●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-2.V.10:1 ~ T-2.V.10:7

10. Charity is a way of looking at another as if he had already gone far beyond his actual accomplishments in time.
  • charity [tʃǽrəti] : 「慈善、思いやり、心配り、心遣い」
  • way [wéi] : 「方法、やり方、手段、方途、様式」
  • look at : 「〜に目を向ける、〜を見る」
  • another [ənʌ́ðər] : 「もう一つのもの、もう一人、別の人」
  • as if : 「あたかも〜かのように、まるで〜であるかのように」
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
  • gone [ɡɔ́ːn] : 「goの過去分詞形」
  • far [fάːr] : 「遠く離れて、遠くに、遠くへ」
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて」
  • actual [ǽktʃuəl] : 「現実の、実際に起こった、現在の」
  • accomplishment [əkάmpliʃmənt] : 「成就、偉業、成果、達成、完成」
❖ "Charity is ~ "「思いやりの気持ちとは、相手を、まるで彼が時の流れの中で実際に達成した以上のこを、すでに達成したかのように見てあげる見方のことである」。簡単に言えば、思いやりの気持ちとは相手を過大評価してやること。まだ達成出来ていないことも、あたかも達成してしまったかのように見てやるのだ。



Since his own thinking is faulty he cannot see the Atonement for himself, or he would have no need of charity.
  • since [síns] : 「〜なので、〜だから」
  • faulty [fɔ́ːlti] : 「欠点のある、誤った、不完全な、欠陥のある」
  • atonement [ətóunmənt] : 「償い、贖罪」
  • need [níːd] : 「必要、必要性」
❖ "Since his own ~ "「彼の考えには欠陥があるので、」"he cannot see ~ "「彼は、彼自身のための贖罪が(必要であると)わからない」。"or he would ~ "「さもなければ、彼には思いやりの気持ちなど必要ないだろう」。彼は贖罪の必要性を認識する所まで達していないのだが、思いやりの気持ちをもって、彼がその地点に到達したものと過大評価してやるのである。そして、彼の贖罪の手助けをしてやるのだ。つまり、ヒーリングという奇跡を実行するのである。もし、彼が贖罪の必要性を認識する地点にまで達していたなら、自分で贖罪を果たすのだから、こちらからわざわざ思いやりの気持ちを彼に差し向ける必要はない。
具体的に考えてみよう。ここにあなたと他者のAがいるとする。Aは、今はまだまだ未熟で、考え(thinking)に欠陥(faulty)をもっている。Aは贖罪が必要だとも思っていないし、贖罪など思いもよらない(cannot see the Atonement)。そこであなたは、前文のように、Aを過大評価してやるのだ。きっとAは精神的にもっともっと進んでいて(gone far beyond)、贖罪を必要だと感じているに違いない、と思いやってあげる。Aの贖罪のために何かをしてやろうと心に決める。それが"charity"「思いやりの気持ち」だということになる。



The charity that is accorded him is both an acknowledgment that he needs help, and a recognition that he will accept it.
  • accord [əkɔ́ːrd] : 「一致させる、 認める、許容する」
  • both [bóuθ] A and B : 「AもBも、ABいずれも」
  • acknowledgment [æknάlidʒmənt] : 「承認、同意、認識、認知」
  • recognition [rèkəɡníʃən] : 「認識、認証、真価を認めること」
  • accept [əksépt] : 「引き受ける、受諾する」
❖ "The charity that ~ "「彼に合った思いやりの気持ちとは、彼には助けが必要であると認知すること、彼はその助けを受け入れてくれると認識することである」。贖罪の必要性を認識していない彼ではあるが、きっと贖罪の必要性を感じているはずだと過大評価してやって、そのための助けが彼には必要なのだと思ってやること、それが思いやりの気持ち。また、きっと彼は助けを受け入れてくれるに違いないと信じることも思いやりの気持ち。



Both of these perceptions clearly imply their dependence on time, making it apparent that charity still lies within the limitations of this world.
  • both [bóuθ] : 「両方、双方、両者」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識」
  • clearly [klíərli] : 「はっきりと、明らかに、明瞭に、疑いもなく」
  • imply [implái] : 「暗に伝える、暗示する、ほのめかす」
  • dependence [dipéndəns] : 「依存、依存関係、付属物」
  • apparent [əpǽrənt] : 「明らかな、明白な、はっきり見える」
  • still : 「まだ、いまだに、今もなお」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」
  • limitation [lìmətéiʃən] : 「制限、制約、限界」
❖ "Both of these ~ "「これらの知覚はともに、」前文の"acknowledgment"「認知」と"recognition"「認識」は、"clearly imply their ~ "「明らかに時間依存であることを暗示している」。"making it apparent ~ "単純接続、「そして、思いやりの気持ちは、いまだにこの世界の制限に縛られていることを明確に示している」。相手に贖罪の必要性を教えたり、相手の受け入れを信じたりする行為は、教えと学びの関係であるから時間依存である。叡智による瞬間的な認知や認識ではない。この世界における教えと学びは時間依存するのだから、思いやりの気持ちもまたこの世界の時間という制限に縛られているのだ。
思いやりの気持ちは、それが完成した時点で消滅する。あるいは、思いやりの気持ちは、この世界の時空の制限を超越した実相的な愛や慈悲に昇華する。それまでは、学びの補助装置である時間を有意義に利用するのである。もちろん、思いやりの気持ちが実相的な慈悲や愛に昇華したとき、学びの補助装置である時間は消滅する。幻想は不必要になれば消滅するのだ。



I said before that only revelation transcends time. The miracle, as an expression of charity, can only shorten it.
  • before [bifɔ́ːr] : 「以前に、前に、早く、先に」
  • revelation [rèvəléiʃən] : 「啓示、黙示」
  • transcend [trænsénd] : 「超える、〜を超越する、しのぐ」
  • expression [ikspréʃən] : 「 表現、表現すること、表示」
  • shorten [ʃɔ́ːrtn] : 「短くする、短縮する、縮める」
❖ "I said before ~ "「私は以前、啓示のみが時間を超越すると言った」。"The miracle ~ "「思いやりの気持ちの表現としての奇跡は、時間を短縮するのみである」。"revelation"「啓示」とは、神との直接的コミュニケーションのことで、ここでは実相世界の開示、天の王国への回帰と考えればいい。幻想世界が消滅し、無時間無空間の実相世界が開示されるのだから、当然時間は消滅し、時間を超越したことになる。"as an expression of charity"「思いやりの気持ちの表現として」とは、思いやりの気持ちをヒーリングや贖罪の手助けとして他者に表現するとき、といった意味合い。もちろん、それは奇跡の一つであるが、実相世界の開示までには至らないので、時間を消滅させることは出来ない。しかし、時間が消滅するまでに要する時間の短縮にはなる。実相世界の開示にぐんと近づくのだ。



It must be understood, however, that whenever you offer a miracle to another, you are shortening the suffering of both of you.
  • understood [ʌ̀ndərstúd] : 「understandの過去・過去分詞形」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、分かる、把握する」
  • however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
  • whenever [hwènévər] : 「〜するときはいつでも、〜したときはすぐ」
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、〜を提供する、〜を勧める」
  • suffering [sʌ́(əriŋ] : 「苦しむこと、苦しみ、苦痛、苦難」
❖ "It must be understood ~ "「しかし、that以下は理解されなければならない」。"that whenever you ~ "「あなたが相手に奇跡を差し出す時はいつでも、あなたと相手の両方の苦痛(を感じる時間を)短縮しているのだと」理解されなければならない。ここの"suffering"「苦痛」とは、この幻想世界に生きる苦と痛みのこと。それは、この世界の時間と空間の制限からくるところの苦痛であり、罪の意識、罰への恐れ、飽くなき欲、絶望、等々のこと。すべては夢の中の苦と痛みであり、幻想である。奇跡は、そんな苦と痛みの時間を短縮してくれるのだ。悪夢からの目覚めを促してくれるのである。



This corrects retroactively as well as progressively.
  • correct [kərékt] : 「訂正する、修正する、正す」
  • retroactively [rètrouǽktivli] : 「以前にさかのぼって、遡及的に」
  • progressively [prəɡrésiv] : 「進行的に、進歩的に、前進的に、漸次」
❖ "This corrects ~ "「こういった奇跡は、これからのことと同様、過去にさかのぼっても、訂正してくれる」。奇跡は実相的な真実の現実化であり、したがって、時間依存しない。奇跡は、過去現在未来の区別をしない。どんな時点での誤りも訂正してくれる。
なお、ここの"correct"は自動詞である。小さい辞書には他動詞のみが記されているが、実は自動詞もある。
 
 
 


T-2.V.8:1 ~ T-2.V.9:7

8. The fear of healing arises in the end from an unwillingness to accept unequivocally that healing is necessary.
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」
  • healing [híːliŋ] : 「癒やし、治療、治癒、回復」
  • arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる、生まれる、発生する」
  • in the end : 「結局、ついに」
  • unwillingness : 「気が進まないこと、不本意」
  • accept [əksépt] : 「引き受ける、受諾する 」
  • unequivocally [ʌnikwívəkli] : 「明白に、はっきりと」
  • necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の、欠くことのできない」
❖ "The fear of healing ~ "「ヒーリングに対する恐れは、結局のところ、ヒーリングが必要なのだと明白に受け入れたいと思わないところから生じる」。ヒーリングを施す側も、ヒーリングを受け入れる側も、ともにヒーリングの必要性に迫られた時、はじめて恐れを越えたヒーリングが成り立つ。ヒーリングの必要性とは、幻想という誤りを正して、真実に目覚める必要性があるということ。



What the physical eye sees is not corrective, nor can error be corrected by any device that can be seen physically.
  • physical [fízikl] : 「物質の、物質的な、身体の、肉体の」
  • corrective [kəréktiv] : 「修正するための」
  • error [érər] : 「誤り、間違い」
  • device [diváis] : 「機器、装置、道具、手段、仕掛け」
  • seen [síːn] : 「seeの過去分詞形」
  • physically [fízikəli] : 「物理的に、物的に、肉体的に、身体的に」
❖ "What the physical ~ "「肉体的な目が見ているものは、修正する(という作業を行う)ことは出来ない」。つまり、物質や肉体レベルのものが心や精神レベルの修正を行うことは出来ないということ。たとえば、いかにお金をため込んでも、恐れや孤独を癒すことは出来ない。恐れや孤独は心や精神レベルの問題だからだ。"nor can error ~ "「誤りもまた、物理的に見ることの出来るいかなる装置によっても修正され得ない」。物理的に見ることの出来るものは幻想なので、幻想が誤りを修正して真実に目覚めさせることは不可能なのだ。心のレベルの誤りを物質レベルの物によって正すことは出来ないのである。



As long as you believe in what your physical sight tells you, your attempts at correction will be misdirected. 
  • as long as : 「〜さえすれば、〜する限り」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、確信する、信頼する」
  • sight [sáit] : 「視力、視覚、視野、視界、景色、眺め」
  • attempt [ətémpt] : 「試み、企て」
  • correction [kərékʃən] : 「訂正、矯正、修正、是正」
  • misdirect [misdirékt] : 「誤って教える、誤った指導をする」
❖ "As long as you ~ "「あなたの肉体的な視力があなたに告げることを信じている限り、修正作業におけるあなたの試みは誤った方向に導かれるだろう」。「あなたの肉体的な視力があなたに告げること」とは、「物理的に見ることの出来る装置」と同じこと。誤りという幻想を幻想的な手段で修正しようとすれば、修正の道を誤ってしまう。誤りに誤りを重ねてしまうだけなのだ。



The real vision is obscured, because you cannot endure to see your own defiled altar.
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • vision [víʒən] : 「先見の明、洞察力、想像力、視覚、視力」
  • obscure [əbskjúər] : 「〜を曖昧にする、見えなくする」
  • endure [endjúər] : 「耐える、持ちこたえる、持続する 」
  • defile [difáil] : 「汚す、不潔にする」
  • altar [ɔ́ːltər] : 「祭壇、聖餐台」
❖ "The real vision ~ "「真のヴィジョンは曖昧にされている」。" because you cannot ~ "「なぜなら、あなたはあなた自身の祭壇が汚されているのを見るに耐えないからだ」。汚された神の祭壇や荒廃した心を直視する勇気と、それを修正する力があるなら、ホーリー・スピリットの力を借りながらも困難を乗り越えられるかもしれないが、人は恐れと不安を抱いて非情な現実から目をそらしてしまう。せっかく心の目であるヴィジョンで真実を見ることが出来たというのに、恐れのあまり、再び肉体の視力に立ち戻ってしまう。幻想の黒雲の中に逃げ込むことで、真のヴィジョンはますます曖昧にされるのだ。



But since the altar has been defiled, your state becomes doubly dangerous unless it is perceived.
  • since [síns] : 「〜なので、〜だから」
  • state [stéit] : 「状態、形勢、情勢、状況」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • doubly [dʌ́bli] : 「二重に」
  • dangerous [déindʒərəs] : 「危険な、危険を伴う、物騒な」
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
❖ "But since the altar ~ "「しかし、祭壇が汚されたままなので、あなたの立場は、祭壇が知覚されない限り、二重に危険である」。祭壇は汚れたままで、したがって、贖罪が放棄された形になるというのが一つ目の危険性。あなたの心が幻想で曇り、真のヴィジョンが見えなくなるというのが二つ目の危険性。「祭壇が知覚されない限り」とは、ヴィジョンによって荒廃した祭壇が知覚されない限り、ということ。荒廃した神の祭壇が知覚されて初めて、その修正が始められるわけだ。



9. Healing is an ability that developed after the separation, before which it was unnecessary.
  • healing [híːliŋ] : 「癒やし、治療、治癒、回復」
  • ability [əbíləti] : 「能力、才能、できること」
  • develop [divéləp] : 「発展する、成長する、発育する」
  • after [ǽftər] : 「〜した後で、〜してから」
  • separation [sèpəréiʃən] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
  • before [bifɔ́ːr] : 「以前に、前に、早く、先に」
  • unnecessary [ʌnnésəsèri] : 「不必要な、無用な、不要な、なくてもいい」
❖ "Healing is an ability ~ "「ヒーリングは神との分離後に発達した能力である」。" before which it ~ "「それ以前はヒーリングは不必要であった」。アダムとイブの楽園追放を思い浮かべるといい。追放前は罪の意識がないからヒーリングは必要ない。楽園追放後、神との分離を経て、無意識の中に罪悪感が住みついて、ヒーリングが必要になったのだ。
ACIMのヒーリングは、我々が日常使う癒しという意味でのヒーリングとはかなり意味が違う。ACIMでは、幻想から目覚めさせ、心を正常な状態にもって行くことがヒーリングである。それには、贖罪が必須であり(なぜなら、無意識の罪が諸悪の根源になっているから)、加えてホーリー・スピリットの助力(他力)が必要となる。



Like all aspects of the belief in space and time, it is temporary. However, as long as time persists, healing is needed as a means of protection.
  • like [láik] : 「〜に似た、〜のような、〜のように」
  • aspect [ǽspekt] : 「様子、外見、局面、状況、側面」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • space [spéis] : 「空間、余白、場所、スペース、空き地」
  • temporary [témpərèri] : 「一時の、一時的な、暫定の、仮の、当座の」
  • however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
  • as long as : 「〜する限り、〜である限りは、〜する以上は」
  • persist [pərsíst] : 「存続する、持続する、しつこく主張する」
  • means [míːnz] : 「手段、方法」
  • protection [prətékʃən] : 「保護、擁護、防御」
❖ "Like all aspects of ~ "「空間と時間の信念のすべての側面と同様、」つまり、空間と時間を信じていることとまったく同様に、" it is temporary"「ヒーリングも一時的なものである」。必要がなくなればヒーリングも消える。"However, as long as ~ "「しかし、時間が執拗に続く限り、ヒーリングは防御の一手段として必要とされる」。時間は学びのための補助装置であった。したがって、時間が続くとは、まだ学びが完了していないことを意味する。学びが必要な限り、ヒーリングも必要とされる。ただし、ヒーリングは、学びのための補助装置としてではなく、防御の一手段として必要とされる。つまり、心を幻想から守る手段なのだ。



This is because healing rests on charity, and charity is a way of perceiving the perfection of another even if you cannot perceive it in yourself.
  • rest [rést] on : 「〜に基礎を置く、〜を当てにする、〜にある」
  • charity [tʃǽrəti] : 「慈善、思いやり、心配り、心遣い」
  • way [wéi] : 「方法、やり方、手段、方途、様式」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜を理解する、〜を把握する」
  • perfection [pərfékʃən] : 「完全、完璧、完成」
  • another [ənʌ́ðər] : 「もう一つ、もう一人」
  • even if : 「たとえ〜でも」
❖ "This is because ~ "「このことはヒーリングが思いやりの気持ちに基礎を置いているからである」。ヒーリングは、自分も含め他者を幻想から守る手段であるから、他者への思いやりの気持ちを基礎に置いている。"and charity is ~ "「思いやりの気持ちとは、たとえ自分自身の中に完全性が見つからなくても、相手の完全性を知覚する手段である」。幻想の中で我々は、罪の意識を無意識の奥底に隠し持ち、自分自身が完全性からほど遠いものと錯覚しているが、真のヴィジョンから見れば、自分も他者もすべて神の子として完全である。ヒーリングは幻想から守る手段だと言ったが、むしろ、自己の完全性に目覚めさせる手段だと考えていい。



Most of the loftier concepts of which you are capable now are time-dependent.
  • lofty lɔ́fti] : 「高位の、高貴な、気高い、高尚な、崇高な」
  • concept [kɑ́nsept] : 「概念、観念、コンセプト、考え方、構想」
  • capable [kéipəbl] : 「能力がある、有能な、自分でできる」
  • dependent [dipéndənt] : 「依存性の、〜次第の、〜に左右される」
❖ "Most of the loftier ~ "「今あなたが持ち得るより高尚な概念のほとんどは時間に依存したものである」。この幻想の世界で我々は高級な概念から低級な概念までいろいろな概念を持ち合わせているが、その中のより高級な概念さえ、時間依存の概念であって、永遠の概念からはほど遠い。
ところで、時間依存の概念とはどういうことか? 釈迦はこの世が変化に基づいていること、すなわち無常であることを悟った。この無常が時間依存である。時間があるから変化し、無常なのだ。たとえば、この世の高尚な概念としての愛でさえ、時間に依存し、常に変化し、そして衰える。時間依存の概念なのだ。しかし、無時間の実相世界にあっては、たとえば神の愛は決して変化しない。時間依存のない至上の愛であり、永遠不変の愛である。



Charity is really a weaker reflection of a much more powerful love-encompassment that is far beyond any form of charity you can conceive of as yet.
  • really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」 
  • weak [wíːk] : 「弱い、劣っている、力がない、脆弱な」
  • reflection [riflékʃən] : 「反射、影、反映、反射光、反響」
  • powerful [páuərfəl] : 「強い、強力な、力強い、迫力のある」
  • encompassment [inkʌ́mpəsiŋ] : 「包み込むこと」
  • far [fάːr] : 「はるかに、大いに、ずっと」
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、現れ、姿、体つき」
  • conceive [kənsíːv] of :「〜を考え出す、〜を想像する、〜を心に描く」
  • as yet : 「今のところは」
❖ "Charity is really ~ "「思いやりの気持ちでさえ、実際は、今あながた心に抱ける思いやりのいかなる形をもはるかに越えた、ずっと力強い、すべてを包み込んでくれる愛の弱々しい反映に過ぎない」。すべてを包み込んでくれる愛とは、時間依存の無常を超越した永遠不変の愛、ホーリー・スピリットの愛、神の愛のこと。神が"all-encompassing"「すべてを包み込むもの」であることを思い出せばいい。この幻想世界であなたが心に抱く思いやりも気持ちは、実相世界のすべてを包み込む神の愛に比べたら、弱々しい反映のようなものだ。しかし、もちろん、あなたの思いやりの気持ちが無益だなどとは言っているわけではない。



Charity is essential to right-mindedness in the limited sense in which it can now be attained.
  • essential [isénʃəl] : 「必須の、最も重要な、肝心な、本質の、本質的な」
  • right-mindedness [máindidnis] : 「正しい考えをもっていること」
  • limit [límit] : 「限定する、制限する」
  • sense [séns] : 「感覚、知覚、感触、感じ、意味、意義」
  • attain [ətéin] : 「達成する、実現する、手に入れる、獲得する」
❖ "Charity is essential ~ "「思いやりの気持ちは、限られた意味において、正しい心にとって必須であり、その正しい心の中で、今は思いやりの気持ちが得られるのだ」。"in the limited sense"「限られた意味において」とは、本来なら実相的な永遠不変の慈悲が望ましいのだが、この幻想世界の時間依存し空間においては、慈悲の弱々しい反映である思いやりも気持ちに制限される、といった意味合い。しかし、それであっても、思いやりの気持ちは、ホーリー・スピリットの思考システムに則った正しい心が生み出している愛なのだ。逆に、正しい心には、思いやりの気持ちは必須である。つまり、思いやりの気持ちのない正しい心などあり得ない。
 
 
 


T-2.V.6:1 ~ T-2.V.7:8

6. It should be emphasized again that the body does not learn any more than it creates.
  • emphasize [émfəsàiz] : 「〜を強調する、重視する、力説する」
  • again [əɡéin] : 「再び、かさねて、この場合もやはり」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜であると分かる、〜を覚える、知る」
  • not A any more than B : 「AでないのはBでないのと同じ、Bでないのと同様にAでない」
  • create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
❖ "It should be ~ "「that以下は再び強調されてしかるべきだ」。"that the body does not ~ "「肉体が学ばないのは、肉体が創造しないのと同じである」ということは再び強調されてしかるべきだ。簡単に言えば、肉体は学びもしなければ創造もしない、ということ。肉体は学びのための補助装置であって、学ぶ本体ではない。
しかし、ここで当然、肉体はりっぱに創造するではないか、という反論が出るに違いない。たとえば、バレエは肉体の芸術であって、芸術は創造そのものであると。しかし、これが、ACIMの言う"level confusion"「レベルの混乱」を生み出す要因である。心のレベルから見れば肉体は幻想であるから、肉体を使うバレエは夢の中のパフォーマンスであり、その意味では幻想である。肉体レベルのバレエは真の創造ではない。しかし、バレエによって表現されたものが、肉体という範疇を越えたとき、つまり、心のレベルに昇華されたとき、バレエは真の芸術として実相的な創造となるのだ。
バレエに限らず、あらゆる芸術は肉体のレベルを超越して心のレベルに到達しない限り単なる幻想であり、いわゆる疑似芸術に過ぎない。その意味で、真の芸術は神へ至る崇高な道程だと言えるかもしれない。



As a learning device it merely follows the learner, but if it is falsely endowed with self-initiative, it becomes a serious obstruction to the very learning it should facilitate.
  • learning device [diváis] : 「学びの装置、学びのための道具」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • follow [fάlou] : 「〜の後について行く、〜に従う、追随する」
  • learner [lə́ːrnər] : 「学習者、初学者」
  • falsely [fɔ́ːlsli] : 「偽って、不誠実に、不当に」
  • endow [endáu] : 「授ける、与える」
  • self-initiative[iníʃiətiv] : 「自主性、自己先導」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • serious [síəriəs] : 「重大な、重篤な、真面目な、厳粛な」
  • obstruction [əbstrʌ́kən] : 「障害(物)、妨害(物)、邪魔」
  • facilitate [fəsílətèit] : 「容易にする、手助けする、促進する」
❖ "As a learning ~ "「学びのための補助装置として、肉体は学ぶ者に従う」。"but if it is ~ "「しかし、肉体が誤って自主性を与えられたら、それは、まさに肉体が手助けすべき学びにとっての深刻な障害となる」。幻想の肉体が実在だと信じて、心がそれに付き従うというレベル・コンフュージョンを諌(いさ)めているわけだ。主客転倒はいけない。
健全な肉体に健全な精神が宿るという肉体至上主義的な発想は危険過ぎる。これが正しいなら、病や障害をもった肉体的な弱者はすべて精神的な弱者になってしまうではないか。
あくまでも、実在の心が主導しなくてはいけない。幻想の肉体は心の学びの補助装置であって、命の主体ではない。肉体が心の制御を無視して暴走してはいけないのだ。深刻な障害(serious obstruction)が発生する。



Only the mind is capable of illumination. Spirit is already illuminated and the body in itself is too dense.
  • be capable [kéipəbl] of : 「〜ができる」
  • illumination [ilùːmənéiʃən] : 「照明、明るくすること」
  • spirit [spírit] : 「霊、魂、霊魂、精霊、精神、気分、気迫」
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
  • illuminate [ilúːmənèit] : 「明るくする、〜に光を当てる、〜を明らかにする」
  • in itself : 「それ自体では、本質的に」
  • dense [déns] : 「濃密な、密度の高い、濃い」
❖ "Only the mind ~ "「心のみが光り輝くことが出来る」。肉体ではなく心が真の創造を行うことが出来、命として光り輝くことが出来る。"Spirit is already ~ "「スピリットはすでに光り輝いているが、肉体自体は密度が濃過ぎて輝くことは出来ない」。エゴの支配から解放され、肉体を脱した心がスピリットである。このスピリットが実相的な命の光を放つ。
実相世界は純粋な想念の世界であり、時間も空間も存在しない。したがって、時空間に依存した電磁波としての、この世界の光は存在出来ない。つまり、実相世界には振動するエネルギー体は存在しないのだ。しかし、実相を説明するには、比喩的に振動数という概念を用いれば理解が深まる。たとえば、気体としての水蒸気は水分子が激しく振動しており、その振動数が減衰してくると、液体の水になる。さらに水分子が振動数を減らすと、氷という個体に層転換する。密度が濃くなるのだ(dense)。これと同じように、比喩として、想念の振動数を考えればいい。非常に振動数の高い想念が真の心であるスピリットであり(いわゆる水分子の気体状態)、この高振動が光を発する。スピリットが振動数を減衰させると一般的な心となり(いわゆる液体状態)、その心がさらに振動数を減らすと密度が高くなって肉体になる(いわゆる固体状態)。もはや光を発する振動数をもつことは出来ない。
ACIMは、心が肉体という幻想から目覚める過程で、『光のエピソード』に遭遇すると言う。物理科学では説明出来ない光を見たり光を発したりすると言う。俗に言うオーラという光現象と関連があるのかどうかはわからない。しかし、関連性は不明ではあるが、もしオーラが存在するとしたなら、オーラは肉体から発するととらえるべきではなく、スピリットがオーラという光を発しているととらえるべきだろう。



The mind, however, can bring its illumination to the body by recognizing that it is not the learner, and is therefore un-amenable to learning.
  • however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす」
  • recognize [rékəɡnàiz] : 「〜を認識する、認める、受け入れる」
  • therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • un-amenable [əmíːnəbl]: 「素直に従わない、手に負えない、扱いにくい」
❖ "The mind, however ~ "「しかし、心は、that以下を認識することで肉体に光をもたらすことが出来る」。"that it is not ~ "「肉体は学ぶ者ではなく、したがって学びにとっては扱いにくいものだ」と認識することで、肉体に光をもたらすことが出来る。肉体は学びのための補助装置なのだが、それを認識しないと、肉体は単に学びの邪魔になってしまう。その点をしっかり認識すれば、肉体を学びの補助装置として有意義に利用することが出来、したがって、肉体の存在価値に光を当てることが出来るわけだ。
肉体が学びのための補助装置であることを説明しよう。肉体に代表されるようなこの世界の存在の後ろには、神の意思が隠されている。その存在が幻想であることを見抜いて、実相に目覚めて欲しいという神の願いがある。神のそういう意思を感じ取って、肉体が幻想であることを認識し、幻想として赦してしまうのである。こうして肉体は消滅し、実相が目の前に立ち現れる。学びとは、実相に回帰する学びのことであり、肉体の幻想性を消滅させることでそれを達成するのだ。したがって、肉体は学びのための補助的な装置というわけである。そこで、幻想に過ぎない肉体は自ら実相の光を放って光り輝くことは出来ないが、心の光で、すなわち神の意思という光でその肉体を満たすことは出来るのである。



The body is, however, easily brought into alignment with a mind that has learned to look beyond it toward the light.
  • easily [íːzili] : 「気楽に、安易に、簡単に、楽に」
  • brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
  • alignment [əláinmənt] : 「位置合わせ、整列、配置、配列」
  • into alignment with : 「〜と1列に並んで」
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて」
  • toward [təwɔ́ːd] : 「〜の方へ、〜に向かって」
  • light [láit] : 「光、光源、ライト、明かり」
❖ 肉体は学びのための補助装置に過ぎないとは言え、"The body is, however ~ "「しかし、肉体は容易に、肉体を越えて光を見ることを学んだ心と並列させることが出来る」。肉体を心と並列させるとは、肉体を心とシンクロさせること、同調させること。実相的な光を受けた肉体は心と同調する。スピリットは肉体を単なる肉の塊(かたまり)とは見ない。肉体を透過して、光を受けて輝く肉体の、その光を見るのだ。



7. Corrective learning always begins with the awakening of spirit, and the turning away from the belief in physical sight.
  • corrective [kəréktiv] : 「訂正の、修正の」
  • learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • always [ɔ́ːlweiz] : 「いつも、以前からずっと、常にいつでも」
  • begin with : 「〜から始める」
  • awaken [əwéikn] : 「目を覚まさせる、目覚める、呼び起こす」
  • spirit [spírit] : 「霊、魂、霊魂、精霊、精神、気分、気迫」
  • turn away from : 「〜から目を背ける、〜から目を離す」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • physical [fízikl] : 「物質の、物質的な、身体の、肉体の」
  • sight [sáit] : 「視界、景色、見解、視覚、視力」
❖ "Corrective learning ~ "「修正にかかわる学びは、常に、スピリットに目覚め、肉体的な視覚で見ることを止めることから始まる」。ACIMのWorkbookを見るとわかるのだが、レッスンは知覚の修正から始まる。肉体的な視覚は、圧倒的にリアルなこの世界を実在だと知覚するのだが、それは誤りであり、知覚を修正し、真実を正しく見抜くヴィジョンを獲得することを目指す。



This often entails fear, because you are afraid of what your spiritual sight will show you.
  • often [ɔ́fən] : 「しばしば、たびたび、ちょくちょく」
  • entail [entéil] : 「〜を伴う、必要とする、引き起こす」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」
  • be afraid of : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
  • spiritual [spíritʃuəl] : 「精神の、霊的な、崇高な、精神的な」
  • show [ʃóu] : 「示す、表す、表示する」
❖ "This often entails ~ "「これはしばしば恐れを伴う」。"because you are ~ "「なぜなら、あなたは、あなたのスピリチュアルな視覚があなたに見せるものを恐れるからだ」。前文に引き続き、エゴの思考システムからホーリー・スピリットの思考システムに移行する際の人々の戸惑い、恐れについて述べている。下手に真実を知ってしまうより、幻想の中で無知のまま生活していった方が安全だと思うのだ。たとえば、それまでの物質至上主義から精神主義的な生活に移行すれば、金銭や食物に対する欲望(物欲)が確実に減少し、生活はどんどん質素に、簡素になっていく。こんな少ないお金で本当に生活出来るだろうかとか、高価なおしゃれをしなくなった自分を周りの者はどう思うだろうかと、いろいろ心配してしまうのである。
"spiritual sight"「スピリチュアルな視覚」とは、形あるものを見る力ではない。形あるものの根底にある心性、霊性、すなわち真実を見抜く視力である。したがって、形あるものは単なる象徴であり、偶像で、幻想であると認識する力なのだ。



I said before that the Holy Spirit cannot see error, and is capable only of looking beyond it to the defense of Atonement.
  • error [érər] : 「誤り、間違い」
  • be capable [kéipəbl] of : 「〜ができる」
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて」
  • defense [diféns] : 「防衛、防御」
❖ "I said before ~ "「私は、前にもthat以下を言った」。"that the Holy Spirit ~ "「ホーリー・スピリットは、誤りを(実在として)見ることはせず、贖罪を守るために、その誤りを越えて見ることが出来るだけだ」。エゴは誤りを探し出し、誤りを我々に見せつけて罪の意識を増大させ、罰への恐れを抱かせる。しかし、ホーリー・スピリットは我々の誤りのあら探しはしない。我々が幻想を赦して幻想を消滅させるという贖罪を果たせるように、誤りの幻想性を利用するのだ。



There is no doubt that this may produce discomfort, yet the discomfort is not the final outcome of the perception.
  • doubt [dáut] : 「疑い、疑念、疑惑 」
  • produce [prədjúːs] : 「〜を作り出す、生産する、産む」
  • discomfort [diskʌ́mfərt] : 「不快感、不快症状、戸惑い、不安感」
  • final [fáinl] : 「最後の、最終の、決定的な」
  • outcome [áutkʌ̀m] : 「結果、結末、成果、所産」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識」
❖ "There is no ~ "「that以下は疑いない」。"that this may produce ~ "「このことは不快を生み出すかも知れない」ということは疑いない。"yet the discomfort is ~ "「しかし、不快さは知覚の最終結果ではない」。罪を罰せられた方が、罪が帳消しにされて不快さは残らないと人は思うのである。罪を幻想と認めて赦し、罪が消滅するのを待つ方が不安なのだ。贖罪に不快感を抱く。しかし、それは初めだけであって、知覚が修正されヴィジョンに生まれ変わった最終結果は不快ではなく、恐れも消え、クリアーな視野が広がって爽快そのものである。



When the Holy Spirit is permitted to look upon the defilement of the altar, he also looks immediately toward the Atonement.
  • permit [pərmít] : 「許可する、許す、認める、容認する」
  • look upon : 「〜を見る」
  • defilement [difáilmənt] : 「汚すこと」
  • altar [ɔ́ːltər] : 「祭壇、聖餐台」
  • immediately [imíːdiətli] : 「すぐに、直ちに、早急に、即座に」
❖ "When the Holy Spirit ~ "「ホーリー・スピリットが汚された祭壇を見ることを許可されたとき、ホーリー・スピリットはすぐに贖罪の方を振り返る」。心の最も純粋で神聖な部分に神の祭壇が祭られている。しかし、神の子はその存在さえ忘れ去って、神の祭壇は荒れ放題に荒れている。しかし、あなたがエゴを捨て、ホーリー・スピリットに身を委ねる決心をしたとき、すなわち、神への回帰をホーリー・スピリットに願ったとき、ホーリー・スピリットはあなたから神の祭壇の修復を許可されるのだ。その修復とは、あなたの罪の意識を消滅させることであり、すなわち贖罪である。ホーリー・スピリットはすぐに贖罪の準備にとりかかるのだ。



Nothing he perceives can induce fear. Everything that results from spiritual awareness is merely channelized toward correction.
  • induce [indjúːs] : 「〜を生じさせる、引き起こす、誘導する、誘発する」
  • result [rizʌ́lt] : 「生じる、起こる」
  • spiritual [spíritʃuəl] : 「精神の、霊的な、崇高な、精神的な」
  • awareness [əwéərnəs] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性 」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • channelize [tʃǽnəlàiz] = channel [tʃǽnl] : 「道を開く、〜を導く 」
  • toward [təwɔ́ːd] : 「〜の方へ、〜に向かって」
  • correction [kərékʃən] : 「訂正、矯正、修正、是正」
❖ "Nothing he perceives ~ "「ホーリー・スピリットが知覚するものが恐れを生み出す可能性はない」。恐れという悪夢から我々を目覚めさせてくれるのがホーリー・スピリットの役割であり、恐れを抱かせるようなことは決してしない。恐れを利用して我々を支配しようとするのがエゴである。"Everything that results ~ "「スピリチュアルな意思性から生じるものはすべては、ただ単に修正へと導かれる」。ホーリー・スピリットが知覚するものが、スピリチュアルな意識性から生じるものである。つまり、スピリットがヴィジョンをもって自覚的に知覚するものは、もしそれが誤りであったら、決して放棄されることはなく、必ず、修正されることになる。だから、恐れることはないのだ。誤りは取り消しにされるのだから。



Discomfort is aroused only to bring the need for correction into awareness.
  • discomfort [diskʌ́mfərt] : 「不快感、不快症状、戸惑い、不安感」
  • arouse [əráuz] : 「誘発する、喚起する」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす」
  • need [níːd] : 「必要、必要性」
❖ "Discomfort is aroused ~ "「不快さは、修正の必要性を意思の中に持ち込むために、生じるだけである」。罪や誤りは正さなくてはいけないと意識的に思うことで、恐れや不安や不快さが生じている。ACIMの言う修正は、罪や誤りを正すのではなく、赦して消滅させることである。それが贖罪であって、不快を感じる種類のものではない。恐れや不安を消滅させるものだからだ。
 
 
 

T-2.V.4:1 ~ T-2.V.5:6

4. The healer who relies on his own readiness is endangering his understanding. 
  • healer [híːlər] : 「治療する人、治療者」
  • rely [rilái] : 「頼る、当てにする」
  • readiness [rédinəs] : 「用意ができていること、準備ができていること」
  • endanger [endéindʒər] : 「〜を危険にさらす、危うくする」
  • understanding [ʌ̀ndərstǽndiŋ] : 「理解、把握」
❖ "The healer who ~ "「自分自身は(治療する)用意が出来ているのだと、それを頼りにするヒーラーは自身の(ヒーリングに対する)理解を危険にさらす」。自分には病を治す力があるのだと独断するようなヒーラーは、奇跡やヒーリングに対する理解、認識を誤る可能性がある。奇跡は単独の行為ではない。もっと正確に言うと、幻想世界で夢を見ている我々が単独で行えるものではない。そこには必ず、、我々を助けてくれるホーリー・スピリット(Holy Spirit)が常に介在しているのだ。自分が奇跡を行うことが出来るようになったとか、ヒーリングが出来るようになったと自己判断し、自分の力のみので奇跡、ヒーリングが行えると過信してしまえば、それはとりもなおさず慢心につながる。判断を誤る原因になるのだ。



You are perfectly safe as long as you are completely unconcerned about your readiness, but maintain a consistent trust in mine.
  • perfectly [pə́ːrfiktli] : 「完全に、完璧に、すっかり、全く」
  • safe [séif] : 「安全な、無事な、まず間違いない」
  • as long as : 「〜さえすれば、〜する限り」
  • completely [kəmplíːtli] : 「完全に、十分に、全面的に、全く」
  • unconcerned [ʌnkənsə́ːrnd] : 「むとんちゃくな、心配しない、無関心な」
  • be unconcerned about : 「〜に無神経である」
  • maintain [meintéin] : 「 〜を保持する、維持する、保つ、堅持する」
  • consistent [kənsístənt] : 「一貫性のある、首尾一貫した、矛盾しない」
  • trust [trʌ́st] : 「信頼、信任、信用」
  • mine [máin] : 「私のもの」
❖ "You are perfectly ~ "「あなたが、自分は奇跡を行う準備が整ったかどうかに完全に無関心であり、しかも、私(イエス)に対して一貫した信頼を保持している限り、あなたは絶対間違いない」。イエス・キリストは純粋なスピリットとして存在しているので、ホーリー・スピリットと一体である。自分に奇跡を行う力があるかどうかなどということに無関心で、ホーリー・スピリットとしてのイエスを信頼して奇跡(ヒーリング)を行う限り、必ずそれは成功する。
"mine"は"my readiness"のこと。イエスはホーリー・スピリットとして奇跡を行える状態にあり、同時に奇跡を行う人々を助ける力がある。そのホーリー・スピリットとしてのイエスを信頼し、信頼を維持し、自分は一人で奇跡を行うことが出来るなどと慢心になることを避け、奇跡に対して虚心坦懐になることが肝要である。



If your miracle working inclinations are not functioning properly, it is always because fear has intruded on your right-mindedness and has turned it upside down.
  • inclination [ìnklənéiʃən] : 「傾斜、傾き、〜したい気持ち、意向、好み」
  • function [fʌ́ŋkʃən] : 「 働く、機能する」
  • properly [prάpərli] : 「適切に、ちゃんと、正確に、正しく、厳密に」
  • always [ɔ́ːlweiz] : 「いつも、以前からずっと、常にいつでも」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」
  • intrude [intrúːd] : 「侵入する、入り込む、立ち入る」
  • turn [tə́ːrn] : 「〜の方向を変える」
  • upside down : 「逆さまに」
❖ "If your miracle ~ "「もし、あなたの奇跡を行いたいという気持ちが正しく機能していなかったら、」"it is always ~ "「それは、常に、恐れがあなたの正しき心に侵入して、心を上下逆転させるからである」。たとえば、誰かを奇跡で呪い殺してやりたいなどと、あなたの気持ちが正しく機能していなかったら、それは、他者に対する恐れがあなたの心に侵入してあなたの心を狂わせ、実相と幻想を逆転させた結果なのだ。呪い殺すなどいう奇跡は幻想であり、本当の奇跡は真実の現実化だからである。いわゆる、実相と幻想のレベル・コンフュージョンを起こしているのだ。



All forms of not-right-mindedness are the result of refusal to the Atonement for yourself.
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、現れ、姿、体つき」
  • result [rizʌ́lt] : 「結果、結末、成り行き 」
  • refusal [rifjúːzl] : 「拒絶、拒否」
  • atonement [ətóunmənt] : 「償い、贖罪」
❖ "All forms of ~ "「正しからざる心のすべての形は、」誤った心がどんな形をとって表われても、"are the result of refusal ~ "「それは、あなたにとっての贖罪を拒否している結果である」。「贖罪を拒否する」とは、幻想を幻想と認識して赦し、幻想を消滅させることを拒否する、ということ。つまり、真実を見ることを拒否して、幻想に生きようとすることである。その結果、あなたの心は幻想に支配され、エゴの思考システムの完全な奴隷となる。これが、正しからざる心である。



If you do accept it, you are in a position to recognize that those who need healing are simply those who have not realized that right-mindedness is healing.
  • accept [əksépt] : 「受け入れる、容認する」
  • position [pəzíʃən] : 「立場、位置、地位、身分」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「 〜を認める、認識する、認知する」
  • those who : 「〜する人々 」
  • need [níːd] : 「〜を必要とする、〜する必要がある」
  • healing [híːliŋ] : 「癒やし、治療、治癒、回復」
  • simply [símpli] : 「簡単に、ありのままに、あっさりと」
  • realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する」
❖ "If you do accept ~ "「あなたが贖罪を受け入れるなら、あなたはthat以下を認識する位置にあると言える」。"that those who ~ "「ヒーリングが必要な人たちは、単に、正しき心がヒーリングそのものだということに気が付いていない人たちのことである」と認識する位置にあると言える。『正しき心』『悪しき心』と言ってはいるが、善悪を判断評価しているのではない。実相的心と幻想的心を言っているのだ。ホーリー・スピリットの思考システムを取り入れた心と、エゴの思考システムを取り入れた心のことである。したがって、ヒーリングとは、幻想的な心からエゴの思考システムを駆逐して、ホーリー・スピリットの思考システムを回復し、実相的な心に修復する作業のことなのである。



5. The sole responsibility of the miracle worker is to accept the Atonement for himself. 
  • sole [sóul] : 「 唯一の、独占的な、たった一つの、単独の」
  • responsibility [rispɑ̀nsəbíləti] : 「責任、義務、責務」
  • accept [æksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
❖ "The sole responsibility ~ "「奇跡を行う者の唯一の責任は、自分に対する贖罪を受け入れることである」。贖罪とは、幻想を幻想として認識し、受け入れ、赦して消滅させることである。つまり、夢から目覚めることだ。目覚めないことには、真実を現実化させる奇跡は起こせない。奇跡を行う者は、したがって、幻想から目覚めるという贖罪を受け入れる責任があるのだ。



This means you recognize that mind is the only creative level, and that its errors are healed by the Atonement. Once you accept this, your mind can only heal. 
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
  • creative [kriéitiv] : 「創造力のある、創造的な、独創的な」
  • level [lévəl] : 「地位、階級、段階、レベル、高さ、高度、深さ」
  • error [érər] : 「誤り、間違い」
  • heal [híːl] : 「癒やす、救う、治す、治癒する、治療する」
❖ "This means you ~ "「このことは、あなたがthat以下を認識していることを意味する」。"that mind is ~ "「心は唯一の創造レベルであり、心の誤りは贖罪によって癒される」と認識していることを意味する。"Once you accept ~ "「あなたがひとたびこれを受け入れれば、あなたの心は癒すことのみ可能なのだ」。"creative level"「創造的レベル」とは、真実を具現化する実相的なレベルという意味合い。心は、神の拡張性、すなわち創造性の延長線上に存在するのだから、心が唯一の創造レベルであることになる。肉体は幻想であり、どんなに創造性が豊かに見えても、それは幻想の中の見せ掛けの創造である。そんな見せ掛けの創造性に満足している心をヒーリングして、本当の創造性に目覚めさせるのは、これまた心であって、これが正しい心の役割なのである。



By denying your mind any destructive potential and reinstating its purely constructive powers, you place yourself in a position to undo the level confusion of others.
  • deny A B : 「AにBを与えない」
  • destructive [distrʌ́ktiv] : 「破壊的な、破壊主義的な」
  • potential [pəténʃəl] :「可能性、見込み、潜在性、潜在力」
  • reinstate [rìːinstéit] : 「〜を元に戻す、回復する、復帰させる 」
  • purely [pjúərli] : 「純粋に、単に、きれいに」
  • constructive [kənstrʌ́ktiv] : 「建設的な、積極的な、発展的な 」
  • power [páuər] : 「力、能力、勢力、権限、権威」
  • undo [ʌndú] : 「元どおりにする、取り消す」
  • confusion [kənfjúːʒən] : 「混乱状態、混乱、錯乱状態」
❖ "By denying your ~ "「あなたの心に破壊的な潜在能力を与えず、純粋に建設的な力を回復することによって、あなたは他者のレベル感覚の混乱を取り消せる位置にあなた自身を置くことになる」。硬い表現だが、要するに、心が破壊的でなく建設的であれば、他者のレベル・コンフュージョンを取り消せるということ。レベル・コンフュージョンとは、この幻想世界が実在で、実相世界が非現実の空想世界だと信じていること。あるいは、肉体が実在し、肉体が心を生み出していると勘違いしていること。幻想レベルと実相レベルの混乱である。



The message you then give to them is the truth that their minds are similarly constructive, and their miscreations cannot hurt them.
  • message [mésidʒ] : 「伝言、メッセージ」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理」
  • similarly [símələrli] : 「同様に、類似して、同じように」
  • miscreation [kriéiʃən] : 「誤った創造」
  • hurt [hə́ːrt] : 「〜を傷つける」
❖ "The message you ~ "「彼らに与えるメッセージは、that以下という真実である」。"that their minds ~ "「彼らの心も同様に建設的であり、誤った創造が彼らを傷つける可能性はない」という真実である。これが他者に伝われば、すなわち、他者はヒーリングされるわけだ。"constructive"「建設的」とは、創造的、実相的ということ。"miscreation"「誤った創造」とは、幻想を夢見ていること。



By affirming this you release the mind from over evaluating its own learning device, and restore the mind to its true position as the learner.
  • affirm [əfə́ːrm] : 「断言する、肯定する、確約する 」
  • release [rilíːs] : 「〜を解放する、自由にする、放つ」
  • evaluate [ivǽljuèit] : 「〜の値を求める、〜を評価する」
  • learning device [diváis] : 「学びの装置、学びのための道具」
  • restore [ristɔ́ːr] : 「〜を元の状態に戻す、元に戻す、回復させる、修復する」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
  • learner : 「学習者、初学者、学ぶ者」
❖ "By affirming this ~ "「このことを肯定的に断言することで、あなたは、心自体の学びの補助装置を過大評価することから心を解放する」。"its own learning device"「心自体の学びの補助装置」とは、心が真実を学ぶために利用する幻想としての肉体のこと。肉体を過大評価するとは、肉体こそが実在だと信じること。そんなレベル・コンフュージョンから、前文のアファメーションは心を解放してくれるのだ。"and restore the mind ~ "「そして、心を、学ぶ者としての正しい位置に戻す」。幻想に惑わされているからこそ、心は真実を学ぶ必要がある。真実に目覚める必要があるのだ。そういう学びのスタート地点に、アファメーションは心を戻してくれる。
 
 
 


T-2.V.2:1 ~ T-2.V.3:5

2. Magic is the mindless or the miscreative use of mind. Physical medications are forms of "spells," but if you are afraid to use the mind to heal, you should not attempt to do so.
  • mindless [máindlis] : 「愚かな、思慮のない 」
  • miscreative [miskriéitiv] : 「誤った創造の」
  • physical [fízikl] : 「身体の、肉体の、身体的な、物理学の」
  • medication [mèdəkéiʃən] : 「薬剤、医薬品、薬物療法」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、現れ、姿、体つき」
  • spell [spél] : 「呪文、魔法」
  • afraid [əfréid] : 「恐れて、心配して、怖がって」
  • be afraid of : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
  • use [juːz] : 「使う、利用する、生かす、働かせる」
  • heal [híːl] : 「癒やす、救う、治す、治癒する、治療する」
  • attempt [ətémpt] : 「試みる、企てる」
❖ "Magic is the mindless ~ "「魔術は、愚かなこと、あるいは心のもっている創造力を誤って使うことである」。"Physical medications ~ "「物理的な療法は呪文の一形態である」。"but if you are ~ "「しかし、心をヒーリングのために使うことを恐れているのなら、」"you should not ~ "「あなたは、そうすること(心のヒーリング)を試すべきではない」。奇跡もヒーリングも、恐れのない心でなされねばならない。恐れを取り除くとこ、これが第一歩である。"physical medications"は一般的な現代医療のことで、心に恐れを抱いているうちは、暫定的な手段としてこれを利用すべきである。恐れが軽減したなら、次に心のヒーリングを考えればいい。



The very fact that you are afraid makes your mind vulnerable to miscreation.
  • very [véri] : 「まさに、まさしく」
  • fact [fǽkt] : 「事実、真相、現実、実際」
  • make [méik] : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • vulnerable [vʌ́lnərəbl] : 「弱い、脆弱な、傷つきやすい、攻撃されやすい」
❖ "The very fact that ~ " thatは接続詞、「あなたが恐れている、まさにその事実があなたの心を誤った創造に対して脆弱にしている」。心が誤った創造をしてしまうのは、つまり幻想を作り出してしまうのは、あなたの恐れである。恐れが心をひるませ、歪めてしまう。そこに誤創造が忍び込み、たとえば病気を形成してしまうのだ。"vulnerable to miscreation"「誤った創造に対する脆弱性」とは、誤創造を容易に許してしまう心の盲目性、ということ。



You are therefore likely to misunderstand any healing that might occur, and because egocentricity and fear usually occur together, you may be unable to accept the real Source of the healing.
  • therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • be likely to : 「〜しそうである」
  • misunderstand [mìsʌ̀ndərstǽnd] : 「誤解する、取り違える」
  • healing [híːliŋ] : 「癒やし、治療、治癒、回復」
  • occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
  • egocentricity [ìːɡouséntrik] : 「自己中心性、自己中心主義者、自分本位の人」
  • usually [júːʒuəli] : 「普段は、通常、通例、いつもは、大抵」
  • together [təɡéðər] : 「一緒に、共に、同時に」
  • unable [ʌnéibl] : 「できない」
  • be unable to : 「〜することができない」
  • accept [əksépt] : 「認める、容認する、受け入れる」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • source [sɔ́ːrs] : 「もと、源、起源」
❖ "You are therefore likely ~ "「それゆえ、あなたは、どんなヒーリングが起きても、それを誤って理解しがちになる」。ヒーリングの真の原理が理解出来ないのだ。"and because egocentricity ~ "「そして、エゴ中心性と恐れとは普通一緒に起こるので、」" you may be ~ "「ヒーリングの真の源を受け入れることが出来なくなるかもしれない」。"egocentricity"「エゴ中心性」とは、「エゴの支配」、「エゴの思考システム」ととらえればいい。"ego"は"Holy Spirit"の対立概念で、我々の関心を幻想に縛りつけようとする。したがって「エゴ中心性と恐れとは普通一緒に起こる」とは、恐れを抱けばますます幻想にのめり込んで攻撃性が増していき、心を歪め、さらなる幻想を生み出していく、ということ。エゴは恐れも攻撃性も外部に投影して、それがあたかも真に存在するかのように見せる。我々の目はますます真実を見ることが出来なくなり、ヒーリングの真の源(the real Source)、すなわち心、ホーリー・スピリット、神の存在を受け入れ難くしてしまうのだ。



Under these conditions, it is safer for you to rely temporarily on physical healing devices, because you cannot misperceive them as your own creations.
  • under [ʌ́ndər] : 「下に、下の方に」
  • condition [kəndíʃən] : 「事情、条件、状態、状況、様子」
  • safe [séif] : 「安全な、無事な、まず間違いない」
  • rely [rilái] : 「頼る、当てにする」
  • temporarily [tèmpərérəli] : 「一時的に、仮に、当座のところ」
  • physical [fízikl] : 「身体の、肉体の、身体的な、物理学の、物理学上の」
  • healing [híːliŋ] : 「癒しの、治療の」
  • device [diváis] : 「装置、道具、手段」
  • misperceive [mispərsíːv] : 「誤った知覚をする、誤解する」
  • creation [kriéiʃən]: 「創造、創作、創作物、作品」
❖ "Under these conditions ~ "「このような状況下では、あなたにとって物理的な治療法に一時的に頼る方が安全である」。"because you cannot ~ "「なぜなら、物理的な治療法を自分が創造したものだと誤って知覚する可能性はないからだ」。物理的な治療法は自分が生み出す奇跡(ヒーリング)ではないと知覚するので、奇跡に対する恐れが生じることはない。恐れが生じないから、容易に受け入れることが出来るのだ。



As long as your sense of vulnerability persists, you should not attempt to perform miracles.
  • as long as : 「〜する限り、〜である限りは、〜する以上は」
  • sense [séns] : 「感覚、意味、良識、分別」
  • vulnerability [vʌ̀lnərəbíləti] : 「脆弱性、傷つきやすいこと」
  • persist [pərsíst] : 「存続する、持続する、しつこく主張する」
  • attempt [ətémpt] : 「試みる、企てる」
  • perform [pərfɔ́ːrm] : 「〜を行う、実行する、遂行する」
❖ "As long as your ~ "「脆弱さの感覚が持続しているうちは、奇跡をなそうとするべきではない」。脆弱さは恐れから生じる。したがって、恐れを抱いているうちは奇跡をなそうとするべきではない。



3. I have already said that miracles are expressions of miracle-mindedness, and miracle-mindedness means right-mindedness.
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
  • expression [ikspréʃən] : 「 表現、表現すること、表示」
  • mindedness [máindidnis] : 「心だて、〜主義」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
  • right [ráit] : 「正しい、正当な、合っている、適切な」
❖ "I have already ~ "「私(イエス)はすでにthat以下を語った」。"that miracles are ~ "「奇跡は、奇跡を求める心の表われであり、奇跡を求める心とは正しさを求める心の表われである」。奇跡は真実の具現化である。真実を求める心に奇跡は起きる。その心は、実相的に正しい心であり、エゴに支配された偽りの心ではない。
"miracle-mindedness"も"right-mindedness"もACIMの造語である。"miracle-mindedness"は、「奇跡を求める心」「奇跡志向の心」「奇跡を受容する心」「奇跡に立脚した心」等々、そのような意味合い。



The right-minded neither exalt nor depreciate the mind of the miracle worker or the miracle receiver. 
  • neither [níːðər] A nor B : 「AでもなくBでもない、AとBのどちらも〜ない」
  • exalt [igzɔ́ːlt] : 「〜を高める、〜を褒める、称賛する、あがめる」
  • depreciate [dipríːʃièit] : 「見くびる、軽視する」
  • miracle worker : 「奇跡の人、奇跡を起こす人」
  • receiver [risíːvər] : 「受取人、受信者」
❖ "The right-minded ~ "「心正しき者は、奇跡を行う者と奇跡を受ける者の心を、称賛もしなければ見くびることもない」。過大評価も過小評価もせず、あるがままを受け入れる。つまり、価値判断しない、ということ。評価し判断を下すのは、エゴに支配された頭脳的理性であって、正しい心はホーリー・スピリットの叡智に評価判断を委ねる。したがって、奇跡を行う者が上に立ち、受ける者が下に立つ、などという差別的な見方は決してしない。



However, as a correction, the miracle need not await the right-mindedness of the receiver. In fact, its purpose is to restore him to his right mind. 
  • however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
  • correction [kərékʃən] : 「訂正、矯正、修正、是正」
  • await [əwéit] : 「〜を待つ、待ち受ける、待望する」
  • in fact: 「実際に、実のところ、それどころか」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い」
  • restore [ristɔ́ːr] : 「〜を元の状態に戻す、元に戻す、回復させる、修復する」
❖ "However, as a correction, ~ "「しかし、心を正すという意味で、奇跡は、奇跡を受ける側の心の正しさを待つ必要ない」。奇跡は心を正してくれるものだから、奇跡を受ける側がすでに心正しき状態でいなくてもいい。その意味では、奇跡を与える側が、受ける側に先行している。"In fact, its purpose ~ "「事実、奇跡の目的は正しい心に修復することである」。奇跡は真実を現実化することであり、心を正しい方向に修正することは真実であるから、奇跡そのものである。



It is essential, however, that the miracle worker be in his right mind, however briefly, or he will be unable to re-establish right-mindedness in someone else.
  • essential [isénʃəl] : 「必須の、最も重要な、肝心な、本質の、本質的な」
  • briefly [bríːfli] : 「簡潔に、ちょっとの間、つまり、短く、簡単に」
  • be unable to : 「〜することができない」
  • establish [istǽbliʃ] : 「確立する、制定する、成立させる」
❖ "It is essential ~" ここは"It is ~ that + 仮定法現在"の典型的な形になっている。"be"の前に"should"を補ってやれば意味が通りやすい。「しかし、奇跡を行う者は心正しい状態でいることが必須であり、しかし、端的に言って、そうでなかったら、他の者の心を正しい状態にすることは出来ないであろう」。心が幻想で曇っている者には、奇跡は行えない。なぜなら、真実を求めないからだ。悪しき心が求めるのは魔術であり、トリックだ。奇跡を与える者と受ける者に上下の差はないが、正しい心に関しては、与える者が受ける者に先行していなければならない。
 
 
 


T-2.V.1:1 ~ T-2.V.1:11

V. The Function of the Miracle Worker
奇跡を行う者の役割



1. Before miracle workers are ready to undertake their function in this world, it is essential that they fully understand the fear of release.
  • before [bifɔ́ːr] : 「以前に、前に、早く、先に」
  • miracle worker : 「奇跡の人、奇跡を起こす人」
  • be ready [rédi] to : 「いつでも〜できる、すぐに〜できる」
  • undertake [ʌ̀ndərtéik] : 「企てる、始める、〜に着手する、〜に取り掛かる」
  • function [fʌ́ŋkʃən] : 「機能、作用、働き、効用、職務、役割」
  • essential [isénʃəl] : 「必須の、最も重要な、肝心な、本質的な」
  • fully [fúlli] : 「十分に、完全に、全く、すっかり、全体に」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、分かる、把握する」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」
  • release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと」
❖ "Before miracle workers ~ "「奇跡を行う者がこの世界における彼らの役割を理解する準備が出来る前に、」"it is essential that ~ "「解放に対する恐れを十分理解することが必須である」。恐れから解放することが奇跡を行う者の役割なのだが、恐れから解放されること自体に対する恐れが存在することを十分に理解しておく必要がある。恐れからの解放がさらなる恐れを生むようでは逆効果なのだ。



Otherwise they may unwittingly foster the belief that release is imprisonment, a belief that is already very prevalent. 
  • otherwise [ʌ́ðərwàiz] : 「さもなければ、そうしないと」
  • unwittingly [ʌ̀nwítiŋli] : 「知らずに、うっかり、無意識に」
  • foster [fɔ́ːstər] : 「〜を育てる、育成する、助成する、助長する」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • imprisonment [impríznmənt] : 「投獄、禁固、監禁」
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
  • prevalent [prévələnt] : 「広く行き渡った、流行した、流行している」
❖ "Otherwise they may ~ "「さもなければ、知らず知らずのうちに、解放は投獄だという信念を育ててしまいかねない」。その信念は、"a belief that ~ "「すでに広く蔓延している信念である」。人は、今いる環境がたとえ十全でなくても、より良い環境へ移行するよりも、その環境の中に止まっていた方が安全だと考える。その意味で、人は保守的である。改革への逡巡は、下手に改革して以前よりも環境が悪化しないかという恐れに起因する。解放に対する恐れも同然で、解放を求めて投獄されるより、奴隷の身分に止まっていた方が安全だと考えるのだ。今まで幻想世界に生きて築いてきた生活のすべてを、真実を知ることで失ってしまうのではないと恐れる。それこそ、地獄に突き落とされたも同然だと信じるのである。ならば、生ぬるい嘘の生活を守って生きた方が無難であると思うのだ。



This misperception arises in turn from the belief that harm can be limited to the body.
  • misperception [mìspərsépʃən] : 「誤解、誤った知覚」
  • arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる、生まれる、発生する」
  • in turn : 「入れ替わりに、立ち代わって、交代で、次々に」
  • harm [hάːrm] : 「害、損害、危害、悪意、被害、痛手」
  • limit [límit] : 「限定する、制限する、制限をかける」
❖ "This misperception arises ~ "「この誤った知覚は、肉体だけが傷つけられ得ると信じることから次々に起こってくる」。正しい知覚は、肉体は決して傷つけられない、という信念を生み出す。なぜなら、肉体は幻想であって、そもそも存在していないのだから、傷つけられ得ないのだ。ところが、肉体は幻想ではなく実在すると誤って知覚してしまうと、肉体が傷つけられるかもしれないという恐れを抱く。恐れは、肉体が実在するという誤った知覚から生じるのである。そして、解放によって、肉体的な犠牲を強いられるのではないかという恐れが生じるのだ。



That is because of the underlying fear that the mind can hurt itself. None of these errors is meaningful, because the miscreations of the mind do not really exist.
  • underlying : 「基礎をなす、内在する、第一の、下に横たわる」
  • hurt [hə́ːrt] : 「〜を傷つける」
  • error [érər] : 「誤り、間違い」
  • meaningful [míːniŋfəl] : 「意味のある、意味深長な、重要な」
  • miscreation [kriéiʃən] : 「誤った創造」
  • really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」 
  • exist [igzíst] : 「存在する、生きている、生存する」
❖ 肉体は実在であって、傷つけられ得るという信念の背景には、"That is because of ~ "「それは、心が心自体を傷つけ得るという恐れが内在しているからである」。ここの"mind"「心」は、いわば『小さな心』であって、幻想に支配された心、エゴに支配された心である。エゴ的心は傷つけられ得ると信じることで、そのエゴ的心が幻想として偽創造した肉体もまた傷つけられ得ると信じてしまう。"None of these ~ "「これらの誤りはどれも意味がない」。"because the miscreations ~ "「なぜなら、(小さな)心による誤った創造は、実際には存在しないからだ」。肉体もエゴの支配も、傷つけられるという思い込みも、それに伴う恐れも、すべて幻想である。夢の中の出来事に過ぎない。夢の中で、あなたがどんなに肉体を傷つけられても、あるいは心がずたずたに引き裂かれても、夢から目覚めれば、あなたは心身ともに無傷であることに気付く。それと同じことである。夢で感じた恐れさえも消え去ってしまう。



This recognition is a far better protective device than any form of level confusion, because it introduces correction at the level of the error.
  • recognition [rèkəɡníʃən] : 「認識、認証、真価を認めること」
  • far [fάːr] : 「はるかに、大いに、ずっと」
  • better [bétər] : 「より良い、より望ましい」
  • protective [prətéktiv] : 「保護する、保護用の、保護の」
  • device [diváis] : 「装置、道具、手段」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、現れ、姿、体つき」
  • level [lévəl] : 「地位、階級、段階、レベル、高さ、高度、深さ」
  • confusion [kənfjúːʒən] : 「混乱状態、混乱、錯乱状態」
  • introduce [ìntrədjúːs] : 「取り入れる、取り込む、導入する、招く」
  • correction [kərékʃən] : 「訂正、矯正、修正、是正」
❖ "This recognition is ~ "「この認識は、どんな形のレベルの混乱よりもはるかに優れた防衛装置である」。この認識とは、心による誤った創造は存在しないから、心は傷つくことはない、という認識。つまり、心が傷つくと思うことは幻想であり誤創造だから、心は決して傷つかないという認識。ここのレベルの混乱とは、肉体レベルと心的レベルの混乱のことで、肉体は実在であるから肉体を暴力から守るには相手の肉体を暴力をもって攻撃するに限る、という誤った認識のこと。そんなレベル・コンフュージョンによる防衛論よりもはるかに優れているのは、肉体も心も傷つき得ないという認識である。この認識を『優れた防衛装置』と表している。"because it introduces ~ "「なぜなら、この認識は、誤りが犯されたレベルにおいて、修正を取り入れるからだ」。誤りが犯されたレベルで、すなわち肉体が実在するという誤りを、直接この認識は修正してくれる。肉体は実在しなから、実相レベルから見れば肉体は傷つかない。誤創造する小さな心は実在しなから、実相レベルから見れば心もまた傷つかないのだ。
本当の心は、つまり『大きな心』は、誤創造しない。したがって、たとえば、病気は心の創造物ではない。心が病気を創造するという誤認識、心の歪みが、幻想としての病気を作り出しているのだ。心が誤認識を捨てて、歪みを正し、心が神の拡張の延長線上に存在することを知れば、心は外部からのあらゆる攻撃に対して、傷を受けることはない。これこそ、攻撃性のない真の防御なのである。
蛇足を一つ言おう。この病んだ世界は神の創造ではない。なぜなら、神は誤創造出来ないからだ。したがって、どんな悲惨な戦争も、どんなにむごい災害も、神にまったく無関係である。神が与えた戒めでも、神が与えた試練でもない。神は、罰も試練も与えない。神は、夢の中の出来事が神の子を傷つけることは出来ないと知っている。



It is essential to remember that only the mind can create, and that correction belongs at the thought level. 
  • essential [isénʃəl] : 「必須の、最も重要な、肝心な、本質の、本質的な」
  • remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
  • create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
  • belong [bilɔ́ːŋ] : 「属する、所属する」
  • thought [θɔ́ːt] : 「思い、考え、思考、思索、思想、見解」
❖ "It is essential to ~ "「心だけが創造出来、そして、修正は思考のレベルに属しているということを思い起こすことは必須である」。ここの心はもちろん大きな心のこと。小さな心がすることは誤創造。その小さな心が犯した誤創造を修正するには、小さな心のレベル、つまり思考レベルにおいてである。前文の"correction at the level of the error"「過ちが犯されたレベルでの修正」を思い出そう。



To amplify an earlier statement, spirit is already perfect and therefore does not require correction.
  • amplify [ǽmplifài] : 「〜を増幅する、拡大する、〜を詳述する」
  • earlier [ə́ːrliər] : 「より前の」
  • statement [stéitmənt] : 「声明、メッセージ、陳述、述べたこと、発言」
  • spirit [spírit] : 「霊、魂、霊魂、精霊、精神、気分、気迫」
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
  • perfect [pə́ːrfikt] : 「申し分がない、完全な、完璧な」
  • therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • require [rikwáiər] : 「〜を必要とする、求める、〜に要求する、命じる」
  • correction [kərékʃən] : 「訂正、矯正、修正、是正」
❖ "To amplify an earlier ~ "「前に述べたことを強調すれば、スピリットはすでに完璧であり、したがって、修正を必要としない」。大きな心はスピリットであり、実相そのものである。誤創造しないから修正の必要はない。
小さな心とは、いわば夢に埋没した心であって、妄想をもって誤創造するのである。一方、大きな心は目覚めた心であって、妄想を弄(もてあそ)んだりしない。実相的な真実の実在をしっかりと把握している。これが神の子が本来もっていたスピリットである。神の子が神から分離した後、神の子は自らの心を小さな心と大きな心に分裂させた。小さな心と書いたが、心の大半はこれであって、エゴが強力に支配している。一方、大きな心は心の片隅に追いやられ、しかし、そこにこそ、ホーリー・スピリットが宿っている。



The body does not exist except as a learning device for the mind. This learning device is not subject to errors of its own, because it cannot create.
  • exist [iɡzíst] : 「存在する、生きている、生存する」
  • except [iksépt] : 「ただし、除いて」
  • learning device [diváis] : 「学びの装置、学びのための道具」
  • subject [sʌ́bdʒikt] : 「主題、題目、教科、対象、被写体」
  • be subject to : 「〜の支配を受ける、〜の影響下にある」
❖ "The body does ~ "「肉体は、心にとって学びのための補助装置である以外に存在の余地はない」。肉体は心が生みだした幻想であって実在はしないが、実相に目覚めるための学びの補助装置としての存在価値はある。"This learning device is not ~ "「この学びための補助装置は、それ自体の誤りの支配を受けることはない」。肉体という補助装置がたとえ誤りを犯したかに見えたとしても、それは肉体の責任ではない、ということ。"because it cannot ~ "「なぜなら、肉体は創造出来ないからだ」。肉体は誤りさえ作り出せないのだ。誤りを作り出すのは、誤った心である。例えば、肉体は肉体的な病を作り出せない。病んだ心が肉体に病を発症させるのである。



It is obvious, then, that inducing the mind to give up its miscreations is the only application of creative ability that is truly meaningful.
  • obvious [ɑ́bviəs] : 「明らかな、明白な」
  • induce [indjúːs] : 「〜を生じさせる、引き起こす、誘導する、誘発する」
  • give up :  「あきらめる、断念する、降伏する」
  • application [æ̀pləkéiʃən] : 「適用、応用、活用、利用、充当」
  • creative [kriéitiv] : 「創造力がある、創造性に富んだ、独創的な」
  • ability [əbíləti] : 「能力、才能、できること」
  • truly [trúːli] : 「全く、本当に、真に、正確に」
  • meaningful [míːniŋfəl] : 「意味のある、意味深長な、重要な」
❖ "It is obvious ~ "「よって、that以下は明白である」。"that inducing the mind ~ "「心に誤創造を諦めさせることは、唯一の真に意味のある創造的能力の応用であること」は明白である。心が幻想を生み出すことが誤創造である。心は眠りの中でこの世界を創造したと思い込んでいるが、この世界は幻想であって、したがって、心は誤創造、あるいは偽創造しただけなのだ。しかし、実相的に正しい心はその誤りを修正出来る。眠った心を目覚めさせればいいのだ。心を目覚めさせること、それが、心に誤創造を諦めさせるという意味である。そうすることによって幻想は消滅し、真実が蘇る。真実が現実化するのだから、それは創造である。意味のある創造的能力の応用である。
 
 
 


T-2.IV.5:1 ~ T-2.IV.5:6

5. The value of the Atonement does not lie in the manner in which it is expressed. 
  • value [vǽljuː] : 「価値、値打ち、真価」
  • atonement [ətóunmənt] : 「償い、贖罪」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • manner [mǽnər] : 「行儀、態度、やり方、仕方、方法」
  • express [iksprés] : 「〜を表現する、言葉で表現する、言い表す」
❖ "The value of the Atonement ~ "「贖罪の価値は、それが表現される仕方の中にあるのではない」。ACIMでの贖罪は、無意識の中で感じている罪悪感を払拭することである。原型としての罪悪感は、神からの分離にもとづく神への裏切りから発生する。それを払拭するには、神からの分離という幻想から目覚めなくてはならない。その目覚め方は人それぞれで、時も場所も、その内容も異なる。つまり、贖罪の表現の仕方は人それぞれなのだ。奇跡の表れ方は千差万別である。



In fact, if it is used truly, it will inevitably be expressed in whatever way is most helpful to the receiver.
  • In fact : 「事実、実は、内実は、要するに、つまり」
  • use [juːz] : 「使う、利用する、生かす、働かせる」
  • truly [trúːli] : 「正確に、偽りなく、心から、誠実に、正直に」
  • inevitably [inévətəbli] : 「必然的に、必ず、不可避的に、必至で」
  • in whatever form : 「いかなる形であれ、いかなる方法であれ」
  • helpful [hélpfəl] : 「役立つ、助けになる、有益な、参考になる」
  • receiver [risíːvər] : 「受取人、受信者」
❖ "In fact, if it is ~ "「事実、それが誠実に使われるなら、」贖罪が心からなされたなら、"it will inevitably ~ "「それは必然的に、どんな方法であれ受け手にとって最も助けとなる方法で表現されるであろう」。贖罪の価値はその表現の違いにあるのではない。心からの贖罪であるなら、方法がどんなものであれ、贖罪の受け手である私たちの一番の助けになる形で実現するのである。



This means that a miracle, to attain its full efficacy, must be expressed in a language that the recipient can understand without fear.
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
  • attain [ətéin] : 「達成する、実現する、手に入れる、獲得する」
  • full [fúl] : 「最大限の、徹底した、完全な」
  • efficacy [éfikəsi] : 「有効性、効き目、効能、効果」
  • language [lǽŋgwidʒ] : 「言語、言葉 、言葉遣い」
  • recipient [risípiənt] : 「受取人、受け手、受信者」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、分かる、把握する」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たずに」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」
❖ "This means that "「このことはthat以下を意味している」。"a miracle, to attain ~ "「最大限の効果を手にするには、奇跡は、受け手が恐れを抱かずに理解出来る言葉で表現されなければならない」ということを意味している。もちろん、ここでの"language"「言葉」は比喩である。簡単に言えば、恐れを抱かせないような奇跡であるべきだ、ということ。目覚めはゆっくりの方がいいとACIMが述べているのも同じ理由。奇跡も贖罪も、その障害になっているのは私たちが抱く恐れなのだ。真実を知る恐れであり、生ぬるい幻想という夢から白日の下に目覚める恐れである。究極的には、神と再会する恐れなのだ。



This does not necessarily mean that this is the highest level of communication of which he is capable. 
  • not necessarily [nèsəsérəli] : 「必ずしも〜でない」
  • high [hái] : 「高度の、進んだ、高い、高位の、強い、激しい」
  • level [lévəl] : 「地位、階級、段階、レベル、高さ、高度、深さ」
  • communication [kəmjùːnəkéiʃən] : 「通信、やりとり、連絡、伝達」
  • be capable [kéipəbl] of : 「〜の能力がある、〜ができる 」
❖ "This does not ~ "「このことは必ずしもthat以下を意味しているわけではない」。"that this is the highest ~ "「これは、彼がなすことが可能なコミュニケーションの最高レベルである」ということを意味しているわけではない。最高レベルの言語をもって奇跡が表現される必要はない。本来、神の子は神の属性のすべてを継承しているから、最高レベルの言語をもって真実を表現出来るのだが、幻想の中に眠っている間は、恐れを回避するために、やさしい言語に置き換えて奇跡を表現すればいい。



It does mean, however, that it is the highest level of communication of which he is capable now.
  • however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
❖ "It does mean ~ "「しかし、それは、今現在、彼が出来るコミュニケーションの最高レベルであることを意味している」。恐れを回避するためにやさしい言語に置き換えて奇跡を表現すればいいとは言え、赤ちゃんを目覚めさせるような幼児語をもって奇跡を表現するのもまた問題だ。時と場所に応じて、その人に最適で最高の言語をもって真実を現実化するという奇跡を表現すればいいのである。
奇跡も贖罪も、夢(幻想)に埋没している私たちの単独の手に負えるものではない。必ず、ホーリー・スピリットの手助けが必要となる。そのとき、私たちはホーリー・スピリットと意思を疎通されること(communication)が求められるが、その能力には個人差、レベル(level)の差がある。たとえば、ある人は、内奥の声としてホーリー・スピリットの導きを感受出来るだろうが、多くの人はそれは出来ない。しかし、ホーリー・スピリットはその人の能力に応じて、たとえば、人や本や出来事との偶然の出会いを通してホーリー・スピリットの意思を提供する。しかし、私たちにそれを受け止める能力がないと、ホーリー・スピリットのメッセージを見過ごしてしまう可能性は高い。だから、たとえ完璧なコミュニケーションがとれないとしても、今出来る最善を尽くすべきなのだ。今出来る最高のレベルでホーリー・スピリットとのコミュニケーションを取るべきなのだ。
ところで、コミュニケーションの最高レベルは神とのコミュニケーションであり、啓示(revelation)と呼ばれる。しかしACIMは、初めからそれを期待してはいない。啓示は最終目的であり、そこに至る途上においては、出来る範囲内の最高レベルでホーリー・スピリットとコミュニケーションを取っていけばいいのである。



The whole aim of the miracle is to raise the level of communication, not to lower it by increasing fear.
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の」
  • aim [éim] : 「的、狙い、目標、目的」
  • raise [réiz] : 「引き上げる、〜を育てる」
  • lower [lóuər] : 「下げる、低くする」
  • increase [inkríːs] : 「〜を増やす、増大させる、増加させる」
❖ "The whole aim of ~ "「奇跡の全目的はコミュニケーションのレベルを上げることであり、」"not to lower it ~ "「恐れを増大させてコミュニケーションのレベルを下げることではない」。奇跡は、最終的に、神とのコミュニケーションが出来るまでに、そのレベルを上げてくれる。それまでは、ホーリー・スピリットが私たちに付き合って、真実の方向に導いてくれる。だから、ホーリー・スピリットの精妙なメッセージを聞き逃さないようにしなければならない。また、赦しを通じてホーリー・スピリットに精妙なメッセージを送らなくてはならないのだ。
 
 
 


T-2.IV.4:1 ~ T-2.IV.4:10

4. All material means that you accept as remedies for bodily ills are restatements of magic principles. This is the first step in believing that the body makes its own illness.
  • material [mətíəriəl] : 「物質の、物質的な」
  • means [míːnz] : 「 手段、方法」
  • accept [əksépt] : 「引き受ける、受諾する、認める、容認する」
  • remedy [rémədi] : 「治療薬、医薬品、治療、療法、医療 」
  • bodily[bɑ́dəli] : 「身体上の、肉体の 」
  • ill [íl] : 「病気、罪悪、悪」
  • restatement [ristéitmənt]: 「再表示、更新」
  • principle [prínsəpl] : 「原則、原理、公理、原論」
  • step [stép] : 「段、階段、一歩、歩み、ステップ」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、確信する、信頼する」
  • illness [ílnis] : 「病気、気分がすぐれないこと、疾病、疾患」
❖ "All material means ~ "「身体的病気の治療法としてあなたが受け入れた物質的な方法は、魔法原理を再宣言しているようなものだ」。ACIMでは、病気は、心の歪み、心の過ちに起因するとしている。したがって、病気を物理的に治す行為は、病気の表面をつくろって真の原因を隠す行為に過ぎない。それを『魔法原理』と称したのである。"This is the first step ~ "「これは、肉体がそれ自身の病を作り上げていると信じてしまう最初のステップである」。幻想の肉体は、たとえそれが病気であっても、創造することは出来ない。
ところで、以前にも触れたが、ACIMは現代医療を受けてはならないと言っているのではない。病気の真の原因とメカニズムをきちんと理解せよ、と言っているのである。決してACIM原理主義者になってはいけない。肉体が幻想だからと言って肉体を抹殺することは完全な誤りである。



It is a second misstep to try to heal it through non-creative agents. It does not follow, however, that the use of such agents for corrective purposes is evil.
  • second [sékənd] : 「第2の、2番目の」
  • misstep [misstép] : 「踏み誤り、つまずき」
  • try [trái] : 「試す、やってみる、試みる、企てる」
  • heal [híːl] : 「癒やす、救う、治す、治癒する、治療する」
  • through [θrúː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
  • creative [kriéitiv] : 「創造力がある、創造性に富んだ、独創的な」
  • agent [éidʒənt] : 「薬剤、媒介物、物質、動作主、動因」
  • follow [fɑ́lou] : 「〜に続く、〜の次に来る、後ろからついて行く」
  • however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
  • use [júːs] : 「使うこと、利用、使用」
  • corrective [kəréktiv] : 「訂正の、修正の」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い」
  • evil [íːvl] : 「悪い、害を与える、邪悪な」
❖ "It is a second misstep ~ "「病気を創造性の欠けるもので治そうとするのは第二の誤りである」。第一の誤りは、肉体が病を作り出すということ。たとえば、熱が出たので解熱剤をのむという行為は、熱の原因を治療することではないので、その意味では創造的ではない。熱が下がっても病気自体が治るわけではないからだ。"It does not follow ~ "「しかし、that以下のことが後に続くわけではない」。that以下が結論である、というわけではない。" that the use of ~ "「正す目的のためにそのようなものを使うことは悪い」というわけではない。簡単に言えば、病気を治したいから薬を飲むのは悪くない、ということ。しかし、もちろん、それだけでは十分ではない。心の問題を解決しなくてはならないからだ。



Sometimes the illness has a sufficiently strong hold over the mind to render a person temporarily inaccessible to the Atonement. 
  • sometimes [sʌ́mtàimz] : 「時々、たまに」
  • sufficiently [səfíʃəntli] : 「十分に、足りて」
  • strong [strɔ́ːŋ] : 「力強い、強力な、強い、力がある」
  • hold over : 「〜への支配力」
  • render [réndər] : 「〜を〜にならしめる、〜にする、makeと同じ」
  • person [pə́ːrsn] : 「人、人間、人物」
  • temporarily [tèmpərérəli] : 「一時的に、仮に」
  • inaccessible [ìnəksésəbl] : 「 手の届かない、近づき難い、アクセスできない」
  • atonement [ətóunmənt] : 「償い、贖罪」
❖ "Sometimes the illness ~ "「しばしば、病気は心に対して、一時的に人が贖罪にアクセス出来なくするくらい十分に強い支配力をもつ」。贖罪とは、罪を幻想と認識して赦し、罪を消滅させることなのだが、ここでは、肉体や病を幻想と認識して赦し、病を消滅させるという意味合い。病があまりにもリアルなので、心がそれを幻想と認識出来なくなるほど、病が心を支配してしまうことがある。
文法的に一言。"inaccessible"は補語で、render+人+補語(形容詞)の形で「人を〜な状態にする」となる。"You make me happy"と同じ文型である。



In this case it may be wise to utilize a compromise approach to mind and body, in which something from the outside is temporarily given healing belief.
  • in this case : 「この場合は、もしそうなら、この際」
  • wise [wáiz] : 「賢い、博学の」
  • utilize [júːtəlàiz] : 「利用する、活用する、役立たせる」
  • compromise [kɑ́mprəmàiz] : 「 妥協、譲歩」
  • approach [əpróutʃ] : 「やり方、扱い方、取り上げ方、取り組み」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」
  • healing [híːliŋ] : 「癒しの、治療の」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
❖ "In this case ~ "「この場合、心と体に対して妥協的なアプローチ(の方法)を利用した方が賢明かもしれない」。"in which something ~ "意訳する、「つまり、(心の)外からのものが、一時的にヒーリングしてくれると信じるのである」。妥協的なアプローチの方法を説明している部分である。病は心の問題ではあるが、病があまりにも心を支配しているなら、心の外から、つまり肉体レベルで、たとえば薬を導入して、薬が病をきっと治してくれると信じる方が、一時的には賢明である。
病気の真の原因は心の歪みであり、薬は症状を軽減出来たとしても根本の治療をもたらすものではない。したがって、薬の効果は一時的なもの(temporarily)となる。薬によって症状が治ったら、心の真のヒーリングをなさなければならない。



This is because the last thing that can help the non-right-minded, or the sick, is an increase in fear. 
  • last thing : 「最後にすること、最もしそうにないこと」
  • sickness [síknəs] : 「病気」
  • increase [inkríːs] : 「増加、増大、増進」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」
❖ "This is because ~ "直訳すると、「これは、正しからざる心、あるいは病気の、最も助けにならないものは恐れの増大であるからだ」。恐れの増大は、歪んだ心やそれが生みだす病にとって、最も良くない方向に働く。だから、一時的に恐れを軽減するために、肉体レベルの療法を外部から取り入れる方が一時的には賢明なのだ。



They are already in a fear-weakened state. If they are prematurely exposed to a miracle, they may be precipitated into panic.
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
  • weaken [wíːkn] : 「弱める、弱体化させる」
  • state [stéit] : 「状態、形勢、情勢、状況」
  • prematurely [prìːmətjúərli] : 「時期を早めて、時期尚早に 」
  • expose [ikspóuz] : 「さらす、浴びせる、暴く」
  • precipitate [prisípitèit] : 「急に引き起こす、促進する、勃発させる」
  • panic [pǽnik] : 「恐慌、恐怖、パニック」
❖ "They are already in ~ "「彼らはすでに恐れで萎縮した状態にある」。"If they are prematurely ~ "「もしも、彼らが時期尚早に奇跡にさらされたら、パニックに陥るかも知れない」。恐れで心が萎縮した病人が、肉体も病も幻想だと知ったなら、さらに恐怖を増大させてパニックに陥るかも知れない。だから、時間をかけて恐れを取り除いてから、真実を現実化する奇跡に触れるべきなのだ。時間が学びの補助装置であることの一端がうかがえる。



This is likely to occur when upside-down perception has induced the belief that miracles are frightening.
  • be likely to : 「〜しそうである」
  • occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる」
  • upside-down : 「逆さまの、混乱した」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識」
  • induce [indjúːs] : 「〜を生じさせる、引き起こす、誘発する」
  • frightening [fráitniŋ] : 「恐ろしい、怖い、ゾッとするような」
❖ "This is likely to ~ "「このパニックは、混乱した知覚が奇跡は恐ろしいものだという信念を引き出した時に、起こりやすい」。本来、奇跡は恐れからの解放であるが、それが恐ろしいと感じているうちは奇跡にさらすべきではない。ACIMは、目覚めはゆっくりな方がいいと述べている。
 
 
 


T-2.IV.3:1 ~ T-2.IV.3:13

3. Only the mind can create because spirit has already been created, and the body is a learning device for the mind. 
  • create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
  • spirit [spírit] : 「霊、魂、霊魂、精霊、精神、気分、気迫」
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
  • learning : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • device [diváis] : 「機器、装置、道具」
❖ "Only the mind ~ "「心だけが創造出来る」。"because spirit has ~ "「なぜなら、スピリットはすでに創造されてあるし、肉体は心にとって学びのための装置に過ぎないからだ」。我々が自分の心だと思っている意思や理性的思考は本当の心ではない。肉体に閉じこめれていると思っている心は、神の子が偽創造した心の模造品である。実相的な本当の心は肉体に支配されていない。それをACIMでは"spirit"「スピリット」と言う。このスピリットは神によって創造されたものであり、すでにあなたはスピリットを持っている。ただ、それを忘れているだけなのだ。夢の中で神の子が神から分離するとき、神の子はスピリットを神に投げ返してしまったのだ。
肉体は、それを思い出すために利用される。肉体は、肉体が幻想に過ぎないと学ぶための対象とされ、幻想から目覚めるための題材、すなわち学びの補助装置として利用されるのである。スピリットを神に投げ返した夢から目覚めるために使われるのである。



Learning devices are not lessons in themselves. Their purpose is merely to facilitate learning. 
  • lesson [lésn] : 「レッスン、けいこ、教訓、教え」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • facilitate [fəsílətèit] : 「容易にする、手助けする」
❖ "Learning devices ~ "「学びのための装置は、それ自体の中には学びの要素は含まれていない」。"Their purpose is ~ "「学びのための補助装置の目的は、単に学びを手助けすることである」。学ぶ対象はあくまでも心であり、心をいかにして真実に回帰させるかである。実在の心(スピリット)は、幻想の肉体を学びの補助装置として使うだけなのだ。時間もまた、学びのための補助装置であったことを思い出そう。学びが完了すれば、肉体も時間も消滅する。なぜなら、学びが完了すれば、学びのための補助装置も不必要になるからだ。したがって、幻想が消滅すればおのずから時空も消滅する。



The worst a faulty use of a learning device can do is to fail to facilitate learning.
  • worst [wə́ːrst] : 「最も悪い、最悪の」
  • faulty [fɔ́ːlti] : 「欠点のある、誤った、不完全な、欠陥のある」
  • use [júːs] : 「使うこと、利用、使用」
  • fail [féil] : 「失敗する、しくじる」
❖ "The worst a faulty ~ "直訳すると、「学びの補助装置の誤った使い方がやることで最悪のことは学びの手助けに失敗することである」。つまり、学びのための補助装置が学びのためにならなかったら最悪だ、ということ。しかし、我々は、この最悪な失敗を繰り返している。



It has no power in itself to introduce actual learning errors. The body, if properly understood, shares the invulnerability of the Atonement to two-edged application.
  • power [páuər] : 「力、能力、勢力、権限、権威」
  • introduce [ìntrədjúːs] : 「取り入れる、導入する、招く、紹介する」
  • actual [ǽktʃuəl] : 「現実の、実際に起こった、現在の」
  • error [érər] : 「誤り、間違い」
  • properly [prάpərli] : 「適切に、ちゃんと、正確に、正しく、厳密に」
  • understood [ʌ̀ndərstúd] : 「understandの過去・過去分詞形」
  • share [ʃέər] : 「分かち合う、共有する」
  • invulnerability [invʌlnərəbíləti] : 「傷つかないこと、弱さがないこと」
  • atonement [ətóunmənt] : 「償い、贖罪」
  • two-edged : 「両刃の、諸刃の」
  • application [æ̀pləkéiʃən] : 「適用、応用、活用、利用、充当」
❖ "It has no power ~ "ここの"It"は前文の"learning device"のこと、「学びの補助装置自体は、実際に誤ったことを学ばせる力はない」。誤ったことを学んでしまうのは心であって、補助装置に過ぎない肉体には学ぶという主体性も学ばせるという主体性もない。もちろん、誤ったことを学んでしまうように誘導することも出来ない。"The body, if properly ~ "「肉体は、もし適切に理解されるなら、両刃の応用に対して、贖罪のもっている傷つけられることのない強さを分かちもっている」。肉体は『両刃の応用』に対して贖罪と同様に抵抗力がある、ということ。どういうことかと言うと、まず、T-2.II.4:8 "The Atonement thus becomes the only defense that is not a two-edged sword. It can only heal."を見ていただきたい。両刃の応用とは、防御(defense)に応用されることと、攻撃(attack)に応用されることの2つである。真実の贖罪には攻撃性はなく、防御専門である。つまり、贖罪は攻撃性の応用に対して抵抗力があるのである。攻撃性を拒否する力がある。したがって、本文は、肉体も、正しく理解されるなら、攻撃性を排除する力がある、ということ。実相的な視点に立てば、肉体は攻撃など出来ないのである。
幻想の肉体を考えるときは映画を連想すればいい。スクリーン上に映し出された凶暴な戦士は、はたして我々を攻撃することが出来るだろうか。彼はスクリーン上で攻撃しているだけであって、見ている我々を攻撃することは出来ない。イメージに過ぎない肉体には攻撃性はないのだと学ぶことが出来る。スクリーン上の戦士は学びの補助装置になっているわけだ。



This is not because the body is a miracle, but because it is not inherently open to misinterpretation. 
  • inherently [inhíərəntli] : 「生得的に、本質的に」
  • be open to : 「受けやすい、〜を招きやすい、〜に無防備である」
  • misinterpretation [misintə̀ːrprətéiʃən] : 「誤った解釈、誤解、誤訳 」
❖ "This is not because ~ "「これは肉体が奇跡だからではない」。肉体が攻撃性に対してそれを否定する抵抗力があることは、肉体が奇跡(真実)だからというわけではない。"but because it ~ "「肉体は元来、誤った解釈を受けることはないからである」。一言で言えば、肉体は幻想であり意味がないのだ。だから、奇跡などではない。意味がないから肉体を解釈することなど不可能である。もちろん、正しい解釈も誤った解釈も不可能である。肉体は知覚され、評価される対象に過ぎない。
しかし、肉体はそれを利用することは出来る。肉体を攻撃するために使うことも出来るし、肉体を守るために使うことも出来る。これが、肉体のもつ両刃の剣なのだが、もし真実に目覚め、肉体が幻想だと知れば、スクリーン上に映し出されたイメージと同様に、肉体は攻撃性をもつことが出来ないと認識出来て、肉体は防御という片刃の剣となる。では、肉体は何から防御するのか? 肉体は実在だとする誤認識、知覚の誤りから我々を守るのだ。肉体を見てこれは幻想だと認識出来れば、我々の本当の知覚、つまりヴィジョンは守られることになる。これが、肉体は学びの補助装置であるということである。



The body is merely part of your experience in the physical world. Its abilities can be and frequently are over evaluated.
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • part [pάːrt] : 「一部、部分」
  • experience [ikspíəriəns] : 「経験、体験、見聞」
  • physical [fízikl] : 「身体の、肉体の、身体的な、物理学の、物理学上の」
  • ability [əbíləti] : 「能力、才能、できること」
  • frequently [fríːkwəntli] : 「しばしば、高い頻度で、頻繁に、たびたび」
  • evaluate [ivǽljuèit] : 「〜を評価する、値踏みする、査定する」
❖ "The body is merely ~ "「肉体は物理世界における単なる経験の一部に過ぎない」。物理世界とはこの幻想世界のこと。肉体は実在しないが、肉体を経験として知覚することは出来る。その経験、知覚こそが肉体のすべてである。実体はない。肉体は、幻想の世界で知覚される幻影の一つに過ぎないのだ。ところが、知覚はあまりにもリアルに肉体を知覚するので、"Its abilities can ~ "「肉体の能力は過大に評価され得るし、しばしば過大に評価されている」。肉体が現実にそこに実在しているものと過大に評価されている。これが、あらゆる誤りの、そもそもの始まりである。



However, it is almost impossible to deny its existence in this world. Those who do so are engaging in a particularly unworthy form of denial.
  • however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
  • almost [ɔ́ːlmoust] : 「ほとんど、九分どおり、大体」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
  • existence [igzístns] : 「存在、生存、実存、実在」
  • engage [engéidʒ] : 「従事する、携わる、関与する」
  • particularly [pərtíkjulərli] : 「特別に、とりわけ、非常に」
  • unworthy [ʌnwə́ːrði] : 「値しない、価値のない、取るに足りない 」
  • denial [dináiəl] : 「否定、拒否、拒絶、否認」
❖ "However, it is ~ "「しかしながら、この世界における肉体の存在を否定することはほとんど不可能である」。肉体があまりにもリアルに知覚されるからだ。"Those who do ~ "「この世界における肉体の存在を否定する人たちは、否定の形の中でもことさら価値のない否定に関与している」。肉体の存在を否定することは正しいが、かと言って肉体のもつ片刃の剣という側面までも否定してはいけない。そんな否定は価値のない否定である。肉体のもつ学びのための補助装置という属性を否定してしまうことはまったく価値がない。




The term "unworthy" here implies only that it is not necessary to protect the mind by denying the unmindful. 
  • term [tə́ːrm] : 「語、言葉、用語」
  • imply [implái] : 「暗に伝える、暗示する、ほのめかす 」
  • necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の、欠くことのできない」
  • protect [prətékt] : 「保護する、守る、かばう」
  • deny [dinái] : 「否定する、認めない、信じない」
  • unmindful [ʌnmáindfəl]: 「不注意な、無頓着な」
❖ "The term "unworthy" here ~ "「ここでいうところの『価値のない』という言葉は、単にthat以下を暗に示しているだけだ」。"that it is not necessary ~ "「無頓着な者を否定することで心を守ることは不必要だ」ということを暗に示しているだけだ。ACIM原理主義的傾向を諌(いさ)めている。潔癖さを求めるACIM原理主義者がここにいるとしよう。彼は『肉体は幻想に過ぎない、したがって幻想の肉体そのものを100%否定すべきだ』と言うだろう。彼にとっては、幻想の肉体は幻想としてその存在を認めようという連中が無頓着な者(the unmindful)に見える。彼は、そういう日和見的な無頓着な人たちを否定して(by denying the unmindful)、純粋な心の存在を守ろうとするわけだ(to protect the mind)。だが、その必要はない。肉体のもつ学びのための補助装置としての価値を否定してしまう必要はないのだ。



If one denies this unfortunate aspect of the mind's power, one is also denying the power itself.
  • unfortunate [ʌ̀nfɔ́ːrtʃənət] : 「不運な、不幸な、運の悪い、残念な」
  • aspect [ǽspekt] : 「様子、外見、局面、状況、側面、見方」
❖ "If one denies this ~ "「この、心の力の不幸な一面を否定すれば、それは心の力そのものを否定することになる」。一見、幻想の存在を認めることは、心の弱さ、心の力の不幸な一面(this unfortunate aspect of the mind's power)に見えるが、もし、そういう心の力の柔軟さを否定すれば(If one denies this unfortunate aspect )、心のもつすべての力の否定(denying the power itself)につながりかねない。
ACIMは、肉体も物質も幻想であり、意味はないと宣言する。しかし、だからと言って、自殺してもいいとか殺人を犯してもいいなどとは決して言ってはいない。物質に対しても、物をぞんざいに扱っていいなどとは言っていない。そこを履き違えると、どこぞのカルト教団のような凶悪な結果を招くようになるのだ。
 
 
 



T-2.IV.1:1 ~ T-2.IV.2:10

IV. Healing as Release from Fear
恐れからの解放としてのヒーリング



1. Our emphasis is now on healing. The miracle is the means, the Atonement is the principle, and healing is the result.
  • emphasis [émfəsis] : 「強調、重要性、注目、重要視」
  • healing [híːliŋ] : 「癒やし、治療、治癒、回復」
  • means [míːnz] : 「手段、方法」
  • atonement [ətóunmənt] : 「償い、贖罪」
  • principle [prínsəpl] : 「原則、原理、公理、原論、法則」
  • result [rizʌ́lt] : 「結果、結末、効果、成果」
❖ "Our emphasis is ~ "「今、私たちが強調したいことはヒーリングに関してである」。"The miracle is ~ "「奇跡は手段であって、贖罪は原理、そしてヒーリングは結果である」。幻想を幻想として受け入れ、幻想を消滅させるという原理が贖罪である。それを実現する手段は、赦しという奇跡である。幻想が消滅した結果、あなたの苦と痛みは消滅し、それがヒーリングである。



To speak of "a miracle of healing" is to combine two orders of reality inappropriately. Healing is not a miracle.
  • combine [kəmbáin] : 「〜を結合する、混ぜ合わせる、混合する」
  • order [ɔ́ːrdər] : 「順、順序、順番、順位、序列、系列」
  • reality [riǽləti] : 「現実性、実在性、現実のこと」
  • inappropriately [ìnəpróupriəli] : 「不適切に」
❖ "To speak of ~ "「『ヒーリングの奇跡』と言ってしまえば、それは実相の2つの序列を不適切に結合していることになる」。ヒーリングと奇跡を同じものだと捉えてしまうと、奇跡は手段、ヒーリングは結果という序列を乱してしまう、ということ。"Healing is not ~ "「ヒーリングは奇跡ではない」。ヒーリングは奇跡の結果だからだ。赦し(奇跡)によって幻想は消え、病は癒される(結果)のである。



The Atonement, or the final miracle, is a remedy and any type of healing is a result. The kind of error to which Atonement is applied is irrelevant.
  • final [fáinl] : 「最後の、最終の、決定的な」
  • remedy [rémədi] : 「治療、療法、救済策、救済方法」
  • type [táip] : 「類、型、類型、種類」
  • result [rizʌ́lt] : 「結果、結末、効果、成果」
  • kind [káind] : 「種類、質」
  • error [érər] : 「誤り、間違い」
  • apply [əplái] : 「〜に適用する、応用する、利用する」
  • irrelevant [iréləvənt] : 「見当違いの、無関係の、不適切な、重要でない」
❖ "The Atonement, or ~ "「贖罪、または最後の奇跡、は救済策であり、どんなタイプのヒーリングもその結果である」。"The kind of ~ "「贖罪が適用される誤りの種類は重要ではない」。神を裏切って分離したという罪の意識が罪の原型なのだが、この幻想世界では、分離が原因となって様々な罪の意識が象徴化、具現化される。あなたと他者が分離しているからこそ、あなたは他者を憎み、恨み、怒り、嫉妬し、支配したいと思い、愛欲の奴隷にしたいと思うのである。さらに、そういった分離から生まれる悪感情を自分の心に抱え込んでしまったことに対して、あなたは自分自身を、罪の意識を持つことで罰しようとする。人を憎めば憎むほど、あなたは自分に向かって罪の意識を深めていくのだ。分離を促進したことに対する自責の念を、罪を感じることで埋め合わせようとするのである。ここで、ACIMの贖罪が登場するわけで、分離を原因とした誤りがどんな種類であっても、それは贖罪にとって問題ではない。すべて分離という幻想が根底にあるからだ。贖罪は、その分離が生みだす罪の意識を幻想と見抜き、赦しという奇跡を通して消滅させる。罪の意識が贖罪によって消滅すれば、結果として、心の苦や痛みも肉体的な病も同時に消滅してしまうのだ。その結果がヒーリングである。



All healing is essentially the release from fear. To undertake this you cannot be fearful yourself. 
  • healing [híːliŋ] : 「癒やし、治療、治癒、回復」
  • essentially [əsén∫əli] : 「本質的に、基本的に、原則的に、本来、元来 」
  • release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと、解除、免除」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」
  • undertake [ʌ̀ndərtéik] : 「企てる、始める、〜に着手する、請け負う」
  • fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、ものすごい、おびえている、心配そうな」
❖ "All healing is ~ "「すべてのヒーリングは、本質的に恐れからの解放である」。罪と罰は表裏一体の関係であって、あなたは、罪は罰をもって埋め合わされねばならないと信じている。そこに、罰に対する恐れが生じる。この恐れが強烈なストレスとなって、心や肉体に様々な不調、病、等々を生み出すのである。病をもって自らを罰しようとしするわけだ。"To undertake this ~ "「これを始めるには、あなた自身が恐れの状態であることは許されない」。恐れを心に抱えたままで、恐れからの解放であるヒーリングを実行することは不可能だ。



You do not understand healing because of your own fear.
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、分かる、把握する」
❖ "You do not ~ "意訳する、「なぜなら、あなた自身の恐れのせいで、ヒーリングを理解出来ないからだ」。たとえば、肉体的な病を癒やすのはあなたの健全な免疫機能であるが、その免疫機能が病に侵されていると、あなたは病を癒やすことが出来ないと現代医学は教える。今、あなたは恐れを抱いている。ヒーリングは恐れを解放してくれる。しかし、恐れを抱いている以上、ヒーリングは実行出来ない。したがって、あなたは恐れから解放されない。・・・これでは八方塞がりではないか。いや、こういう発想は、ヒーリングを理解していないところから生じるのだ。つまり、こういう八方塞がりを突破するのが奇跡であり、奇跡を手段として贖罪があなたを八方塞がりの恐れから救い出すのである。あなたが恐れている罪も罰も単なる幻想であって実在しないと認識し、幻想を赦して消滅させるのだ。結果として、いとも簡単に、あなたは恐れをヒーリングし、恐れから解放されるのである。



2. A major step in the Atonement plan is to undo error at all levels. 
  • major [méidʒər] : 「偉大な、主要な、重要な、専攻の、大きい方の」
  • step [stép] : 「段、階段、一歩、歩み、ステップ」
  • plan [plǽn] : 「計画、企画、予定、意向、つもり、考え」
  • undo [ʌndú] : 「元どおりにする、取り消す 」
  • error [érər] : 「誤り、間違い」
  • level [lévəl] : 「地位、階級、段階、レベル、高さ、高度、深さ」
❖ "A major step ~ "「贖罪の計画における重要なステップは、すべてのレベルにおいて過ちを取り消すことである」。すべてのレベルとは、ここでは簡単に、肉体レベルと精神レベル、あるいは物質のレベルと心のレベルととらえていい。



Sickness or "not-right-mindedness" is the result of level confusion, because it always entails the belief that what is amiss on one level can adversely affect another.
  • sickness [síknəs] : 「病気」
  • right [ráit] : 「正しい、正当な、合っている、適切な」
  • mindedness [máindidnis] : 「心だて、〜主義」
  • right-mindedness : 「正しい考えをもっていること」
  • result [rizʌ́lt] : 「結果、結末、成り行き、効果、成果、成績」
  • confusion [kənfjúːʒən] : 「混乱状態、混乱、錯乱状態」
  • always [ɔ́ːlweiz] : 「いつも、以前からずっと、常にいつでも」
  • entail [entéil] : 「〜を伴う、必要とする、引き起こす」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • amiss [əmís] : 「間違って、不適当に、場違いに」
  • adversely [ædvə́ːrsli] : 「逆に、逆行して、不利に」
  • affect [əfékt] : 「 〜に作用する、〜に影響を及ぼす」
  • another [ənʌ́ðər] : 「もう一つ、もう一人」
❖ "Sickness or ~ "「病気、あるいは『正しからざる心』は、レベルの混乱の結果である」。"because it always ~ "「なぜなら、それはいつも、〜な信念を伴うからである」。"that what is ~ "「ある一つのレベルにおいて間違っているものは他のレベルに悪影響を与え得る」という信念を伴うからである。非常に難解な部分である。たとえば、従来の常識は、肉体は細菌やウィルスに感染し、感染症が発生するというメカニズムを想定していたのだが、現代医学は、ここに心のレベルを介入させ、心がストレスを感じることで肉体的な免疫機構が正常に機能しなくなり、細菌やウィルスに感染しやすくなり感染症を発症すると説明する。心のレベルが肉体のレベルに影響を与えるという説である。これは非常に説得力のある正しい理論のように思えるが、ACIMは、これはレベル・コンフュージョンを起こしていると言う。一体、どこがおかしいのか? 
そこで、次のような問題を提示してみる。『悪い事をすれば、心が汚くなる』、これは正しいか? 誤りである。夜見る夢の中であなたが悪事を働いたからといって、夢から目覚めたあなたの心が汚されたわけではない。同様に、幻想世界であなたが悪い事をしても、それを理由にあなたの心が実相的に汚されるわけではないのだ。では、『心が汚くなれば、悪い夢を見る』、これは正しいか? 正しい。心がエゴに支配されて歪んでしまうと、あなたは幻想に捕われて、数々の誤った行動をとってしまう、悪い夢を見てしまう。では、『心が汚くなれば、悪い事をする』、これは正しいか? これが問題である。答えは、誤りだ。『悪い事をする』と『悪い夢を見る』とでは、大違い。心がエゴに支配されて歪んだ時、悪い夢を見ることはあっても、悪い事を実相的に現実化し、創造することは出来ないのである。幻想を実相化することは不可能なのだ。
先の感染症の問題に戻ろう。ACIMの説にしたがえば、心のレベルの誤りが肉体のレベルの病を実相的に現実化し、創造することは出来ないのだ。心のレベルの誤りが病という悪い夢、幻想を生み出しているだけである。肉体も病も、歪んだ心が生みだした錯覚であり、心のレベルだけが問題なのだ。真の存在は心だけであり、すべての原因も問題も、また解決策も、実在の心のレベルに存在する。我々は幻想を夢に見ているがために、原因も問題も、また解決策も、幻想の世界、あるいはこの肉体にあると錯覚しているだけだ。場所を取り違えているのである。これがレベル・コンフュージョン(level confusion)「レベルの混乱」であり、つまり、知覚の錯乱である。



We have referred to miracles as the means of correcting level confusion, for all mistakes must be corrected at the level on which they occur. 
  • refer [rifə́ːr] to : 「〜に言及する、〜に注意を向ける」
  • means [míːnz] : 「手段、方法」
  • correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す」
  • level [lévəl] : 「地位、階級、段階、レベル、高さ、高度、深さ」
  • confusion [kənfjúːʒən] : 「混乱状態、混乱、錯乱状態」
  • mistake [mistéik] : 「ミス、誤り、過ち、思い違い、誤解」
  • occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
❖ "We have referred ~ "「私たちは奇跡を、レベルの混乱を正すことの出来る手段だと言及した」。" for all mistakes ~ "「なぜなら、すべての誤りは、それが起きたレベルで正されなければならないからだ」。奇跡は真実を具現化し、幻想を幻想として、真実を真実と見るヴィジョンを提供する。ヴィジョンはレベルを見定める。レベルの混乱は奇跡によって修正されるのだ。したがって、真実の中に紛れ込んだ幻想を、真実のレベルで修正してやれば、幻想は真実のレベルで消滅してしまう。



Only the mind is capable of error. The body can act wrongly only when it is responding to misthought. 
  • be capable [kéipəbl] of : 「〜の能力がある、〜の才能がある、〜ができる」
  • act [ǽkt] : 「行動する、振る舞う 、 作動する」
  • wrongly [rɔ́ːŋli] : 「誤って、間違って」
  • respond [rispɑ́nd] : 「反応する、応答する、答える」
  • misthought : 「過った考え」
❖ "Only the mind ~ "「心だけが誤りを犯しかねない」。誤りという幻想を生み出せるのは心だけだ。もちろん、心はその誤りを実相化することは出来ない。心は誤りを犯しかねないが、誤りを存在させることは出来ないのだ。"The body can ~ "「肉体は、それが誤った思いに反応したときだけ、誤った行動をとる可能性がある」。肉体が誤った行動を生み出すのではない。誤った心の思考が幻想を生み、その幻想にしたがって肉体が誤った反応を示すだけである。これが病である。



The body cannot create, and the belief that it can, a fundamental error, produces all physical symptoms.
  • create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • fundamental [fʌ̀ndəméntl] : 「基礎の、基本的な、根本的な」
  • produce [prədjúːs] : 「〜を作り出す、生産する、産む」
  • physical [fízikl] : 「物質の、物質的な、身体の、肉体の」
  • symptom [símptəm] : 「症状、症候、兆候」
❖ "The body cannot ~ "「肉体は、創造することは出来ない」。"the belief that ~ "「肉体が創造出来ると信じていること、それは根本的な間違いなのだが、それがすべての肉体的な症状を作り出している」。幻想は創造出来ない。幻想に過ぎない肉体が病を創造し、現実化出来ると信じてしまえば、そのレベル・コンフュージョンが病という症状を作り出してしまう。



Physical illness represents a belief in magic. The whole distortion that made magic rests on the belief that there is a creative ability in matter which the mind cannot control.
  • illness [ílnəs] : 「病気、疾病、疾患」
  • represent [rèprizént] : 「〜を表す、描く、意味する、象徴する」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • magic [mǽdʒik] : 「 魔法、奇術、魔術」
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の」
  • distortion [distɔ́ːrʃən] : 「ゆがみ、ねじれ、歪曲、ねじ曲げ」
  • rest [rést] : 「ある、置かれている 」
  • creative [kriéitiv] : 「創造力がある、創造性に富んだ、独創的な」
  • ability [əbíləti] : 「能力、才能、できること」
  • matter [mǽtə(r)] : 「物質、物体、事柄、件、状況、問題」
  • control [kəntróul] : 「操作する、制御する、支配する、統制する」

❖ "Physical illness ~ "「肉体的な病は、魔術を信じていることを表している」。魔術とは、幻想を幻想で作り上げること。知覚を錯乱させ、思考システムを混乱させて、錯覚や妄想を生み出す術である。奇跡は魔術ではない。"The whole distortion ~ "「魔術を生み出した(心の)歪みのすべては、〜という信念に基づいている」。"that there is ~ "「心がコントロール出来ない物質の中に創造的能力があるという」という信念に基づいている。創造出来るのは心だけなのに、その心ではどうにもコントロール出来ない物質にこそ創造の力があると思い込んでしまう誤りが魔術の信仰へと向かわせている、ということ。逆に、創造出来るのは心だけあり、幻想に過ぎない物質をどうにでもコントロール出来るのだと信じる心が、真実の奇跡を生み出すのである。ACIMが言うように、奇跡は物理法則を超越するのだ。



This error can take two forms; it can be believed that the mind can miscreate in the body, or that the body can miscreate in the mind.
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、現れ、姿、体つき」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、確信する、信頼する」
  • miscreate [miskriéit] : 「 〜を誤って作る、作りそこなう」
❖ "This error can ~ "「この過ちは、2つの形をとる可能性がある」。"it can be ~ "「心は肉体の中で誤った創造をする可能性があると信じられ得るし、」"or that the body ~ "「肉体は心の中で誤った創造をする可能性があると信じられ得る」。心は実在で肉体は幻想である。実在は実在をのみ創造するのであって、実在が幻想の中で創造することは出来ないのだ。逆に、幻想が実在を創造することは出来ない。そもそも幻想には創造する力はないのだから。したがって、心が病を創造したのではなく、病は心の歪みが単に肉体に反映(投影)したものに過ぎないのだ。



When it is understood that the mind, the only level of creation, cannot create beyond itself, neither type of confusion need occur.
  • understood [ʌ̀ndərstúd] : 「understandの過去・過去分詞形」
  • creation [kriéiʃən]: 「創造、創作、創作物、作品」
  • create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて、〜のかなたに」
  • neither [níːðər] : 「どちらも〜ない」
  • type [táip] : 「タイプ、型、型式、形式、 種類、類」
  • confusion [kənfjúːʒən] : 「混乱状態、混乱、錯乱状態」
  • need [níːd] : 「〜を必要とする、〜する必要がある」
  • occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
❖ "When it is ~ "「心は、それは唯一の創造レベルなのだが、心自体を超えて創造することは出来ないと理解されたとき、」"neither type of ~ "「どちらのタイプの混乱も起きはしない」。「心自体を超えて創造すること」とは、心は実相レベルで実在する真実を創造するが、幻想レベルにおいて、そこに実在を創造することは出来ない、ということ。心は夢を見て幻想を描いたりするのだが、その夢を現実化して実在する真実に変えることは不可能なのだ。これを理解すれば、レベル・コンフュージョンに陥ることはない。
こう考えたらどうであろう。映写機がスクリーンに映画を映している。人々が橋を作っている映像だとしよう。さて、映画に映し出されている橋は実在の橋だろうか? もちろん違う。では映写機の中で、実在の人々が実在の橋を建造しているのだろうか? もちろん違う。人々も橋も、どこにも実在してない。それをあたかも、スクリーン上で実在する人々が本物の実在する橋を作っていると誤って知覚するところに問題が生じるのだ。知覚の歪みであり、知覚の錯乱だ。したがって、我々のやるべき仕事は、知覚の歪みを正し、映画のどこにも、人も橋も実在していないのだと知ることなのである。あるいは、映写機、スクリーン、映像、知覚というシステムをきちんと理解すること、つまり思考システムを正しく再構築すること、これに行き着くのである。
 
 
 


T-2.III.4:1 ~ T-2.III.5:13

4. Spiritual vision literally cannot see literally, and merely looks for Atonement. All solutions the physical eye seeks dissolve.
  • spiritual [spíritʃuəl] : 「精神の、霊的な、崇高な、精神的な」
  • vision [víʒən] : 「先見の明、洞察力、想像力、視覚、視力」
  • literally [ítərəli] : 「文字どおり、本当に、まさに」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • look for : 「 〜を探す、〜を期待する 」
  • solution [səlúːʃən] : 「解、解答 、解決法、解決策」
  • physical [fízikl] : 「身体の、肉体の、身体的な、物理学の」
  • seek [síːk] : 「 捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • dissolve [dizɑ́lv] : 「溶ける、溶解する、分解する 」
❖ "Spiritual vision literally ~ "「スピリチュアルなヴィジョンは、文字通りの意味での見るということは出来ない」。我々が『見る』という言葉の意味では、ヴィジョンは見ているわけではない。なぜなら、スピリチュアルなヴィジョンは幻想を透過して実在を見抜くものだからだ。ヴィジョンは心の目で真実を見るのである。"and merely looks ~ "「ただただ、ヴィジョンは贖罪を求めている」。ヴィジョンは真実を見抜き、罪が幻想であるとあなたに知らせる。罪が幻想であると知ったあなたは、幻想の罪を赦し、罪を消滅させるのである。これが贖罪。"All solutions the physical ~ "「肉体的な目が追い求めている解決策は、分解してしまう」。罪と罰の恐れを解決するために、たとえば物質的豊かさで恐れと苦を忘れようとするだろうが、幻想を幻想で解決しようとしてもそれは不可能だ。しかし、ヴィジョンによって真実の解決が実現すれば、もはや幻想のごまかしなど必要なくなる。つまり、スピリチュアルなヴィジョンが機能し始めると真の実在が見え始め、それまで肉体の目が追い求めてきた解決策は雲散霧消するのである。



Spiritual vision looks within and recognizes immediately that the altar has been defiled and needs to be repaired and protected.
  • within [wiðín] : 「中、内部、内側」
  • recognize [rékəɡnàiz] : 「〜を認識する、認める、受け入れる」
  • immediately [imíːdiətli] : 「すぐに、すぐさま、早急に、即座に、即刻」
  • altar [ɔ́ːltər] : 「祭壇、聖餐台」
  • defile [difáil] : 「汚す、不潔にする、冒とくする」
  • need [níːd] : 「〜を必要とする、〜する必要がある」
  • repair [ripéər] : 「 〜を直す、〜を修理する 」
  • protect [prətékt] : 「保護する、守る、防御する」
❖ "Spiritual vision looks ~ "「スピリチュアルなヴィジョンは心の中を見、そしてすぐに、祭壇は汚されたままであり、修理し守る必要があることを認識する」。あなたの心の大半はエゴに支配され、ホーリー・スピリットの宿る心の部分、最も純粋で神聖な部分に祭られた祭壇は忘れられて荒廃している。ヴィジョンはその実態を認識し、祭壇を修理保全することをあなたに求めるのだ。



Perfectly aware of the right defense it passes over all others, looking past error to truth. 
  • perfectly [pə́ːrfiktli] : 「完全に、完璧に、すっかり、全く」
  • be aware of : 「〜を承知している、〜に気付いている、知っている 」
  • right [ráit] : 「正しい、正当な、合っている、適切な」
  • defense [diféns] : 「防衛、防御」
  • pass over : 「無視する、黙視する、大目に見る」
  • past [pǽst] : 「過ぎて、〜を過ぎ去って、越えて」
  • error [érər] : 「誤り、間違い」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "Perfectly aware of ~ "先頭にBeingを補うと良い、分詞構文、理由、「真の防御を完全に知っているので、」"it passes over ~ "「ヴィジョンは、他のすべての防御を無視し、誤りを通り越して真実を見る」。真の防御とは、攻撃性のない防御のこと。敵という判断を下さないし、善悪の判断も下さない。ヴィジョンは、攻撃性の防御を完全に無視するのである。幻想を素通りして、ひたすら真実に向かうのだ。



Because of the strength of its vision, it brings the mind into its service.
  • because of : 「〜のために、〜のせいで」
  • strength [stréŋkθ] : 「 力、強さ、体力」
  • bring into : 「〜に至らせる、〜に持ち込む、〜に参加させる」
  • service [sə́ːrvis] : 「役に立つこと、奉仕、世話、貢献、尽力」
❖ "Because of ~ "「スピリチュアルなヴィジョンは強力なので、」"it brings ~ "意訳する、「スピリチュアルなヴィジョンは心を本来の機能が行える地点に運んでくれる」。荒廃し忘れ去られていた心の機能と力を取り戻させてくれる、ということ。"its service"「ヴィジョンのサービス」とは、したがって、真実を見せることで心を覚醒させること。



This re-establishes the power of the mind and makes it increasingly unable to tolerate delay, realizing that it only adds unnecessary pain.
  • re-establish [ri-istǽbliʃmənt] : 「〜を再建する、回復する、復旧する、復興する」
  • power [páuər] : 「力、能力、勢力、権限、権威」
  • make [méik] : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • increasingly [inkríːsiŋli] : 「ますます、だんだんと、次第に、いよいよ 」
  • be unable[ʌnéibl] to : 「〜することができない」
  • tolerate [tɑ́lərèit] : 「〜を大目に見る、寛大に取り扱う、許容する」
  • delay [diléi] : 「遅延、遅滞、猶予、遅れ」
  • realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
  • add [ǽd] : 「 加える、足す、足し算をする、追加する」
  • unnecessary [ʌnnésəsèri] : 「不必要な、無用な、不要な」
  • pain [péin] : 「苦痛、痛み、痛覚」
❖ "This re-establishes ~ "「これは心の力を回復させ、次第に遅延を許容出来なくする」。今まであなたは、贖罪を延ばし延ばしにしてきたが、心の力が回復すると、積極的に贖罪を果たそうとするのだ。修復された祭壇に、あなたの贖罪を捧げることになる。"realizing that ~ "分詞構文、単純接続、「そして、遅延は不必要な痛みを加えるだけだと認識するようになる」。贖罪を先延ばしにして幻想に埋没することは、心の苦と痛みを助長することだと気が付く。



As a result, the mind becomes increasingly sensitive to what it would once have regarded as very minor intrusions of discomfort.
  • as a result : 「結果として 、その結果」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • increasingly [inkríːsiŋli] : 「ますます、だんだんと、次第に」
  • sensitive [sénsətiv] : 「 敏感な、感覚がある、感度がいい」
  • once [wʌ́ns] : 「あるとき、かつて、以前」
  • regard [riɡάːrd] : 「見なす、思う、考える」
  • minor [máinər] : 「重要でない、より小さい、軽微な」
  • intrusion [intrúːʒən] : 「侵入、不法占有、押し付け、割り込み」
  • discomfort [diskʌ́mfərt] : 「不快、不安、辛苦」
❖ "As a result ~ "「結果として、心はますます〜に敏感になる」。"to what it ~ "「かつて、心が、非常に小さな不快さの侵入と見なしていたことに」敏感になる。心が修復されるまで、心は荒廃していた。真の防御が確立していなかったので、いろんなものが侵入してきたのだ。たとえば、無神論、虚無思想、唯物主義、偶像崇拝、物質至上主義、金権主義、肉欲、金銭欲、出世欲、名誉欲、名声欲、等々。こういったものを心は防御出来なかった。心の感覚自体が鈍く、ちょっとした不快さぐらいにしか感じなかったのである。しかし、機能を回復した心は、これらの攻撃が敏感に感じ取れるようになる。もはや贖罪の遅延は許容出来ない、というわけである。



5. The children of God are entitled to the perfect comfort that comes from perfect trust.
  • entitle [entáitl] : 「〜に資格を与える、〜に権利を与える」
  • be entitled to : 「〜する資格がある、〜を得る資格がある」
  • perfect [pə́ːrfikt] : 「申し分がない、完全な、完璧な」
  • comfort [kʌ́mfərt] : 「快適さ、心地よさ、癒やし、安らぎ、安楽」
  • trust [trʌ́st] : 「信頼、信任、信用」
❖ "The children of ~ "「神の子は、完璧な信頼から来る完璧な安らぎを得る資格がある」。神を完璧に信頼すれば、完璧な安らぎが得られる。神が創造した神の子には、その安らぎを手に入れる資格がある。



Until they achieve this, they waste themselves and their true creative powers on useless attempts to make themselves more comfortable by inappropriate means.
  • until [əntíl] : 「〜する時まで」
  • achieve [ətʃíːv] : 「成し遂げる、達成する、成就する、やり遂げる」
  • waste [wéist] : 「〜を無駄にする、空費する、浪費する」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
  • creative [kriéitiv] : 「創造力がある、創造性に富んだ、独創的な」
  • power [páuər] : 「力、能力、勢力、権限、権威」
  • useless [júːsləs] : 「使い物にならない、役に立たない、無用な、無駄な」
  • attempt [ətémpt] : 「試み、企て」
  • comfortable [kʌ́mftəbl] : 「快適な、落ち着ける、気持ちの良い、心地良い」
  • inappropriate [ìnəpróupriət] : 「不適切な、不適当な、妥当でない」
  • means [míːnz] : 「手段、方法」
❖ "Until they achieve ~ "「神の子が完璧な安らぎを得るまでは、彼らは自分自身をすり減らし、そして無益な試みに真の創造的パワーを浪費する」。"to make themselves ~ "「不適切な方法によって自らをより快適にしようとして」。不適切な方法とは、無神論、虚無思想、唯物主義、偶像崇拝、物質至上主義、金権主義、肉欲、金銭欲、出世欲、名誉欲、名声欲、等々。幻想に捕われているうちは、神から継承した創造的パワーを浪費するだけで、しかも、心の安らぎを得ることは出来ない。



But the real means are already provided, and do not involve any effort at all on their part. 
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
  • provide [prəváid] : 「提供する、供給する、与える、供与する」
  • involve [invɑ́lv] : 「を含む、伴う、必要とする」
  • effort [éfərt] : 「努力、尽力、骨折り」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
  • on one's part : 「〜としては、〜の側では」
❖ "But the real means ~ "「しかし、真の方法はすでに与えられており、それは 神の子の側では全く何も努力を必要とするものではない」。真の心の安らぎを得る方法はホーリー・スピリットが教えてくれるし、既に教えている。あなたが努力して暗中模索する必要はないのだ。



The Atonement is the only gift that is worthy of being offered at the altar of God, because of the value of the altar itself.
  • atonement [ətóunmənt] : 「償い、贖罪」
  • gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント、神からの贈り物、天賦の才」
  • be worthy of ~ : 「〜に値する」
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、〜を提供する、〜を勧める」
  • altar [ɔ́ːltər] : 「祭壇、聖餐台」
  • value [vǽljuː] : 「価値、値打ち」
❖ "The Atonement is ~ "「贖罪は、祭壇自体に価値があるので、神の祭壇にささげられる価値のある唯一の贈り物である」。たとえば、純金製の本物の祭壇に、まがい物の花など捧げられるだろうか? 純金製の祭壇にはそれに似合った捧げ物が捧げられねばならない。同様に、心の祭壇は神とのチャンネルになっていて、それ自体価値があるから、それに似合ったものを捧げるべきなのだ。その似合ったものが、真実の贖罪である。神の祭壇に虚偽やごまかしや幻想は捧げてはいけない。



It was created perfect and is entirely worthy of receiving perfection. 
  • create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
  • perfect [pə́ːrfikt] : 「申し分がない、完全な、完璧な」
  • entirely [entáiərli] : 「全く、完全に、全体に、ひたすら、もっぱら」
  • worthy [wə́ːrði] of : 「〜に値する、〜するに足りる」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る」
  • perfection [pərfékʃən] : 「完全、完璧、完成」
❖ "It was created ~ "「それは完璧に創造され、完璧さを受け取るにまったく値する」。神の祭壇は神自身が創造したものなので、完全に完璧である。完璧さを祝福されるに値する。



God and his creations are completely dependent on Each Other. He depends on them because he created them perfect.
  • creation [kriéiʃən]: 「創造、創作、創作物、作品」
  • completely [kəmplíːtli] : 「完全に、十分に、全面的に、全く」
  • be dependent on : 「〜によって決まる、〜に依存している、〜次第である」
  • each other : 「お互い」
  • depend [dipénd] on : 「〜によって決まる、〜次第である、〜に頼る」
❖ "God and his ~ "「神と神の子は完全に、互いに依存している」。「依存」という言葉はふさわしくないかも知れない。むしろ、「二人で一人」という意味合い。"He depends on ~ "「神は、神の子を完璧に創造したのだから、神の子に依存する」。神は、神の拡張として神の子を創造した。拡張は神の愛であり、喜びである。その愛と喜びを神の子とともに分かち合うのだ。神の拡張は、神の子、そしてもちろんホーリー・スピリットも含めて、すべてを包み込んだ総体として初めて意味をもつ。したがって、神と神の子の「依存関係」とは、むしろ"union"「結合、合併、融合、団結」に近いものである。



He gave them his peace so they could not be shaken and could not be deceived. 
  • gave [ɡéiv] : 「giveの過去形」
  • peace [píːs] : 「平和、和平、安らぎ、平安、静けさ、静謐」
  • shaken [ʃéikən] : 「shake の過去分詞」
  • shake [ʃéik] : 「揺する、揺るがす、 〜を動揺させる、ぐらつかせる」
  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます、裏切る」
❖ "He gave them ~ "「神は、〜するために、神の子に神の平和を与えた」。"so they could ~ "「神の子が動揺したり、騙されたりしないように」神の子に神の平和を与えた。幻想のエゴの脅しや騙しに負けないように、神は神の子に真実を与えようとしている。真実に満たされた心が神の平和であり、神の子が神から受け取る平和である。



Whenever you are afraid you are deceived, and your mind cannot serve the Holy Spirit.
  • whenever [hwènévər] : 「〜するときはいつでも、〜したときはすぐ」
  • afraid [əfréid] : 「恐れて、心配して、怖がって」
  • serve [sə́ːrv] : 「〜に役立つ、果たす、〜に仕える」
❖ "Whenever you are ~ "「あなたが恐れるときはいつでも、あなたは騙されている」。恐れは幻想であるから、エゴの脅しに騙されている証拠だ。そんな時は、"and your mind ~ "「あなたの心は、ホーリー・スピリットに仕えることは出来ない」。エゴに騙されているうちは、あなたはホーリー・スピリットの導きを受け入れることは出来ない。だから、なるべく早く、あなたはエゴの思考システムを捨てて、ホーリー・スピリットの思考システムに切り替えなくてはいけない。幻想から脱して、真実に目覚めなくてはならないのだ。



This starves you by denying you your daily bread. God is lonely without his sons, and they are lonely without Him.
  • starve [stɑ́ːrv] : 「餓死させる、飢えさせる、渇望させる」
  • deny[dinái] A B : 「A に B を与えない 」
  • daily [déili] : 「毎日の、日常の」
  • bread [bréd] : 「パン」
  • lonely [lóunli] : 「寂しい、ひとりの、孤独の、孤立した」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たずに」
❖ あなたが動揺したり騙されたりすれば、"This starves you ~ "「このことが、あなたに日々のパンを与えずにあなたを飢えさせる」。心に安らぎを与えることなく、心を荒廃させる、ということ。"God is lonely without ~ "「神は、神の子が傍(かたわら)にいなくて寂しい思いをし、神の子は、神を失って孤独に嘖(さいな)まれる」。神と神の子の分離状態が続くことになる。分離状態は強烈な孤独感を生み出し、精神的な麻薬によってそれを麻痺させる道に走る。麻薬はさらなる孤独感を生みだす。この悪循環を断ち切らなくてはいけない。



They must learn to look upon the world as a means of healing the separation. 
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜であると分かる、〜を覚える、知る」
  • look upon : 「〜を見る」
  • means [míːnz] : 「手段、方法」
  • heal [híːl] : 「癒やす、救う、治す、治癒する、治療する」
  • separation [sèpəréiʃən] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
❖ "They must learn ~ "「神の子は、世界を、分離を癒す手段として見ることを学ばねばならない」。分離という幻想から目覚めるために、幻想の世界を利用することを学ばねばならない。これは、眠りから目覚めるために、夢を利用することに似ている。もし、昏睡状態が夢も見ることの出来ない状態であったらなら、眠りから目覚めることは極めて難しいだろう。しかし、眠りの中で夢を見ているなら、その夢がどんなに苦しくても、それが夢に過ぎないと認識出来れば、夢から覚めたいと願うことであなたは眠りから目覚めることが出来る。同様に、この世界は夢に過ぎないと認識し、その幻想を幻想として受け入れて受け流し、赦してしまえば、あなたは夢から目覚めることが出来る。幻想は消滅してしまうのだ。幻想の世界を、幻想を消滅させる手段に利用するのである。



The Atonement is the guarantee that they will ultimately succeed.
  • guarantee [gæ̀rəntíː] : 「保証、保証書、保証契約、保証人 」
  • ultimately [ʌ́ltəmətli] : 「結局、最後に、ついに、最終的に」
  • succeed [səksíːd] : 「成功する」
❖ "The Atonement is ~ "意訳する、「贖罪は、神の子は最終的に成功すると保証している」。贖罪とは、神の子が罪は幻想に過ぎないと認識し、罪の幻想性を赦すことで罪を消滅させること。罪の意識は、神を裏切って神から分離したことで生じたものである。だから、罪が消滅すれば、分離も消滅する。したがって本文は、神の子が、贖罪を実行し神からの分離を消滅させることは、必ず実現する、必ず成功するということ。
時間の存在するこの幻想世界では、実現や成功は未来形ではあるが、時間の存在しない実相世界では、それは既に完了している。実相世界の既成事実として、必ず実現し必ず成功するのである。
 
 
 

T-2.III.2:1 ~ T-2.III.3:10

2. For perfect effectiveness the Atonement belongs at the center of the inner altar, where it undoes the separation and restores the wholeness of the mind.
  • perfect [pə́ːrfikt] : 「申し分がない、完全な、完璧な」
  • effectiveness [iféktivnəs] : 「有効性、効果、効力、実効性」
  • belong [bilɔ́ːŋ] : 「あるべき所にある、いるべき所にいる」
  • center [séntər] : 「中心、核心」
  • inner [ínər] : 「内部の、内面的な、精神的な」
  • altar [ɔ́ːltər] : 「祭壇、聖餐台」
  • undo [ʌndú] : 「〜を元に戻す、元どおりにする、取り消す 」
  • separation [sèpəréiʃən] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
  • restore [ristɔ́ːr] : 「〜を元の状態に戻す、元に戻す、回復させる、修復する」
  • wholeness [hóulnis] : 「全部そろっていること、完全であること」
❖ "For perfect effectiveness ~ "「完璧な効果を得るために、贖罪は心の中の祭壇の中心に置かれるべきである」。"where it undoes ~ "「その場所で、贖罪は、分離を取り消し、心の全体性を取り戻してくれる」。あなたの心の最も純粋で神聖な部分に神の祭壇があって、そこにホーリー・スピリットは宿っている。そのホーリー・スピリットの導きに従って、あなたの罪の意識を赦し消滅させ、ひいては神からの分離を解消し、あなたと同胞の心の分裂も幻想であると認識して心の分裂を取り消すのである。かくして、分裂していた小さな心(mind)は再統一され、大きな一つの心(Mind)に生まれ変わる。神の子の心は、その全体性を取り戻すのだ。



Before the separation the mind was invulnerable to fear, because fear did not exist.
  • before [bifɔ́ːr] : 「以前に、前に、早く、先に」
  • invulnerable [invʌ́lnərəbl] : 「傷つくことのない、不死身の」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」
  • exist [igzíst] : 「存在する、生きている、生存する」
❖ "Before the separation ~ "「分離以前は、心は恐れに対して傷つくことはなかった」。"because fear ~ "「なぜなら、恐れは存在しなかったからだ」。神の子が神から分離する以前に暮らしていた実相世界は純粋な一元論の世界であって、対立概念は存在しない。喜びは存在するが恐れは存在しないのだ。神からの分離後、神への裏切りを神が罰するに違いないという思い込みが恐れを生み出した。罪と罰に対する恐れの原型である。



Both the separation and the fear are miscreations that must be undone for the restoration of the temple, and for the opening of the altar to receive the Atonement.
  • miscreation [kriéiʃən] : 「誤った創造」
  • undone [ʌndʌ́n] : 「undo の過去分詞形」
  • restoration [rèstəréiʃən] : 「 復元、復旧、回復、修復」
  • temple [témpl] : 「 神殿、寺院、教会、殿堂」
  • open [óupən] : 「開ける、広げる」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、〜を受け入れる」
  • atonement [ətóunmənt] : 「償い、贖罪」
❖ "Both the separation and ~ "「分離も恐れもともに、誤創造されたものである」。分離も恐れも、神の子が夢の中で勝手にでっち上げた幻想である。"that must be undone ~ "「誤創造は、寺院を修復するため、および贖罪を受け入れるための祭壇を開くために、取り消されなければならない」。心の中の祭壇を祭る寺院は荒廃している。エゴの支配によって、完全に忘れ去られているからだ。それを修復し、回復した正しい心をもって贖罪を果たさなくてはいけない。そのためには、そもそもの原因となった誤創造、つまり、幻想を作り出した誤りを取り消しにしなくてはならないのだ。



This heals the separation by placing within you the one effective defense against all separation thoughts and making you perfectly invulnerable.
  • heal [híːl] : 「癒やす、救う、治す、治癒する、治療する」
  • place [pléis] : 「〜を置く、設置する、取り付ける」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」
  • effective [iféktiv] : 「効果的な、効率的な、有効な」
  • defense [diféns] : 「防衛、防御」
  • against [əɡéinst] : 「〜に反対して、〜に逆らって、〜にそむいて」
  • thought [θɔ́ːt] : 「思い、考え、思考、思索、思想、見解」
  • make [méik] : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • perfectly [pə́ːrfiktli] : 「完全に、完璧に、すっかり、全く」
  • invulnerable [invʌ́lnərəbl] : 「傷つくことのない、不死身の」
❖ "This heals the  ~ "「寺院を修復し祭壇を開くことは、〜することで、分離をヒーリングする」。"by placing within ~ "「あらゆる分離という考え方に対して一つの効果的な防衛態勢をあなたの心の中に敷き、あなたを完全に傷つくことない者にすることで、」分離をヒーリングする。"all separation thoughts"「あらゆる分離という考え方」とは、神と人、人と人、人と世界、人と自然、等々の間の分離を促進する思考のことで、たとえば、無神論、虚無思想、唯物主義、偶像崇拝、物質至上主義、金権主義、等々のことである。エゴの思考システムのことだ。それらから効果的に守ってくれるもの(effective defense)とは、ホーリー・スピリットの思考システム(the Holy Spirit's thought system)のこと。その中には、もちろん、知覚の修正、ヴィジョンの獲得、贖罪、奇跡、ヒーリング、等々が含まれている。ホーリー・スピリットの思考システムに辿り着くには、まず第一に、ホーリー・スピリットの存在を思い出さなくてはならない。だから、ホーリー・スピリットの宿る心の中の荒廃した寺院を修復し、再び祭壇を開くのである。



3. The acceptance of the Atonement by everyone is only a matter of time. 
  • acceptance [əkséptəns] : 「受け入れること、承諾、承認、受諾、容認」
  • a matter of time : 「時間の問題」
❖ "The acceptance of ~ "「すべての人々によって贖罪が受け入れられるのは時間の問題である」。ここで言う「時間の問題だ」は「もうすぐである」ともとれるし、「いつかは定かでないが、十分時間がたてば達成される」ともとれる。実は、どっちでもいい。どちらも正しい。時間は幻想であり、実相世界には時間は存在しないからだ。つまり、この世界のレベルから見れば、贖罪がすべての人々に受け入れられるには非常に長い時間がかかるように思われるが、時間の存在しない実相のレベルから見れば、それは一瞬で完了してしまっているのだ。既成事実として存在し、それが現実化されるのを待っている。



This may appear to contradict free will because of the inevitability of the final decision, but this is not so.
  • appear [əpíərəns] : 「〜のように見える、〜と思われる」
  • contradict [kɑ̀ntrədíkt] : 「〜と矛盾する、相反する 、〜を否定する」
  • free will : 「自由意志」
  • because of : 「〜のために、〜のせいで」
  • inevitability [inèvətəbíləti] : 「必然性」
  • final [fáinl] : 「最後の、最終の、決定的な」
  • decision [disíʒən] : 「決定、決断、決心」
  • final decision : 「最終決定、確定判決」
❖ "This may appear ~ "「このことは、自由意思と矛盾しているように見えるかも知れない」。"because of ~ "「なぜなら、決定論は避けられないからだ」。"final decision"「最終決定」を、「神の決定」と解釈して『決定論』と訳してみた。"but this is ~ "「しかし、そうではない」。神の住む実相世界は時間が存在せず、あらゆる事象が一瞬にして起き、その一瞬が永遠に続く。ならば、あなたがどんなにもがこうが、あなたの運命は既に決定していることになり、あなたが自分の人生を自由意思で選択することなど不可能だと思えるだろう。しかし、そうではない。運命とは、すべての可能な事象の大枠が決まっているだけなのだ。たとえば、あなたが森で道に迷ったとしよう。あなたは右へ曲がるか、左へ曲がるか選択しなくてはいけない。このとき、運命はあなたがどちらの道を選ぶかは決定してはいない。右に曲がれば熊に出合い、左に曲がれば鹿に出合うという大枠が決定されているだけだ。あなたは自由意思をもって、どちらかの道を選択出来るのである。もちろん、道を曲がらずに引き返す選択もちゃんと出来る。したがって、ACIMでは、自由意思による『選択』が非常に重要視されている。ただ、あなたの理性的判断による自由選択は余りにも不確定要素が大きいので、ほとんど誤った選択に結果してしまう。そこで、あなたは理性的判断を放棄し、ホーリー・スピリットの声を聞いて判断を委ねよ、とACIMは訴えるのである。



You can temporize and you are capable of enormous procrastination, but you cannot depart entirely from your creator, who set the limits on your ability to miscreate.
  • temporize [témpəràiz] : 「ぐずぐずする、のらりくらりとかわす」
  • be capable of : 「〜の能力がある、〜の才能がある、〜ができる」
  • enormous [inɔ́ːrməs] : 「巨大な、膨大な、莫大な」
  • procrastination [proukræ̀stinéiʃən] : 「引き延ばし、先送り、遅延、優柔不断 」
  • depart [dipɑ́ːrt] : 「規則から逸脱する、軌道から反れる、外れる」
  • entirely [entáiərli] : 「全く、完全に、全体に、ひたすら、もっぱら」
  • creator [kriéitər] : 「創造者、創作者、創設者」
  • set a limit : 「制限する、枠を設ける」
  • limit [límit] : 「限度、制限、境界、限界」
  • set a limit : 「制限する、枠を設ける」
  • ability [əbíləti] : 「能力、才能、できること」
  • miscreate [miskriéit] : 「 〜を誤って作る、作りそこなう」
❖ 選択を躊躇して、"You can temporize ~ "「あなたはぐずぐず出来るし、どこまでも(選択を)引き延ばすことも出来る」。"but you cannot ~ "「しかし、あなたは創造者から逃れることは出来ない」。"who set the limits ~ "「その創造者は、あなたが誤創造する能力に制限をかけている」。あなたは選択を先延ばしして、いつまでも自由意思を行使せずにいてもいい。所詮、時間は幻想なのだから。しかし、創造者である神が創造したあなたの運命そのものから、あなたは逃れることは不可能だ。つまり、いつかは、あなたは自由意思をもって選択しなくてはいけない。それを否定すれば、あなたは再び誤った創造を繰り返すことになるので、つまり、また幻想を生み出してしまうことになるので、その誤りに制限をかけるために、神はあなた用の複数のシナリオを、つまり、複数の運命を提示してくれているのだ。そして神は、あなたの自由意思による選択をひたすら待っている。



An imprisoned will engenders a situation which, in the extreme, becomes altogether intolerable. Tolerance for pain may be high, but it is not without limit.
  • imprison [imprízn] : 「監禁する、拘置する、投獄する」
  • will [wíl] : 「意志、意欲、願望」
  • engender [endʒéndər] : 「〜を生じさせる、引き起こす、発生させる」
  • situation [sìtʃuéiʃən] : 「状況、場所、状態、立場、事情」
  • extreme [ikstríːm] : 「極端、極端な行為、極度」
  • in the extreme : 「極端に、極度に、極めて、この上なく 」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • altogether [ɔ̀ːltəgéðər] : 「全く、全然、完全に、すっかり、まるで」
  • intolerable [intɑ́lərəbl] : 「耐えられない、我慢できない」
  • tolerance [tɑ́lərəns] : 「我慢、忍耐 、寛容、容認、寛大」
  • pain [péin] : 「苦痛、痛み、痛覚、疼痛 、苦悩 」
  • high [hái] : 「高度の、進んだ、高い、高位の、強い、激しい」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たずに」
  • limit [límit] : 「限度、制限、境界、限界」
❖ "An imprisoned will ~ "「捕らわれの意思は、極度に、まったく我慢できないの状況を生み出す」。"imprisoned will"「捕らわれの意思」とは、幻想に捕われた意思、贖罪を拒み続ける意思、あるいは簡単に、エゴに捕われた意思、等々のこと。これが、苦と痛み、恐れ、悲しみ、怒り、憎悪を生み出している。"Tolerance for pain ~ "「痛みに対する我慢はますます大きくなるだろうが、しかし、限界がないわけではない」。幻想を幻想でごまかしてしまうことには限界があり、きっと、もっと良い方法(贖罪)があると気付くのだ。



Eventually everyone begins to recognize, however dimly, that there must be a better way. 
  • eventually [ivéntʃuəli] : 「最終的には、結局は、ついに、いつかは」
  • begin [biɡín] : 「〜を始める、〜するようになる」
  • recognize [rékəɡnàiz] : 「〜を認識する、認める、受け入れる」
  • however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
  • dimly [dímli] : 「薄暗く」
  • better [bétər] : 「より良い、より望ましい」
  • way [wéi] : 「方法、やり方、手段、方途、様式」
❖ "Eventually everyone begins ~ "「結局は、誰でも、おぼろげではあるが、もっといいやり方があるはずだと認識し始める」。幻想を実相で消滅させる方法、贖罪という方法があることに気付く。



As this recognition becomes more firmly established, it becomes a turning point.
  • recognition [rèkəɡníʃən] : 「認識、認証、真価を認めること」
  • firmly [fə́ːrmli] : 「しっかりと、きっぱりと、断固として、確固として」
  • establish [istǽbliʃ] : 「確立する、制定する、成立させる」
  • turning point : 「方向転換の地点、転回点、転換点、曲がり角」
❖ "As this recognition becomes ~ "「この認識がより堅固に確立されるようになると、」" it becomes a turning point"「それがターニング・ポイントとなる」。あなたの視線が幻想から真実に向かうターニングポイントであり、自己革命に乗り出す転換点である。



This ultimately reawakens spiritual vision, simultaneously weakening the investment in physical sight.
  • ultimately [ʌ́ltəmətli] : 「結局のところ、最後に、詰まるところ」
  • reawaken = reawake [riəwéik] : 「再び目覚めさせる、復活させる」
  • spiritual [spíritʃuəl] : 「精神の、霊的な、崇高な、精神的な」
  • vision [víʒən] : 「先見の明、洞察力、想像力、視覚、視力simultaneously [sàiməltéiniəsli] : 「同時に、いっせいに」
  • weaken [wíːkn] : 「弱める、弱体化させる」
  • investment [invéstmənt] : 「投資、投下資本、出資、肩入れ」
  • sight [sáit] : 「視覚、視力」
❖ "This ultimately ~ "「これは、ついにはスピリチュアルなヴィジョンを再び目覚めさせ、」"simultaneously weakening ~ "「同時に、肉体的な視力に肩入れすることを弱める」。あなたの肉体的な知覚は幻想を実在だと見てきたが、ターニングポイントを過ぎれば、その知覚を信じる気持ちが薄れてきて、誤った知覚を修正し、真実を見ることの出来る心の目、すなわちヴィジョンが呼び覚まされるのである。



The alternating investment in the two levels of perception is usually experienced as conflict, which can become very acute. But the outcome is as certain as God.
  • alternate [ɔ´ːltərnèit] : 「交代する、交互に入れ替える」
  • level [lévəl] : 「地位、階級、段階、レベル、高さ、高度、深さ」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
  • usually [júːʒuəli] : 「普段は、通常、通例、いつもは、大抵」
  • experience [ikspíəriəns] : 「〜を経験する、〜を体験する、〜に悩む」
  • conflict [kənflíkt] : 「争い、紛争、葛藤、あつれき」
  • acute [əkjúːt] : 「鋭い、先のとがった、ひどい、強烈な、激しい 」
  • outcome [áutkʌ̀m] : 「結果、結末、成果、所産」
  • certain [sə́ːrtn] : 「確実な、確かな、間違いのない、信頼できる」
❖ "The alternating investment ~ "「2つの知覚レベル間で、肩入れするものを入れ替えることは、通常、コンフリクトとして経験される」。"which can become ~ "「その対立は、とても激しいものになる可能性がある」。2つの知覚レベルとは、"spiritual vision"と"physical sight"のこと。幻想であるこの世を見る肉体的な目と、幻想を通り越して実在を見抜くスピリチュアルなヴィジョンとが併存している段階では、どちらを頼っていいのか混乱が生じ、混乱は、心の中の対立やコンフリクトを生みだす。" But the outcome ~ "「しかし、結果は神のごとく確実だ」。当然、"spiritual vision"が勝利するわけで、その実現性は神の存在と同様に確実である。幻想と実相が対立したなら、必ず実相が幻想に打ち勝つ。もっとも、それには時間を要する。しかし、時間自体も幻想であるから、実相が幻想に打ち勝つことは間違いないのだ。それは、あなたの運命として神が決定したことでもある。
 
 
 



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