ~ "「そこで、あなたは、ホーリー・スピリットに与えることによってのみ、ホーリー・スピリットに何かを要求できあり、」"and you can ~ "「また、あなたがホーリー・スピリットを認識できる場所においてのみ、あなたはホーリー・スピリットに与えることが出来るのだ」。ここは、同胞の心の中に住まうホーリー・スピリットを想定すればいいだろう。あなたは同胞に与えること(by giving to him)で受け取ることが出来る。つまり、同胞に与えることで要求(ask of)できる。しかし、その同胞がエゴに占領されていたのでは問題外。同胞の中のホーリー・スピリットに対してのみ(only where you recognize him)、あなたは与え、そして要求できる。



If you recognize him in everyone, consider how much you will be asking of him, and how much you will receive. 
  • consider [kənsídər] : 「よく考える、熟考する」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る」
❖ "If you recognize ~ "「もし、あなたが、すべての同胞の中にホーリー・スピリットを認識できるなら、」"consider how much ~ "「いかに多くのことをあなたはホーリー・スピリットに要求できるか、そして、いかに多くを受け取れるか、よく考えてみなさい」。



He will deny you nothing because you have denied him nothing, and so you can share everything. This is the way, and the only way to have his answer, because his answer is all you can ask for and want. 
  • deny [dinái] A B : 「AにBを与えない」
  • share [ʃέər] : 「分かち合う、共有する」
❖ "He will deny ~ "「ホーリー・スピリットはあなたに何でも与えるだろう」。"because you have ~ "「なぜなら、あなたはホーリー・スピリットに何でも与えたのだから」。"and so you ~ "「そして、あなたはすべてを(ホーリー・スピリットと)分かち合うことが出来るのだ」。"This is the way ~ "「これが方法であり、しかもホーリー・スピリットの答えを得る唯一の方法である」。"because his answer ~ "「なぜならば、ホーリー・スピリットの答えこそ、あなたが要求し、望むことの出来るすべてなのだから」。与えることと受け取ることから議論が始まって、最終的には分かち合うことに帰結した。真実は分かち合われることで拡張増大する。実相的な創造である。しかも、その相手はホーリー・スピリットである。ホーリー・スピリットは実在であり、分かち合う行為は神からの継承したものであるから、すべて神の法に叶っている。



Say, then, to everyone:

    Because I will to know myself, 
    I see you as God's Son and my brother.
  • everyone [évriwʌ̀n] : 「あらゆる人、すべての人」
❖ "Say, then, to ~ "「そこで、次のように唱えなさい」。"Because I will ~ "「私は私自身を知るようになるのだから、」"I see you as ~ "「私はあなたを、神の子として、私の同胞として見る」。






T-9.II.9:1 ~ T-9.II.10:6

9. To disbelieve is to side against, or to attack. To believe is to accept, and to side with. 
  • disbelieve [dìsbilíːv] : 「疑う、信じない」
  • side against : 「〜に反対する」
  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する」
  • accept [əksépt] : 「認める、受け入れる」
  • side with : 「〜側につく、〜に味方する」
❖ "To disbelieve is ~ "「信じないということは、反対すること、あるいは攻撃することである」。"To believe is ~ "「信じるということは、受け入れることであり、味方になることである」。ここは単純に、本当のことを信じないのは真実に対する攻撃であり、信じれば真実を受け入れたことになる、という意味合いに解釈していいだろう。



To believe is not to be credulous, but to accept and appreciate. 
  • credulous [krédʒələs] : 「信じやすい、騙されやすい」
  • appreciate [əpríːʃièit] : 「正しく理解する」
❖ "To believe is ~ "「信じるとは、簡単に騙されることではなく、」"but to accept and ~ "「受け入れて、正しく理解することである」。信じるか信じないか、単に一つを選べばいいというものではない。真実に対する正しい理解があってこそ、それを信じることが可能となる。



What you do not believe you do not appreciate, and you cannot be grateful for what you do not value. 
  • grateful [gréitfl] : 「感謝する」
  • value [vǽljuː] : 「評価する、重視する」
❖ "What you do ~ "「あなたが信じないものを、あなたは正しく評価しない」。あなたが真実をうさん臭く感じている限り、あなたは真実を正しく理解してはいない。"and you cannot ~ "「そして、あなたが評価しないものを、あなたはありがたく思うことは出来ない」。そして、価値がなさそうなものをあなたはありがたく思うことはない。



There is a price you will pay for judgment, because judgment is the setting of a price. And as you set it you will pay it.
  • price [práis] : 「値段、価格、代価」
  • judgment [dʒʌ́dʒmənt] : 「判断、判断力」
  • set [sét] : 「設定する、定める」
❖ "There is a price ~ "「判断するために、あなたが支払うべき代価がある」。"because judgment ~ "「なぜなら、判断とは値段を決めることだからだ」。"And as you ~ "「そして、値段を決めた以上、あなたはそれを支払うだろう」。価値ありと判断してそれを手に入れるには、それに似合った対価を支払う必要がある。それはこの世のルールである。真実だと判断して真実を手に入れるには、あなたは何かを犠牲にしなくてはならないと思い込んでいる。



10. If paying is equated with getting, you will set the price low but demand a high return. 
  • equate [ikwéit] : 「〜を同等と見なす」
  • low [lóu] : 「低い、少ない」
  • demand [dimǽnd] : 「求める、要求する」
  • return [ritə́ːrn] : 「収益、報酬、利益」
❖ "If paying is ~ "「支払うことが得ることと同等だとしたら、」"you will set ~ "「あなたは値段を低く抑えて、高いリターンを求めるであろう」。得るために対価を支払わなくてはならないなら、値段を低く抑えて、なるべくいいものを得ようとするだろう。これもこの世の習わし。



You will have forgotten, however, that your return is in proportion to your judgment of worth. 
  • forgotten [fərgɑ́tn] : 「forget の過去分詞形」
  • forget [fərgét] : 「〜を忘れる」
  • proportion [prəpɔ́ːrʃən] : 「割合、比率、比」
  • in proportion to : 「〜に比例して」
  • judgment [dʒʌ́dʒmənt] : 「判断、判断力」
  • worth [wə́ːrθ] : 「価値、財産」
❖ "You will have ~ "「しかし、あなたは、あなたがリターンされるものはあなたの価値判断に比例していることを忘れてしまっている」。値段をなるべく低く抑えようと躍起になるだろうが、値段が低いものはそもそも価値が低いと思っていたはずだ。値段を低くしようとすることは、あなたの価値判断を下方修正していることになる。そもそも、得たいと願ったものに本当の価値があるかどうか、あなたの価値判断自体を疑うべきなのだ。あなたは、偽物に対価を払わなくてはならないかもしれない。



If paying is associated with giving it cannot be perceived as loss, and the reciprocal relationship of giving and receiving will be recognized. 
  • be associated with : 「〜と関係がある、〜と関連する」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く」
  • loss [lɔ́s] : 「失うこと、喪失」
  • reciprocal [risíprəkl] : 「相互関係を表す、相互の」
  • relationship [riléiʃnʃìp] : 「関係、結び付き」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「認める、受け入れる」
❖ "If paying is ~ "「もし、支払うことが与えることと関連づけられれば、支払うことは損失とは知覚されない」。ここからが本題となる。価値あるものを得るために対価を払う(何かを犠牲にする)という発想ではなく、他者に価値あるものを与えることこそ本物(真実)を得るための最善の方法だと知ったとき、与えることは損失だと評価することはなくなる。"and the reciprocal ~ "「そして、与えることと受け取ることの相互関係が認識される」。実相的に、与えることと得ることは同一であると認識するに至る。これがホーリー・スピリットの思考システムの答えである。ちなみに、エゴの思考システムでは、得るためには奪え、となる。



The price will then be set high, because of the value of the return. 
  • price [práis] : 「値段、価格、代価」
❖ "The price will ~ "「そこで、リターンするものの価値が高いので、値段は高く設定されるだろう」。値段とあるが、本当に価値があると評価されたもの(真実)だけがやり取りされる、という意味合い。論語の『朝に道を聞かば、夕べに死すとも可なり』を思い出す。



The price for getting is to lose sight of value, making it inevitable that you will not value what you receive. Valuing it little, you will not appreciate it and you will not want it.
  • lose sight of : 「〜を見失う」
  • inevitable [inévətəbl] : 「避けられない、必然的な」
  • value [vǽljuː] : 「重視する、大事にする、尊重する」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る」
  • appreciate [əpríːʃièit] : 「正しく理解する」
❖ "The price for ~ "「得るための値段は、価値判断を狂わせる」。真実の価値を値段で決めるようなまねは、真実の価値に序列を設定するようなものだ。犠牲が大きいほど価値ある真実だと判断してしまうだろう。"making it inevitable ~ "意訳する、「あなたが受け取るものは価値があると、必然的に評価できなくなるからだ」。真実を値踏みするようでは、受け取る真実の価値を知ることは出来ない。"Valuing it little ~ "「ほとんど価値がないと評価したなら、あなたはそれを正しく理解したことにならないし、欲しいとも思うまい」。






T-9.II.7:1 T-9.II.8:7

7. I love you for the truth in you, as God does. Your deceptions may deceive you, but they cannot deceive me. 
  • for : 「〜が原因で、〜のせいで」
  • deception [disépʃən] : 「だますこと、ごまかし」
  • deceive [disíːv] : 「欺く、だます、裏切る」
❖ "I love you ~ "「私は、神がそうするように、あなたの中の真実ゆえにあなたを愛す」。"Your deceptions ~ "「あなたの嘘はあなたを騙せるかもしれないが、私を騙すことは出来ない」。言い換えると、あなたのエゴはあなたを騙せるだろうが、私(イエス)を騙すことは出来ない、となるか。



Knowing what you are, I cannot doubt you. I hear only the Holy Spirit in you, Who speaks to me through you. 
  • doubt [dáut] : 「〜を疑う、〜を疑問に思う」
❖ "Knowing what you ~ "分詞構文、理由、「本当のあなたを知っているので、」"I cannot doubt ~ "「私はあなたを疑うことは出来ない」。" I hear only ~ "「私は、あなたの中にホーリー・スピリットの声だけを聞く」。"Who speaks to ~ "「ホーリー・スピリットはあなたを通して、私に語りかける」。イエスは、あなたの中のエゴの声には耳を貸さない。あなたの中の真実を語るホーリー・スピリットにだけ耳を傾ける。それが本当のあなたであって、疑うことは不可能だからだ。



If you would hear me, hear my brothers in whom God's Voice speaks. The answer to all prayers lies in them. 
  • would [wúd] : 「〜したいと思う」
  • lie [lái] : 「横たわっている、ある」
❖ "If you would ~ "「もし、あなたが、私が話すことを聞きたいならば、」"hear my brothers ~ "「神の声がその中で話す、私の同胞に耳を傾けなさい」。"The answer to ~ "「すべての祈りに対する答えは、私の同胞の中にある」。イエスの同胞とは、もちろん、あなたの同胞のこと。同胞の中のホーリー・スピリットの声に耳を傾けよ、ということ。そのホーリー・スピリットが祈りに答えてくれる。また、当然ながら、自他一如であるから、同胞のホーリー・スピリットに耳を傾けることは、あなた自身のホーリー・スピリットに耳を傾けることと等しい。



You will be answered as you hear the answer in everyone. Do not listen to anything else or you will not hear truly.
  • listen to : 「耳を傾ける、聞く」
  • truly [trúːli] : 「全く、本当に、真に」
❖ "You will be ~ "「あなたがすべての人たちから答えを聞いていくにしたがい、あなたは答えられるだろう」。他者の中のホーリー・スピリットの答えに耳を傾けたのだから、当然、あなたの中のホーリー・スピリットがあなたに答えてくれる。"Do not listen ~ "「その他のものに耳を傾けてはいけない」。"or you will ~ "「さもなければ、あなたは正しく聞くことはないであろう」。エゴの巧妙な話しに耳を貸してはいけない。それをしてしまうと、正しく聞くことが出来なくなってしまうから。



8. Believe in your brothers because I believe in you, and you will learn that my belief in you is justified. 
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、習う」
  • belief [bilíːf] : 「 信じること、信念、信仰」
  • justify [dʒʌ́stəfài] : 「正当化する」
❖ "Believe in your ~ "「私はあなたを信じているのだから、あなたはあなたの同胞を信じなさい」。"and you will ~ "「そうすれば、あなたは、私があなたを信じていることが正当化されると学ぶことが出来るだろう」。イエスはあなたの中のホーリー・スピリットを信じており、あなたも同胞の中のホーリー・スピリットを信じればいい。そうすることで、あなたは、イエスがあなたの中のホーリー・スピリットを信じていることを体験的に確信することが出来、その信じる気持ちは正当であると知ることが出来る。



Believe in me by believing in them, for the sake of what God gave them. 
  • for the sake of : 「〜のために、〜の利益のために」
❖ "Believe in me ~ "「神が同胞たちに与えたもののために、彼らを信じることで、私を信じなさい」。神があなたの同胞に与えたものとは、神の属性のすべてである。愛、喜び、平和、創造性、拡張性、慈しむ心、包括性、等々。よって、そういう神の属性を持っていることを意識した上で、あなたの同胞を信じよ、つまり、神が神の子を信じるようにあなたも同胞を信じよ、という意味合い。そういうレベルであなたが同胞を信じることで、あなたはイエスを真に信じることが出来るようになる。簡単に言えば、愛をもって同胞を信じなさい、そうすればイエスを、愛をもって信じることが出来る、ということ。



They will answer you if you learn to ask only truth of them.
  • answer [ǽnsər] : 「〜に答える、答えて言う」
  • ask [ǽsk] : 「〜を求める、〜を頼む」
  • truth [trúːθ] : 「事実、真相、真理」
❖ "They will answer ~ "「もし、あなたが、彼らから真実だけを求めることを学ぶなら、彼らはあなたに答えてくれるだろう」。真実を求めれば、真実を返してくれる。



Do not ask for blessings without blessing them, for only in this way can you learn how blessed you are. By following this way you are seeking the truth in you. 
  • ask for : 「 〜を求める、〜を要求する」
  • blessing [blésiŋ] : 「恩恵、天恵、祝福」
  • in this way : 「このような方法で、このようにして」
  • blessed [blésid] : 「祝福された、神聖な」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、求める」
❖ "Do not ask ~ "「同胞を祝福することなく、(自らに)祝福を求めてはいけない」。"for only in ~ "「なぜなら、こうすることによってのみ、あなたがいかに祝福されているのか学ぶことが出来るからだ」。こうすることとは、同胞を祝福すること。"By following this ~ "「この道(方法)をたどることで、あなたはあなたの中の真実を探すのである」。神は単一の神の子を創造したのだから、あなたと同胞は単一だ。あなたは同胞の真実を知ることで自分の真実を知り、同胞を祝福することで自らに神の祝福を求める。



This is not going beyond yourself but toward yourself. Hear only God's Answer in his sons, and you are answered.
  • beyond [bijɑ́nd] : 「〜の向こう側に、〜を越えて」
  • toward [tɔ́ːrd] : 「〜の方へ、〜に向かって」
❖ "This is not going ~ "「これはあなたを越えて行くことではなく、あなた自身に向かって進むことである」。同胞の中に真実を求めることは、あたかもあなたの外に真実を求めているかのように見えるだろうが、そうではない。あなたと同胞は単一なのだから、あなたは自分自身の心の真実に向かって進んでいることになる。"Hear only God's ~ "「神の子の中に神の答えのみを聞きなさい」。同胞の中にエゴの声を求めてはいけない。神の声、すなわちホーリー・スピリットの声を求めなくてはいけない。"and you are ~ "「そうすれば、あなたは答えられるだろう」。マタイによる福音書7:7を思い出す方も多いだろう。参考までに載せておく。

[Matthew 7:7 from King James Bible]
Ask, and it shall be given you; seek, and ye shall find; knock, and it shall be opened unto you.
求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば、開かれる。(新共同訳)






T-9.II.5:1 ~ T-9.II.6:12

5. The message your brother gives you is up to you. What does he say to you? 
  • message [mésidʒ] : 「伝言、メッセージ」
  • up to : 「〜次第で」
❖ "The message your ~ "「あなたの同胞があなたに伝えるメッセージはあなた次第である」。"What does he ~ "「同胞はあなたに何を言うだろうか」。他者(同胞)は鏡に映ったあなた自身であることを念頭に置いておくこと。当然、鏡の中のホーリー・スピリットはあなたの心の中のホーリー・スピリットと同一である。



What would you have him say? Your decision about him determines the message you receive. 
  • would : 「〜したいと思う」
  • have : 「〜に〜させる、〜してもらう」
  • decision [disíʒən] : 「決定、決意、決心」
  • determine [ditə́ːrmin] : 「決定する、決心する」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る」
❖ "What would you ~ "「あなたは同胞に何と言ってほしいのか」。"Your decision ~ "「彼に対するあなたの決心が、あなたの受け取るメッセージを決定する」。



Remember that the Holy Spirit is in him, and his voice speaks to you through him. 
  • remember [rimémbər] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
❖ "Remember that ~ "「ホーリー・スピリットが同胞の心の中にいることを思い出しなさい」。"and his voice speaks ~ "「そうすれば、ホーリー・スピリットの声が、同胞を通してあなたに語りかけてくれる」。



What can so holy a brother tell you except truth? But are you listening to it? Your brother may not know who he is, but there is a light in his mind that does know. 
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
❖ "What can so ~ "「それほどまでに神聖な同胞が、真実以外に、いったい何をあなたに語り得るだろうか」。"But are you ~ "「しかし、あなたはそれを聞くつもりでいるだろうか」。"Your brother ~ "「あなたの同胞は、本当の自分を知らないかもしれない」。"but there is ~ "「しかし、彼の心の中には、本当の彼を知っている光がある」。もちろん、その光とはホーリー・スピリットのこと。



This light can shine into yours, giving truth to his words and making you able to hear them.
  • shine [ʃáin] : 「輝く、光る」
  • be able to : 「〜することができる」
❖ "This light can ~ "「その光はあなたの心の中まで照らすことが出来る」。"giving truth to ~ "分詞構文、単純接続、「そして、その光は彼の言葉に真実を与え、あなたがその言葉に耳を傾けるように仕向ける」。光は真実そのものである。そこに違和感があるなら、光をホーリー・スピリット自身ととらえてもいい。光をホーリー・スピリットの愛ととらえてもいいし、ホーリー・スピリットが神聖な光を介してコミュニケーションをとっている、と解釈してもいいだろう。



His words are the Holy Spirit's answer to you. Is your faith in him strong enough to let you hear?
  • answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事」
  • faith [féiθ] : 「信頼、信じること、信念」
  • strong enough to do : 「〜するほど強い」
❖ "His words are ~ "「同胞の言葉は、あなたに対するホーリー・スピリットの答えである」。"Is your faith ~ "「彼に対するあなたの信頼は、あなたに耳を傾かせるほど強いだろうか」。



6. You can no more pray for yourself alone than you can find joy for yourself alone. 
  • no more A than B : 「AでないのはBでないのと同じ」
  • pray [préi] : 「祈る、懇願する、嘆願する」
  • alone [əlóun] : 「独りで、ただ〜だけで」
  • find [fáind] : 「見つける、発見する」
  • joy [dʒɔ́i] : 「喜び、歓喜」
❖ "You can no ~ "「あなたは、あなたのためだけに祈ることが出来ないのは、あなたのためだけの喜びを見出せないのと同じである」。あなたが気付かなくても、あなたの祈りや喜びは同胞と分かち合われる。



Prayer is the restatement of inclusion, directed by the Holy Spirit under the laws of God. 
  • prayer [préər] : 「祈り、祈りの言葉」
  • restatement [ristéitmənt] : 「再表示、更新」
  • inclusion [inklúːʒən] : 「含めること、包含」
  • direct [dərékt] : 「〜を…で導く、〜を方向づける」
  • law [lɔ́ː] : 「法、法律」
❖ "Prayer is the ~ "「祈りとは、包括を再宣言することである」。"directed by ~ "分詞構文、"Being"を補うといい、「神の法の下(もと)、ホーリー・スピリットによる導きによって」。さて、どういう意味だろうか。神はすべてを包含するものであった(all-encompassing)。神の法は分離、分裂、分割とは逆の方向を向いている。私達の心は、神からの分離、心の分裂を経て、数々の不足を経験するに至ったが、それ以前は、不足は存在しなかった。したがって、私達の祈り(prayer)は詰まる所、その不足の解消を願うものである。では、その願いを聞いたホーリー・スピリットはその願いを叶えるために、いったいどの方向を向くだろうか。もちろん、心の分離、分裂を解消する方向、つまり神の法に準じた統合と結合、すなわち、再包括の方向に舵を切る。したがって、祈りは、究極、神による包括に向かう再宣言となるわけだ。こんな解釈でどうであろうか。



Salvation is of your brother. The Holy Spirit extends from your mind to his, and answers you. 
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い」
  • extend [iksténd] : 「広げる、拡張する、拡大する」
❖ "Salvation is of ~ "「救済は、あなたの同胞から来る」。救済は同胞の肩にかかっている、同胞抜きにあなたの救いは考えられない。"The Holy Spirit ~ "「ホーリー・スピリットは、あなたの心から同胞の心へと拡張し、あなたに答えるのである」。ACIMの自他一如を考えれば、これは当たり前のことだ。この世界の中だけで見る限り、あなたと他者は分離しており、二つの心をそれぞれが持っているように見える。しかし、実相的な存在形態はそうではない。ACIMの教えるところによれば、あなたと他者は同一なのだ。したがって、あなたの心のホーリー・スピリットは同時に他者の心の中のホーリー・スピリットであり、この世界の目から見れば、あたかも、あなたの心から他者の心へとホーリー・スピリットが拡張して行ったかに見える。同様に、あなたの救済は他者の救済であり、他者の救済はあなたの救済でもある。あなたと他者は実相的に分離、分割できないのだ。神の法に分離、分割はない。統合し、包括するのみ。



You cannot hear the Voice for God in yourself alone, because you are not alone. 
  • for : 「〜の代わりに」
  • alone [əlóun] : 「独りで、ただ〜だけで」
❖ "You cannot hear ~ "「あなたは、あなたの中だけで神の代わりに話す声(ホーリー・スピリットの声)を聞くことは出来ない」。"because you are ~ "「なぜなら、あなたは、たった一人ではないからだ」。もちろん、ここで言う「たった一人ではない」という言葉は、文字通りのことであって、感傷的なロマンティストの発言とはまったく異なる。



And his answer is only for what you are. You will not know the trust I have in you unless you extend it. 
  • trust [trʌ́st] : 「信頼、信用」
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り」
❖ "And his answer ~ "「そして、ホーリー・スピリットの答えは、本当のあなたのためだけのものである」。ホーリー・スピリットは、あなたが本当の自分に回帰できるような答えだけを与えてくれる、という意味合い。"You will not ~ "「あなたは、あなたの私(イエス)への信頼を拡張しない限り、私のあなたへの信頼を知ることは出来ないだろう」。あなたに対するイエスの信頼は揺るぎない。しかし、それを知るには、あなたがイエスを信頼する必要がある。恐れと疑いを抱いたままでイエスを信じているなどと発言することは不可能だ。



You will not trust the guidance of the Holy Spirit, or believe that it is for you unless you hear it in others. 
  • trust [trʌ́st] : 「信用する、信頼する」
  • guidance [gáidns] : 「助言、指導」
❖ "You will not ~ "「あなたが他者の中にホーリー・スピリットの助言を聞かない限り、あなたはホーリー・スピリットの助言を信頼しないだろうし、それがあなたのためなのだということも信じないだろう」。前文でイエスへの信頼を拡張する必要性があると述べられているが、信頼を拡張するとは、同胞の心の中のホーリー・スピリット、あるいはキリストを信頼することである。自分と他者の間の垣根を取り払ってしまうのだ。



It must be for your brother because it is for you. Would God have created a Voice for you alone? 
  • create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
❖ "It must be for ~ "「ホーリー・スピリットの助言はあなたのためなのだから、それはあなたの同胞のためでもあるに違いない」。"Would God have ~ "「神は、あなた一人のためにホーリー・スピリットの声を創造したなどということがあり得ようか」。



Could you hear his answer except as he answers all of God's Sons? 
  • except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
❖ "Could you hear ~ "「ホーリー・スピリットがすべての神の子に答える答え以外の答えを、いったいあなたはホーリー・スピリットに聞けるだろうか」。



Hear of your brother what you would have me hear of you, for you would not want me to be deceived.
  • have A B : 「 AにBさせる」
  • deceive [disíːv] : 「惑わす、だます、裏切る」
❖ "Hear of your ~ " 意訳すると、「あなたが私に叶えて欲しいと思うことを、あなたの同胞に叶えてあげなさい」。"for you would ~ "「なぜならば、あなたは私が騙されるのを望んでいないだろうから」。あなたがイエスに望むことが真実ならば、それはあなたの同胞も望んでいることなのだから、あなたの同胞の願いをあなたが叶えてやればいい。しかし、あなたがイエスに望むことが誤りなら、あなたの同胞はそれを望まないだろうから、あなたは同胞にそれを叶えてやろうなどとは思うまい。その時、あなたはあなたの望みの誤りに気が付くだろう。こうして、イエスを欺いて望みを叶えようとしたことが避けられた。つまり、あなたのイエスへの願いが真実か虚偽かを知るには、あなたがイエスになりきって、同胞の願いを叶える立場に身を置いてみればいい。お気づきと思うが、これは基本的に聖書に書かれた黄金律である。参考までにマタイによる福音書7:12を載せておく。

[Matthew 7:12 from King James Bible]
Therefore all things whatsoever ye would that men should do to you, do ye even so to them: for this is the law and the prophets.
だから、人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。(新共同訳)






T-9.II.3:1 ~ T-9.II.4:8

3. The Bible emphasizes that all prayer is answered, and this is indeed true. 
  • emphasize [émfəsàiz] : 「〜を強調する、力説する」
  • prayer [préər] : 「祈り、祈りの言葉 」
  • answer [ǽnsər] : 「〜に答える、聞き入れる」
  • indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに」
❖ "The Bible emphasizes ~ "「聖書はthat以下を強調している」。"that all prayer ~ "「すべての祈りは答えられると」強調している。"and this is ~ "「そして、これはまさに正しい」。



The very fact that the Holy Spirit has been asked for anything will ensure a response. 
  • fact [fǽkt] : 「事実、真実、実際」
  • ask for : 「〜を求める、〜を要求する」
  • ensure [inʃúər] : 「〜を確かにする、保証する」
  • response [rispɑ́ns] : 「応答、反応、返答」
❖ "The very fact ~ "「ホーリー・スピリットが何かを求められたという、まさにその事実が、返答することを請け合うだろう」。ホーリー・スピリットは求めに対して必ず反応する。しかし、ホーリー・スピリットが求めを叶えるか叶えないかは別問題。あなたが虚偽を求めても、ホーリー・スピリットはあなたの求めに応じないだろう。



Yet it is equally certain that no response given by him will ever be one that would increase fear. 
  • equally [íːkwəli] : 「等しく、同様に、同等に」
  • certain [sə́ːrtn] : 「確実な、確かな、確信して」
  • increase [inkríːs] : 「〜を増やす、増大させる」
❖ "Yet it is equally ~ "ここは"it ~ that ~"の構文、「しかし、that以下もまた同様に確かである」。"that no response ~ "「ホーリー・スピリットによって与えられた返答はどれも、恐れを増大させるものではないであろう」ことも等しく確かだ。虚偽を求めたとき、恐れは増大する。ホーリー・スピリットの返答は決して恐れを増大させない。恐れを増大させるような要求には、ホーリー・スピリットは答えない。あるいは、答えたとしても要求に叶うような形をとることはない。



It is possible that his answer will not be heard. It is impossible, however, that it will be lost. 
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、あり得る」
  • answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事」
  • heard [hə́ːrd] : 「hear の過去・過去分詞形」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、あり得ない」
  • lost [lɔ́st] : 「lose の過去・過去分詞形」
❖ "It is possible ~ "「ホーリー・スピリットの答えが聞き取れない可能性はある」。"It is impossible ~ "「しかし、ホーリー・スピリットの答えが失われる可能性はない」。



There are many answers you have already received but have not yet heard. I assure you that they are waiting for you.
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する」
  • assure [əʃúər] : 「保証する、断言する、請け合う」
  • wait for : 「〜を待つ」
❖ "There are many ~ "「あなたがすでに受け取っており、しかし、まだ聞いていない沢山の答えがある」。"I assure you ~ "「私はthat以下を請け合おう」。"that they are ~ "「それらの答えは、あなたが耳を傾けるのを待っている」と請け合おう。



4. If you would know your prayers are answered, never doubt a Son of God. 
  • doubt [dáut] : 「 〜を疑う、〜を疑問に思う」
❖ "If you would ~ "「もしあなたが、あなたの祈りは答えられるのだと知りたいなら、」"never doubt ~ "「あなたが神の子であることを疑ってはいけない」。"If ~ would ~ "は仮定法の意思を表し、「もし〜したいならば、」となる。疑いの根底には恐れがあり、恐れと疑いが、奇跡が実現するときの障害になっている。



Do not question him and do not confound him, for your faith in him is your faith in yourself. 
  • question [kwéstʃən] : 「質問する、尋ねる」
  • confound [kənfáund] : 「混乱させる、当惑させる」
  • faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること」
❖ "Do not question ~ "「疑いをもってホーリー・スピリットを見てはいけないし、ホーリー・スピリットを当惑させてもいけない」。疑いは奇跡の現実化を遅らせ、恐れはホーリー・スピリットを当惑させるだけだ。"for your faith ~ "「なぜなら、ホーリー・スピリットに対するあなたの信頼は、あなた自身への信頼でもあるのだから」。祈りが答えられたなら、それを素直に受け入れればいい。自分を信頼し、ホーリー・スピリットを信頼すればいい。今、あなたとホーリー・スピリットは一体化しているのだから。



If you would know God and his Answer, believe in me whose faith in you cannot be shaken.
  • shake [ʃéik] : 「〜を動揺させる、ぐらつかせる」
❖ "If you would ~ "「もし、あなたが神と神の答えを知りたかったら、」"believe in me ~ "「あなたを揺らぐことなく信じている私(イエス)を信じなさい」。"If you would ~ "ここも願望を表す。ホーリー・スピリットに人格を持たせたかったら、あなたの心の中のホーリー・スピリットはイエスなのだと思えばいい。イエスは完璧にあなたを信じている。あなたはイエスと同じ神の子だからだ。



Can you ask of the Holy Spirit truly, and doubt your brother? Believe his words are true because of the truth that is in him. 
  • ask of : 「〜に要求する」
  • truly [trúːli] : 「心から、誠実に、正直に」
  • doubt [dáut] : 「〜を疑う、 〜を疑問に思う」
❖ "Can you ask ~ "「心からホーリー・スピリットに願っておいて、あなたの同胞を疑うということが、あなたは出来ようか」。"Believe his words ~ "「同胞の中にある真実ゆえに、同胞の言葉は真実なのだと信じなさい」。同胞の言うことは一から十まですべて信用せよ、と言っているのではない。あなたの心にホーリー・スピリットが住んでいるように、同胞の心にもホーリー・スピリットが住んでいるのだから、その同胞の心の中のホーリー・スピリットが語る真実にも耳を傾け、信じなくてはいけない、ということ。



You will unite with the truth in him, and his words will be true. As you hear him you will hear me. 
  • unite [junáit] : 「結合する、一体となる」
  • unite with : 「〜と一緒になる、〜と結合する」
❖ "You will unite ~ "「あなたは、同胞の中の真実と結合することになる」。"and his words ~ "「そうすれば、彼の言葉は真実になるだろう」。同胞の心の中にいるホーリー・スピリットと、自分の心の中にいるホーリー・スピリットが結合するのである。その結果、同胞の中のホーリー・スピリットが語り始めたとき、彼の言葉は真実となる。そして、"As you hear him ~ "「あなたが彼に耳を傾けるにしたがい、あなたは私の声が聞こえるようになるだろう」。同胞の心の中に住むホーリー・スピリットの声を聞いているうちに、あなたの心の中に住まうイエスの声が聞こえるようになる。



Listening to truth is the only way you can hear it now, and finally know it.
  • listen to : 「耳を傾ける、聞く」
  • finally [fáinəli] : 「ついに、最後に」
❖ "Listening to truth ~ "「真実に耳を傾けることは、あなたが今真実を聞くことのできる唯一の方法である」。"and finally ~ "「そして最終的に真実を知ることになる」。これまでの文脈に沿うように読みかえてみると、「真実を語るホーリー・スピリットに耳を傾けることは、今あなたが出来る真実を聞く唯一の方法であり、」「そうすることで、ついには叡智をもって真実を直覚することが出来るようになる」。






T-9.II.1:1 ~ T-9.II.2:7

II. The Answer to Prayer
祈りへの答え



1. Everyone who ever tried to use prayer to ask for something has experienced what appears to be failure. 
  • prayer [préər] : 「祈り、祈りの言葉」
  • ask for : 「 〜を求める、〜を要求する」
  • experience [ikspíəriəns] : 「〜を経験する、〜を体験する」
  • appear [əpíər] : 「〜のように見える、〜らしい」
  • appear to be : 「〜であるように見える」
  • failure [féiljər] : 「失敗、不成功」
❖ "Everyone who ~ "「何かを求めるために、祈りを利用しようと努力してみた人は誰でも、それが失敗してしまったかのように思える経験をしたことがあるだろう」。残念ながら、この世のレベルでの祈りはほとんど叶うことはない。



This is not only true in connection with specific things that might be harmful, but also in connection with requests that are strictly in line with this course. 
  • not only A but also B : 「AだけでなくBも、AのみならずBも」
  • connection [kənékʃən] : 「つなぐこと、つながり」
  • in connection with : 「〜に関連して」
  • specific [spəsífik] : 「具体的な、詳しい、特定の」
  • harmful [hɑ́ːrmfl] : 「有害な、害を及ぼす、害になる」
  • request [rikwést] : 「頼むこと、依頼、要求」
  • strictly [stríktli] : 「厳重に、正確に、完全に」
  • in line with : 「〜と一致して」
❖ "This is not ~ "「このことは、害を与えるかもしれない具体的なことに関係したときにそうでばかりでなく、」"but also in ~ "「この奇跡のコースに厳密にそった要求をしたときもそうだ」。奇跡のコースにそった要求や望みさえ、叶えられないときがある。ACIM学習者にとって、これが一番つらい。Judy Allenが書いた『Healing and A Course in Miracles』という短い手記を思い出す。奇跡のコースに裏切られたという思いの彼女が内奥の声に耳を傾け、最後の最後に奇跡のコースに救われる。3度も転移した癌が一夜にして消滅する。是非、読んでもらいたい。



The latter in particular might be incorrectly interpreted as "proof" that the course does not mean what it says. 
  • latter [lǽtər] : 「後者の、あとの」
  • in particular : 「特に、とりわけ」
  • incorrectly [ìnkəréktli] : 「間違って、不適切に」
  • interpret [intə́ːrprət] : 「解釈する、説明する」
  • proof [prúːf] : 「証拠、立証、証明」
❖ "The latter in ~ "「特に後者は、このコースは言っていることを(正しく)意味していないという『証拠』だと、不適切に解釈されるかもしれない」。コースに書いてあることを願っても叶えられないのは、コースが嘘をついてるからだと思われる危険性はある。実際、多くのACIM学習者はこのコースを離れて行く。



You must remember, however, that the course states, and repeatedly, that its purpose is the escape from fear.
  • remember [rimémbər] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
  • state [stéit] : 「述べる、はっきり言う」
  • repeatedly [ripíːtidli] : 「繰り返して、たびたび」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、意向」
  • escape [iskéip] : 「逃亡、脱出、逃避、回避」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
❖ "You must remember ~ "「しかしあなたは、奇跡のコースが再三にわたり、その目的は恐れからの脱出であると述べていることを思い出さなくてはならない」。このことに関して発言できる立場ではないが、あえて私見を言わせてもらえば、恐れと疑いをもたない正当な(真実の)思いは叶えられる。しかし、問題はタイムラグである。思いが瞬時に叶うわけではなく、一週間後、一ヶ月後、あるは一年後、十年後というように、なぜか時間のズレがつきまとう。あたかもホーリー・スピリットがタイミングの見極めを行っているかのように感じる。この見極めは私達の仕事ではなく、判断はすべてホーリー・スピリットに任せてしまうべきだろう。ACIMの絶対他力である。



2. Let us suppose, then, that what you ask of the Holy Spirit is what you really want, but you are still afraid of it. 
  • suppose [səpóuz] : 「思う、仮定する、〜と想像する」
  • ask of : 「〜に要求する」
  • be afraid of : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
❖ "Let us suppose ~ "「そこで、あなたがホーリー・スピリットに要求することが本当にあなたが望むものであって、しかし、まだあなたはそれを恐れていると仮定してみよう」。恐れを抱きながら望むのだから、その望みには虚偽が含まれている可能性がある。



Should this be the case, your attainment of it would no longer be what you want. 
  • attainment [ətéinmənt] : 「獲得、到達、実現」
  • no longer : 「もはや〜でない」
❖ "Should this be ~ " ここは"If this should be the case ~ "のこと、「こういう場合であったら、あなたがそれを獲得することは、もはやあなたが望むものではない」。ホーリー・スピリットに要求はしたものの、心に恐れがくすぶっていたら、その望みを叶えることは真実ではない。恐れからの脱出がACIMの主要テーマなのだから、ホーリー・スピリットは恐れを温存する要求には応えない。



This is why certain specific forms of healing are not achieved, even when the state of healing is. 
  • certain [sə́ːrtn] : 「特定の、ある種の」
  • specific [spəsífik] : 「特定の、具体的な」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造」
  • achieve [ətʃíːv] : 「獲得する、得る、成就する」
  • state [stéit] : 「状態、情勢、状況」
❖ "This is why ~ "「これは、ある種の特定な形のヒーリングがなされない理由である」。"even when ~ "「たとえ、ヒーリングできる状態が整ったとしても」。ヒーリングの条件がそろっても、ヒーリングされない時がある。心に恐れが生じる可能性のあるときであろう。先に紹介したJudy Allenの場合もこれに当たる。神の意志への恐れである。あるいは、命と死に関する真実への恐れである。



An individual may ask for physical healing because he is fearful of bodily harm. 
  • individual [ìndəvídʒuəl] : 「個人、特定の人」
  • physical [fízikəl] : 「身体の、肉体の、物質の」
  • bodily [bɑ́dəli] : 「身体上の、肉体の」
  • harm [hɑ́ːrm] : 「害、損害、危害、悪意、被害」
❖ "An individual may ~ "「ある人は、肉体的な害を恐れて、肉体的なヒーリングを要求するかもしれない」。病や死への恐れから、ヒーリングを求めるかもしれない。



At the same time, if he were healed physically, the threat to his thought system might be considerably more fearful to him than its physical expression. 
  • at the same time : 「同時に、一緒に、加えて」
  • physically [fízikəli] : 「肉体的に、身体的に」
  • threat [θrét] : 「脅迫、脅し」
  • considerably [kənsídərəbli] : 「かなり、相当に」
  • expression [ikspréʃən] : 「表出、表現、発現」
❖ "At the same ~ "「もし彼が肉体的にヒーリングされたなら、同時に、彼の思考システムに対する脅威は、肉体的に表れるよりもかなり強く、彼にとって恐ろしいものになるかもしれない」。一時的に肉体的なヒーリングがうまくいったとしても、心の恐れ自体が消滅したわけではないから、恐れを生み出している思考システムが再び病という形で攻撃されるかもしれないという脅威(恐れ)は増加してしまう。それは、肉体的に表れる恐れよりもずっと大きな恐れかもしれない。



In this case he is not really asking for release from fear, but for the removal of a symptom that he himself selected. This request is, therefore, not for healing at all.
  • in this case : 「この場合は、もしそうなら」
  • release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと」
  • removal [rimúːvl] : 「除去、取り除くこと」
  • symptom [símptəm] : 「症状、症候、兆候」
  • select [səlékt] : 「〜を選ぶ、選び出す」
  • request [rikwést] : 「頼むこと、依頼、要求」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない」
❖ "In this case ~ "「この場合、彼は恐れからの解放を本当に要求したのではなく、」"but for the removal ~ "「彼自身が選択した症状を取り除いてほしいと要求したことになる」。以前に紹介した『腰痛は怒りである』というサーノ博士の言葉を思い出そう。怒りと腰痛の2つのうち、腰痛という症状(symptom)だけを選択して(selected)ヒーリングを望んだとしたら、怒り(anger)と恐れ(fear)からの解放(release)を要求したことにはならない(not really asking for)。"This request is ~ "「したがって、この要求は、まったくヒーリングを求めたものとは言えない」。腰痛を治したいなら、まず第一に、無意識領域に潜む怒りと恐れからの解放を願わなくてはならない。その解放がヒーリングであって、結果として腰痛が消える。
 怒りや恐れは断じて神の意志ではない。神は、怒りや恐れという幻想を捨てよと言う。それが神の意志だ。その意志を自分の意志とするこなく、形として現れた幻想だけに関心を向けても、真実は何も実現しないのだ。






T-9.I.13:1 ~ T-9.I.14:7

13. God in his devotion to you created you devoted to everything, and gave you what you are devoted to. 
  • devotion [divóuʃən] : 「献身的愛情、無私の愛」
  • devoted [divóutid] : 「専念した、献身的な、愛情深い」
❖ "God in his ~ "「神は、あなたに神自身を捧げる中で、あなたがあなたをすべてに捧げられるように創造した」。" and gave you ~ "「そして、あなたが自分を捧げることが出来るものを、あなたに与えた」。"devotion"を"love"に置き換えると意味が通じやすいだろう。「神は、あなたを愛する中で、あなたがすべてを愛せるように創造し、あなたが愛するものをあなたに与えた」となる。



Otherwise you would not have been created perfect. Reality is everything, and you have everything because you are real. 
  • otherwise [ʌ́ðərwàiz] : 「さもなければ、そうしないと」
  • perfect [pə́ːrfikt] : 「完璧な、完全な」
❖ "Otherwise you ~ "「さもなければ、あなたは完全には創造されなかったであろう」。愛なき者として創造されたのなら、あなたは完全とは言えない。"Reality is everything ~ "「実相とはすべてのことであり、あなたは実在しているので、すべてをもっている」。実相とは神の世界そのものである。幻想のこの世界とは無縁である。実相である神の世界は、すべてのものが一(いつ)なるものへ収斂(しゅうれん)する。それが"God is(神あり)"の世界である。つまり、実相の世界は不二一元、完全一元論の世界であり、実相は一つだと主張しても、実相はすべてだと主張してもどちらも正しい。したがって、実相に住むあなたは実相のすべてであり、実相のすべてをもっていると言っても正しい。逆に、実相があなたをもっていると言っても正しい。あなたの中に世界があると言っても、あなたが世界だと言っても、どちらも実相の世界では正しい。神の実相の世界は時間と空間を超越した世界であるが、数そのものを越えた世界であると言ってもいいだろう。なぜなら、不二一元、完全一元であるなら、いったい数に意味があるだろうか。



You cannot make the unreal because the absence of reality is fearful, and fear cannot be created. 
  • unreal [ʌnríəl] : 「実在しない、非現実的な」
  • absence [ǽbsəns] : 「不足、欠如、不在守」
  • reality [riǽləti] : 「現実、実在、現実のこと」
  • fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、おびえている」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念」
❖ "You cannot make ~ "「あなたは非実在的なものを作ることは出来ない」。"because the absence ~ "「なぜなら、実相の欠如は恐ろしく、また、恐れは創造できないからである」。難解である。この文章は、実相の世界に立って物事を見ている。実相の世界は、喜び、愛、慈悲、歓喜、思いやり、等々の世界であり、対立概念はない。実相の世界には恐れや憎悪、悲しみ、嫉妬、絶望、攻撃、等々は存在しない。そこで、この文章の論法は、恐れは実相に存在しないという前提から始まり、よって、実相が欠如したところに恐れが現れる(the absence of reality is fearful)と続く。しかし、恐れは実相の欠如であり、実在ではないから、創造によって創られるものではない(fear cannot be created)。よって、あなたは、実相ではない非現実を作ることはできない(You cannot make the unreal)。というような流れになっている。
 では、問題は、この世界やこの肉体は非現実を創造したことではないのか、という疑問である。この世界や肉体は幻想であり、幻覚であって、非現実を創造したことではない、というのが正しい、ということになろう。世界や肉体は夢なのであり、創造とは一切関わりを持たない、という意味だ。非常にややこしいのだが、実相の世界で非現実は創造できない。つまり、実相の世界では誤創造は出来ない。しかし、夢の中で、この世界や肉体を幻覚している。実相の世界から見れば、それは創造でも誤創造でもなく、単なる幻想である。あえて言うなら、夢の中で創造を疑似体験していることになる。たとえば、私達は肉体的な病気を疑似創造し、時間と空間を疑似創造している。しかし、あくまでもそれは創造の疑似体験であり、実相における創造とは完全に無縁である。私達の心は、実相の世界において、誤創造とも疑似創造とも無縁である。実相の世界では真実の拡張という本当の創造しか出来ないのだ。
 簡単に言えば、実相世界では誤創造は出来ず、幻想世界においてのみ、創造を疑似体験する誤創造を行う。夢の中であなたは空を飛ぶことが出来るが、目覚めたあなたが空を飛べるわけではない。



As long as you believe that fear is possible, you will not create. 
  • as long as : 「〜さえすれば、〜する限りは」
❖ "As long as you ~ "「あなたが恐れは可能であると信じている限り、」"you will not ~ "「あなたは、創造することはないだろう」。創造することは出来ない。なぜなら、恐れという非現実を信じているからだ。



Opposing orders of reality make reality meaningless, and reality is meaning.
  • oppose [əpóuz] : 「反対する、反抗する、対抗する」
  • order [ɔ́ːrdər] : 「自然の理法、秩序、道理」
  • make [méik] : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • meaningless [míːniŋlis] : 「意味のない、価値のない」
❖ "Opposing orders ~ "「実相の秩序に反することは、実相を意味ないものにする」。実相を意味ないものにするとは、実相的真実をベールで覆い隠してしまう、という意味合い。ここの"Opposing orders of reality"は「実相の相反する序列」とも訳せるのだが、実相に対立概念がないことを考えると、ちょっと無理な解釈。実相はすべての真実で構成されている。"and reality is ~ "「そして、実相は意味そのものである」。真実だけが意味があるのであって、それに対抗することは無益である。



14. Remember, then, that God's Will is already possible, and nothing else will ever be. 
  • remember [rimémbər] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
❖ "Remember, then ~ "「そこで、神の意志はすでに可能であり、その他のすべては何ものも可能になることはないであろう、と覚えておきなさい」。神の意志と神の子の意志は同一であると見なすことが出来、どちらも実相の世界で存在する。その意志は意味そのものであり、その意味を創造し現実化する。したがって、ここの文章における"possible"「可能」は、存在可能、創造可能、実現可能、等々の意味にとらえればいいだろう。言葉を補って訳してみると、「そこで、神の意志はすでに存在可能、創造可能なものであり、その他のものは一切存在も創造も出来ないことを覚えておきなさい」となる。あるいは、"possible"「可能」を「すでに決まってしまったこと」ととらえ、「神の意志はすでに決定したことであり、その他のことは今後決定されることはないだろう」と解釈しても、さほど遠くないと思う。



This is the simple acceptance of reality, because only that is real. You cannot distort reality and know what it is. 
  • simple [símpl] : 「簡単な、簡素な、単純な」
  • acceptance [əkséptəns] : 「受け入れること、承認」
  • distort [distɔ́ːrt] : 「〜をゆがめる、歪曲する」
❖ "This is the simple ~ "「これは、実相の簡潔な受け止め方と言える」。神の意志のみが可能であること、つまり、神の意志のみが実相の世界で存在し創造できると受け入れることは、その実相を受け入れる一番簡単な受け入れ方だ、ということ。"because only ~ "「なぜならば、それだけが実在するからだ」。ここまで来ると、実相と神の意志が同義語として重なってくるのがわかる。"You cannot distort ~ "「あなたは、実相を歪めておいて、それが何であるか知ることは出来ない」。実相と神の意志を置き換えてみると、「あなたは、神の意志を歪めておいて、神の意志が何であるか知ることは出来ない」となる。神の意志は神の子の意志でもあるので、「あなたは、あなたの意志を歪めておいて、あなた自身の意志が何であるか知ることは出来ない」となる。



And if you do distort reality you will experience anxiety, depression and ultimately panic, because you are trying to make yourself unreal. 
  • experience [ikspíəriəns] : 「〜を経験する、体験する」
  • anxiety [æŋzáiəti] : 「心配、不安、懸念」
  • depression [dipréʃən] : 「落ち込み、意気消沈」
  • ultimately [ʌ́ltəmətli] : 「結局、最後に、ついに」
  • panic [pǽnik] : 「恐慌、恐怖、パニック」
❖ "And if you do ~ "「そして、もし、あなたが実相を歪めてしまったなら、」"you will experience ~ "「あなたは、不安や意気消沈、そして最後にはパニックを経験してしまうだろう」。"because you are ~ "「なぜなら、あなたはあなた自身を非現実的なものにしようとしているからだ」。不安、意気消沈、パニックは実相の世界には存在しない。もし、それを感じたなら、自分は実相の世界にいないこと、つまり、自分を非現実な(非実相的な)状況に置いていると考えればいい。



When you feel these things, do not try to look beyond yourself for truth, for truth can only be within you. Say, therefore:

    Christ is in me, and where 
    he is God must be, 
    for Christ is part of him.
  • beyond [bijɑ́nd] : 「〜の向こう側に、〜を越えて」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内部に」
  • Christ [kráist] : 「救世主、キリスト」
❖ "When you feel ~ "「あなたがそれらを感じたとき、あなた自身を越えて、真実を探そうとしてはいけない」。"for truth can ~ "「なぜなら、真実はあなたの内にのみあり得るのだから」。"Say, therefore: ~ "「さて、そこで、キリストは私の内にあり、キリストのいるところに神がいる」。"for Christ is ~ "「なぜなら、キリストは神の一部なのだから」。声を出して読んでみよう。イエスの息づかいが感じられただろうか? あなたの外にキリストを求めるのではなく、あなたの心の中に既に住まうキリストを求めなければいけない。






T-9.I.11:1 ~ T-9.I.12:8

11. You do not recognize the enormous waste of energy you expend in denying truth. 
  • recognize [rékəgnàiz] : 「認める、受け入れる」
  • enormous [inɔ́ːrməs] : 「非常に大きい、巨大な」
  • waste [wéist] : 「浪費、無駄、消耗」
  • energy [énərdʒi] : 「活動力、活力、行動力」
  • expend [ikspénd] : 「〜を費やす、消費する」
  • expend in : 「〜に費やす」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する」
  • truth [trúːθ] : 「現実、真相、真理」
❖ "You do not ~ "「あなたが真実を否定するために使っている莫大なエネルギーの浪費を、あなたは認識していない」。



What would you say of someone who persists in attempting the impossible, believing that to achieve it is to succeed? 
  • of : 「〜について、〜に関して」
  • persist [pərsíst] : 「しつこく主張する、言い張る」
  • attempt [ətémpt] : 「試みる、企てる」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、あり得ない」
  • achieve [ətʃíːv] : 「成し遂げる、達成する」
  • succeed [səksíːd] : 「成功する」
❖ "What would you ~ "「不可能なことを試みようと執着している人に、あなたは何と言えるだろう」。"believing that to ~ "「その人は、不可能なことを成就することが成功することだと信じているに」。"the impossible"は"the + (形容詞)"の形で、「〜なもの、〜な人」の意。たとえば、幸せはお金で買えると信じている人に向かってあなたは何と言うだろうか。その人は、あり余るお金を儲けることがこの世の成功だと信じているのに。



The belief that you must have the impossible in order to be happy is totally at variance with the principle of creation. 
  • in order to: 「〜するために」
  • totally [tóutəli] : 「全く、完全に、全体的に」
  • variance [véəriəns] : 「矛盾、相違、不一致、変化」
  • principle [prínsəpl] : 「原則、原理、公理、法則」
❖ "The belief that ~ "「あなたが幸せになるために不可能なものを手に入れなくてはならないと信じることは、創造の原理と完全に矛盾する」。形のあるもの(幻想)によって形のないもの(実相)を手に入れることは原理的に不可能だ。幸せ(実相)を、たとえば物やお金や社会的地位(幻想)で手に入れることは不可能だ。創造の原理と書かれているが、真実を拡張することが創造であり、たとえば、愛を拡張すること、喜びを分かち合うこと、それが創造であって、それが幸せをもたらす、という意味合い。



God could not will that happiness depended on what you could never have. 
  • happiness [hǽpinəs] : 「幸福、喜び、幸せ」
  • depend [dipénd] : 「〜に依存する、〜次第である」
  • depend on : 「〜によって決まる、〜次第である」
❖ "God could not ~ "「神は、幸せはあなたが持ち得ないものを持つことに依存すると意図するはずがない」。幸せになりたいなら、手に入れることが原理的に不可能な物を手にれなければならないと、神が命ずるわけがない。本当の神は私達に無理難題を突きつけることはしない。
 余談になるが、無理難題を執拗に私達に科すのは旧約聖書の神である。ACIMの神は旧約聖書の神とは似ても似つかない。グノーシスを学べば面白いことに出会うのだが、グノーシスでは旧約聖書の神(創造神)をデミウルゴスと呼んで、低劣な神と位置づけている。プラトン思想の影響と思える。この時期は、東洋思想とギリシャ思想が東西から流れ込んで来ており、形骸化したユダヤ思想はその影響を受けていた。イエスが生きていた時代は、いわば、ギリシャ思想や東洋思想の新思想と伝統的ユダヤ思想の葛藤の時代であった。



The fact that God is Love does not require belief, but it does require acceptance. 
  • require [rikwáiər] : 「〜を必要とする、求める」
  • acceptance [əkséptəns] : 「承諾、承認、容認」
❖ "The fact that ~ "「神は愛であるという事実は、それを信じることを求めてはいない」。"but it does require ~ "「それを受け入れることを求めているのだ」。なぜなら、神が愛であるということは事実であって、信じるか信じないかというレベルの話ではない。事実は、それを受け入れるか受け入れないか、そのどちらかを要求する。



It is indeed possible for you to deny facts, although it is impossible for you to change them. 
  • indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに」
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、あり得る」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する」
  • although [ɔːlðóu] : 「〜だけれども、〜ではあるが」
❖ "It is indeed ~ "ここは"It ~ to do ~"の構文、「あなたにとって、事実を否定することは、確かに可能である」。"although it is ~ "「しかし、事実を変えることは、あなたにとっては不可能だ」。エゴは真実(神)を否定しているが、真実を変えることはエゴには出来ない。



If you hold your hands over your eyes, you will not see because you are interfering with the laws of seeing. 
  • hold [hóuld] : 「維持する、保持する」
  • interfere [ìntərfíər] : 「邪魔をする、干渉する」
  • interfere with : 「〜を妨げる、〜に干渉する」
  • law [lɔ́ː] : 「法、法律」
❖ "If you hold ~ "「もし、あなたが目隠しをしたら、あなたは見えなくなるだろう」。"because you are ~ "「なぜなら、あなたは見る法則に干渉したからだ」。真実に対して目を閉じることは可能だ。しかし、目を閉じたからといって、真実が変わることも消滅することもない。真実に対して目を閉じるという行為は、真実を知って本当の幸せになるという神の法に反した行為だ。



If you deny love, you will not know it because your cooperation is the law of its being. 
  • cooperation [kouὰpəréiʃən] : 「協力、協調、連携」
❖ "If you deny love ~ "「もし、あなたが愛を否定したなら、」"you will not ~ "「あなたは愛を知ることがないだろう」。"because your ~ "「なぜなら、あなたの協力が、愛の存在のための法則なのだから」。愛が存在するにはあなたの協力が必要だ、ということ。神が神の子であるあなたを愛し、幸せになってほしいと望んでいることは事実だ。しかし、それが成就されるには、あなたが神の愛を受け入れることが必要であり、本当の幸せとは何なのか、あなたがその真実を知る必要がある。神の法は、神の子であるあなたなしでは成就しない。



You cannot change laws you did not make, and the laws of happiness were created for you, not by you.
  • change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する」
  • create [kriéit] : 「〜を創造する、作り出す」
❖ "You cannot change ~ "「あなたが作ったものではない法則を、あなたは変えることは出来ない」。神が創造した愛の法則をあなたは変えることは出来ない。"and the laws of ~ "「そして、愛の法則はあなたのために創造されたのであって、あなたが作ったのではない」。



12. Any attempt to deny what is must be fearful, and if the attempt is strong it will induce panic. 
  • attempt [ətémpt] : 「試み、企て」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する」
  • fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、恐怖の」
  • induce [indjúːs] : 「〜を生じさせる、引き起こす」
  • panic [pǽnik] : 「恐慌、恐怖、パニック」
❖ "Any attempt to ~ "「存在するものを否定する試みはどんなものであれ、恐ろしいことに違いない」。ここの"what is"は「そこにあるもの、存在するもの、ありのままにあるもの」そんなニュアンス。実相的な真実はすぐ目の前にあるのに、わざわざ目隠しをして、そんなものはないと主張するのだ。目隠しをするので、そこに恐れが生じる。"and if the attempt ~ "「そして、試みが強引であれば、それはパニックを引き起こす」。恐れを通り越して、パニックを引き起こす。



Willing against reality, though impossible, can be made into a very persistent goal even though you do not want it. 
  • willing : 「意思すること」
  • reality [riǽləti] : 「現実、真実、事実、実相」
  • persistent [pərsístənt] : 「いつまでも続く、しつこい」
  • goal [góul] : 「目標、目的」
  • even though : 「〜であるけれども」
❖ "Willing against ~ "「実相に対抗して意志することは、不可能なことではあるが、たとえあなたが望まないのにしても、非常に執拗な目的にされる可能性がある」。実相に逆らって意志することは叶えられないのだが、叶えられないからこそ、いつまでも執拗にそれを追求してしまう。たとえば、永遠の肉体を持ちたいと意志したところで、幻想の肉体が永遠性(実相性)をもてるわけがないのに、執拗に永遠の肉体を追求してしまう。ありもしないものに対する一種の依存症(addiction)、取り憑き(possession)である。永遠の若さを保ちたい、お金で幸福を買いたい、社会的地位を確保して尊敬されたい、人を支配して偉くなりたい、すべてレベル・コンフュージョンに起因する執拗な目的である。たとえあなたがそれを望まなくても、羨む気持ちがあれば同一だ。また、夢の中で踊り狂う連中を見て、哀れんでも甲斐はない。彼らは、鏡に映ったあなた自身である。



But consider the result of this strange decision. You are devoting your mind to what you do not want. 
  • consider [kənsídər] : 「〜と考える、〜を考慮する」
  • result [rizʌ́lt] : 「結果、結末、効果、成果」
  • strange [stréindʒ] : 「奇妙な、変わった、変な」
  • decision [disíʒən] : 「解決、決定、決意、決心」
  • devote [divóut] : 「〜をささげる、充てる」
  • devote A to B : 「AをBに充てる、ささげる」
❖ "But consider the ~ "「しかし、こんな奇妙な決定の結果をよく考えてみなさい」。奇妙な決定とは、望んでもいないことやありもしないことを執拗に追い求める決定。"You are devoting ~ "「あなたは、あなたが望んでもいないことにあなたの心をささげているのだ」。心を犠牲にしている。あるいは心のパワーを空回りさせている。



How real can this devotion be? If you do not want it, it was never created. 
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の」
  • devotion [divóuʃən] : 「情熱、没頭、専念」
❖ "How real can ~ "「この情熱的な入れ込み方は、いったいどれほど現実的であるか」。望んでもいないことに情熱をもって心をささげたところで、それが現実化されることはない、ということ。"If you do not ~ "「もし、あなたがそれを望まないのなら、」"it was never ~ "「それは決して創造されなかったのだ」。あなたは幸せになりたいと望む。ここまでは良い。しかし、あなたは幸せになるには、お金や物や社会的な地位、名声が必要だと思い、それを熱望する。では、その望みが叶ってあり余るお金を手に入れたとしよう。さて、あなたは本当に幸せを現実化できたのだろうか? 本当に望んでいること(幸せ)を得るために、その方向を誤って本当は望んでいないこと(お金)を得たとしても、本当に望んでいたこと(幸せ)は創造されないのだ。簡単に言うなら、幻想レベルで何かを望んだところで、実相的なレベルでそれが実現することはない、ということ。実相レベルで望むことだけが、本当に現実化し創造される。



If it were never created, it is nothing. Can you really devote yourself to nothing?
  • nothing [nʌ́θiŋ] : 「無、何もないこと」
❖ "If it were never ~ "「もし、決して創造されなかったなら、それは無である」。"Can you really ~ "「いったい、あなたは、無に対して自分自身を本当にささげることが出来るだろうか」。お金や物や社会的な地位や名声を手に入れたのに幸せになれないなら、お金や物や社会的な地位や名声は無に等しい。あなたは幸せになりたいと実相的なレベルで望みながら、それを幻想レベルに求めた結果、それは無に対して自分を投資したことになるのだ。夢の中で自分の望みに対してどんなにあがき、自己をささげても、目覚めたあなたの目の前に、その望みが現実のものとして現れることはない。






T-9.I.9:1 ~ T-9.I.10:8

9. Ultimately everyone must remember the Will of God, because ultimately everyone must recognize himself. 
  • ultimately [ʌ́ltəmətli] : 「結局、最後に、ついに」
  • remember [rimémbər] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「認める、受け入れる」
❖ "Ultimately everyone ~ "「ついには、誰でも神の意志を思い出すに違いない」。"because ultimately ~ "「なぜな、結局いつかは、誰でも自分自身を認識しなくてはならないからだ」。神の意志と神の子の意志は同一であるから、自己認識、すなわち自分自身の意志を認識することは神の意志を認識することにつながる。自分を失って夢を見ている状態が永遠に続くはずはない。いつかは夢から覚める日がやって来る。



This recognition is the recognition that his will and God's are one. In the presence of truth, there are no unbelievers and no sacrifices. 
  • recognition [rèkəɡníʃən] : 「認識、認証」
  • presence [prézns] : 「存在すること、存在」
  • in the presence of : 「〜の存在下で、〜のいるところで」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真理」
  • unbeliever : 「信じない人、不信心者」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、いけにえ」
❖ "This recognition is ~ "「この認識は、自分の意志と神の意志が一つであるという認識である」。"In the presence ~ "「真実のあるところ、不信心者も犠牲者もいない」。つまり、真実の下(もと)では、無神論者(atheist)も殉教者(martyr)もいない、ということ。逆に言えば、無神論者と殉教者を容認する思考、思想には、何らかの偽りが紛れ込んでいる、ということになる。



In the security of reality, fear is totally meaningless. To deny what is can only seem to be fearful. 
  • security [sikjúərəti] : 「安全、安心、無事」
  • reality [riǽləti] : 「現実、真実、実相」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
  • totally [tóutəli] : 「全く、完全に、全体的に」
  • meaningless [míːniŋlis] : 「意味のない、価値のない」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、拒む、拒絶する」
  • fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、怖い」
❖ "In the security ~ "直訳すると、「実相の安全性の中では、」つまり、「実相の中にいることは安全であり、」"fear is totally ~ "「恐れは完全に意味を失う」。"To deny what ~ "直訳すると、「あり得ることを否定することだけが、恐ろしいように思えるのだ」。つまり、実相としてそこに存在する可能性のあるものを、存在しないのだと否定することが、心に恐怖を生み出す、ということ。あるがままに見て、あるがままに受け入れることが出来ないところに恐怖が生み出される。



Fear cannot be real without a cause, and God is the only Cause. God is Love and you do want him. 
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因、理由」
❖ "Fear cannot be ~ "「原因なくして、恐れが現実化されることは不可能だ」。"and God is ~ "「そして、神こそが原因である」。"God is Love ~ "「神は愛であり、あなたは神を求めている」。したがって、あなたには恐れる要因は何もない。ただ、愛し愛されるのみ。



This is your will. Ask for this and you will be answered, because you will be asking only for what belongs to you.
  • ask for : 「 〜を求める、〜を要求する」
  • answer [ǽnsər] : 「答える、返事する」
  • belong [bilɔ́ːŋ] : 「属する、所属する」
  • belong to : 「〜に属する、〜の所有物である」
❖ "This is your ~ "「これはあなたの意志である」。神(の愛)を求めることはあなたの意志だ。"Ask for this"「これを求めなさい」。"and you will ~ "「そうすれば、あなたは答えられるだろう」。"because you will ~ "「なぜならば、あなたは、あなたに属しているものだけを求めることになるからだ」。あなたは神に属し、神はあなたに属している。したがって、あなたに属している神を求めることは理にかなったことであり、あなたは答えてもらえるだろう。くどくなるが、ここの属しているという意味は、包含関係を意図して言われた言葉ではなく、神の意志とあなたの意志は同一なのだ、ということ。



10. When you ask the Holy Spirit for what would hurt you he cannot answer because nothing can hurt you, and so you are asking for nothing. 
  • hurt [hə́ːrt] : 「〜を傷つける、〜に苦痛を与える」
❖ "When you ask ~ "「あなたがホーリー・スピリットに、あなたを傷つけかねないものを要求したときは、」"he cannot answer"「ホーリー・スピリットはそれに応えることが出来ない」。"because nothing ~ "「なぜなら、何ものもあなたを傷つけ得ないのであり、」"and so you are ~ "「よって、あなたは、(傷つける可能性のあるものである限り、)何も要求できないからだ」。傷つける可能性のあるものとは、攻撃性を有しているものであって、それは実相の世界には存在できない。実相に存在できないのだから、あなたがそれを要求することも、ホーリー・スピリットがその要求に応えることも出来ないのだ。



Any wish that stems from the ego is a wish for nothing, and to ask for it is not a request. 
  • wish [wíʃ] : 「 願い、願望、希望」
  • stem [stém] : 「始まる、起因する」
  • stem from : 「〜から生じる、〜に由来する」
  • request [rikwést] : 「頼むこと、依頼、要求」
❖ "Any wish that ~ "「エゴに起因する望みはどれでも、無い物ねだりである」。存在しないものを求めているだけだ。"and to ask ~ "「無い物ねだりは、要求でも何でもない」。



It is merely a denial in the form of a request. The Holy Spirit is not concerned with form, being aware only of meaning. 
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • denial [dináiəl] : 「否定、拒否、拒絶」
  • in the form of : 「〜の形で、〜の形をしてとって」
  • concern [kənsə́ːrn] : 「〜に関係する、〜と関係がある」
  • be concerned with : 「〜に関係している、〜に関心がある 」
  • aware [əwéər] : 「気付いている、気が付いて」
  • be aware of : 「〜を承知している、〜に気付いている」
❖ "It is merely ~ "「エゴの要求は、要求の形をとった単なる否定である」。エゴは無いものを要求するのだから、初めから要求が叶わないことを知っている。それでも要求し、要求が叶わないことに文句をつけるのである。つまり、攻撃材料にするわけだ。そういったことを、要求の形をとった否定、と表現したのだろう。"The Holy Spirit is ~ "「ホーリー・スピリットは形には関心がない」。"being aware only ~ "分詞構文、理由、「意味というものだけを承知しているので」。ここの形とは形態をとったもののことで、幻想世界の事象。意味とは、意味のある真実のこと。ホーリー・スピリットは真実を与えることは出来るが、幻想に幻想で応えることはしない。



The ego cannot ask the Holy Spirit for anything, because there is complete communication failure between them. Yet you can ask for everything of the Holy Spirit, because your requests to him are real, being of your right mind.
  • complete [kəmplíːt] : 「完全な、全部の」
  • failure [féiljər] : 「失敗、不成功、故障、障害」
  • between [bitwíːn] : 「間で、〜の合間に」
❖ "The ego cannot ~ "「エゴはホーリー・スピリットに、何事もものを頼むことは出来ない」。"because there is ~ "「なぜなら、両者の間では、コミュニケーションが完全に出来ないからだ」。"Yet you can ~ "「しかし、あなたはホーリー・スピリットに何でも要求できる」。"because your requests ~ "「なぜなら、あなたの要求はホーリー・スピリットにとって現実であるからだ」。"being of your ~ "分詞構文、理由、「あなたの正しい心から出たものであるから」。あなたの正しい心が要求したものが真実なら、あなたの要求はホーリー・スピリットにとって現実である。現実であるから、ホーリー・スピリットはその要求を満たす。要するに、誤った要求には応えないが、正しい要求には必ず応えてくれる、ということ。



Would the Holy Spirit deny the Will of God? And could he fail to recognize it in his Son?
  • fail [féil] : 「失敗する、しくじる」
  • fail to do : 「〜しない、〜しそこなう、〜できない」
❖ "Would the Holy Spirit ~ "「ホーリー・スピリットは、神の意志を否定しようとするだろうか」。"And could he ~ "「また、ホーリー・スピリットは神の子の心の中に、その神の意志を認識し損なうことが出来だろうか」。ホーリー・スピリットは、あなたの心の中に神の意志を認識しているので、それが要求したことに応えないではいられない。






T-9.I.7:1 ~ T-9.I.8:9

7. You may insist that the Holy Spirit does not answer you, but it might be wiser to consider the kind of questioner you are. 
  • insist [insíst] : 「強く主張する、しつこく断言する」
  • answer [ǽnsər] : 「〜に答える、答えて言う」
  • wise [wáiz] : 「賢い、賢明な」
  • consider [kənsídər] : 「〜と考える、〜と認める」
  • questioner : 「質問者、尋問者」
  • kind [káind] : 「種類、質、性質」
❖ "You may insist ~ "「あなたは、ホーリー・スピリットはあなたに答えてくれないと強く主張するかもしれないが、」"but it might ~ "「あなたはいったいどんな種類の質問者なのか、考えてみる方がより賢明かもしれない」。あなたがホーリー・スピリットに何を頼み、何を手に入れようとしているのか、それをじっくり考えてみよ、ということ。棚からぼた餅が落ちて来てほしいと頼んでみても、ホーリー・スピリットがそれに応えてくれるわけがない。



You do not ask only for what you want. This is because you are afraid you might receive it, and you would. 
  • ask for : 「 〜を求める、〜を要求する」
  • afraid [əfréid] : 「恐れて、心配して、怖がって」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る」
❖ "You do not ask ~ "「あなたは、あなたの欲しいものだけを要求してはいない」。あなたは本当に欲しいものを要求していない。実相的に正しいもの、真実なものを欲していない。"This is because ~ "「これは、あなたが、本当に欲するものを受け取るかもしれないし、確かに受け取ることになるだろうと恐れているためだ」。ここの"and you would"は"and you would receive it"のこと。たとえば、あなたがホーリー・スピリットに宝くじに当たるように頼んだとしよう。しかし、ホーリー・スピリットはそれに応えてくれない(the Holy Spirit does not answer you)。なぜなら、あなたは本当に欲しいものをホーリー・スピリットに頼んでいないからだ(You do not ask only for what you want)。宝くじに当たりたいと望むことは、お金を手に入れて喜びを感じたいということ。結局、本当は喜びと心の平和を望んでいるのだ。その、本当に手に入れたいものをホーリー・スピリットに頼めば、ホーリー・スピリットは喜びも心の平和も与えてくれるだろう(and you would)。しかし、あなたはそれを恐れている(you are afraid you might receive it)。なぜなら、喜びと平和を与えられることで、何かを奪われるに違いないと思っているからだ。しかし、本当は、ホーリー・スピリットは喜びと平和を与えるのではなく、あなたが既にそれを持っているという真実を教える。あなたは真実を恐れる。真実が虚偽を曝くことを恐れる。なぜなら、あなたは、エゴの思考システムで物事を考えているからだ。



That is why you persist in asking the teacher who could not possibly give you what you want. 
  • persist [pərsíst] : 「しつこく主張する、言い張る」
  • persist in : 「〜に固執する」
  • possibly [pɑ́səbli] : 「たぶん、もしかすると」
❖ "That is why ~ "「それは、あなたが、あなたの欲しいものをあなたに与えることが多分出来ない教師に、執拗に頼んでいる理由である」。喜びや心の平和を、それを叶える可能性のないエゴに頼んでみたところで、まったくの無駄である。本当に欲しいものをホーリー・スピリットに頼めば必ず与えてくれることを知っていても、そのために何かを奪われるのが怖くてホーリー・スピリットに頼めないでいる。そこで、欲しいものを与えてくれそうにもないエゴに何度も何度も頼む。エゴは与えることが出来ないので、あなたは何かを奪われることを心配することなく、エゴと共存できる。まさに、エゴの思考システムで考える生き方だ。



Of him you can never learn what it is, and this gives you the illusion of safety. 
  • learn [lə́ːrn] : 「 〜を学ぶ、習う」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • safety [séifti] : 「安全、無事、無難」
❖ "Of him you can ~ "「エゴからは、あなたは決してそれが何であるか学ぶことは出来ない」。" and this gives ~ "「そして、このことが、あなたに幻想の安全性を与えている」。あなたは本当は何を欲しているか、何が本当は必要なのか、エゴは決してあなたに教えることは出来ない。なぜなら、エゴ自身も知らないからだ。しかし、ホーリー・スピリットを無視して、エゴに要求を繰り返し突きつけることで、要求が叶えられない代わりに何も奪われないので、あなたはエゴとの付き合いに安全性を感じてしまう。しかし、その安全性は幻想に過ぎない。



Yet you cannot be safe from truth, but only in truth. Reality is the only safety. 
  • safe [séif] : 「安全な、無事な」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真理」
  • reality [riǽləti] : 「現実、実在、現実のこと」
❖ "Yet you cannot ~ "「しかし、あなたは真実から離れて安全でいることは出来ない」。"but only in ~ "「真実の中にいるときだけ安全なのだ」。"Reality is ~ "「実相は、唯一安全である」。実相、つまり、幻想の世界ではなく神の住む実相世界であるからこそ、そこは安全であり、それ以上に安全な場所はない。



Your will is your salvation because it is the same as God's. The separation is nothing more than the belief that it is different.
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い」
  • be the same as : 「〜と同じである、〜も同然である」
  • separation [sèpəréiʃən] : 「分離、区別、離脱」
  • nothing more than : 「〜にすぎない、〜でしかない」
  • different [dífərənt] : 「相違する、異なる」
❖ "Your will is ~ "「あなたの意志はあなたの救いである」。"because it is ~ "「なぜなら、あなたの意志は神の意志と同じだからだ」。"The separation is ~ "「分離とは、あなたの意志と神の意志が異なると信じる、その信念に過ぎない」。神から心が分離し、深い眠りの中で幻想の世界を外部に投影して、エゴの思考システムで生きている私達だが、その眠りから目覚めようとする意志こそが、この幻想の世界から脱出できる救いの鍵となる。心を一つにして、神の元に回帰しようとする意志こそが、命の復活という救いになる。その意志は、私達の心の中で眠り続けており、それが目覚めたとき、その意志は、本当は神の意志と同じであったと気付く。



8. No right mind can believe that its will is stronger than God's. 
  • right [ráit] : 「正しい、正当な」
❖ "No right mind ~ "「正しい心が、その心の意志が神の意志より強いと信じる可能性はない」。エゴの意志が神の意志より強いと思うなら、それは正しい心が考えていることではない。



If, then, a mind believes that its will is different from his, it can only decide either that there is no God or that God's Will is fearful. 
  • different from : 「〜と異なる、〜と違う」
  • decide [disáid] : 「〜だと確信する、きっと〜だと思う」
  • either [íːðər] A or B : 「AかそれともB」
  • fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、怖い」
❖ "If, then, a mind ~ "「では、もし心が、その意志が神の意志と違っていると信じているならば、」"it can only ~ "「心は、神が存在しないか、神の意志は恐ろしいか、どちらかを確信できるだけだ」。どちらも誤っており、あなたの意志は神の意志と同じである。エゴの意志を信奉する心は、恐ろしい神をでっち上げたり、神は存在しないはずだと宣言したりする。



The former accounts for the atheist and the latter for the martyr, who believes that God demands sacrifices. 
  • the former [fɔ́ːrmər] : 「前者」
  • account [əkáunt] : 「説明する、〜を…と見なす」
  • account for : 「〜の主な原因となる、〜を説明する」
  • atheist [éiθiist] : 「無神論者、不信心者」
  • the latter [lǽtər] : 「後者」
  • martyr [mɑ́ːrtər] : 「殉教者、犠牲者」
  • demand [dimǽnd] : 「求める、要求する」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、いけにえ」
❖ "The former accounts ~ "「前者は無神論者を生み出す原因となり」"and the latter ~ "「後者は殉教者を生み出す原因となる」。"who believes that ~ "「その殉教者は、神は犠牲を要求していると信じている」。もちろん、どちらも正しいことではない。とりわけ、神は殉教者になることを求めてはいない。伝統的キリスト教の価値観を否定する部分である。



Either of these insane decisions will induce panic, because the atheist believes he is alone, and the martyr believes that God is crucifying him. 
  • either : 「どちらの〜も」
  • insane [inséin] : 「正気でない、狂った」
  • decision [disíʒən] : 「解決、決定、決意、決心」
  • induce [indjúːs] : 「〜を生じさせる、引き起こす」
  • panic [pǽnik] : 「恐慌、恐怖、パニック」
  • alone [əlóun] : 「独りで、ただ〜だけで」
  • crucify [krúːsifài] : 「〜を十字架にかける、磔刑に処す」
❖ "Either of these ~ "「正気とは思えないどちらの決定も、パニックを引き起こす」。"because the atheist ~ "「なぜなら、無神論者は彼がたった一人だと信じているし、」"and the martyr ~ "「また、殉教者は神が彼を磔刑に処すと信じているからだ」。どちらも、心の平和、喜びから遠い距離にある。すなわち真実からほど遠い所に自らを置いている。



Yet no one really wants either abandonment or retaliation, even though many may seek both. 
  • abandonment [əbǽndənmənt] : 「見捨てること、放棄」
  • retaliation [ritæ̀liéiʃən] : 「仕返し、報復」
  • even though : 「〜であるけれども」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す」
  • both [bóuθ] : 「両方、双方」
❖ "Yet no one ~ "「しかし、誰一人、本当は見捨てられることも報復されることも望んではいない」。"even though ~ "「たとえ、多くの者が両方を探し求めているかもしれないが」。ここの"both"であるが"abandonment"と"retaliation"であるととると意味が不鮮明になってしまう。"atheist"と"martyr"の二つである。つまり、多くの人たちが無神論者や殉教者になろうとしているが、しかし、誰も神から見捨てられることも、神から報復を受けることも望んではいない。実際、神自身、見捨てることも報復することもない。



Can you ask the Holy Spirit for "gifts" such as these, and actually expect to receive them? He cannot give you something you do not want. 
  • actually [ǽktʃuəli] : 「実際は、本当は、実のところ」
  • expect [ikspékt] : 「楽しみにする、要求する」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る」
❖ "Can you ask ~ "「あなたは、このような『贈り物』をホーリー・スピリットに要求し、しかも実際にそれを受け取ることを期待できるであろうか」。神から見捨てられることと神から報復を受けることを贈り物に例えている。"He cannot give you ~ "「ホーリー・スピリットは、あなたが望まないものをあなたに与えることは出来ないのだ」。



When you ask the Universal Giver for what you do not want, you are asking for what cannot be given because it was never created. It was never created, because it was never your will for you.
  • universal [jùːnəvə́ːrsl] : 「普遍的な、一般的な」
  • giver [gívər] : 「与える人」
  • create [kriéit] : 「〜を創造する、〜を創る」
❖ "When you ask ~ "「あなたが普遍的な与え手に、あなたの望まないものを要求したとき、」"you are asking ~ "「あなたは与えられ得ないものを頼んでいることになる」。"because it was ~ "「なぜなら、それは決して創造されたことはないのだから」。"It was never created ~ "「それは決して創造されたことはなかった」。" because it was ~ "「なぜなら、それは決して、あなたのためのあなたの意志ではなかったからだ」。ここで初めて、"the Universal Giver"という言葉が出てきた。「普遍的与え手」と訳すと奇異な響きがするので、そのまま「ユニバーサル・ギヴァー」としておいた方がいいかもしれない。誰にでも、何でも与えてくれる存在、すなわち創造主、神のことなのだが、あなたが本当に望んでいるものでなければ与えてくれない。望んでいないものを要求しても、神は創造すらしてくれない。神は既に真実のすべてを創造し終わっている。その中に、神の子を捨てることや報復することは含まれていない。真実ではないからだ。神は真実以外を意志しない。






T-9.I.5:1 ~ T-9.I.6:7

5. I have emphasized many times that the Holy Spirit will never call upon you to sacrifice anything. 
  • emphasize [émfəsàiz] : 「〜を強調する、力説する」
  • many times : 「何度も」
  • call upon : 「求める、要求する」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「〜を犠牲にする」
❖ "I have emphasized ~ "「私は何度もthat以下を強調してきた」。"that the Holy Spirit will ~ "「ホーリー・スピリットは決してあなたに何かを犠牲にするように強要することはないと」強調してきた。ホーリー・スピリットは決して犠牲を強いない。逆に、犠牲を強いるようなものは、ホーリー・スピリットの思考システムから生み出されたものではない。したがって、犠牲は神の意志ではない。



But if you ask the sacrifice of reality of yourself, the Holy Spirit must remind you that this is not God's Will because it is not yours. There is no difference between your will and God's. 
  • remind [rimáind] : 「〜に思い出させる、〜に気付かせる」
  • difference [dífərəns] : 「違い、差異、相違」
  • between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間の」
❖ "But if you ask ~ "「しかし、もしあなたが、あなた自身の実相を犠牲にすることを要求したら、」"the Holy Spirit must ~ "「ホーリー・スピリットはあなたにthat以下を思い起こさせるに違いない」。"that this is ~ "「それはあなたの意志ではないから、神の意志でもないのだと」。"There is no ~ "「あなたの意志と神の意志の間に違いはない」。神は決して犠牲を強いない。ましてや贖罪のための磔刑など、いったい神は誰に強いたりするだろうか。また、殉教を容認する気持ちのすべてはエゴの思考システムから生み出されたものである。犠牲という言葉は実相世界の辞書にない。



If you did not have a split mind, you would recognize that willing is salvation because it is communication.
  • split [splít] : 「割れた、分割した、分裂した」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「認める、受け入れる」
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済」
  • communication [kəmjùːnəkéiʃən] : 「伝達、コミュニケーション」
❖ "If you did ~ " 仮定法過去、「もし、あなたが分裂した心をもっていないなら、」"you would recognize ~ "「あなたはthat以下を認識するであろうに」。"willing is salvation ~ "「意志するとはコミュニケーションであるから、それは救いとなる」と認識するであろうに、あなたはそれが出来ない現状にある。神の意志もあなたの意志も同じであるから、あなたが意志したことは神に伝わる。その意味で、意志することはコミュニケーションである。あなたが意志したことが神に伝わるのだから、あなたは自己の救済を神に求めることが出来る。ところが、現状はあなたは神と分離し、心は分裂したままだ。神とのコミュニケーションが断たれている。



6. It is impossible to communicate in alien tongues. You and your Creator can communicate through creation, because that, and only that is Your joint Will. 
  • alien [éiliən] : 「異質な、縁もゆかりもない 」
  • tongue [tʌ́ŋ] : 「言葉、言語、方言」
  • creation [kriéi∫n] : 「創造、創作」
  • joint [dʒɔ́int] : 「共有の、共同の、連合の」
❖ "It is impossible ~ "ここは"It ~ to do ~"の構文、「異なる言語同士でコミュニケーションをとることは不可能だ」。"You and your ~ "「あなたとあなたの創造主は、創造を通してコミュニケーションできる」。"because that, and ~ "「なぜなら、創造は、創造だけが、あなたと創造主の共有された意志だからである」。実相的な創造とは真実の現実化である。真実の拡張と言ってもいい。真実の分かち合いであり、その意味ではコミュニケーションである。同じ意志(言語)をもった者同士が真実を分かち合い、コミュニケーションをとり、真実を拡張していく。



A divided mind cannot communicate, because it speaks for different things to the same mind. 
  • divided [diváidid] : 「分割された、分離した、分裂した」
  • speak for : 「〜を物語る、〜を示す、の代弁をする」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • same [séim] : 「同じ、同一の」
❖ "A divided mind ~ "「分裂した心はコミュニケーションできない」。"because it speaks ~ "「なぜなら、分裂した心は、違ったことを同じ心に向けて物語るからである」。分裂した心の各々が、別々のことを一つの心に向かって話すものだから、コミュニケーションが成立しない。あたかも混線した電波を受信するラジオのようなものだ。あるいは、バベルの塔を思い出せばいいだろう。



This loses the ability to communicate simply because confused communication does not mean anything. A message cannot be communicated unless it makes sense.
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、喪失する」
  • ability [əbíləti] : 「能力、才能、手腕」
  • simply [símpli] : 「単に、簡単に」
  • confuse [kənfjúːz] : 「混同する、混乱させる」
  • message [mésidʒ] : 「伝言、メッセージ」
  • communicate [kəmjúːnikèit] : 「伝える、伝達する」
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
  • make sense : 「意味をなす、道理にかなう」
❖ "This loses the ~ "「これが、コミュニケーションの能力を失わせる」。"simply because ~ "「単に、混乱したコミュニケーションは何も意味しないからだ」。混線した電波は意味内容を伝えることは出来ず、ただの雑音になってしまう。混乱したコミュニケーションもまた然りだ。"A message cannot be ~ "「メッセージは、それが意味を成さない限り、伝達され得ない」。たとえ、混乱していなくても、意味内容が不明なメッセージは、解読できない暗号文と同じで、コミュニケーションの対象にならない。



How sensible can your messages be, when you ask for what you do not want? 
  • sensible [sénsəbl] : 「分別のある、理にかなっている」
  • ask for : 「〜を求める、〜を要求する」
❖ "How sensible ~ "「あなたが欲しないことを頼んでいるとき、いったいあなたのメッセージはどうやって意味を成すであろうか」。欲しないことを要求するのだから、要求する内容と、要求する心が相反している。この要求は意味をなさない。



Yet as long as you are afraid of your will, that is precisely what you are asking for.
  • as long as : 「〜さえすれば、〜する限り」
  • be afraid [əfréid] of : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
  • precisely [prisáisli] : 「正確に、まさに」
❖ "Yet as long as ~ "「しかし、あなたがあなたの意志を怖がっている限り、」"that is precisely ~ "「それはまさに、(あなたが欲しないことを)あなたが要求しているのと同じである」。恐れがコミュニケーションの障害になる。恐れのあまり、欲していないことを要求する。たとえば、孤独感から逃れるために酒を飲む。酒を飲めばますます孤独になる。そこで、ますます酒を飲む。孤独が恐ろしいがために、欲してもいない酒の依存にのめり込む。薬への依存、物欲、性的執着、虐待、等々、思い起こせばいくらでもある。恐れから逃避するために欲してもいないことを望む事例は後を絶たない。






T-9.I.3:1 ~ T-9.I.4:6

3. If you do not know what your reality is, why would you be so sure that it is fearful? 
  • reality [riǽləti] : 「現実、実在、現実のこと」
  • why would : 「一体何でまた〜なのか」
  • sure [ʃúər] : 「確信して、確信している」
❖ "If you do not ~ "「もしあなたが、あなたの実相が何なのか知らなかったら、」"why would you ~ "「どうして、それが恐ろしいと、そんなに確信がもてるのか」。本当のあなた自身を知らないくせに、本当のあなた自身を恐れるのはおかしなことだ。言い換えれば、あなたの実相を知らないことが、あなたの恐れの原因なのだ。



The association of truth and fear, which would be highly artificial at most, is particularly inappropriate in the minds of those who do not know what truth is. 
  • association [əsòusiéiʃən] : 「つながり、関連性」
  • highly [háili] : 「大いに、非常に、極めて」
  • artificial [ὰːrtəfíʃəl] : 「人工的な、わざとらしい」
  • at most : 「多くても、せいぜい、たかだか」
  • particularly [pərtíkjulərli] : 「 特に、特別に、とりわけ」
  • inappropriate [ìnəpróupriət] : 「不適切な、不適当な」
❖ "The association of ~ "「真実と恐怖の関連性は、よく言ったとしてもそれは非常にわざとらしいのだが、真実が何たるかを知らない人々の心の中では、特別に不適切である」。真実を知ることと、それに対して恐れを抱くことを関連づけて考えるのは、真実をまだ知らない人達にとっては不適切な関連づけである。真実を知れば嘘がバレて、恐ろしい神の報復が待っているなどと、わざとらしい理屈づけをするかもしれないが、それは真実を知らない者の戯言(たわごと)だ。真実は恐れとは無関係であり、それを関係がありそうに装うことは非常にわざとらしい。



All this could mean is that you are arbitrarily associating something beyond your awareness with something you do not want. 
  • arbitrarily [ɑ̀ːrbətrérəli] : 「独断的に、自由裁量で」
  • associate [əsóuʃièit] : 「結び付ける、連想する」
  • beyond [bijɑ́nd] : 「〜の向こう側に、〜を越えて」
  • awareness [əwéərnəs] : 「認識、意識性」
❖ "All this could ~ "「これが意味できるすべては、」これとは、真実と恐れを関連付けること、"that you are ~ "「あなたが、認識を越える何かを、あなたが望まない何かと独断的に結びつけている、ということである」。"something beyond your awareness"「認識を越える何か」とは、まだ知られていない真実。そして、"something you do not want"「あなたの望まない何か」とは、思い込みの恐れ。本来、まったく無関係のこの2つを、あなたは勝手に結びつけている。



It is evident, then, that you are judging something of which you are totally unaware. 
  • evident [évidənt] : 「明白な、明らかな」
  • judge [dʒʌ́dʒ] : 「判断する、判定する」
  • totally [tóutəli] : 「全く、完全に、全体的に」
  • unaware : 「無意識の、気付かない、知らない」
❖ "It is evident ~ "ここは"It ~ that ~ "の構文、「あなたが全く知らない何かを、あなたが判断していることは明白である」。知らないものを恐れるとは、知らないものを恐ろしいものと判断していることに等しい。知らないものをどうやって判断するのか? 自己矛盾が明白である。



You have set up this strange situation so that it is impossible to escape from it without a Guide Who does know what your reality is. 
  • set up : 「打ち立てる、設立する」
  • strange [stréindʒ] : 「奇妙な、変わった」
  • situation [sìtʃuéiʃən] : 「状況、状態、立場、事情」
  • so that : 「〜できるように、その結果」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、あり得ない」
  • escape [iskéip] : 「逃げる、脱出する」
  • guide [gáid] : 「指導者、案内人、案内者」
❖ "You have set up ~ "「あなたは、この奇妙な状況を作り出してしまい、」奇妙な状況とは、知らないものを独断的に判断し恐れを抱くようになった状況(自己矛盾の状況)。"so that it is ~ "「その結果、あなたの実相が何たるかを知っているガイドなしでは、その状況から逃れることは不可能だ」。矛盾した状況から脱出するには、あなたの実相を知っているホーリー・スピリットの力を借りる必要がある、ということ。あなたの心の中にホーリー・スピリットが住んでいることを思い出そう。ホーリー・スピリットは単に居候(いそうろう)しているのではない。あなたを助け、導くためにあなたの心に宿っている。具体的には次の文。



The purpose of this Guide is merely to remind you of what you want. He is not attempting to force an alien will upon you. 
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、意向」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • remind [rimáind] : 「〜に思い出させる、〜に気付かせる」
  • remid A of B : 「AにBを思い出させる」
  • attempt [ətémpt] : 「〜するよう努める」
  • force [fɔ́ː(r)s] : 「〜を強要する、〜を押し付ける」
  • alien [éiliən] : 「性質の異なる、異質な」
❖ "The purpose of ~ "「このガイドの目的は、ただ単に、あなたにあなたが何を欲しているか、思い出させることだけだ」。本当のあなたが本当に望んでいることを思い出させてくれる。"He is not ~ "「ガイドは、あなたに異質な意思を押し付けようとしているのではない」。あなたは神の子として神の属性をすべて継承している。もちろん叡知(Knowledge)も備えている。あなたには知らないことは何もない。ただ、深い眠りの中で忘れてしまっているだけだ。ホーリー・スピリットは、あなたを深い眠りからゆっくり目覚めさせ、すべてを思い出させてくれる。



He is merely making every possible effort, within the limits you impose on him, to re-establish your own will in your awareness.
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、あり得る」
  • effort [éfərt] : 「努力、尽力、試み」
  • within the limits : 「制限内で、範囲内で」
  • impose [impóuz] : 「課す、負わす」
  • establish [istǽbliʃ] : 「確立する、達成する」
  • awareness [əwéərnəs] : 「認識、自覚、意識性」
❖ "He is merely ~ "「ガイドは、単に、あらゆる可能な努力を惜しまないだけだ」。"within the limits ~ "「あなたがガイドに負わせた限界内で」あらゆる努力を惜しまない。ホーリー・スピリットに制限をかけるとしたらあなた自身の恐れである。"to re-establish ~ "不定詞、副詞的用法、「あなたの意識性の中に、あなた自身の意思を再確立するために」。エゴの思考システムの中でがんじがらめになっているあなたの意志を解放し、再び本来の、あなたの意志として確立するのである。あなたは、言わば真っ暗な洞窟の中で深い眠りについているようなもので、ホーリー・スピリットはその深い眠りからあなたを目覚めさせ、光の溢れる外界(真実の世界)へ連れ戻そうとしている。ところが、目覚めが急速であったり、いきなり強い光を浴びせたりすると、あなたは混乱と恐れを感じてしまうだろう。そこで、ホーリー・スピリットは時間をかけてゆっくりあなたを目覚めさせ、少しずつ光に馴染ませていく。あなたが自分に課した制限を、あなたがガイドに負わせた限界内で、ゆっくり解除していくのである。時間は学びの補助装置だと言う意味がはっきり理解できる箇所である。また、ACIMを学ぶには長い時間が必要であることもわかる。1年や2年で、ACIMの理論の表面を舐めただけではダメなのだ。



4. You have imprisoned your will beyond your own awareness, where it remains, but cannot help you. 
  • imprison [imprízn] : 「監禁する、投獄する」
  • beyond [bijɑ́nd] : 「〜の向こう側に、〜を越えて」
  • remain [riméin] : 「とどまる、残る」
❖ "You have imprisoned ~ "「あなたはあなたの意志を、あなた自身の意識性を越えたところに投獄してしまった」。つまり、無意識の領域へ意志を追いやって閉じこめてしまった。ここで言う「あなたの意志」とは「神の意志」でもある。したがって、閉じこめられたのは神そのものだと言ってもいい。つまり、神から分離した心は、神を無意識の暗闇に幽閉したということになる。"where it remains ~ "「あなたの意志はそこに残っているが、あなたを助けることは出来ない」。"cannot help you"の主語は"it"で、あなたの意志である。したがって、あなたの意思は投獄されてしまったので、あなたを助けることが出来ない、という意味。では、あなたの救いは絶望か? いや、ホーリー・スピリットが、幽閉されたあなたの意志を解放し、あなた自身をも助けてくれる。だからこそ、エゴの思考システムを積極的に捨てて、ホーリー・スピリットの思考システムを積極的に取り入れなくてはならないのだ。



When I said that the Holy Spirit's function is to sort out the true from the false in your mind, I meant that he has the power to look into what you have hidden and recognize the Will of God there. 
  • function [fʌ́ŋkʃən] : 「機能、作用、働き、役割」
  • sort [sɔ́rt] : 「〜を区別する、仕分ける、分類する」
  • sort out : 「整理する、分類する、区分する」
  • false [fɔ́ːls] : 「誤った、うその、虚偽の」
  • look into : 「〜を詳しく調べる、〜を調査する」
  • hidden [hídn] : 「hideの過去分詞形」
  • hide [háid] : 「 隠す、覆う」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「認める、受け入れる」
❖ "When I said ~ "「私が、ホーリー・スピリットの機能はあなたの心の中の本当のことを誤ったことから選り分けることだと言ったとき、」"I meant that ~ "「私は、ホーリー・スピリットが、あなたが隠したものを詳しく調べて、そこに神の意志を認めるパワーをもっている、ということを意味したのだ」。ACIMの絶対他力性において、他力とはホーリー・スピリットの力であると理解できる。決してエゴではない。積極的にホーリー・スピリットの力にすがっていい。他力とは自己を放棄することではない。その逆である。



His recognition of this Will can make it real to you because he is in your mind, and therefore he is your reality. 
  • recognition [rèkəgní∫n] : 「真価を認めること、正当性の認識」
  • real [ríəl] : 「現実の、実際の、実在する」
❖ "His recognition of ~ "「ホーリー・スピリットがあなたの心の中に神の意志を認識することで、神の意志をあなたにとって現実のものとすることが出来る」。"because he is ~ "「なぜなら、ホーリー・スピリットはあなたの心の中にあり、したがって、ホーリー・スピリットはあなたの実相であるからだ」。あなたの心に住むホーリー・スピリットはあなたの真実であり、実相である。その真実であるホーリー・スピリットが、あなたの心の中の無意識の層に神の意志を認識することで、つまり、光を当てることで、あなたの意識性の層の中に神の意志が浮かび上がり、あなたの実相となって確認される。前文で、ホーリー・スピリットに他力せよと書いたが、あなたとホーリー・スピリットが一体になるとき、ホーリー・スピリットへの他力は結局あなたの自力となる。他力と自力は実相的に同じなのだ。純粋一元論の当然の帰結である。



If, then, his perception of your mind brings its reality to you, he is helping you to remember what you are. 
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、見識、感じ方」
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
  • remember [rimémbər] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
❖ "If, then, his ~ "「したがって、もし、あなたの心を見るホーリー・スピリットの知覚が、あなたに実相をもたらすなら、」"he is helping ~ "「ホーリー・スピリットはあなたに、本当のあなたを思い出させる手助けをしていることになる」。ホーリー・スピリットはあなたの無意識の中に、神の意志、つまりはあなたの意志が幽閉されていることを知覚する。それを認識することで、神の意志を無意識の領域から意識の領域へ引き上げて光を当てるのである。そのとき、初めてあなたは自分の実相を知ることが出来る。では、あなたの実相、本当のあなたとは何か? それは、一言で言えば、神性(divinity)である。つまり、あなたは、神の属性を継承した紛れもない神の子であるということだ。眠りから目覚めるとは、そういうことである。



The only source of fear in this process is what you think you will lose. 
  • source [sɔ́ːrs] : 「もと、源、起点、原因」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
  • process [prɑ́ːses] : 「過程、進行、経過」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、喪失する」
❖ "The only source ~ "「このプロセスにおける、唯一の恐れの原因は、あなたが何かを失うのではないかと思っていることである」。つまり、今見ている夢を失いたくないと思っているだけだ。しかし、失うのは単なる夢、幻想、錯覚である。決して実相は失われない。逆に、実相を取り戻すのだ。



Yet it is only what the Holy Spirit sees that you can possibly have.
  • possibly [pɑ́səbli] : 「たぶん、あるいは」
❖ "Yet it is only ~ "ここは"it ~ that ~ "の構文、「しかし、あなたがひょっとして所有できるものがあったとしたら、それはホーリー・スピリットが見ているものだけである」。ホーリー・スピリットがあなたの心の中で本当に実在すると認識できたものだけを、あなたは持つことが出来る。神の意志をホーリー・スピリットがあなたの心の中に認識することで、あなたは忘れていた神性を取り戻すのだって、何かを失うのではない。絵に描いた餅を捨て、本物の餅を得るのである。はたして、あなたは損をしたと苦言するだろうか?






T-9.I.1:1 ~ T-9.I.2:5

Chapter 9



The Acceptance of the Atonement
贖罪の受け入れ



I. The Acceptance of Reality
実相の受け入れ



1. Fear of the Will of God is one of the strangest beliefs the human mind has ever made. 
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
  • will [wíl] : 「意志、精神力」
  • strange [stréindʒ] : 「奇妙な、変わった、変な」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念」
  • human [hjúːmən] : 「人の、人間の」
❖ "Fear of the Will ~ "「神の意志への恐れは、人間の心がこれまで作った中で一番奇妙な思い込みの一つである」。旧約聖書の神を見ればわかるように、その神は怒れる神であり、復讐する神、疑う神、裁く神、罰する神である。至上の愛のみを抱く神が、愛とは真逆の驚くほど奇妙な神として描かれている。



It could not possibly have occurred unless the mind were already profoundly split, making it possible for it to be afraid of what it really is. 
  • possibly [pɑ́səbli] : 「たぶん、あるいは」
  • occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる」
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り」
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、もう」
  • profoundly [prəfáundli] : 「深く、心から」
  • split [splít] : 「割れた、分割した、分裂した」
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、あり得る」
  • be afraid [əfréid] of : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
  • really [ríəli] : 「実際には、本当は」
❖ "It could not ~ "「心がすでに深く分裂し、神の意志が実際は何なのかということを恐れることを可能にしなかったら、神の意志への恐れは起きなかったであろう」。"making it possible for ~"の初めの"it"は仮主語で"to be afraid of ~ "が本主語。次の"for it"の"it"は「心」。"what it really is"の"it"は「神の意志」。少々複雑なのだが、そもそもの原因は心が深く分裂したことにある。その心の分裂の原因は、もちろん、心が神から分離したことである。心は罪の意識を無意識の領域にもつことになる。神の報復と罰を恐れる。つまり、神の本当の意志が何たるかを知る以前に、すでに、神の意志を恐れてしまっているのだ。神の意志が報復と罰であると勝手に決めつけているわけだ。ちょうど、悪さをした子供が、しでかした事態が親に発覚する前に、きっと親に怒られるに違いないと決めつけるようなものだ。



Reality cannot "threaten" anything except illusions, since reality can only uphold truth. 
  • reality [riǽləti] : 「現実、実在、現実のこと」
  • threaten [θrétn] : 「〜を脅す、脅迫する」
  • except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • uphold [ʌphóuld] : 「支持する、支える」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理」
❖ "Reality cannot ~ "「実相は、幻想を除いて、何ものも『脅かす』ことは出来ない」。"since reality can ~ "「なぜなら、実相は真実を保持することしか出来ないのだから」。実相は真実を保持し、幻想を排除する。神の子が神を裏切って神から分離したことは、神の子が抱いた幻想である。その幻想をもって、神が神の子を罰するなどと脅すわけがない。何か悪いことをしでかした夢を見て恐れを抱いている子供を、いったいどこの親が叱るだろう。



The very fact that the Will of God, which is what you are, is perceived as fearful, demonstrates that you are afraid of what you are. It is not, then, the Will of God of which you are afraid, but yours.
  • very [véri] : 「まさに、まさしく」
  • fact [fǽkt] : 「事実、現実、真実」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く」
  • fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、怖い」
  • demonstrate [démənstrèit] : 「はっきり示す、明らかにする」
❖ "The very fact ~ "「神の意志、それは本当のあなたなのだが、それが恐ろしく知覚されるというまさにその事実は、あなたが本当のあなたを恐れていることを示している」。"what you are"は「あなたが何であるかということ、あなたであるところのもの、本当のあなた、あなた自身であるところのあなた」等々の意味合い。"It is not, then, ~ "「したがって、あなたが恐れているのは神の意志ではなく、あなた自身の意志である」。神は恐ろしい存在なのではなく、あなたが勝手に神は恐ろしい存在だと思い込んでいるだけなのだ。



2. Your will is not the ego's, and that is why the ego is against you. What seems to be the fear of God is really the fear of your own reality. 
  • against [əgénst] : 「対抗して、〜に反対して」
  • seem [síːm] : 「〜のように見える、〜するように思われる」
❖ "Your will is ~ "「あなたの意志はエゴのものではない」。あなたの心はエゴに支配されているとは言え、エゴのものではない。"and that is ~ "「それは、エゴがあなたに逆らっている理由である」。あなたの本当の心はエゴからの解放を求めている。だから、エゴはあなたの本心に逆らうのだ。"What seems to ~ "「神への恐れと見えるものは、実際は、あなた自身の実相への恐れである」。神からの分離後、神の報復と罰を恐れて、心は外部にその分離と恐れを投影(projection)した。そこに幻想(illusion)の世界が偽創造された。その幻想の世界で、分裂した心はあたかも個(individuality)を持ち、肉体(body)を持ち、個別に存在しているかのように知覚(perception)している。しかし、実相(reality)はまったく違う。投影した幻想の世界に住む心は、その心自体の実相を恐れているのだ。なぜ恐れるのか? 真実を知らないからである。神への恐れが、実相の自己を見ることを拒絶させている。したがって、実相の自己を思い出すことがすべての出発点となり、このコースの学習目的の最重要課題の一つとなるわけだ。



It is impossible to learn anything consistently in a state of panic. 
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、あり得ない」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、習う」
  • consistently [kənsístəntli] : 「一貫して、常に」
  • state [stéit] : 「状態、情勢、状況」
  • in a state of : 「〜の状態で」
  • panic [pǽnik] : 「恐慌、恐怖、パニック」
❖ "It is impossible ~ "ここは"It ~ to do ~ "の構文、「恐怖を感じる状態で、何かを首尾一貫して学ぶことは不可能である」。本当のあなた自身を知るには、あるいは真実を知るには、知ることを躊躇させている恐れを排除する必要がある。



If the purpose of this course is to help you remember what you are, and if you believe that what you are is fearful, then it must follow that you will not learn this course. 
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、意向」
  • course [kɔ́ːrs] : 「コース、課程、講座」
  • remember [rimémbər] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
  • follow [fɑ́lou] : 「〜に続く、〜の次に来る」
❖ "If the purpose ~ "「もし、この奇跡のコースの目的が、あなたが本当のあなたを思い出す手助けになることであり、」"and if you believe ~ "「さらに、もし、あなたが、本当のあなたは恐ろしいものだと信じているなら、」"then it must follow ~ "「その時は、あなたはこのコースから何も学ぼうとしていないと結論されるに違いない」。この奇跡のコースをきちんと学べば、本当の自分が恐ろしいなどと思うはずがない。そして、当然の帰結として、神の意志も恐ろしいものではないと分かる。神の辞書には報復という文字も、罰という文字もないのだ。それは神の法に反する概念であるからだ。結局、真実が恐ろしいのではなく、真実を知ることで虚偽がバレるのを恐れているだけだ。



Yet the reason for the course is that you do not know what you are.
  • reason [ríːzn] : 「理由、原因、根拠」
  • reason for : 「〜の理由」
❖ "Yet the reason ~ "「しかし、このコースを学ぶ理由は、あなたが本当のあなたを知らないからである」。コースを学び始める段階で、本当の自分を知っている必要はない。本当の自分を知ることが、このコースの目的なのであり、コースを終えるときに、本当の自分が分かるようになっていればいい。本当の自分を知るには夢からの目覚めが必要であって、夢からの目覚めは恐ろしくないのだと知る必要がある。第一に取り組むべきは、恐れという幻想の排除である。






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